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脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほうデータベース

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CWEから転送てんそう

脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほうデータベース(ぜいじゃくせいじょうほうデータベース)とは、脆弱ぜいじゃくせいかんする情報じょうほうデータベースし、ひろ一般いっぱん公開こうかいするためのプラットフォームである。

概要がいよう

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脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほう)データベースは、「脆弱ぜいじゃくせいすべての情報じょうほう詳細しょうさいにわたって一般いっぱん公開こうかいされているべき」とするフルディスクロージャ運動うんどう具現ぐげんひとつである。このようなデータベースの構築こうちくによって、フルディスクロージャとしての利点りてん設計せっけいしゃ開発かいはつしゃ過去かこ失敗しっぱいからまなぶことが可能かのう」といったてん補助ほじょするものとなりる。

このようなデータベースが作成さくせいされるまでは、脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほう統一とういつてきあつか仕組しくみは存在そんざいしておらず、せいぜい脆弱ぜいじゃくせいあつかうツール(SATAN(Security Administrator's Tool for Analyzing Network)やSAINT(Security Administrator's Integrated Network Tool)といったセキュリティスキャナなど)が個別こべつ独自どくじのデータベースを保持ほじしているにとどまっていた。脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほうデータベースの登場とうじょうには「セキュリティ脆弱ぜいじゃくせいのデータベースについての研究けんきゅうワークショップ」がからんでいる。だい1かい1996ねん開催かいさいされているが、それから3ねん1999ねん1がつ22にち - 1がつ24にちパデュー大学だいがく情報じょうほう保証ほしょう教育きょういく研究けんきゅうセンター(Center for Education and Research in Information Assurance、通称つうしょうCERIAS)でだい2かい開催かいさいされた時点じてんにおいても、このような脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほうデータベースは存在そんざいしていなかった。しかし、このだい2かい開催かいさいにおいて、アメリカ政府せいふ支援しえんけた営利えいり団体だんたいMITREしゃによって脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほうデータベースの具体ぐたいてき構築こうちくけての提案ていあんおこなわれ、その具体ぐたいてき検討けんとうおこなわれたことをきっかけに、CVEが作成さくせいされることとなった。そのも、様々さまざまかたち言語げんご多種たしゅ脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほうデータベースが登場とうじょうしており、それらの情報じょうほう相互そうご参照さんしょう可能かのうなものとなっている。

脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほう)データベース

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Common Vulnerabilities and Exposures (CVE)

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MITREしゃが1999ねん前述ぜんじゅつの「セキュリティ脆弱ぜいじゃくせいのデータベースについての研究けんきゅうワークショップ」で提案ていあんし、実現じつげんさせた脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほうデータベースである[1][2]脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほうデータベースとことなり、内容ないようがベンダ依存いぞんでない(業界ぎょうかい標準ひょうじゅんめいもちいられている)ことが利点りてんとしてげられる。なお、MITREしゃはCVEをデータベースではなく辞書じしょだとしている[3]。その真意しんいは、CVEの目的もくてきは「識別しきべつ可能かのうせい確保かくほ個々ここ脆弱ぜいじゃくせい固有こゆうのCVE番号ばんごうあてて、CVE番号ばんごうによって脆弱ぜいじゃくせい識別しきべつ可能かのうとすること」と「命名めいめい個々ここ脆弱ぜいじゃくせいに(業界ぎょうかい標準ひょうじゅんてきな)名前なまえけること」であり、詳細しょうさい情報じょうほう外部がいぶサイトや脆弱ぜいじゃくせいデータベースにまかせるというものである。

CVEへの報告ほうこくはCVE Editorial Boardによっておこなわれるが、報告ほうこくは「過去かこにCVE Editorial Boardへの報告ほうこくおこなったことがあるもの」であるか、「過去かこにCVE Editorial Boardへの報告ほうこくおこなったことがあるものによる仲介ちゅうかい」を必要ひつようとする。報告ほうこくおこなわれると、その情報じょうほうにはCAN番号ばんごう(CAN-西暦せいれきねん-4けた以上いじょう通番つうばん)という番号ばんごうてられる。その報告ほうこくされた脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほうのCVE Editorial Boardによる評価ひょうかわったのち、CVE番号ばんごう(CVE-西暦せいれきねん-4けた以上いじょう通番つうばん)となる。評価ひょうか結果けっか複数ふくすうのCAN番号ばんごう同一どういつ脆弱ぜいじゃくせいしめしているならおなじCVE番号ばんごうてられることとなり、ぎゃくに、1つのCAN番号ばんごう複数ふくすう脆弱ぜいじゃくせいまれている場合ばあい複数ふくすうのCVE番号ばんごうてられることとなる。

なお、2013ねんまでのCVE番号ばんごうは、「CVE-西暦せいれきねん-4けた通番つうばん」の形式けいしきられていたが、報告ほうこくされる脆弱ぜいじゃくせい増加ぞうかし、年間ねんかんで1まんけんえて4けたではりなくなることが確実かくじつとなったことから、2014ねん1がつ1にちからは、通番つうばん部分ぶぶんが4けた以上いじょう改定かいていされた[4]

ICAT Metabase (ICAT)

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アメリカ国立こくりつ標準ひょうじゅん技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょ(National Institute of Standards and Technology、通称つうしょうNIST) が過去かこ管理かんりしていた脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほうデータベースである。現在げんざい機能きのう強化きょうかされたNVDに移行いこうしている。

National Vulnerability Database (NVD)

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NIST管理かんりしている脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほうデータベースである。米国べいこくが2002ねん発表はっぴょうした「サイバーセキュリティ国家こっか戦略せんりゃく」において、「国土こくど安全あんぜん保障ほしょうきょく一般いっぱん市民しみんたいして、脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほう通知つうちする義務ぎむがある」という理由りゆうによって、ICATをベースに機能きのう強化きょうかされたものとして作成さくせいされた。

NISTはMITRE/CVEのスポンサーであり、CVEで命名めいめいされた脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほう詳細しょうさい情報じょうほうをNVDで提供ていきょうするというじゅうけをおこなっている。また、脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほうデータベースとのちがいとして、共通きょうつう脆弱ぜいじゃくせい評価ひょうかシステム Common Vulnerability Scoring System(CVSS)による危険きけん採点さいてんおこなっているてんげられる。NVDとCVEとの具体ぐたいてきちがいや役割やくわりについては、つぎのように説明せつめいされている。つまり、CVEは、一般いっぱん大衆たいしゅう公開こうかいされているサイバーセキュリティの脆弱ぜいじゃくせい暴露ばくろのリストであって、無料むりょう検索けんさく使用しよう製品せいひん・サービスにむことができるものである。一方いっぽう、NVDは、CVEのリストにさらなる解析かいせきやデータベース、詳細しょうさい検索けんさくエンジンなどを追加ついかしたものである。NVDはCVEと同期どうきしているので、CVEの更新こうしんがあるとただちにNVDの情報じょうほう更新こうしんおこなわれる[5]

Japan Vulnerability Notes (JVN)

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JPCERT/CC情報処理じょうほうしょり推進すいしん機構きこう(IPA)が共同きょうどう管理かんりしている脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほうデータベースである。公式こうしき略称りゃくしょうはJVN。CVEの管理かんり団体だんたい米国べいこくであるために日本にっぽんでの脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほう網羅もうらされているわけではなく、そのような事情じじょうかんがみて日本にっぽん脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほう焦点しょうてんいたものとなっている。

構築こうちく検討けんとうは2002ねんからおこなわれており、当初とうしょは「JPCERT/CC Vendor Status Notes」の名前なまえ作成さくせいされる予定よていであった[6][7]。その検討けんとう結果けっか、「Japan vendor status notes」(この略称りゃくしょうもJVN)の名前なまえで2004ねん7がつより正式せいしき運用うんよう開始かいしする。このころ一般いっぱんけに脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほう公開こうかいするものではなく、サイト管理かんりしゃけのものであった。しかし2007ねん4がつ25にち現在げんざい名前なまえである「Japan Vulnerability Notes」に名前なまええるとともに、内容ないよう一般いっぱんけのものとしてリニューアル公開こうかいし、現在げんざいいたっている。

前述ぜんじゅつのJVNとおな団体だんたいによって管理かんりされている脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほうデータベースである。JVNが「Japan Vulnerability Notes」と名前なまええてリニューアル公開こうかいした2007ねん4がつ25にち同日どうじつもうけられたものである。

JVNとJVN iPediaのおおきなちがいは、脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほう収集しゅうしゅう範囲はんい公開こうかいタイミングにある[8]。JVNの提供ていきょうする情報じょうほう対象たいしょう範囲はんいJPCERT/CC活動かつどう中心ちゅうしんとなっているものである。つまり、JPCERT/CCにとどけられた脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほうくわえて、JPCERT/CCと協力きょうりょく関係かんけいにある他国たこく脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほう管理かんり団体だんたい提供ていきょうする情報じょうほうCERT/CC提供ていきょうする「Technical Cyber Security Alerts」(JPCERT/CCでうところのCERT advisory)や「Vulnerability Notes」、CPNI英語えいごばん提供ていきょうする「CPNI Vulnerability Advice」が対象たいしょうとなっている。たいして、JVN iPediaは「日々ひび発見はっけんされる脆弱ぜいじゃくせい対策たいさく情報じょうほう適宜てきぎ収集しゅうしゅう蓄積ちくせき」することを目的もくてきとしており、対象たいしょう範囲はんいはJVNのものにくわえて日本にっぽん国内こくない製品せいひん日本にっぽん流通りゅうつうしている製品せいひんふくまれる。JVN以外いがい情報じょうほうは、日本にっぽん国内こくないベンダーや上述じょうじゅつ#NVDからている。このように、JVN iPediaはJVNよりもさらに日本にっぽん情報じょうほうとくしたものとえる。なお、JVN iPediaはNVDから情報じょうほうていることもあり、CVSSによる危険きけん採点さいてんわせて公開こうかいしている。

このような情報じょうほう収集しゅうしゅう範囲はんいちがいから、公開こうかいタイミングもわってくることとなる。具体ぐたいてきには、JVNのJPCERT/CCにとどけられた脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほうとJVN iPediaにとどけられた脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほう公開こうかいタイミングは同様どうよう決定けっていされ、届出とどけでしゃ問題もんだいとされたソフトウェアのベンダーとの協議きょうぎうえ公開こうかい決定けっていされることになる。他国たこく脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほう管理かんり団体だんたいから提供ていきょうされる情報じょうほう公開こうかいタイミングは、提供ていきょうもと公開こうかいわせたものとなる。

Open Source Vulnerability Database (OSVDB)

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オープンソースプロジェクトとして作成さくせいされた脆弱ぜいじゃくせい情報じょうほうデータベースである。

2002ねん8がつおこなわれた「Black Hat&DEFCONカンファレンス」において構想こうそう発表はっぴょうされ、構築こうちくされることとなった。一時いちじはプロジェクトがえになりかけるものの、参加さんかメンバー一新いっしんのち2004ねん3月31にち公開こうかいされた。

共通きょうつう脆弱ぜいじゃくせい評価ひょうかシステム

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共通きょうつう脆弱ぜいじゃくせい評価ひょうかシステム Common Vulnerability Scoring Sytem(CVSS)は、情報じょうほうシステムの脆弱ぜいじゃくせいたいするオープンで汎用はんようてき評価ひょうか手法しゅほうであり、ベンダーに依存いぞんしない共通きょうつう評価ひょうか方法ほうほう提供ていきょうしている。CVSS では、基本きほん評価ひょうか基準きじゅん Base Metrics、現状げんじょう評価ひょうか基準きじゅん Temporal Metrics、環境かんきょう評価ひょうか基準きじゅん Environmental Metrics の3つの基準きじゅん脆弱ぜいじゃくせい評価ひょうかする[9]

共通きょうつう脆弱ぜいじゃくせいタイプ一覧いちらん

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共通きょうつう脆弱ぜいじゃくせいタイプ一覧いちらん Common Weakness Enumeration(CWE)では、多種たしゅ多様たよう脆弱ぜいじゃくせい種類しゅるい脆弱ぜいじゃくせいタイプとして分類ぶんるいし、それぞれにCWE識別子しきべつし(CWE-ID)を付与ふよして階層かいそう構造こうぞう体系たいけいしている。CWE は、ビュー View、カテゴリー Category、脆弱ぜいじゃくせい Weakness、ふくあい要因よういん Compound Element の4種類しゅるい分類ぶんるいされる[10]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 宮川みやがわ やすしおっと. “「セキュリティ脆弱ぜいじゃくせいのデータベースについての研究けんきゅうワークショップ」参加さんか報告ほうこく”. IPA. 2009ねん3がつ4にち閲覧えつらん
  2. ^ 共通きょうつう脆弱ぜいじゃくせい識別子しきべつしCVE概説がいせつ”. 情報処理じょうほうしょり推進すいしん機構きこう (2015ねん7がつ22にち). 2023ねん3がつ21にち閲覧えつらん
  3. ^ CVE - Avout CVE”. 2000ねん10がつ26にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2009ねん3がつ7にち閲覧えつらん
  4. ^ 脆弱ぜいじゃくせい識別しきべつするCVE番号ばんごうしん体系たいけいによるばんのおらせ”. JPCERT/CC (2014ねん9がつ24にち). 2014ねん10がつ15にち閲覧えつらん
  5. ^ https://nvd.nist.gov/general/FAQ-Sections/General-FAQs#7abed157-1ec6-45c9-9ef4-b923ae7824a7
  6. ^ JPCERT/CC Vendor Status Notes”. 2004ねん10がつ11にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2009ねん3がつ7にち閲覧えつらん
  7. ^ JPCERT/CC Vendor Status Notes DB 構築こうちくかんする検討けんとう” (PDF). 2004ねん7がつ14にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2009ねん3がつ7にち閲覧えつらん
  8. ^ JVN iPedia: JVN iPediaとは?”. 2011ねん5がつ30にち閲覧えつらん
  9. ^ 共通きょうつう脆弱ぜいじゃくせい評価ひょうかシステムCVSS v3概説がいせつ”. 情報処理じょうほうしょり推進すいしん機構きこう (2022ねん4がつ5にち). 2023ねん3がつ21にち閲覧えつらん
  10. ^ 共通きょうつう脆弱ぜいじゃくせいタイプ一覧いちらんCWE概説がいせつ”. 情報処理じょうほうしょり推進すいしん機構きこう (2018ねん5がつ31にち). 2023ねん3がつ21にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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  • "Common Vulnerabilities and Exposures". 2009ねん3がつ7にち閲覧えつらん
  • "National Vulnerability Database". 2009ねん3がつ7にち閲覧えつらん
  • "Japan Vulnerability Notes". 2009ねん3がつ7にち閲覧えつらん
  • "JVN iPedia". 2011ねん5がつ30にち閲覧えつらん
  • "Open Source Vulnerability Database". 2009ねん3がつ7にち閲覧えつらん