駱駝らくだ祥子さちこ

駱駝らくだ祥子さちこ（らくだのしゃんづ、ルオトゥオシヤンズ）は中国ちゅうごくの作家さっか老ろう舍しゃによって1936年ねん雑誌ざっし『宇宙うちゅう風ふう』に発表はっぴょうされた作品さくひん。

あらすじ

1920年代ねんだいの北京ぺきんを舞台ぶたいに貧まずしい人力車じんりきしゃ夫おっと「祥子さちこ」を描えがいた小説しょうせつ。

賃貸ちんがしの人力車じんりきしゃを引ひきながらこつこつと貯金ちょきんをし、3年ねん働はたらいた末すえに自分じぶんの車くるまを手てに入いれる祥子さちこ。しかし仕事しごと中ちゅうに軍閥ぐんばつの敗走はいそう兵へいに捕つかまり車しゃも失うしなう。

車くるまを失うしなった祥子さちこは劉りゅう四よん爺じい（りゅうすーいえ）の経営けいえいする車屋くるまや｢人じん和わ車しゃ廠しょう｣に雇やとわれる。店みせを切きり盛もりする劉りゅうの娘むすめである虎とら妞（ふーにょう）は、以前いぜんから祥子さちこに思おもいを寄よせており、祥子さちこに強引ごういんに結婚けっこんを迫せまる。

祥子さちこは一時いちじ人じん和わ車しゃ廠しょうを辞やめ、曹先生せんせいのお抱かかえ車夫しゃふとなり生計せいけいを立たてるのだが、曹が危険きけん思想しそうを持もっているという嫌疑けんぎを掛かけられ、祥子さちこは刑事けいじから見逃みのがす代かわりに貯金ちょきんを奪うばわれることとなる。

祥子さちこは再ふたたび人じん和わ車しゃ廠しょうへと戻もどり虎とら妞と結婚けっこんし子供こどもも授さずかるが、難産なんざんにより母子ぼしともに死去しきょ。 さらに、お互たがい憎にくからず思おもっていた隣家りんかの娘むすめの小しょう福子ふくこ（しゃおふーづ）とも別わかれることとなる。

その後ご小しょう福子ふくこは売春ばいしゅん宿やどに売うられたことを苦くに自殺じさつし、絶望ぜつぼうした祥子さちこはルンペンプロレタリアート同然どうぜんとなるのだった。

登場とうじょう人物じんぶつ

• 祥子さちこ

本ほん作品さくひんの主人公しゅじんこうである人力じんりき車夫しゃふ。農村のうそん出身しゅっしん。

本ほん作さくの題名だいめいにもなっているあだ名なの由来ゆらいは敗走はいそう兵へいから逃にげる時ときに軍用ぐんようの駱駝らくだ3頭とうを連つれ、場内じょうないへ逃にげ帰かえり老人ろうじんに駱駝らくだを売うった所ところから。

結婚けっこん後ごも虎とら妞が商売しょうばいを始はじめようと助言じょげんするが、車夫しゃふを続つづけている。

• 虎とら妞

人ひと和わ車しゃ廠しょうの経営けいえい者しゃである劉りゅう四よん爺じいの娘むすめ。祥子さちこに惚ほれており、積極せっきょく的てきに迫せまる。祥子さちことの結婚けっこんの際さいは父親ちちおやと喧嘩けんかしたため、勘当かんどう同然どうぜんで暮くらす事こととなる。祥子さちことの子こを身みごもるが、出産しゅっさんの際さいに母子ぼし共どもに死亡しぼうした。

その後人こうじん和わ車しゃ廠しょうは経営けいえい者しゃが変かわったのか、仁和にわ車しゃ廠しょうと社名しゃめい変更へんこうしている。

• 小しょう福子ふくこ

祥子さちこ夫妻ふさいと同おなじ長屋ながやに住すんでいる娘むすめ。軍人ぐんじんの元もとへ嫁とついでいた。

父ちちは酒飲さけのみで家計かけいは破綻はたんしている。祥子さちこに思おもいを寄よせていたが、売春ばいしゅん宿やどに売うられ、最後さいごには首くびを吊つって自殺じさつする。

日本語にほんご訳やく

主おもに「世界せかい文学ぶんがく全集ぜんしゅう」での訳書やくしょ

• 『駱駝らくだ祥子さちこ』竹中たけなか伸しん訳やく、新潮社しんちょうしゃ、1943年ねん
• 『駱駝らくだのシャンヅ』飯塚いいづか朗あきら訳わけ、平凡社へいぼんしゃ、1960年ねん のち新版しんぱん
• 『駱駝らくだ祥子さちこ』杉本すぎもと達夫たつお訳わけ、河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、1969年ねん、新版しんぱん・学研がっけん
• 『駱駝らくだ祥子さちこ』立間たちま祥さち介かい訳わけ、集英社しゅうえいしゃ、1970年ねん、新版しんぱんは岩波いわなみ文庫ぶんこ
• 『駱駝らくだ祥子さちこ』中山なかやま高志たかし訳やく、白しろ帝みかど社しゃ、1991年ねん

派生はせい作品さくひん

• 舞台ぶたい作品さくひん
  • 1957年ねんに梅うめ阡によって話はなし劇げき化かされた他ほか、1998年ねんには江蘇ちぁんすー省しょう京劇院きょうげきいんによって京劇きょうげき化かもされている。
• 映画えいが
  • 1982年ねんに凌子りょうこ風ふう監督かんとく、張ちょう豊ゆたか毅あつし主演しゅえんで『駱駝らくだの祥子さちこ』が製作せいさくされた 。
• テレビドラマ
  • 1998年ねん製作せいさく。谷たに智さとし鑫主演しゅえん。