顧炎武たけし

顧炎武たけし

顧炎武たけし
人物じんぶつ情報じょうほう
別名べつめい	名な: 絳 → 炎ほのお武たけし 字じ: 忠清ただきよ → 寧やすし人じん 号ごう: 亭ちん林りん
生誕せいたん	万まん暦れき41年ねん5月がつ28日にち（1613年ねん7月がつ15日にち） 明あかり国こく・蘇州そしゅう府ふ崑こん山県やまがた千せん墩 （現げん・江蘇ちぁんすー省しょう蘇州そしゅう市し崑こん山やま市し千せん灯とう鎮）
死没しぼつ	康かん熙21年ねん1月がつ9日にち（1682年ねん2月がつ15日にち） 清国きよくに華はな陰かげ
学問がくもん
時代じだい	明あきら末清すえきよ初はつ
活動かつどう地域ちいき	華はな陰かげ
主要しゅような作品さくひん	『日にち知ち録ろく』 『天下あもり郡ぐん国利こくり病びょう書しょ』 『音おと学がく五ご書しょ』

顧炎武たけし
繁体字はんたいじ	顧炎武たけし
簡体字かんたいじ	顾炎武たけし
発音はつおん記号きごう 標準ひょうじゅん中国語ちゅうごくご 漢語かんご拼音 Gù Yánwǔ

顧 炎えん武たけし（こ えんぶ、万まん暦れき41年ねん5月がつ28日にち（1613年ねん7月がつ15日にち） - 康かん熙21年ねん1月がつ9日にち（1682年ねん2月がつ15日にち））は、中国ちゅうごく明あきら代だい末期まっきから清きよし代だい初期しょき（明あきら末清すえきよ初はつ）の儒学じゅがく者しゃ。明あかりの滅亡めつぼうに際さいして反はん清きよし運動うんどうに参加さんかした。経学けいがくや史学しがくの傍かたわら、経世けいせい致用の実学じつがくを説といた。清朝せいちょう考証こうしょう学がくの祖その一人ひとり。

略歴りゃくれき

顧炎武ぶは本来ほんらいの名なを絳、字じを忠清ただきよという。清しん代だい以後いごに名なを炎ほのお武たけし、字じを寧やすし人じんと改あらため、号ごうを亭ちん林りんとした。蘇州そしゅう府ふ崑こん山県やまがた千せん墩（現在げんざいの江蘇ちぁんすー省しょう蘇州そしゅう市し崑こん山やま市し千せん灯とう鎮）の出身しゅっしん。明あかり末まつの東ひがし林りん党とうの流ながれを引ひき継つぐ政治せいじ結社けっしゃ復ふく社しゃに参加さんかしていた。順治じゅんじ元年がんねん（1644年ねん）に李り自じ成なりによって明あかりが滅ほろび、清せいが中国ちゅうごく本土ほんどに侵入しんにゅうしてくると郷里きょうりの子弟していを組織そしきして義勇軍ぎゆうぐんを結成けっせいして清朝せいちょう支配しはいに抵抗ていこうして、各地かくちを流浪るろうしては反はん清きよしの活動かつどうに積極せっきょく的てきに携たずさわっていた。

各地かくちを流浪るろうするにあたり、一緒いっしょに共ともする馬うまに書物しょもつを満載まんさいしながら文献ぶんけんと照てらし合あわせた実地じっち調査ちょうさを行おこない、地理ちりや歴史れきしの研究けんきゅうに勤いそしんだ。また、経学けいがく・訓詁くんこ学がく・音韻おんいん学がく・金石かねいし学まなぶなどにも精通せいつうしていた。その上うえで、陽明学ようめいがくを批判ひはんし、世よに有益ゆうえきな経世けいせい致用の学がくを追究ついきゅうした。晩年ばんねんは華はな陰かげに居きょを構かまえ、清朝せいちょうの仕官しかん要請ようせいを断ことわり続つづけた。甥おいの徐じょ乾いぬい学まなぶは、康かん熙9年ねん（1670年ねん）に進士しんし（3番ばんで合格ごうかく）、清朝せいちょうの高官こうかん（刑部おさかべ尚書しょうしょ）となった。

著書ちょしょと思想しそう

詳細しょうさいは「zh:顧炎武たけし#著作ちょさく」を参照さんしょう

顧炎武ぶは清朝せいちょう考証こうしょう学がくの浙西学派がくはの祖そと称しょうされる。しかし清きよし初はつ三さん大師だいしといわれる黄き宗むね羲や王おう夫おっと之の（船山ふなやま）と同おなじように反はん清きよし復ふく明あかり運動うんどうに携たずさわっていた経歴けいれきは、現実げんじつ社会しゃかいに対たいする批判ひはんという性格せいかくを帯おびてその学問がくもんにもあらわれている。

代表だいひょう的てき著作ちょさくといわれる『日にち知ち録ろく』は一見いっけんすると随筆ずいひつを寄よせ集あつめた文集ぶんしゅうである。しかしその論ろんずるところは多岐たきにわたり、中なかでも歴史れきしに関かんする箇所かしょは明あきら代だいの政治せいじ経済けいざいや社会しゃかいについて鋭するどい見解けんかいを示しめしており、そのまま現実げんじつに対たいする批判ひはんと提議ていぎへとつながっている。そして各かく項目こうもくとも事実じじつについてただ論ろんじ批評ひひょうするのではなく、十分じゅうぶんな考証こうしょうを行おこなった上うえでその議論ぎろんを行おこなっている。もっともその著作ちょさくが、世間せけんに公開こうかいされたのは没後ぼつごであり、清しん代だいの考証こうしょう学がく者ものたちは彼かれの実証じっしょう主義しゅぎ的てきな手法しゅほうを専もっぱら採とり入いれることとなる。

この他ほか、中国ちゅうごく各地かくちの地学ちがく・特徴とくちょう・軍事ぐんじなどのあらゆる点てんを論ろんじた『天下あもり郡ぐん国利こくり病びょう書しょ』や、音韻おんいん学がくについて述のべた『音おと学がく五ご書しょ』などがある。

関連かんれん書籍しょせき

• 顧炎武たけ『顧亭林りん先生せんせい遺書いしょ十じゅう種しゅ』蓬よもぎ瀛閣、清末きよすえ。https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/2610666。 
• 清水しみず茂しげる『顧炎武たけ集しゅう 中国ちゅうごく文明ぶんめい選せん7』、朝日新聞社あさひしんぶんしゃ、1974年ねん、再版さいはん1977年ねん
• 井上いのうえ進すすむ『顧炎武たけ 中国ちゅうごく歴史れきし人物じんぶつ選せん10』、白しろ帝みかど社しゃ、1994年ねん。ISBN 4891742275
• 『清朝せいちょう初期しょきの尚書しょうしょ研究けんきゅう　顧炎武たけ『日にち知ち録ろく』と閻若璩(エン ジャクキョ)『尚書しょうしょ古文こぶん疏證』』、野間のま文ぶん史し訓くん注ちゅう、明徳めいとく出版しゅっぱん社しゃ、2023年ねん
• 『顧炎武ぶと平賀ひらか中南なかみなみの春秋しゅんじゅう學がく』、野間のま文ぶん史し訓くん注ちゅう、明徳めいとく出版しゅっぱん社しゃ、2024年ねん

関連かんれん項目こうもく

• 考証こうしょう学がく
• 黄き宗むね羲
• 王おう夫おっと之の
• 朱しゅ舜しゅん水すい - 同おなじく反はん清きよし復ふく明あかり運動うんどうに携たずさわった後のち、日本にっぽんに亡命ぼうめいする。