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一眼いちがんレフカメラ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
日本にっぽん最初さいしょライカばん一眼いちがんレフカメラ「アサヒフレックス

一眼いちがんレフカメラ(いちがんレフカメラ、えい:Single-lens reflex cameraSLR)とはスチルカメラ構造こうぞうによる分類ぶんるいのひとつで、撮影さつえい使用しようするレンズ撮像さつぞうめんフィルムもしくは固体こたい撮像さつぞう素子そし)のあいだかがみ(ミラー)をき、実際じっさい撮影さつえいされるイメージ光学こうがくファインダー確認かくにんすることができるものをいう。 撮影さつえいよう光学こうがくけいとファインダーよう光学こうがくけいいち系統けいとうであるため(一眼いちがん)、ファインダーからえるぞう撮影さつえいされる写真しゃしんぞう一致いっちする。

ドイツのシュピーゲル・レフレックス(Spiegel-reflexかがみ反射はんしゃ)という言葉ことばどおり、反射はんしゃきょう使つかってファインダースクリーンにゆいぞうさせる機構きこう特徴とくちょうであり、レフ語源ごげんもここにある。

フィルムカメラ、デジタルカメラ両方りょうほう存在そんざいし、20世紀せいき中盤ちゅうばん以降いこうから現在げんざいいたるまで、レンズ交換こうかん可能かのうなカメラの主流しゅりゅうとなっている方式ほうしきである。ただし、『一眼いちがん』と銘打めいうつデジタルカメラは、21世紀せいきはいってから、ほとんどが『ミラーレス』とばれるタイプである。つまり、一眼いちがんレフに特徴とくちょうてき鏡面きょうめんプリズムによる光学こうがくけいとは構造こうぞうことなるため、ここではげない。

なお、一眼いちがんレフとことなる構造こうぞうつカメラとしては、レフレンジファインダーなどがげられる。

利点りてん欠点けってん

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利点りてんとしては、

  • 撮影さつえいようレンズの交換こうかんをするだけで、ファインダーもそれに対応たいおうする。
  • 視差しさ(パララックス)がないので、実写じっしゃぞう同等どうとうぞうながら構図こうずめることができる。
  • 撮像さつぞうめん光学こうがくてき同一どういつ位置いちにフォーカシングスクリーンを設置せっちすることにより、厳密げんみつピントわせができる。
  • うつしかい深度しんどによるボケ具合ぐあい確認かくにん可能かのう(ただし、しぼ確認かくにん機構きこうがあるレンズの場合ばあい)。

欠点けってんとしては、

  • 反射はんしゃきょうやペンタプリズムなどの内部ないぶ機構きこうぶんだけカメラ本体ほんたいおおきく、かつおもくなること。
  • 反射はんしゃきょう上下じょうげ作動さどうする空間くうかん必要ひつようとなり、広角こうかくレンズなどとくバックフォーカスみじかいレンズに使用しよう制限せいげん発生はっせいすること。
  • 撮影さつえい瞬間しゅんかん露光ろこう)にミラーががるため、ファインダーからぞうえてしまう。
  • 撮影さつえい、ミラーのがりにより、振動しんどうおと発生はっせいし、ブレの原因げんいんになる。

これらの特徴とくちょうのため、初期しょき一眼いちがんレフカメラはレンジファインダーカメラに不向ふむきな接写せっしゃよう望遠ぼうえんようといった特殊とくしゅ用途ようとカメラとして使用しようされることがおおかった。

現在げんざいはほとんどの機種きしゅペンタプリズム廉価れんか機種きしゅではペンタミラー)が装着そうちゃくされている(アイレベル)。ただし、これは一眼いちがんレフの機構きこうとして必須ひっすではなく、初期しょきころにはプリズムたないウエストレベルファインダー主流しゅりゅうであった[注釈ちゅうしゃく 1]

歴史れきし

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黎明れいめい

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一眼いちがんレフカメラの光学こうがく機構きこう源流げんりゅうは、カメラの前身ぜんしんであるカメラ・オブスクラ時代じだいにさかのぼる。カメラ・オブスクラのなかにはひかり途中とちゅう反射はんしゃきょう設置せっちし、レンズの光学こうがくじくたいして90方向ほうこうぞうむすばせるようになっていたものがあった[1]

ダゲレオタイプ発明はつめい以降いこうのカメラの歴史れきしかぎってみると、一眼いちがんレフカメラの最初さいしょのもののひとつは1861ねんトーマス・サットン英語えいごばんによって考案こうあんされたものだとかんがえられる。それ以前いぜんのカメラはぞうめんにフォーカシングスクリーン(ピントグラス)をけてレンズの操作そうさおこなったのち、その場所ばしょにスクリーンと交換こうかんするかたち感光かんこう材料ざいりょう設置せっちするものであったが、サットンはひかり路上ろじょう可動かどうしきかがみけカメラボディ上面うわつらのスクリーンにぞうむすばせるという工夫くふうをし、これにより撮影さつえい直前ちょくぜんまでぞうつづけることができるようになった。

はつ実用じつよういちレフカメラとされているのは1885ねんにカルビン・レイ・スミスが発売はつばいした「パテント・モノキュラー・デュプレックス」である。このカメラはミラーをシャッターとして使つか構造こうぞうである。その1890年代ねんだいにかけてさまざまな一眼いちがんレフカメラがつくられた。レフカメラ登場とうじょうしたのもこのころである。

一眼いちがんレフカメラの確立かくりつ

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1890年代ねんだいわるころになるとフォーカルプレーンシャッター登場とうじょうによって一眼いちがんレフカメラの高機能こうきのう加速かそくし、現代げんだいつうずる一眼いちがんレフカメラの形式けいしき確立かくりつしてくる。

これらの一眼いちがんレフカメラは写真しゃしん乾板かんぱんもちいる木製もくせいばこがた大型おおがたカメラでイギリスアメリカなどでつくられている。このころの代表だいひょうてき機種きしゅとしては1898ねん登場とうじょうの「グラフレックス」などがある。イギリスではジェームズ・F・シウフォーカルプレーン・レフレクターが1902ねん発売はつばいされて以来いらい1904ねんにはマリオンソホ・レフレックス[2][3]A・アダムスマイネックス[2]ヴァイデックス[3]ニューマン&ガーディアスクエア・レフレックス[3]、1908ねんホートンフォールディング・レフレックス[3]ソロントン・ピッカード[2]ルビー・レフレックス[3]競合きょうごう各社かくしゃ追随ついずいした。またドイツ中心ちゅうしんとしてボディーをおりたたみしきとしたフォールディングタイプの一眼いちがんレフカメラもおおつくられ、実例じつれいとしてはメントール・カメラファブリーク・ゴルツ&ブロイトマンメントール・フォールディング・レフレックス[4]イハゲーパテント・クラップ・レフレックス[4]ツァイス・イコンミロフレックス[4]げられる。

ロールフィルムをもちいた一眼いちがんレフカメラ

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1938ねんせいのエクサクタ・タイプ3。ロールフィルム・タイプの発売はつばいからすうねんでライカばん移行いこうしたことがわかる。

ナチス政権せいけんのドイツにおいて、ドレスデンイハゲー1933ねん発表はっぴょう[5]1934ねん発売はつばいした「スタンダード・エクサクタ」がロールフィルムもちいた近代きんだいてき一眼いちがんレフカメラの最初さいしょである[5]。このカメラはバヨネットマウントによるレンズ交換こうかんしきで、フォーカルプレンシャッターを装備そうびしており、フィルムをレバーげし、うらぶた開閉かいへいできるなど現代げんだいてき一眼いちがんレフカメラの先鞭せんべんをつけた[5]127フィルム使用しようし4×6.5cmばんで8まい撮影さつえいできた[5]

35mmフィルム使用しようした世界せかい最初さいしょ一眼いちがんレフカメラはソ連それんレニングラードのGOMZ(国立こくりつ光学こうがく器械きかい工場こうじょうロモ)が1935ねん発表はっぴょう[6]1936ねん発売はつばいした「スポルト」とされている[注釈ちゅうしゃく 2]。2まい金属きんぞくばん使つかい、ミラーアップさきまくじ、つづいてこうまくたて走行そうこうするという、たてはし方式ほうしきフォーカルプレーンシャッター搭載とうさいシャッター速度そくど最高さいこう1/500びょうから最低さいてい1/25びょうまでえることができ、フィルムおくりとシャッターチャージは上部じょうぶたて方向ほうこうのダイヤルにより同時どうじおこなわれる。バヨネットしき交換こうかんレンズ機能きのうゆうし、フィルム装填そうてん普通ふつうの35mmフィルムを専用せんようカートリッジにうつえて装填そうてん、50まいまで連続れんぞくして撮影さつえいできた。専用せんようカートリッジは自作じさくすることもでき、ダークバッグとう映画えいがよう35mmフィルムを最大さいだい50こまぶん切断せつだんし、リールにめば容易ようい撮影さつえいできた。反射はんしゃミラーによる上部じょうぶからの一眼いちがんレフしきファインダーのほか標準ひょうじゅんレンズよう透視とうししきファインダーも装備そうびし、やく16,000だい販売はんばいされた。

同年どうねんの1936ねん、「スポルト」につづいてイハゲーもスタンダード・エクサクタの基本きほん性能せいのうをそのままに小型こがたし、ライカばん使用しようするウエストレベルファインダーの一眼いちがんレフカメラ「キネ・エクサクタ」を発売はつばいした。この「(バヨネットマウントのライカばん)エクサクタ」シリーズは1950ねんにファインダー交換こうかんしきとしてペンタプリズムしきをもラインナップし1960年代ねんだいまつまで連綿れんめん製造せいぞう販売はんばいされ、多数たすう交換こうかんレンズぐんをも提供ていきょうすうおおくのバリエーション機種きしゅきょうした。

以降いこうほとんどの一眼いちがんレフカメラはこの135フィルムもちいたものが大勢おおぜいめるが、高画質こうがしつもとめる用途ようとでは120フィルムもちいた6×7cmばんや6×4.5cmばんちゅうばん一眼いちがんレフカメラや、110フィルムもちいたものも登場とうじょうした。

せいたてせいぞうのアイレベルファインダーを一眼いちがんレフカメラ

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デュフレックス

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ハンガリー写真しゃしん博物館はくぶつかんハンガリーばん所蔵しょぞうのドゥフレックス

最初さいしょの「せいたてせいぞうアイレベルファインダーを最初さいしょ一眼いちがんレフカメラ」「クイックリターンミラーをそなえる一眼いちがんレフカメラ」は1947ねん1948ねんハンガリーのガンマ[注釈ちゅうしゃく 3]から発売はつばいされたデュフレックスである。どちらも画期的かっきてき機構きこうではあったが、生産せいさんすう非常ひじょう少数しょうすうであったことと東西とうざい冷戦れいせんのため市場いちばにはまった影響えいきょうあたえず、このカメラの存在そんざい日本にっぽん認知にんちされたのは1970ねんになってからである。このカメラは現在げんざい一般いっぱんてきであるペンタプリズムを使つかわずポロミラーしきであった。

コンタックスS

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最初さいしょの「ペンタプリズムしきいちレフカメラ」は1948ねんひがしドイツドレスデンツァイス・イコンによるコンタックスSであり、デュフレックスより企画きかく段階だんかいでは先行せんこうしていた。「コンタックスS」は現在げんざいにおいてももっと普及ふきゅうしているスクリューマウント形式けいしきであるM42マウントを採用さいよう、フランジバック・ないすん口径こうけい国際こくさい規格きかくゆうする卓越たくえつしたシステムカメラで、無数むすう世界中せかいじゅう各種かくしゅ交換こうかんレンズ互換ごかんせいゆうし、ロールフィルムをもちいたペンタプリズムしきいちレフカメラの規範きはんとなった。

戦後せんご日本にっぽんにおける一眼いちがんレフカメラの発展はってん隆盛りゅうせい

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アサヒペンタックス(AP)
ニコンF

欠点けってん克服こくふく、クイックリターンと自動じどうしぼ

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日本にっぽんでは一眼いちがんレフカメラがはやくから開発かいはつされてきた。これはレンジファインダーカメラ分野ぶんやではライカM3などきわめて完成かんせいたかいものがすでに存在そんざいしており、日本にっぽんのメーカーがその土俵どひょうでの勝負しょうぶけてべつ方面ほうめんからのアプローチをしたためだとわれている。

黎明れいめい一眼いちがんレフカメラは「撮影さつえいさいにブラックアウトする」「しぼむとファインダーがくらい」ということが欠点けってんとしてわれていたが、前者ぜんしゃかんしては旭光学工業あさひこうがくこうぎょうげんリコーイメージング)が1954ねんクイックリターンミラー装備そうびしたアサヒフレックスIIbを、後者こうしゃかんしてはズノー光学こうがく工業こうぎょう1958ねん自動じどうしぼ機構きこう装備そうびしたズノーペンタフレックス発売はつばいして解決かいけつした。1957ねんには、旭光学工業あさひこうがくこうぎょうから世界せかいはつのクイックリターンミラーとペンタプリズムを両方りょうほう搭載とうさいしたアサヒペンタックス[注釈ちゅうしゃく 4]開発かいはつされ、とく一眼いちがんレフカメラにおおきな欠点けってんかんじずに使つかえるようになった。ズノーペンタフレックスは歴史れきしのこしたものの故障こしょうおお返品へんぴん相次あいついだとわれるが、1959ねんニコンから発売はつばいされたニコンF非常ひじょう頑強がんきょうで、報道ほうどう世界せかいからスピードグラフィックローライフレックス駆逐くちくするひとし業務ぎょうむようとしても非常ひじょうひろ使つかわれた。以後いごクイックリターンミラー・自動じどうしぼりの双方そうほう装備そうびするのが当然とうぜんとなっていった。

石川いしかわ文洋ふみひろベトナム戦争せんそう使用しようしたNikon F

広角こうかくレンズかんしては当初とうしょミラーアップして装着そうちゃくする[注釈ちゅうしゃく 5]対称たいしょうがたレンズのみのラインナップであったが、アンジェニュー発明はつめいしたぎゃく望遠ぼうえん方式ほうしき設計せっけいされるようになってからは非常ひじょう充実じゅうじつしたラインナップをつようになった。

日本にっぽんせいカメラの攻勢こうせい西にしドイツのメーカーもようやく一眼いちがんレフカメラの重要じゅうようせい目覚めざめ、ツァイス・イコン外部がいぶ測光そっこうしきながら世界せかいはつ露出ろしゅつけい連動れんどうがたいちレフカメラであるコンタレックスを、エルンスト・ライツ(げんライカ)はライカフレックスをややおくれて登場とうじょうさせたが、登場とうじょう直後ちょくごから市場いちばでの競争きょうそうりょく不十分ふじゅうぶんであった。結果けっかとしてエルンスト・ライツは倒産とうさんし、ツァイス・イコンはカメラ事業じぎょうから撤退てったいした。

キヤノンニューF-1

プロよういちレフカメラ、ニコンとキヤノン

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ニコンFが業務ぎょうむようとして非常ひじょうたか地位ちい一方いっぽう、キヤノンはキヤノンフレックス発売はつばいしたもののあまり評価ひょうかけなかったが、1971ねんにプロよういちレフカメラキヤノンF-1発表はっぴょうした。交換こうかんレンズのいろ再現さいげんそろえたスーパースペクトラコーティングをほどことくにグラフィックの分野ぶんやたか評価ひょうかされ、以後いごニコンF3キヤノンニューF-1とうライバルとしてしのぎをけずりつつ発展はってんしてくこととなる。

電子でんし、TTL露出ろしゅつけい自動じどう露出ろしゅつとオートフォーカス

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1960年代ねんだいから技術ぎじゅつ革新かくしんすすみ、TTL露出ろしゅつけい自動じどう露出ろしゅつオートフォーカスなどの電子でんし技術ぎじゅつ一眼いちがんレフカメラに矢継やつばや搭載とうさいされ、さらにはてい価格かかくした。これによりアマチュアにもあつかいやすいカメラがおお発売はつばいされ、一眼いちがんレフカメラユーザーの裾野すそのひろげる一因いちいんとなった。

1960ねんフォトキナにおいて世界せかいはつのTTL露出ろしゅつけい搭載とうさいいちレフカメラ、アサヒペンタックスSP発売はつばいは1964ねん)が発表はっぴょうされたのを皮切かわきりに、1963ねんには東京とうきょう光学こうがくげんトプコン)が最初さいしょのTTL露出ろしゅつけい搭載とうさいいちレフカメラトプコンREスーパー発売はつばい、ニコンFも1965ねんにフォトミックファインダーTを発売はつばいするなどTTL露出ろしゅつけい浸透しんとうした。1975ねんにはオリンパス OM-2フラッシュひかりでもTTL露出ろしゅつ可能かのうなTTLダイレクト測光そっこう搭載とうさいして発売はつばいされた。

自動じどう露出ろしゅつ自体じたい以前いぜんからあったが、キヤノンが1976ねん発売はつばいしたキヤノンAE-1世界せかいはじめてCPUとう徹底てっていした電子でんしによりてい価格かかく発売はつばい世界中せかいじゅう爆発ばくはつてききを記録きろくしカメラ業界ぎょうかい地殻ちかく変動へんどうこした。

ミノルタαあるふぁ-7000

1985ねんにはミノルタげんコニカミノルタ)が世界せかいはつ実用じつようてきなシステムをつオートフォーカスいちレフカメラαあるふぁ-7000発売はつばいしてカメラ業界ぎょうかい全体ぜんたいおおきな衝撃しょうげきあたえ、αあるふぁショックばれるほどであった。ニコンは1986ねん従前じゅうぜんのシステムと互換ごかんせいのあるオートフォーカスいちレフカメラニコンF-501を、キヤノンは1987ねん従前じゅうぜんのシステムとは互換ごかんせいがないもののレンズないモーターで迅速じんそくなピントわせが可能かのうEOS650発売はつばいしてこれに対抗たいこう。さらに同年どうねん世界せかいはつ内蔵ないぞうTTLフラッシュを搭載とうさいしたペンタックスSFX発売はつばいされる。国内こくない販売はんばいされる一眼いちがんレフカメラのうちオートフォーカスの割合わりあいすでに1986ねん4がつまつには50%をえた。

オリンパスOM-1

小型こがた軽量けいりょう

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機能きのうもとめるうちいつしか「一眼いちがんレフカメラは重厚じゅうこう長大ちょうだい当然とうぜん」になってしまっていた1973ねん、ビスを真鍮しんちゅうから鉄製てつせいにするひとし徹底てっていした小型こがた軽量けいりょうをしたオリンパスOM-1発売はつばいされ、以後いごいちレフカメラの世界せかいでも小型こがた軽量けいりょうすすんだ。前述ぜんじゅつした電子でんしや、合成ごうせい樹脂じゅし製造せいぞう技術ぎじゅつ進歩しんぽもカメラの小型こがた軽量けいりょう寄与きよした。

1993ねんにキヤノンが発売はつばいしたEOS Kissてい価格かかくかつボディの小型こがた軽量けいりょう実現じつげんし、主婦しゅふなどこれまで一眼いちがんレフカメラを使つかったことのない初心者しょしんしゃそう開拓かいたく成功せいこうしている。他社たしゃもこれに追随ついずいし、普及ふきゅうばんのオートフォーカスいちレフカメラの小型こがた軽量けいりょうすすんだ。

APS一眼いちがんレフカメラの登場とうじょう

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しん規格きかくであるAPSフィルムが登場とうじょうすると、小型こがたにより一層いっそう拍車はくしゃがかかったモデルが各社かくしゃから発売はつばいされた。 しん規格きかくのフィルムということで各社かくしゃのモデルもそれまでにない斬新ざんしんかつ奇抜きばつなものとなったが、なかでもオリンパスおよびフジのCenturionEpion4000シリーズはレンズ固定こていがた採用さいようしており奇抜きばつ外観がいかんっていた。レンズ交換こうかんしきでも、専用せんようマウントを用意よういしたミノルタを筆頭ひっとうにニコン[注釈ちゅうしゃく 6]・キヤノンも旧来きゅうらいのシステムとの互換ごかんせい維持いじした斬新ざんしんなスタイルのカメラを販売はんばいしていた。

こうしてメーカーがわちかられていたAPSいちレフカメラであったが、デジタルカメラ予想よそうがいはや進化しんか互換ごかんせいたか135フィルムカメラの小型こがたたたられAPSフィルムは衰退すいたい結局けっきょくAPSは主流しゅりゅうとなりうることなく淘汰とうたされた[注釈ちゅうしゃく 7]が、フォーマットとしてのAPSがデジタルいちレフカメラの主流しゅりゅうとなるひとし多彩たさいなバリエーションへつながるものであった。

ニコン Pronea S

デジタルいちレフカメラの時代じだい

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デジタルカメラの時代じだいになってからは、これまでつちかってきた一眼いちがんレフカメラ開発かいはつのノウハウとイメージセンサー画像がぞう処理しょり技術ぎじゅつなどデジタル技術でじたるぎじゅつ融合ゆうごうおこなわれデジタルいちレフカメラえい: Digital single-lens reflex cameradigital SLRDSLR)が開発かいはつされた。これにより、老舗しにせカメラメーカーが電子でんし機器きき大手おおて買収ばいしゅうされたり、独自どくじのイメージセンサー技術ぎじゅつつメーカーがクローズアップされるなど、戦国せんごく時代じだい様相ようそうていしてきた。

そのなかで、オリンパスコダックがデジタルいちレフカメラの統一とういつ規格きかくフォーサーズシステム策定さくてい公開こうかいし、賛同さんどう会社かいしゃひとパナソニックがオリンパスと共同きょうどう開発かいはつおこなってあらたに参入さんにゅうしたがその撤退てったい、オリンパスのみがのこったが、その同社どうしゃミラーレスいちカメラへの統合とうごう表明ひょうめいし、両社りょうしゃとも小型こがた軽量けいりょう特徴とくちょうのひとつとする、マイクロフォーサーズシステム開発かいはつをシフトすることで事実じじつじょう撤退てったいした[7]。 2005ねんソニーは、コニカミノルタαあるふぁマウントを採用さいようしたデジタルいちレフをコニカミノルタと共同きょうどう開発かいはつするとの発表はっぴょうおこなったが、2006ねん1がつにコニカミノルタはデジタルいちレフカメラ事業じぎょうから撤退てったい、ソニーがαあるふぁマウントをいだ。さらに韓国かんこくサムスン電子でんしグループのサムスンテックウィンがペンタックスとデジタルいちレフカメラを共同きょうどう開発かいはつ部品ぶひん共通きょうつう調達ちょうたつによるコスト削減さくげん目的もくてきであったがそのサムスンは一眼いちがんレフからは撤退てったい、ペンタックスはHOYAとの合併がっぺい統合とうごうリコー子会社こがいしゃという経緯けいい辿たどりながら、Kマウントとちゅうばん645マウントのデジタルいちレフカメラのマウント展開てんかい継続けいぞくしている。

またカメラのデジタルによって、これまでにないあらたな機能きのう一眼いちがんレフカメラにもまれることとなる。ぶれによる映像えいぞうみだれを軽減けいげんさせるぶれ補正ほせい機能きのうは、一部いちぶ交換こうかんレンズにまれる方式ほうしきだけでなく、カメラ本体ほんたいのイメージセンサーをぶれにおうじて移動いどうさせけるレンズすべてを対応たいおうさせる方式ほうしきなどフィルムカメラではできなかった技術ぎじゅつ登場とうじょうし、各社かくしゃ方式ほうしきちがうがデジタルいちレフのいち機能きのうとして定着ていちゃくしている。一眼いちがんレフカメラは途中とちゅう反射はんしゃきょう構造こうぞうじょう、コンパクトデジタルカメラのように背面はいめん液晶えきしょうモニターを使つかったフルタイムライブビュー撮影さつえい不可能ふかのうとされてきたが、2004ねんにオリンパスから発売はつばいされたオリンパス E-330がレンズ交換こうかんしきデジタルいちレフカメラとしてはじめてフルタイムライブビュー機能きのう実現じつげん[注釈ちゅうしゃく 8]以後いごかくメーカーがフルタイムライブビュー機能きのう一部いちぶ機種きしゅバリアングル液晶えきしょう搭載とうさいするようになる。さらに2008ねん9がつにはニコンがデジタルいちレフカメラとしてはじめて動画どうが撮影さつえい対応たいおうしたD90発表はっぴょう。そのかくメーカーが対応たいおう機種きしゅ発売はつばいしデジタルいちレフカメラのいち機能きのうとして定着ていちゃくしている。

デジタルいちレフカメラとビデオグラフィ
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2009ねん以降いこうは、キヤノン EOS 5D Mark IIなどの動画どうが撮影さつえい機能きのう標準ひょうじゅん採用さいようされているデジタルいちレフカメラの登場とうじょうともない、ビデオパッケージ(カラオケよう画像がぞう撮影さつえい結婚式けっこんしき説明せつめいようビデオの撮影さつえいとう)など、コスト管理かんりにシビアな映像えいぞう高画質こうがしつ撮影さつえいすることをおも目的もくてきとした撮影さつえい業務ぎょうむようビデオカメラわりにデジタルいちレフカメラが、使用しようされつつある。デジタルいちレフカメラようカメラスタビライザーえい: Steadicamステディカム)などカメラサポート機材きざいヘッドフォンマイクロフォン/ICレコーダーなどのオーディオ機器きき外部がいぶモニター/液晶えきしょうファインダーなどデジタルいちレフカメラの動画どうが撮影さつえいよう機材きざい登場とうじょうしている。

ミラーレスいちカメラの登場とうじょう

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2008ねん以降いこう一眼いちがんレフカメラとはことなり光学こうがくファインダーをはいしてライブビューのみで撮影さつえいおこなうレンズ交換こうかんしきデジタルカメラのしん形式けいしきとしてミラーレスいちカメラ登場とうじょうし、その各社かくしゃからも様々さまざま規格きかく機種きしゅ発売はつばいされた。

そして、2010年代ねんだい後半こうはん以降いこうおもなメーカーの主力しゅりょく製品せいひんはこのミラーレスいちカメラへと移行いこう、デジタルいちレフカメラの開発かいはつ販売はんばい終了しゅうりょうしたメーカーや、販売はんばい継続けいぞくしているメーカーも、一眼いちがんレフカメラボディ・一眼いちがんレフよう交換こうかんレンズのラインナップを順次じゅんじ整理せいり縮小しゅくしょうしている。

デジタルいちレフとミラーレスいちカメラとでは、どちらもレンズ交換こうかん可能かのうであるという共通きょうつうてんがあるものの、ファインダー有無うむ構造こうぞうなどをはじめ仕組しくみではことなる部分ぶぶんおおい。デジタルいちレフがまさてんとしては、光学こうがくファインダーによるクリアーな視野しや位相いそう方式ほうしきによる高速こうそく動体どうたい追従ついしょうせいたかいオートフォーカス、比較的ひかくてき豊富ほうふなレンズラインアップ、ひとしがあげられるのにたいし、ミラーレスいちカメラでは小型こがた軽量けいりょうせいやデザイン自由じゆう撮影さつえい結果けっかながら撮影さつえい可能かのう電子でんしビューファインダー、機械きかい部品ぶひんすくないことによるコストめんでのメリットとうがある[8]。なお、りょうシステムを展開てんかいしているメーカーであってもレンズマウントはそれぞれことなるのが一般いっぱんてきである[9]

プロよう機材きざいとしての需要じゅよう変化へんか

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スポーツ写真しゃしん分野ぶんやにおいて。2010年代ねんだいなかごろはキヤノンとニコンの一眼いちがんレフカメラがシェアを二分にぶんしていたが、2013ねんにソニーが35ミリフルサイズの撮像さつぞう素子そし採用さいようしたミラーレスいちカメラ「αあるふぁ9」を発売はつばい以降いこう高性能こうせいのう機種きしゅ交換こうかんレンズの投入とうにゅう整備せいびともない、急速きゅうそくにシェアをばしている[10]。2018ねんにはキヤノンとニコンも35ミリフルサイズの撮像さつぞう素子そし対応たいおうしたしんマウントのミラーレスいちカメラを発売はつばいし、プロよう機材きざい新規しんき開発かいはつ一眼いちがんレフからミラーレスいちカメラに転換てんかんしている。

一眼いちがんレフカメラを製造せいぞうしている、または製造せいぞうしたことのあるおもなメーカー

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アルファベットじゅんげる。

注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 通常つうじょうちゅうばんカメラにはアイレベルとウエストレベルの両方りょうほう用意よういされており、ファインダーの交換こうかん可能かのうである。35mmカメラのカメラにおいては、上級じょうきゅう機種きしゅであるニコンFシリーズなどに、ウエストレベルがオプションとして用意よういされている。
  2. ^ キネ・エクサクタとする見解けんかいもある。
  3. ^ イタリアのガンマとはなん関係かんけいがない。
  4. ^ 当初とうしょはこれが機種きしゅめいであったが後継こうけいてブランドとなり、最初さいしょかたはアサヒペンタックスAPがたばれるようになった。
  5. ^ ミラーアップすることで一時いちじてき一眼いちがんレフのシステムを使つかわなくなるため、一眼いちがんレフカメラの利点りてんまったうしなわれる。
  6. ^ 既存きそん一眼いちがんレフようレンズの使用しよう可能かのうだがAPSいちレフ専用せんようレンズを同社どうしゃほか一眼いちがんレフに使用しようするのは不可能ふかのう
  7. ^ 2012ねん5がつまつ富士ふじフイルムもAPSフィルムの出荷しゅっか終了しゅうりょう
  8. ^ ライブビュー専用せんようのイメージセンサーやミラーアップによる。

出典しゅってん

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  1. ^ 現代げんだいカメラ新書しんしょNo.6、クラシックカメラ入門にゅうもん』p.79。
  2. ^ a b c 現代げんだいカメラ新書しんしょNo.6、クラシックカメラ入門にゅうもん』p.80。
  3. ^ a b c d e 『クラシックカメラせん』p.144。
  4. ^ a b c 現代げんだいカメラ新書しんしょNo.6、クラシックカメラ入門にゅうもん』p.82。
  5. ^ a b c d 『クラシックカメラせん』p.104。
  6. ^ 『クラシックカメラであそぼう ボクが中古ちゅうこカメラ中毒ちゅうどくしゃになったわけ』p.21。
  7. ^ 従来じゅうらいがたいちレフを統合とうごうするミラーレスのフラッグシップ「OLYMPUS OM-D E-M1」発売はつばいオリンパスイメージング株式会社かぶしきがいしゃ 2013ねん9がつ10日とおか
  8. ^ デジタルいちレフの構造こうぞう特徴とくちょうmonoxデジカメ比較ひかくレビュー 2013ねん4がつ11にち
  9. ^ レンズマウント物語ものがたりデジカメWatch 2012ねん4がつ18にち
  10. ^ 五輪ごりんのカメラに異変いへん ミラーレスに脚光きゃっこう、「新興しんこう勢力せいりょく」が存在そんざいかん朝日新聞あさひしんぶんデジタル”. 朝日新聞あさひしんぶんデジタル. 2021ねん8がつ8にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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  • ブリッジカメラ英語えいごばん - 一眼いちがんのような外観がいかんつレンズいち体型たいけいカメラの形態けいたいひとつ。「ネオいち」ともばれている。

外部がいぶリンク

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ビデオ