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風鈴ふうりん

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神社じんじゃにかけられたガラスせい風鈴ふうりん滋賀しがけん大津おおつ 萱野かやの神社じんじゃ
られている金属きんぞくせい風鈴ふうりん

風鈴ふうりん(ふうりん)とは、日本にっぽんなついえ軒下のきしたなどにげてもちいられる小型こがたかねすずふうによっておとるような仕組しくみになっている。

概要がいよう

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金属きんぞくガラスなどでのひらにおさまるくらいのおおきさのおわんがたをしたそとつくり、それをさかさにして開口かいこう下向したむきにげられるように外側そとがわひもをつける。内側うちがわにはした(ぜつ)とばれるちいさな部品ぶひんひもげ、そのひもさきには短冊たんざくけてふうをよくけるようにしてある。

短冊たんざくふうけてした(ぜつ)をらし、したそとたっておとらす。一般いっぱんてき風鈴ふうりんとは構造こうぞうことなるが、ぶらげた火箸ひばしはがねぼう)を利用りようした火箸ひばし風鈴ふうりん[1]、ぶらげた備長ずみ利用りようした風鈴ふうりんもある[2]

おとそとした材質ざいしつになどに左右さゆうされるが、日本にっぽんでは一般いっぱんすずしげなおと表現ひょうげんされてきたおとである。あきらせるスズムシなどのむしこえともている。冷房れいぼうのなかった時代じだい日本にっぽんのむしむしとした湿気しっけおおあつなつをやりごすため、日本人にっぽんじん風鈴ふうりんおとくことにすずしの風情ふぜいかんじてきた。

ガラスせい風鈴ふうりんには絵付えつけされているものがおおく、花火はなび、トンボ、朝顔あさがお金魚きんぎょなどを図案ずあん定番ていばんになっているが、元々もともと魔除まよけけのためのものであったため赤色あかいろられていた[3]

日本にっぽんではなつ風物詩ふうぶつしひとつとなっている。

歴史れきし

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江戸えど後期こうきの「風鈴ふうりん蕎麦そば」。風鈴ふうりんらしながらあきないをおこなった。(深川ふかがわ江戸えど資料しりょうかん

風鈴ふうりん起源きげんやく2000ねんまえ中国ちゅうごく竹林ちくりんげてふうきやおとかたによって吉凶きっきょううらなった「うらないふう鐸」であるといわれている[3][4][5]。これを僧侶そうりょ日本にっぽんかえったものが青銅せいどうせいの「ふう鐸」でてら仏堂ぶつどう四隅よすみ仏塔ぶっとうるすようになり、ガランガランというにぶおとには厄除やくよけの効果こうかがあって、このおとこえる範囲はんいわざわいがこらないといわれた[3][4][5]平安へいあん時代じだいから鎌倉かまくら時代じだいにかけ貴族きぞく屋敷やしきでも軒先のきさき魔除まよけけとしてふう鐸をるしたことがあったといわれており、風鈴ふうりんにし呪術じゅじゅつてき意味いみもあったほか権力けんりょく象徴しょうちょうでもあった[3][5]。また、奈良ならけん明日香あすかむらにある飛鳥寺あすかでらでは8世紀せいき初頭しょとうのものとみられるふう鐸の破片はへん発見はっけんされている[6]

この「ふう鐸」はおおきなものだったが徐々じょじょ小型こがたしていった[3]。「風鈴ふうりん」の一説いっせつには法然ほうねんが「ふうれい」と名付なづけたことに由来ゆらいする[4]。「風鈴ふうりん」という表記ひょうき鎌倉かまくら末期まっきつくられたとされる国宝こくほう法然ほうねん上人しょうにん行状ぎょうじょう絵図えず』に「極楽ごくらくなな重宝ちょうほうじゅ(しちじゅうほうじゅ)のふうのひびきをこひ、はち功徳くどく(はっくどくち)のなみのをとをおもひて、風鈴ふうりんあいして」とある。これがのちに「ふうりん」とまれるようになった[4]江戸えど時代じだいかれた『うれしゆう笑覧しょうらん』(1830ねん)によると、法然ほうねん弟子でし風鈴ふうりんこのんであるいたといい、鎌倉かまくら時代じだいにはふう鐸が小振こぶりの風鈴ふうりんとして普及ふきゅうしていたとしている[5]

風鈴ふうりん素材そざいはもとはてつどうなど金属きんぞくせいのものだった[5]。ガラスせい風鈴ふうりんあらわれるのは江戸えど中期ちゅうき以降いこうのことである[3]無色むしょく透明とうめいガラスの製法せいほうが18世紀せいきにオランダ経由けいゆ日本にっぽんつたわると、19世紀せいきには江戸えどガラス細工ざいくさかんになり、江戸えど時代じだい末期まっきにはビイドロせいきガラスでつくられた風鈴ふうりん江戸えど流行りゅうこうせた。明治めいじ時代じだいにはまち風鈴ふうりんあるく「風鈴ふうりんり」もみられた[5]大正たいしょうには岩手いわてけん名産めいさんである南部なんぶ鉄器てっき産地さんち鉄製てつせい風鈴ふうりんつくられるようになった。

各地かくち風鈴ふうりん

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工芸こうげいひん

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鉄製てつせいのものには、岩手いわてけん伝統でんとう工芸こうげい南部なんぶ鉄器てっきでできた南部なんぶ風鈴ふうりんがある。どうせいのものとしては、富山とやまけん伝統でんとう産業さんぎょう高岡たかおか銅器どうき真鍮しんちゅうせい高岡たかおか風鈴ふうりん神奈川かながわけん伝統でんとう工芸こうげい小田原おだわら鋳物いものすなちょう(さはり)せい小田原おだわら風鈴ふうりんがある。金属きんぞくせいのものはリーンとながおとひびく。

ガラスせいのものは日本にっぽん全国ぜんこくにあるが、昭和しょうわになってそう名乗なのりはじめた江戸えど風鈴ふうりんられている(「江戸えど風鈴ふうりん」は登録とうろく商標しょうひょう[4])。琉球りゅうきゅうガラス諏訪すわガラスなどでもつくられている。中国ちゅうごくなどでつくって輸入ゆにゅうしているものもおおい。チリンチリンとみじかおとがする。江戸えど風鈴ふうりん奈良なら風鈴ふうりんなどの伝統でんとうてき風鈴ふうりんではかた使つかわずきょうざお(ともざお)とばれるガラスかん回転かいてんさせながら空気くうき本体ほんたい部分ぶぶんふくらませるちゅうき(ちゅうぶき)とばれる技術ぎじゅつがあり、ちゅうきでつくられた風鈴ふうりんひとつずつ手作てづくりのためおな音色ねいろ風鈴ふうりんはないといわれている[4][5]

兵庫ひょうごけん姫路ひめじ伝統でんとう工芸こうげいであるあかりちん火箸ひばし風鈴ふうりんとして使つかうようにつくった火箸ひばし風鈴ふうりんというものもある[1]くみよんほん)の火箸ひばしるしてその中央ちゅうおうしたげておたがいにぶつかりあうようにしたものである。

また、沖縄おきなわなどでは貝殻かいがらもちいた貝殻かいがら風鈴ふうりんつくられている[7]

風鈴ふうりんかんする行事ぎょうじ

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  • 奈良ならけん橿原かしはら - おふさ観音かんのんでは風鈴ふうりんまつりが7がつ初旬しょじゅん〜8がつまつにかけておこなわれている。2500をえる全国ぜんこく各地かくち特徴とくちょうてき風鈴ふうりんげられ大和やまとなつ風物詩ふうぶつしとなっている[8]
  • 川崎大師かわさきだいし風鈴ふうりん - 神奈川かながわけん川崎大師かわさきだいしの7がつ行事ぎょうじ平成へいせい23ねんで16かい比較的ひかくてきあたらしい行事ぎょうじであるが。日本にっぽん各地かくち風鈴ふうりん販売はんばいされる。平成へいせい22ねんは47都道府県とどうふけん900種類しゅるいあつまった[9]
  • 浅草寺せんそうじほおずき - 東京とうきょう浅草寺せんそうじの7がつ行事ぎょうじ風鈴ふうりん多数たすうられ、ほおずき風鈴ふうりんはつきものである。
  • 岩手いわてけん奥州おうしゅう水沢すいざわえきでは毎年まいとし6がつから8がつにホームにたくさんの風鈴ふうりんるし、日本にっぽんおと風景ふうけい100せんえらばれている[10]
  • 熊谷くまがい岐阜ぎふなどとならんで猛暑もうしょになる群馬ぐんまけん前橋まえばしはしうえ電鉄でんてつでは、毎年まいとし6がつから8がつ電車でんしゃない風鈴ふうりんをたくさんるして「風鈴ふうりん電車でんしゃ」(2りょう1編成へんせいに100風鈴ふうりん)としてはしらせている[11]
  • 三重みえけん伊賀いが伊賀いが鉄道てつどうでは夏季かき風鈴ふうりん列車れっしゃ伊賀上野いがうえの - 伊賀いが神戸こうべあいだ不定期ふていきはし[12]

風鈴ふうりん騒音そうおん

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現代げんだい社会しゃかいでは、宅地たくち、アパート、マンションなど住居じゅうきょ密集みっしゅうしている生活せいかつ環境かんきょうのため”騒音そうおん”としてとらえられることもある。トラブルの事例じれいすくなくない。東京とうきょうでは生活せいかつ騒音そうおん分類ぶんるいされている[13]

音声おんせい動画どうが

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湯郷ゆのごうにて

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b 火箸ひばし風鈴ふうりん音色ねいろは「東洋とうよう神秘しんぴ」 あきらちんだい53だい当主とうしゅあかりめずらしそうたかしさん”. 産経新聞さんけいしんぶん. 2021ねん6がつ21にち閲覧えつらん
  2. ^ 紀州きしゅう備長ずみ振興しんこうかん”. JRおでかけネット. 2021ねん6がつ21にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c d e f 長野ながの市立しりつ長野ながの図書館としょかん 図書館としょかんだよりだい394ごう”. 長野ながの市立しりつ長野ながの図書館としょかん. 2021ねん6がつ21にち閲覧えつらん
  4. ^ a b c d e f 江戸えど風鈴ふうりん”. 江戸川えどがわ. 2021ねん6がつ21にち閲覧えつらん
  5. ^ a b c d e f g うたびとの歳時記さいじき”. JR西日本にしにほん. 2021ねん6がつ21にち閲覧えつらん
  6. ^ 飛鳥寺あすかでらふう鐸」に海外かいがいさんなまりか 7世紀せいきまでは原料げんりょう輸入ゆにゅう”. 共同通信きょうどうつうしん. 2021ねん7がつ4にち閲覧えつらん
  7. ^ 貝殻かいがらから“なつ音色ねいろ浦添うらぞえ風鈴ふうりん制作せいさく たのしむ”. 沖縄おきなわタイムス. 2021ねん6がつ21にち閲覧えつらん
  8. ^ おふさ観音かんのん公式こうしきサイト
  9. ^ 川崎大師かわさきだいしwebサイト
  10. ^ 奥州おうしゅう公式こうしきサイト
  11. ^ うえ電気でんき鉄道てつどう株式会社かぶしきがいしゃ
  12. ^ “チリンチリンりょうせて 伊賀いが鉄道てつどう風鈴ふうりんつるした列車れっしゃ. 中日新聞ちゅうにちしんぶん. (2014ねん8がつ5にち). https://web.archive.org/web/20140809220858/http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20140805/CK2014080502000029.html 2014ねん8がつ5にち閲覧えつらん 
  13. ^ 生活せいかつ騒音そうおん”. 東京とうきょう環境かんきょうきょく. 2018ねん2がつ9にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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