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原色げんしょく

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いろ三原色さんげんしょくから転送てんそう
色相しきそうたまき

原色げんしょく(げんしょく、えい: primary colorsたんprimary とも)とは、混合こんごうすることであらゆる種類しゅるいいろせるもととなるいろのこと[1]

人間にんげんにおいては、原色げんしょくみっつのいろわせであることがおおい。たとえばテレビモニター照明しょうめいなどで、ことなるいろひかりかさねてあらたないろつく加法かほう混合こんごう三原色さんげんしょくは、通常つうじょうあかみどりあおさんしょくである。また、絵具えのぐぜたりカラー印刷いんさついろインクを併置へいちするときにおこなわれる減法げんぽう混合こんごう場合ばあい三原色さんげんしょくは、シアンマゼンタイエロー黄色おうしょく)のさんしょくである[2]。なお、この主張しゅちょうがなされた1915ねんよりもまえ画家がかたちは、伝統でんとうてきに、あかあお減法げんぽう三原色さんげんしょくとしていた。

原色げんしょくとされるいろ選択せんたく基本きほんてきには恣意しいてきなものである。加法かほう混合こんごう三原色さんげんしょく使つかあかみどりあお多様たようであり、表現ひょうげんのしやすさなどをかんがえにれてさまざまな基準きじゅんさだめられている。またたとえば、リュミエール兄弟きょうだい開発かいはつした初期しょきのカラー写真しゃしんオートクローム (Autochrome Lumière) では、あかみどりあおのほかにだいだいオレンジ)・みどりむらさきわせも使つかわれた[3]

生物せいぶつがくてき基礎きそ

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レーザーはな単色たんしょくこうRGB
網膜もうまく断面だんめんひだり網膜もうまく表面ひょうめんみぎに、ひかり強弱きょうじゃく認識にんしきする桿体細胞さいぼう棒状ぼうじょうのもの)と、特定とくてい波長はちょうひかり認識にんしきするきりたい細胞さいぼう(コーンじょうのもの)がある
人間にんげんきりたい細胞さいぼう (S, M, L) と桿体細胞さいぼう (R) がふく物質ぶっしつ吸収きゅうしゅうスペクトル

原色げんしょく電磁波でんじは本質ほんしつてき要素ようそではない。原色げんしょくは、生物せいぶつ可視かし光線こうせんたいしてこす生理学せいりがくてき反応はんのうむすけられている。レーザーひかりのような単色たんしょくこうべつとして、天然てんねんこう照明しょうめいなどのひかりは、あらゆる波長はちょう放射ほうしゃエネルギーが合成ごうせいされており連続れんぞくてきスペクトルつ。その刺激しげき空間くうかん無限むげん次元じげんにわたるが、人間にんげんはこれをつぎのような受容じゅよう仕方しかたによってさん次元じげん情報じょうほうとして処理しょりしている[4]

人間にんげんおく網膜もうまくにはいちめんひかり受容じゅよう細胞さいぼうきりたい細胞さいぼう桿体細胞さいぼう)があるが、光量ひかりりょう充分じゅうぶん場合ばあいさん種類しゅるいからなるきりたい細胞さいぼう反応はんのうする。きりたい細胞さいぼうには、長波ちょうはちょう反応はんのうするあかきりたいちゅう波長はちょう反応はんのうするみどりきりたい短波たんぱちょう反応はんのうするあおきりたいさん種類しゅるいがあり、それぞれの波長はちょうもっと反応はんのうするタンパク質たんぱくしつ(オプシンタンパクしつ)をふくむ。これらが可視かし光線こうせん感受かんじゅすることで信号しんごう視神経ししんけい経由けいゆして大脳だいのう視覚しかく連合れんごうはいり、ここであかみどりあおさん種類しゅるいきりたいからの情報じょうほう相対そうたい位置いち分析ぶんせきし、いろ認識にんしきしている。

人間にんげんなど、さん種類しゅるい色覚しきかく受容じゅようたいをもつ生物せいぶつ色覚しきかくは「さんしょくがた色覚しきかく」(trichromacy) とよばれる。これらのたね生物せいぶつは、ひかり刺激しげきさん種類しゅるいきりたいけとめさん次元じげん感覚かんかく情報じょうほうとして処理しょりし、あらゆるひかりいろみっつの原色げんしょく混合こんごうとしてとらえる[4]

色覚しきかく受容じゅようたい種類しゅるいかずちが生物せいぶつは、ことなるかず原色げんしょくによっていろかんじている。たとえばよんしょくがた色覚しきかく (tetrachromacy) を生物せいぶつにはよん種類しゅるい色覚しきかく受容じゅようたいがあり、よん原色げんしょくわせでいろ認識にんしきしている。人間にんげん波長はちょう800ナノメートル(あか)から400ナノメートル(むらさき)の範囲はんいまでしかることができないが、よんしょくがた色覚しきかく生物せいぶつ波長はちょう300ナノメートルの紫外線しがいせんまでることができ、よん番目ばんめ原色げんしょくはこの短波たんぱちょう範囲はんいにあるとかんがえられる。

鳥類ちょうるいゆうぶくろるいおおくはよんしょくがた色覚しきかくつが、人間にんげんでも女性じょせいなかにはよんしょくがた色覚しきかくひともいる[5][6]X染色せんしょくたいにあるあかきりたいみどりきりたい遺伝子いでんしときとして変異へんいによりあかみどりのハイブリッドのきりたい細胞さいぼうつくってしまい色覚しきかく障害しょうがいこすことがあるが、女性じょせい場合ばあいはX染色せんしょくたいが2つあるため、1つのX染色せんしょくたいでこのような変異へんいこってももう一方いっぽう正常せいじょうあかきりたいみどりきりたいつくられれば、あかみどりあおのほかに長波ちょうはちょう範囲はんいにもうひとつの原色げんしょく認識にんしきすることになる[7]人間にんげん色覚しきかく受容じゅようたい反応はんのうする波長はちょう個々人ここじんにおいても多様たようであり、色覚しきかくの「正常せいじょう」なひとあいだでも微妙びみょう色覚しきかくとしてあらわれる[8]人間にんげん以外いがい生物せいぶつ場合ばあい、こうした多様たようせいはばおおきいが個々ここ生物せいぶつはそれに適合てきごうしているとかんがえられる[9]霊長れいちょうるい以外いがい哺乳類ほにゅうるいのほとんどはみどりあお種類しゅるい色覚しきかく受容じゅようたいしかたないため二色にしきがた色覚しきかく (dichromacy) であり、原色げんしょくしょくしかない。一方いっぽう、16原色げんしょくと6しゅへんこうとらえられるシャコのようなれい確認かくにんされている。

だい多数たすう人間にんげんのもつさんしょくがた色覚しきかく以外いがい生物せいぶつ世界せかいいろくるってえる、とかんがえるのはあやまりとえる。そのようにまれた生物せいぶつにとってはそれが普通ふつう世界せかいいろであり、そうした生物せいぶついろ知覚ちかくする能力のうりょく人間にんげん色覚しきかく能力のうりょくとは種類しゅるいちがうであろう。また人間にんげんにとって自然しぜんいろえるものは、生物せいぶつたちにとっても自然しぜんえる。しかし加法かほう混合こんごう三原色さんげんしょくひかり使つかって人工じんこうてき再現さいげんしたいろ(たとえばカラーテレビの画面がめん)を場合ばあい人間にんげんにとっては自然しぜんいろえても生物せいぶつにとっては自然しぜんいろにはえない。つまり、加法かほう混合こんごう三原色さんげんしょく使つかっていろ再現さいげんするときには、再現さいげんするがわもの色覚しきかくのシステムに依存いぞんした再現さいげんがなされる。

加法かほう混合こんごう

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加法かほう混合こんごう
いろ図上ずじょうsRGBカラートライアングル。パソコンのディスプレイで正確せいかく表示ひょうじされるのはこの三角形さんかっけい範囲はんいない
CIEが1931ねんさだめたRGBカラートライアングル。

いろ表現ひょうげんする媒体ばいたいのうち、様々さまざまいろ発光はっこうからだわせてものほうはなつことでいろ刺激しげきこすものは、加法かほう混合こんごう使用しようしていろつくっている。この場合ばあい典型てんけいてき使つかわれる原色げんしょくあか (Red) ・みどり (Green) ・あお (Blue) のさんしょくである[疑問ぎもんてん]

白色はくしょくひかり合成ごうせいするため波長はちょうを「ひかり三原色さんげんしょく」や「いろこう三原色さんげんしょく」とい、下記かきさんしょくもちいる。

  • 🅡 あか波長はちょう: 625 - 740 nm
  • 🅖 みどり波長はちょう: 500 - 560 nm)
  • 🅑 あお波長はちょう: 445 - 485 nm)
なお、あお厳密げんみつには「むらさきみのあお(=群青ぐんじょうしょく)」ともされる。またみどり絵具えのぐいろなどにくらべてあかるい。

テレビほかディスプレイるいはこの三原色さんげんしょくからなる「RGB」をもちいて様々さまざまいろ加法かほう混合こんごうつく代表だいひょうてきれいである。原色げんしょくとしてもちいられるさんしょくは、幅広はばひろいろ表現ひょうげんするためにいろ図上ずじょう可能かのうかぎおおきなカラートライアングルをえがける色相しきそう純度じゅんどいろであり、蛍光けいこうからだ燐光りんこうからだはいりやすさ(またはコストや使用しよう電力でんりょくなど)も加味かみしてえらばれている。ITU-R勧告かんこくBT.709-2 (ITU-R BT.709-2) でさだめられたsRGBはそのれいである。

あかみどりひかりかさねて投影とうえいすると黄色おうしょく橙色だいだいいろ茶色ちゃいろかげができる[10]みどりあおひかりかさねるとシアンかげが、あかあおひかりかさねるとむらさきマゼンタかげができる。みっつの原色げんしょくひとしい割合わりあいかさねると、灰色はいいろおよび白色はくしょくかげができる。こうして生成せいせいされるいろ空間くうかんを、RGBしょく空間くうかんという。

国際こくさい照明しょうめい委員いいんかい (CIE) が1931ねんさだめたCIE標準ひょうじゅんひょうしょくけい (CIE 1931 color space) は、単色たんしょく原色げんしょく定義ていぎたりその波長はちょうを435.8ナノメートル(あお)、546.1ナノメートル(みどり)、700ナノメートル(あか)とした。カラー・トライアングルのかく頂点ちょうてん三原色さんげんしょく)は、いろえがかれた馬蹄ばていがた曲線きょくせんじょうもっといろどりたかい「スペクトルしょく」の軌跡きせき)にかれ、可能かのうかぎりのおおきさ(いろはばひろさ)を実現じつげんしている。しかしこのトライアングルにあるあかむらさき限界げんかい波長はちょう現行げんこうのディスプレイで表現ひょうげんするには発光はっこう効率こうりつ非常ひじょうひくくなるため、この三原色さんげんしょく実際じっさい使つかうディスプレイるいはない。

減法げんぽう混合こんごう

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いろ表現ひょうげんする媒体ばいたいのうち、いろひかり反射はんしゃしてものいろ刺激しげきこすものは、減法げんぽう混合こんごう使用しようしていろつくっている。

物体ぶったい表面ひょうめん特定とくていいろにするためにインクひとし場合ばあいもとひかりさえぎかたちいろつくる。その合成ごうせいもとになる基本きほんしょく一般いっぱんに「三原色さんげんしょく」や「いろりょういろざい)の三原色さんげんしょく」などとわれ、下記かきさんしょくもちいる。

このさんしょく合成ごうせいして着色ちゃくしょくされた物体ぶったい表面ひょうめんは、ひかり三原色さんげんしょく場合ばあい反対はんたい黒色こくしょくになる。なお、加法かほう混合こんごう三原色さんげんしょくも、それによってつくされているひかりも「いろ」なので、明確めいかく区別くべつしたいときは「いろりょう三原色さんげんしょく」と表現ひょうげんする。「三原色さんげんしょく」は、「いろりょう」のなかでも絵具えのぐ一般いっぱんひろられているので、わかりやすさに重点じゅうてんきたい場合ばあいてきする。しかし実際じっさいには、減法げんぽう混合こんごう適用てきようできるいろ材料ざいりょう絵具えのぐかぎらないので、それを強調きょうちょうするさいに「いろりょう三原色さんげんしょく」が使つかわれる。

伝統でんとうてき減法げんぽう混合こんごう

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かつて使つかわれていた、標準ひょうじゅんてきなRYB色相しきそうたまきあか黄色おうしょくあお等間隔とうかんかくき、さらにしょくであるむらさき橙色だいだいいろ(オレンジ)みどり等間隔とうかんかくいていた。
RGB色相しきそうたまきあかみどりあお等間隔とうかんかくき、さらにしょくシアンマゼンタ黄色おうしょくイエロー)を等間隔とうかんかくく。

RYB英語えいごばんあか黄色おうしょくあお)はかつての減法げんぽう混合こんごうにおける三原色さんげんしょくいろりょう三原色さんげんしょく)であり、近代きんだい科学かがくてき色彩しきさい理論りろん先立さきだつものである。美術びじゅつおよび美術びじゅつ教育きょういくにおいて使つかわれ、とく絵画かいがではさかんに使つかわれた[11]

RYBは標準ひょうじゅんてき色相しきそうたまきなか正三角形せいさんかっけいをなす。またこの三原色さんげんしょくわせてできるしょく(VOG:むらさきオレンジみどり)がもうひとつの三角形さんかっけいをなす。特定とくてい色相しきそうたまきなか等距離とうきょりにあるさんしょくが「いろ三角形さんかっけい」をなすが、知覚ちかくてき均等きんとうはいされた色相しきそうたまきなかではRYBもVOGも等距離とうきょりにはならない。RYB色相しきそうたまきにおいては、これらが等距離とうきょりになるように色相しきそうたまきつくられていた[12]ゲーテの色彩しきさいろん参照さんしょう)。

画家がかたちは長年ながねん、パレットのうえみっ以上いじょうの「原色げんしょく」の絵具えのぐいていろぜていた。たとえばあか黄色おうしょくあお、そしてみどりが「よっつの原色げんしょく」とされた[13]。このよんしょく現在げんざいでも心理しんりてき原色げんしょくとして認知にんちされている[14][15] が、あか黄色おうしょくあおみっつの心理しんりてき原色げんしょくとしてげられ[16]しろくろだいよんだい原色げんしょくくわえられることもある[17]

17世紀せいき後半こうはんアイザック・ニュートンプリズムにより太陽光たいようこう分光ぶんこうさせてスペクトル実験じっけんおこなったが、18世紀せいき色彩しきさい理論りろん専門せんもんたちはこれを意識いしきしてあか黄色おうしょくあお三原色さんげんしょくかんがえた。これらは基本きほんてき感覚かんかく性質せいしつ推定すいていされ、すべての物理ぶつりてきいろについての感覚かんかくや、顔料がんりょう染料せんりょう物理ぶつりてき混合こんごうなかには、このさんしょくざっているとかんがえられた。しかし、あか黄色おうしょくあおさんしょく混合こんごうではのすべてのいろつくることはできないというおおくの反証はんしょうがあったにもかかわらずこの理論りろんはドグマとし、今日きょうにまでこのかんがえはのこっている[18]

あか黄色おうしょくあおさんしょく原色げんしょくとして使つかった場合ばあいいろいき比較的ひかくてきちいさなものとなり、なかでもあざやかなみどり・シアン・マゼンタをつくることが困難こんなんという問題もんだいがあった。これは知覚ちかくてき均等きんとうはいされた色相しきそうたまきにおいてはあか黄色おうしょくあお間隔かんかくかたよっていることが原因げんいんであった。こうしたことから、今日きょうさんしょく印刷いんさつよんしょく印刷いんさつやカラー写真しゃしんではシアン・マゼンタ・イエローがいろりょう三原色さんげんしょくとして使用しようされる[19]

絵画かいがにおいてはいろ合成ごうせい方法ほうほう印刷いんさつとはことなるため、CMYKが普及ふきゅうした現在げんざいでも、おおくの画家がかはシアン、マゼンタ、イエローの絵具えのぐ混合こんごうによってつくれないいろていする絵具えのぐをパレットにくわえる。あるものはパレットに三原色さんげんしょく印刷いんさつ業者ぎょうしゃ使つかう、より幅広はばひろいろつくれるシアン・マゼンタ・イエローをき、またあるものいろいきひろげるためにむっ以上いじょう絵具えのぐ原色げんしょくとして使用しようしている[20]

CMYK、あるいはよんしょく印刷いんさつ

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減法げんぽう混合こんごう原色げんしょくのうち、シアンとマゼンタはそれぞれ「あお」と「あか」ともばれることがある。

印刷いんさつ産業さんぎょうでは、様々さまざまいろ表現ひょうげんするために減法げんぽう混合こんごう原色げんしょくであるシアン、マゼンタ、イエロー(黄色おうしょく)のさんしょくもちいられる。「シアン」や「マゼンタ」といういろめい標準ひょうじゅんてき使つかわれる以前いぜんは、印刷いんさつ三原色さんげんしょくは「あおみどり水色みずいろちかい)」や「あかむらさき」、あるいは「あお」や「あか」などともばれていた。また日本にっぽんではそれぞれ「あい」や「べに」ともんだ。正確せいかく三原色さんげんしょく長年ながねんあいだに、あらたな顔料がんりょう技術ぎじゅつ開発かいはつとともになんえられている[21]

イエローとシアンをぜるとみどりが、イエローとマゼンタをぜるとあかが、マゼンタとシアンをぜるとあおむらさきみのあお)がまれる。理論りろんじょうさんしょくすべてを均等きんとうぜると灰色はいいろになり、さんしょく充分じゅうぶん光学こうがく濃度のうど光学こうがく密度みつど、optical density)があればくろまれるはずである。実際じっさいには、暗色あんしょくになりきれいなくろつくれない。うつくしいくろ印刷いんさつするため、また三原色さんげんしょくのインキを節約せつやく消費しょうひりょう乾燥かんそう時間じかんらすため、このさんしょくくわえてくろのインキがカラー印刷いんさつ使つかわれる。

これはCMYKモデルとよばれるもので、シアン (Cyan)、マゼンタ (Magenta)、イエロー (Yellow)、キー (Key) の略語りゃくごである。キーとは印刷いんさつする画像がぞう細部さいぶ輪郭りんかく濃淡のうたん)を表現ひょうげんするためにもちいられるキープレートというはん略称りゃくしょうで、通常つうじょうくろインキが使つかわれる[22]

実際じっさいには、絵具えのぐなど実際じっさい物質ぶっしつからできた着色ちゃくしょくりょうぜることはより複雑ふくざついろ反応はんのうこす。顔料がんりょうやバインダーといった物質ぶっしつゆうする自然しぜん科学かがくてき性質せいしついろ成立せいりつ過程かてい影響えいきょうする。たとえばあおむらさきあお)の塗料とりょうやインクなどの着色ちゃくしょくざいぜると、くろみどりないしくろいマゼンタ(あかむらさき)ができる。これは実際じっさい絵具えのぐ混合こんごう[23]理想りそうてき減法げんぽう混合こんごうことなることをしめしている。印刷いんさつ場合ばあいは、三原色さんげんしょく顔料がんりょう実際じっさいにはあまりぜられることなく、あみてん(ハーフトーン)の状態じょうたい印刷いんさつされ、一定いっていのパターンで配置はいちされたかくいろ微小びしょうあみてんることにより、ぜられたいろ知覚ちかくされることになる。

減法げんぽう混合こんごうでは、白色はくしょく顔料がんりょうくわえることで一定いってい効果こうかげられる。あらわしょくざいりょうらすか二酸化にさんかチタンなど反射はんしゃりつたか白色はくしょく顔料がんりょうぜることで着色ちゃくしょくざい色相しきそうをあまりえずにいろどりげることができる。また減法げんぽう混合こんごう印刷いんさつは、印刷いんさつめん紙面しめんいろしろかまたはそれにちか場合ばあい、もっとも効果こうか発揮はっきする。

減法げんぽう混合こんごうのシステムは、RGBのカラートライアングルのように、いろ図上ずじょういろいき簡単かんたんにあらわす方法ほうほうはなく、いろいきさん次元じげんのモデルで表現ひょうげんする必要ひつようがある。また次元じげんいろさん次元じげんいろ空間くうかんでCMYKのいろいき表現ひょうげんするこころみは非常ひじょうおおくある[24]

実際じっさい印刷いんさつでは、CMYKにくわえて蛍光けいこういろなどの特色とくしょくインクをもちいて色彩しきさい表現ひょうげんはばひろげることおこなわれる。またパソコンようのカラープリンタでは、以前いぜんてい価格かかくではコストダウンのためにCMYのみのモデルも存在そんざいしたが、現在げんざいではCMYKにやはり中間色ちゅうかんしょくのインク(ライトシアン・ライトマジェンタ・グレーなど)をくわえていろ再現さいげんせいたかめるのが主流しゅりゅうとなっている。

心理しんりがくてき原色げんしょく

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NCSにおけるろくしょくあかみどりあおよんしょくくわえ、ぜんしょうてきいろ表現ひょうげんのためにしろくろ追加ついかされる。

心理しんり視覚しかく研究けんきゅうおよび反対はんたいしょくせつ反対はんたいしょく過程かていしょくせつは、あか - みどり過程かていと、 - あお過程かていによるじく起因きいんするよっつの「ユニークな」しょく概念がいねんみちび[25]。これらのせつによれば、人間にんげん視覚しかくきりたいと桿体からのいろ信号しんごう敵対てきたいてき処理しょりする。3タイプのきりたい反応はんのうするひかり波長はちょうにある程度ていどのオーバーラップをもっているため、きりたいそれぞれの反応はんのうより、きりたいあいだ反応はんのう記録きろくするのが視覚しかくシステムにとってより効率こうりつてきである。反対はんたいしょくせつは、あか-みどりあお-くろ-しろの3つの反対はんたいしょくチャンネルがあることを示唆しさする[26]。ひとつの反対はんたいしょくチャンネルの片方かたがたいろへの反応はんのうはもう一方いっぽういろへの反応はんのうたいして敵対てきたいてきである。このコンセプトにおいて、観察かんさつしゃにとってユニークに代表だいひょうてきあつかわれるろくしょくあかみどりあおしろくろは「心理しんりがくてき原色げんしょく」とばれるべきもので、なぜならほかのあらゆるいろはこれらのわせで説明せつめいできるためである。みぎには、ナチュラル・カラー・システム (NCS) のろくしょくかかげたが、NCSはあらわしょくけいであり、NCSのあかみどりあおこんしょくけいにおける原色げんしょくとはことなる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ れいかい小学しょうがく国語こくご辞典じてん だいななはん 特製とくせいばん三省堂さんせいどう、2020 12 10、371,475ぺーじ 
  2. ^ Matthew Luckiesh (1915). Color and Its Applications. D. Van Nostrand company. pp. pp. 58, 221. https://books.google.co.jp/books?id=0BgCAAAAYAAJ&pg=RA1-PA221&dq=magenta+cyan+yellow+date:0-1923+printing&as_brr=1&redir_esc=y&hl=ja 
  3. ^ Walter Hines Page and Arthur Wilson Page (1908). The World's Work: Volume XV: A History of Our Time. Doubleday, Page & Company. https://books.google.co.jp/books?id=hKPvxXgBN1oC&pg=PA9508&dq=autochrome+orange+violet+green&as_brr=1&redir_esc=y&hl=ja 
  4. ^ a b Michael I. Sobel (1989). Light. University of Chicago Press. pp. 52–62. ISBN 0226767515. https://books.google.co.jp/books?id=PDmAdQpmxl8C&pg=PA58&ots=nx4W7J2aTc&dq=spectrum+color+infinite-dimensional+cones&sig=uM9RwCK7fFquO9e2oz-79xjbe8w&redir_esc=y&hl=ja#PPA59,M1 
  5. ^ Backhaus, Kliegl & Werner "Color vision, perspectives from different disciplines" (De Gruyter, 1998), pp.115-116, section 5.5.
  6. ^ Pr. Mollon (Cambridge university), Pr. Jordan (Newcastle university) "Study of women heterozygote for colour difficiency" (Vision Research, 1993)
  7. ^ M. Neitz, T. W. Kraft, and J. Neitz (1998). “Expression of L cone pigment gene subtypes in females”. Vision Research 38: 3221–3225. 
  8. ^ Neitz, Jay & Jacobs, Gerald H. (1986). "Polymorphism of the long-wavelength cone in normal human colour vision." Nature. 323, 623-625.
  9. ^ Jacobs, Gerald H. (1996). "Primate photopigments and primate color vision." PNAS. 93 (2), 577–581.
  10. ^ "Some Experiments on Color", Nature 111, 1871, in John William Strutt (Lord Rayleigh) (1899). Scientific Papers. University Press. https://books.google.co.jp/books?id=KWMSAAAAIAAJ&pg=PA84&dq=date:0-1923+light+red+green+yellow-or-orange&as_brr=1&redir_esc=y&hl=ja#PPA85,M1 
  11. ^ Tom Fraser and Adam Banks (2004). Designer’s Color Manual: The Complete Guide to Color Theory and Application. Chronicle Books. ISBN 081184210X. https://books.google.co.jp/books?id=WXZNPaX-LvcC&pg=PA27&ots=HShXs43Vb9&dq=red-yellow-blue+color+mixing&ei=Q5C7RpKQBaPKowLOzbnwBQ&sig=tzY-Dg0Vd2qsvzkAED_4kTV_AYE&redir_esc=y&hl=ja 
  12. ^ Stephen Quiller (2002). Color Choices. Watson–Guptill. ISBN 0823006972. https://books.google.co.jp/books?id=jiUTZQj_v5QC&pg=PA12&ots=uIkYShJkkF&dq=what-is-a-color-wheel+spaced+red+yellow+blue&ei=PfO7RtDOOaDeoALSidXvBQ&sig=nKVzb_VaCzhkW5LkewElB4laG90&redir_esc=y&hl=ja 
  13. ^ レオナルド・ダ・ビンチは1500ねんごろ、あか黄色おうしょくあおみどりというよっつの単純たんじゅんいろについて稿こういている。See Rolf Kuenhi. “Development of the Idea of Simple Colors in the 16th and Early 17th Centuries”. Color Research and Application. Volume 32, Number 2, April 2007.
  14. ^ Resultby Leslie D. Stroebel, Ira B. Current (2000). Basic Photographic Materials and Processes. Focal Press. ISBN 0240803450. https://books.google.co.jp/books?id=BRYa6Qpsw48C&pg=PP1&dq=Basic+Photographic+Materials+and+Processes&sig=3FfkDIRvz8MSinhegznHIKn4AvM&redir_esc=y&hl=ja 
  15. ^ ひかりつよよわさ(輝度きど)をえた場合ばあいには色相しきそう変化へんかするが(ベツォルト=ブリュッケ現象げんしょう)、あか黄色おうしょくあおみどり付近ふきん波長はちょうでは色相しきそうはほとんど変化へんかしない。
  16. ^ MS Sharon Ross, Elise Kinkead (2004). Decorative Painting & Faux Finishes. Creative Homeowner. ISBN 1580111793. https://books.google.co.jp/books?id=DPJUWRydR9kC&dq=red+yellow+blue+paint-mixing++subtractive&as_brr=3&redir_esc=y&hl=ja 
  17. ^ Swirnoff, Lois (2003). Dimensional Color. W. W. Norton & Company. ISBN 0393731022. https://books.google.co.jp/books?id=sG5MqtZuFF0C&dq=%22psychological+primaries%22+blue+-green&redir_esc=y&hl=ja 
  18. ^ Bruce MacEvoy. “Do ‘Primary’ Colors Exist?” (Material Trichromacy section). Handprint. Accessed 10 August 2007.
  19. ^ “Development of the Idea of Simple Colors in the 16th and Early 17th Centuries”. Color Research and Application. Volume 32, Number 2, April 2007.
  20. ^ Bruce MacEvoy. “Secondary Palette.” Handprint. Accessed 14 August 2007. For general discussion see Bruce MacEvoy. “Mixing With a Color Wheel” (Saturation Costs section). Handprint. Accessed 14 August 2007.
  21. ^ Ervin Sidney Ferry (1921). General Physics and Its Application to Industry and Everyday Life. John Wiley & Sons. https://books.google.co.jp/books?id=3rYXAAAAIAAJ&pg=PA621&dq=date:0-1923+additive+color+mixing+primary&as_brr=1&redir_esc=y&hl=ja 
  22. ^ Frank S. Henry (1917). Printing for School and Shop: A Textbook for Printers' Apprentices, Continuation Classes, and for General use in Schools. John Wiley & Sons. https://books.google.co.jp/books?id=UAAvAAAAMAAJ&pg=PA292&dq=black+date:0-1923+key-plate+printing+color&redir_esc=y&hl=ja 
  23. ^ ぞくに、こんしょくなどとわれる。
  24. ^ たとえば、googleで“cmyk gamut”(CMYK、いろいき)で画像がぞう検索けんさくをした結果けっか参照さんしょうのこと。
  25. ^ E. Bruce Goldstein (1989). Sensation and Perception (3rd ed. ed.). Wadsworth Publishing Co. ISBN 0534096727 
  26. ^ Michael Foster (1891). A Text-book of physiology. Lea Bros. & Co. p. 921. https://books.google.co.jp/books?id=Swn8ztLFTdkC&pg=RA1-PA921&dq=hering+red-green+yellow-blue+young-helmholtz+date:0-1923&redir_esc=y&hl=ja 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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