CMYK

カラー印刷いんさつ用ようのインク。左側ひだりがわから順じゅんに、マゼンタ、シアン、イエロー。カラー印刷いんさつ用ようのイエローインクは、濃こいオレンジ色しょくをしている。

1902年ねんの3色しょく版ばん印刷いんさつ

CMYKカラーモデルはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4成分せいぶんによって色いろを表あらわす色いろの表現ひょうげん法ほうの一種いっしゅである。

CMYK は、シアン（Cyan）、マゼンタ（Magenta）、イエロー（Yellow）と、キー・プレート（Key plate）から、頭文字かしらもじ1字じを取とったものである。キー・プレートは、他たの印刷いんさつの合あわせになる版はんのことで、通常つうじょう、文字もじや図ずの輪郭りんかくを表あらわす黒くろで印刷いんさつされる。CMYKの"K"が、ブルー（Blue）と混同こんどうしないようにブラック（BlacK）の"K"を用もちいたものであるとか、日本語にほんごの黒くろ（Kuro）に由来ゆらいするとかいう説明せつめいは誤あやまりである。ただし、CMYKはCMYBkと表記ひょうきされることもあり、この場合ばあいはBk がブラックを指さす。

色いろの三原色さんげんしょくCMYの3色しょくは、色いろセロファンを重かさね合あわせたときと同おなじ色しょくの混まざり方かたであることにより実感じっかんできるものでもある。

色いろ名めい	ウェブカラー（モニター）	プロセスカラー
シアン	#00FFFF	#00AEEF
マゼンタ	#FF00FF	#EC008C
イエロー	#FFFF00	#FFF500

概要がいよう

毎日新聞まいにちしんぶんのテレビ欄らんに印刷いんさつされているCMYKカラーチップ。左ひだりの縦列じゅうれつは100%、右みぎは50%を示しめす。コンマ数すうミリ単位たんいではあるが、それぞれの色いろ版ばんの印刷いんさつに多少たしょうのズレが生しょうじているのが分わかる。

CMYKカラーモデルはCMYから派生はせいした、減法げんぽう混合こんごうに基もとづく色いろの表現ひょうげん法ほうである。理論りろん上じょうではCMYのインクを全すべて均等きんとうに混合こんごうすれば黒色こくしょくを表現ひょうげんできるはずであるが、実際じっさいに綺麗きれいな黒色こくしょくを表現ひょうげんするのは技術ぎじゅつ的てきに困難こんなんであり、せいぜい鈍にぶい暗色あんしょくにしかならない。このため、プリンターなどの印刷いんさつ機きで黒色こくしょくをより美うつくしく表現ひょうげんする目的もくてきとしてCMYKカラーモデルが採用さいようされている。また見みた目めの美うつくしさ以外いがいにも、黒くろを表現ひょうげんするのに必要ひつようなインク量りょうが少すくなくなるためにCMYの場合ばあいと比くらべてランニングコストが下さがる、乾燥かんそうが速はやく高速こうそく印刷いんさつに向むく、Kインクのみを使つかってモノクロ出力しゅつりょくにも対応たいおう可能かのうといった利点りてんがある。プリンターのインクやトナーが1色しょくでも空そらになると印刷いんさつできなくなるのは色いろの表現ひょうげん法ほうに基もとづいての印刷いんさつができなくなるためである。なお、機種きしゅによってはカラーインクやトナーのいずれかが空そらになっても数すう日間にちかんは白黒しろくろ印刷いんさつに限かぎって可能かのうな場合ばあいがある。

インクジェットプリンターなどでは、階かい調ちょう表現ひょうげん力りょくを良よくするために通常つうじょうのCMYKカラーモデルに加くわえて淡あわいシアン(ライトシアン・フォトシアン)・淡あわいマゼンタ（ライトマゼンタ・フォトマゼンタ）・グレーなどの追加ついかインクを使用しようする場合ばあいがある。これらは使用しようされる追加ついかインクの色いろやインクの数かずにかかわらず、色いろの表現ひょうげん法ほうとしてはCMYKカラーモデルとの違ちがいはない。

プリンターのイエローインクの液体えきたいの色いろは、濃縮のうしゅく時じは濃こいオレンジ色しょくをしている。プリンターのイエローインクの液体えきたいを紙かみの上うえに広ひろげたときは、濃こい段階だんかいではオレンジ寄よりの黄色おうしょくになる。その理由りゆうは、プリンターのイエローインクを白しろい紙かみの上うえに着色ちゃくしょくしたとき、薄うすく伸のばした段階だんかいでも、黄色おうしょくがほとんど薄うすくならないようにするためであり、黄色おうしょく系統けいとうの色いろ域いきの表現ひょうげん力りょくを再現さいげんできるからである。もし、プリンターのイエローインクが赤あかみを帯おびない黄色きいろだったら、レモン色しょくより更さらに薄うすくなってしまい、膨張ぼうちょうして、黄色おうしょく系統けいとうの色いろ域いきの表現ひょうげん力りょくを再現さいげんできず、黄色おうしょくが出だせないからである。

CMYKカラーモデルとRGBの違ちがい

デジタルカメラなどで撮影さつえいされた画像がぞう、あるいはテレビやパソコンのディスプレイ上うえに表現ひょうげんされる色いろは、ライトの発光はっこうを利用りようして色いろを表現ひょうげんするRGB形式けいしきであるが、印刷物いんさつぶつでは色素しきそによる光ひかりの吸収きゅうしゅうを利用りようして色いろを表現ひょうげんしている。このように、画面がめんと紙かみとでは発色はっしょくの原理げんりが全まったく異ことなる為ため、RGB形式けいしきの画像がぞうを印刷いんさつする場合ばあいは、RGB形式けいしきからCMYKカラーモデル形式けいしきへの変換へんかん作業さぎょうが必要ひつようとなる。

原理げんり的てきには(C=1-R),(M=1-G),(Y=1-B)でRGB値ちからCMY値ちが得えられる。さらにK=min(C,M,Y)を求もとめ、(C'=C-K)(M'=M-K),(Y'=Y-K)で、CMYKカラーモデル値ちを得える。しかし、この計算けいさんで得えられた濃度のうどを印刷いんさつに適用てきようすると、一般いっぱん的てきなRGB色しょく空間くうかんとCMYKカラーモデル色しょく空間くうかんのγがんま特性とくせいが全まったく正せい反対はんたいである事ことが考慮こうりょされていないこと、RGBとCMYKカラーモデルそれぞれの補色ほしょくの波長はちょうが一致いっちしていない事ことなどから、印刷いんさつ結果けっかは全まったく期待きたい通どおりとならない。この為ため、それぞれの色いろ空間くうかんをカラーマネージメントシステムで補正ほせいする必要ひつようがある。通常つうじょうの画面がめん表示ひょうじ用ようカラーマネージメントシステムでは、実じつ解像度かいぞうどをリアルタイムで処理しょりすれば良よいので精密せいみつに再現さいげんされるが、プリンターの場合ばあいにはきわめて高たかい解像度かいぞうどとナノグラム単位たんいの非常ひじょうに少すくない色素しきそ液えき粒つぶを制御せいぎょしなければならない事ことから莫大ばくだいな量りょうの演算えんざんが必要ひつようになるため、事前じぜんに発色はっしょく特性とくせいをサンプリングして作つくった多次元たじげんベジェ曲線きょくせん等ひとしによって、特性とくせいをシミュレートする事ことで演算えんざんを軽減けいげんするなどして、印刷いんさつの速度そくどを向上こうじょうさせている。完全かんぜんな再現さいげんは基本きほん的てきには不可能ふかのうである事ことから、あらかじめ印刷いんさつ対象たいしょうがどのような物ものであるかをユーザーが手動しゅどうで指示しじしたり、あるいはプリンタドライバソフトウェアが画像がぞう解析かいせきによって印刷いんさつ対象たいしょうを予測よそくしたりする、高度こうどなシステムが実装じっそうされている。

補足ほそく

オフセット印刷いんさつでは各かく色いろ版ばんの網あみ点てんが重かさなり合あわない、また各かく網あみ点てんのモアレや亀甲きっこう模様もようが生しょうじないように、色いろごとにスクリーン角度かくどが違ちがう。このうち、Y版ばんは他たの色いろに比くらべて干渉かんしょう縞しまを引ひき起おこしにくいため、他た色いろ版ばんの網あみ点てんとのスクリーン角度かくどの間隔かんかくはやや小ちいさい。

C	15°	15°	15°	105°	165°
M	75°	75°	45°	75°	45°
Y	30°	0°	0°	90°	90°
K	45°	45°	75°	15°	105°

日本にっぽんの製版せいはん・印刷いんさつ業界ぎょうかいでは、永ながらくYMCKという順番じゅんばんで呼よばれてきた。これは、昭和しょうわ20年ねん頃ごろまでのオフセット印刷いんさつ機きでカラー印刷いんさつしていた際さいの版はんの順番じゅんばんが、Y版ばん→M版ばん→C版ばん→K版ばんであったことに由来ゆらいする。当時とうじのイエローインキ顔料がんりょうはクロム酸さん鉛なまり系けいの透明とうめい度どの低ひくいものであり、他た色いろを隠蔽いんぺいしてしまうおそれがあったためY版ばんを先さきにする必要ひつようがあった。

後のちに登場とうじょうしたジスアゾ系けい顔料がんりょうを使つかった透明とうめい度どが高たかいイエローインキでは刷すり順じゅんは逆ぎゃくに最後さいごにするのが一般いっぱん的てきで、2013年ねん現在げんざいの刷すり順じゅんはK-C-M-Yか、CM-KYである。各かく色いろの刷すり重かさね順じゅんはカラーマネジメントの上じょうでもこの順じゅんで固定こていされ、またオフセットインキ自体じたいもこの刷すり順じゅんに適てきするよう調整ちょうせいされている。

日本にっぽん国内こくないの印刷いんさつ現場げんばでは、プロセスカラーの墨すみをKeyplate等とうとは言いわず、スミ、クロ、ブラックと言いう。KeyplateとはあくまでもCMYKカラーモデルという単語たんごのKの由来ゆらいであり、色いろそのものを表あらわすものではないことに注意ちゅういせよ。

また、印刷いんさつ実務じつむでは、C-アイ、M‐アカ、Y-キということも多おおい。

関連かんれん項目こうもく

• 網あみ点てん
• プロセスカラー
• 色いろ空間くうかん
• 色いろ空間くうかん#CMY：色いろの三原色さんげんしょく
• RGB：光ひかりの三原色さんげんしょく。テレビ受像じゅぞう機き、コンピュータディスプレイやデジタルカメラなどで使用しようされる色いろの表現ひょうげん方法ほうほう。