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透明とうめい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
透明とうめい水晶すいしょう

透明とうめいとうめいとは、物体ぶったい反対はんたいがわ内部ないぶにあるものがけてえること。極端きょくたん場合ばあいにはあいだにある物体ぶったい存在そんざいしないかのようにかんじられる。またくもったり、いがんだりはしているがけてえることをはん透明とうめいという。

てんじて「透明とうめいな」「透明とうめいせい」などのかたちで、比喩ひゆとして様々さまざま意味いみ文脈ぶんみゃくでももちいられる概念がいねんである。とく行政ぎょうせい企業きぎょう運営うんえいじょうきょうとう公開こうかい関連かんれんして「透明とうめいせい」のかたりもちいられる。

透明とうめい意味いみ

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ひかり透過とうかすること

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一般いっぱんに「透明とうめい」とはひかり可視かし光線こうせん)にたいしてのことをう。そしてひかり電磁波でんじは一種いっしゅであるので科学かがくてき一般いっぱんして、ある物質ぶっしつがある電磁波でんじはたいして「透明とうめいである」とは、その物質ぶっしつ電磁波でんじはとのあいだ相互そうご作用さようこらず、電磁波でんじは吸収きゅうしゅうおよび散乱さんらんしょうじないということを意味いみする。

ある物質ぶっしつ電磁波でんじは吸収きゅうしゅうする場合ばあい、その物質ぶっしつ吸収きゅうしゅうした波長はちょう補色ほしょくいろづいてえる。たとえば、葉緑素ようりょくそ赤色あかいろ相当そうとうする680–700 nmの波長はちょうひかり吸収きゅうしゅうするため、補色ほしょく緑色みどりいろえる。

にごっていないこと

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また、ある物質ぶっしつ電磁波でんじは散乱さんらんする場合ばあいにも、その物質ぶっしついろづいてえる。散乱さんらん物質ぶっしつ電磁波でんじは波長はちょう同等どうとう単位たんい構造こうぞうをもつときにしょうじる。たとえばみず可視かし光線こうせん吸収きゅうしゅうしないためまとまったりょうでは透明とうめいえるが、こまかい粒子りゅうしになるとひかり散乱さんらんするため不透明ふとうめいとなる。きり湯気ゆげしろくみえるのはこのためである。

したがって、透明とうめいであるかどうかという評価ひょうかは、対象たいしょうとする電磁波でんじは波長はちょう特定とくていしないとおこなうことができない。まどガラスなどは可視かし光線こうせんたいしてはほぼ透明とうめいであるが、紫外線しがいせんはあまり透過とうかしないため、紫外線しがいせん感知かんちする生物せいぶつにとっては透明とうめいとはいえない。反対はんたいに、もしXせん感知かんちする生物せいぶつがいるとすれば、ヒトははん透明とうめい生物せいぶつとして観察かんさつされるであろう。

透明とうめいなもの

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ウナギなどのレプトケファルス透明とうめいである

透明とうめい生物せいぶつ種々しゅじゅ存在そんざいし、クラゲやさかな(グラスフィッシュなど)、サボテンの内部ないぶ組織そしきなどがげられる。人体じんたいなかでは、透明とうめいなものにひつじまく角膜かくまく水晶すいしょうたいはん透明とうめいなものとしてつめがあるが、皮膚ひふてきにはつまはは乳白色にゅうはくしょくであるのにはんし、つめはん透明とうめいであることがろんじられた[1]透明とうめいということは、物質ぶっしつとくみつになっているもので、内部ないぶ反射はんしゃもない。もし空気くうきがあれば、そこから反射はんしゃするのでしろっぽくなる。すりガラスにみずそそぐと反射はんしゃがなくなり透明とうめいになる。うすいシャツなどをて、みずれると内部ないぶけてみえるのはこの理由りゆうによる。

んだ生物せいぶつ標本ひょうほん組織そしき薬品やくひん透明とうめいしての観察かんさつおこなわれている。骨格こっかく目立めだたせる透明とうめい骨格こっかく標本ひょうほんはそのいちれいである。理化学研究所りかがくけんきゅうしょなどは、より精密せいみつ研究けんきゅうにも利用りようできる透明とうめい試薬しやく開発かいはつしている[2]

透明とうめい材料ざいりょう製造せいぞうたか技術ぎじゅつ必要ひつようとする。ガラスせい容器ようき宝飾ほうしょくひんも、大量たいりょう生産せいさん可能かのうとなる以前いぜん貴重きちょう存在そんざいだった。現代げんだいにおいては、一般いっぱんてきなガラスのほかポリぶくろ、ラッピングフィルムのような透明とうめい合成ごうせい樹脂じゅし安価あんか量産りょうさんできる。純度じゅんど耐久たいきゅうりょくたかく、おおきな透明とうめい材料ざいりょうつくるのはむずかしいが、科学かがく技術ぎじゅつ発展はってんによって様々さまざま透明とうめい素材そざい開発かいはつ製造せいぞうされるようになった。現在げんざいでは水族館すいぞくかん水槽すいそう使用しようされるアクリル樹脂じゅしや、ひかりファイバーに使用しようされる石英せきえいガラスなど、透明とうめい非常ひじょうたか素材そざいつくられている。

ビッグバン理論りろんによると、宇宙うちゅうはできてからしばらくは不透明ふとうめいであった。

単位たんい

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世界一せかいいち透明とうめいたかいとわれるバイカル

ある物質ぶっしつ透明とうめいさを評価ひょうかする単位たんいとしては、湖沼こしょう水質すいしつ評価ひょうかなどの簡易かんいてき目的もくてき使用しようされるメートル (m) 、学術がくじゅつ分野ぶんや使用しようされる透過とうかりつ光学こうがくてきふかひかりファイバーなどを定量ていりょうてき評価ひょうかするために使用しようされるデシベルごとキロメートル (dB/km) がある。

湖沼こしょうなどでの透明とうめいは、直径ちょっけい30cmの白色はくしょくえんばんセッキー円盤えんばん)を水中すいちゅうしずめ、肉眼にくがんにより水面すいめんから識別しきべつできる限界げんかいふかさをう。どこでも簡単かんたん測定そくていすることができるが、肉眼にくがんによる測定そくていであるため個人こじんおおきい。日本にっぽんみずうみでも透明とうめいたか摩周湖ましゅうこは、透明とうめいやく20mである。

ガラスなど、一般いっぱんてき材料ざいりょう透明とうめいは、特定とくていあつさの材料ざいりょうでの入射にゅうしゃこう透過とうかこう強度きょうど百分率ひゃくぶんりつあらわした透過とうかりつあらわす。透過とうかりつ対象たいしょうとするひかり波長はちょうによってことなるため、どの波長はちょう測定そくていしたかを明記めいきする。可視かし光線こうせん場合ばあい、550nmでの透過とうかりつ基準きじゅんとすることがおおい。

ひかりファイバーなど、きわめて透過とうかせいたか材料ざいりょう評価ひょうかするには、ある波長はちょうひかり物質ぶっしつちゅうを1キロメートルすすんだとき、どの程度ていどひかりが「損失そんしつ」されたかをデシベルあらわす。空気くうき透明とうめいはほぼ0dBでしべる/km、アクリル樹脂じゅしやく100–200dBでしべる/km、普通ふつうまどガラスでやく1000dBでしべる/km程度ていどである[3]

フィクションでの透明とうめい

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透明とうめいになれたら」という空想くうそう古来こらいよう東西とうざいをとわずひろ存在そんざいする。たとえば妖精ようせいやコロポックルが姿すがたかくはなし天狗てんぐかくみのはなしなど、民話みんわでは姿すがたかくしていたずらやわるさをするものの存在そんざいかたられている。

近代きんだいになると、SFやホラーの世界せかいにおいて、フィッツ=ジェイムズ・オブライエン『あれはなにだったのか』(1859ねん)、H・G・ウェルズの『透明とうめい人間にんげん』(1897ねん)のような架空かくう怪物かいぶつやガジェットとしての「透明とうめい存在そんざい」が発想はっそうされ、以来いらい小説しょうせつ映画えいが度々たびたびげられる題材だいざいとなった。こうしたフィクションにおける透明とうめい理屈りくつけは、「その生物せいぶつ物体ぶったい可視かし光線こうせん透過とうかする」「次元じげんてき存在そんざいであるためからだしょく人間にんげん視覚しかくとらえられない」「幻術げんじゅつ特殊とくしゅ能力のうりょくがわないとおもわせている」「擬態ぎたい光学こうがく迷彩めいさいにより周囲しゅうい背後はいご光景こうけいまぎれている」などとされる。

光学こうがく迷彩めいさいのように、現実げんじつ科学かがく技術ぎじゅつがSFにおける「透明とうめい」をある程度ていど実現じつげんしつつある分野ぶんやもある。

現実げんじつには、完全かんぜん透明とうめい存在そんざいというのは不可能ふかのうである。よくある指摘してきとして、もし透明とうめい人間にんげん存在そんざいしたとすると、眼球がんきゅうが100%ひかり透過とうかしてしまうため理論りろんじょうえないことになる、というのがある。えるようにするためには、ひかり眼球がんきゅう屈折くっせつさせ、網膜もうまく吸収きゅうしゅうさせる必要ひつようがある。これらの組織そしき透明とうめいにすることができたとしても、ひかり屈折くっせつ吸収きゅうしゅうされているため、「そこになにかがある」ということがわかってしまう。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ つま半月はんつきはなぜ乳白色にゅうはくしょくにみえるのか」『皮膚ひふびょう診療しんりょう』 1990ねん、12かん10ごう961ぺーじ
  2. ^ 生体せいたいをゼリーのように透明とうめいする水溶すいようせい試薬しやく「Scale」を開発かいはつ固定こていした生体せいたい組織そしききずつけることなく、すうミリの深部しんぶ詳細しょうさい蛍光けいこう観察かんさつ理研りけんプレスリリース(2011ねん8がつ30にち)2017ねん8がつ14にち閲覧えつらん
  3. ^ 21世紀せいきひかりファイバー

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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