龍造寺りゅうぞうじ長信ながのぶ

凡例はんれい 龍造寺りゅうぞうじ 長信ながのぶ
龍造寺りゅうぞうじ長信ながのぶ像ぞう（多久たく市し郷土きょうど資料しりょう館かん蔵ぞう）
時代じだい	戦国せんごく時代じだい - 江戸えど時代じだい初期しょき
生誕せいたん	天文てんもん7年ねん10月28日にち（1538年ねん11月19日にち）
死没しぼつ	慶長けいちょう18年ねん10月26日にち（1613年ねん12月7日にち）
改名かいめい	慶けい法師ほうし（幼名ようみょう）、長信ながのぶ
官位かんい	兵庫ひょうご頭あたま、和泉いずみ守まもる
主君しゅくん	龍造寺りゅうぞうじ隆信たかのぶ、政せい家か、高房たかふさ、鍋島なべしま勝茂かつしげ
藩はん	肥前ひぜん佐賀さが藩はん
氏族しぞく	龍造寺りゅうぞうじ氏し
父母ちちはは	龍造寺りゅうぞうじ周しゅう家か、慶けい誾尼?
兄弟きょうだい	八戸はちのへ宗むね暘室しつ、隆信たかのぶ、信しん周しゅう、犬塚いぬづか尚しょう重じゅう継室けいしつ、長信ながのぶ
妻つま	小田おだ政光まさみつ娘むすめ
子こ	多久たく安やすし順じゅん、後藤ごとう家か忠ただし室しつ、真光しんこう院いん

龍造寺りゅうぞうじ 長信ながのぶ（りゅうぞうじ ながのぶ）は、戦国せんごく時代じだいから江戸えど時代じだい初期しょきにかけての武将ぶしょう。龍造寺りゅうぞうじ氏し、鍋島なべしま氏しの家臣かしん。

生涯しょうがい

天文てんもん7年ねん（1538年ねん）、龍造寺りゅうぞうじ周しゅう家かの三男さんなんとして誕生たんじょう。

永えい禄ろく元年がんねん（1558年ねん）、龍造寺りゅうぞうじ氏しが調しらべ略りゃくにより小田おだ政光まさみつを滅ほろぼした際さいに、小田おだ氏しの居城きょじょうであった蓮池はすいけ城しろを接収せっしゅうしたが、後のちに政光まさみつの遺児いじ・鎮光を赦免しゃめんし城主じょうしゅとした。龍造寺りゅうぞうじ氏しは永えい禄ろく2年ねん（1559年ねん）に少しょう弐に冬ふゆ尚ひさしを滅ほろぼし、少しょう弐に氏しを滅亡めつぼうに追おい込こんだが、冬ふゆ尚ひさしの弟おとうと・政せい興きょうは再興さいこうを目指めざし反乱はんらんを起おこす。永えい禄ろく6年ねん（1563年ねん）には龍造寺りゅうぞうじ氏しは政せい興きょうに協調きょうちょうした多久たく宗利むねとしを下くだし、多久たく氏し（前ぜん多久たく氏し）の居城きょじょうであった梶かじ峰ほう城じょうを奪うばい、長信ながのぶが城主じょうしゅとなった。

永えい禄ろく11年ねん（1568年ねん）、長信ながのぶは梶かじ峰ほう城じょうを鎮光に譲ゆずり、小田おだ氏しの居城きょじょうであった蓮池はすいけ城しろを自みずからの居城きょじょうとした。小田おだ氏しとの友好ゆうこうを深ふかめるため鎮光の妹いもうとを娶めとっていたが、豊後ぶんご国こく大友おおとも氏しの圧力あつりょくが強つよまると鎮光は大友おおとも氏しに寝返ねがえったため、梶かじ峰ほう城じょうを追放ついほうされ、再ふたたび長信ながのぶが城主じょうしゅとなった。肥前ひぜん（武雄たけお）後藤ごとう氏しの後藤ごとう貴明たかあきが梶かじ峰ほう城じょうを攻せめ取とろうとしたが、これを退しりぞけている。

大江おおえ神大しんだい神宮じんぐうの再興さいこう、聖ひじり光ひかり寺てらや岩松いわまつ軒のき寺てらの建立こんりゅうなど、伝統でんとう的てきな宗教しゅうきょう勢力せいりょくとの関係かんけいを良好りょうこうにし、統治とうちの安定あんていを図はかった。また、近年きんねんに梶かじ峰ほう城跡じょうせきで発掘はっくつされた遺構いこうは長信ながのぶが城主じょうしゅの時代じだいのものと推測すいそくされている。

龍造寺りゅうぞうじ領国りょうごくにおいて、長信ながのぶが軍事ぐんじ物資ぶっしの調達ちょうたつに関かかわる任務にんむに当あたっており、特とくに軍事ぐんじ活動かつどうの中なかで木材もくざい調達ちょうたつに関かかわっていた。この背景はいけいには長信ながのぶの本拠地ほんきょちの多久たくが材木ざいもく供給きょうきゅう地ちと近接きんせつしており、材木ざいもくの調達ちょうたつや普請ふしんに関かかわる職人しょくにん集団しゅうだんを長信ながのぶが有ゆうしていたためで、隆信たかのぶは肥前ひぜん西部せいぶを進行しんこうする上じょうで長信ながのぶを用もちいた。これにより龍造寺りゅうぞうじ氏しは軍事ぐんじ活動かつどうにおいて、城郭じょうかくなどの普請ふしんを盛さかんに行おこなう事ことができ、肥前ひぜん国内こくないにおける勢力せいりょく基盤きばんをある程度ていど構築こうちくする事ことに成功せいこうした。

また､龍造寺りゅうぞうじ氏しが西にし肥前ひぜんへ進攻しんこうする際さい､長信ながのぶは武雄温泉たけおおんせんの利用りように関与かんよし､かつ境目さかいめの防備ぼうびに従事じゅうじしていたことが知しられている｡

龍造寺りゅうぞうじ氏しの領国りょうごくの実権じっけんを握にぎった鍋島なべしま氏しと龍造寺りゅうぞうじ隆信たかのぶの孫まご・高房たかふさの相克そうこくにおける幕府ばくふからの呼よび出だしに際さいしては龍造寺りゅうぞうじ信しん周しゅう、龍造寺りゅうぞうじ家か晴はれと共ともに上京じょうきょうし、鍋島なべしま氏しへの権力けんりょく移譲いじょうを容認ようにんした。

嫡男ちゃくなんで初代しょだい多久たく領主りょうしゅの安あん順じゅんは、後こう多久たく氏しの祖そとなる。

系譜けいふ

• 父ちち：龍造寺りゅうぞうじ周しゅう家か（1504-1545）
• 母はは：慶けい誾尼（1509-1600）? - 龍造寺りゅうぞうじ胤たね和わ娘むすめ
• 室しつ：小田おだ政光まさみつ娘むすめ
  • 嫡男ちゃくなん：多久たく安やすし順じゅん（1566/63-1641）
• 生母せいぼ不明ふめいの子女しじょ
  • 女子じょし：後藤ごとう家か忠ただし室しつ
  • 女子じょし：真光しんこう院いん - 鍋島なべしま茂しげる賢けん正室せいしつ

参考さんこう文献ぶんけん

• 鈴木すずき敦子あつこ『龍造寺りゅうぞうじ氏し領国りょうごくにおける物資ぶっし輸送ゆそうと長信ながのぶの役割やくわり』同どう成なり社しゃ、2011年ねん。 
• 中村なかむら知裕ともひろ「中世ちゅうせい九州きゅうしゅうの温泉おんせんと権力けんりょく・交通こうつう」『七隈ななくま史学しがく』9号ごう､2008年ねん。
• 中村なかむら知裕ともひろ「龍造寺りゅうぞうじ氏しの軍事ぐんじ活動かつどうと山林さんりん資源しげんの調達ちょうたつ」『七隈ななくま史学しがく』12号ごう、2010年ねん。 
• 中村なかむら知裕ともひろ「龍造寺りゅうぞうじ氏しの肥前ひぜん西部せいぶ侵攻しんこうと龍造寺りゅうぞうじ長信ながのぶ」『古文書こもんじょ研究けんきゅう』83号ごう、2017年ねん。