プレーヤーズゲーム

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DVDプレイヤーズゲームから転送てんそう

プレーヤーズゲーム、またはプレイヤーズゲーム (Players Game、略称りゃくしょうPG) は、BDプレーヤーなどのメディアプレーヤーひかりディスク再生さいせい機能きのうそなえたゲームなどで動作どうさするコンピュータゲーム総称そうしょう[1][2]

  • DVD規格きかくDVDプレーヤーズゲーム (Digital Versatile Disc Players Game、略称りゃくしょうDVDPG)
  • BD規格きかくBDプレーヤーズゲーム (Blu-ray Disc Players Game、略称りゃくしょうBDPG)
  • UMD規格きかくUMDプレイヤーズゲーム (Universal Media Disc Players Game、略称りゃくしょうUMDPG)

の3種類しゅるい存在そんざいする。ここでは、これら3つを規格きかくごとにわけて解説かいせつする。

概要がいよう[編集へんしゅう]

ムービーを主体しゅたいとするゲームせいひく作品さくひんは、海外かいがいでは「Interactive film」とばれる。メディアがフイルムだった時代じだいから存在そんざいし、1975ねん任天堂にんてんどうがアーケードでリリースした『EVRレース』がいちれいである。ディスクメディアをもちいたものとしては、1983ねんにCinematronicsしゃがアーケードでリリースしたLDゲームの『ドラゴンズレア』、1992ねんにセガが家庭かていようでリリースしたメガCDようゲームの『ナイトトラップ』などが代表だいひょうれいである。

「Interactive film」は、ドットのゲームが標準ひょうじゅんだった1980年代ねんだいから1990年代ねんだい前半ぜんはんにおいて、アニメや実写じっしゃおな画質がしつたのしめるという利点りてんがあったが、基本きほんてきにムービーを再生さいせいするだけでゲームせいひくいので、ゲームとしてはあまりたか評価ひょうかけなかった。しかも通常つうじょうのゲームとくらべて多大ただい製作せいさくがかかり、たとえばソニーイメージソフトが1993ねん発売はつばいしたメガCDようソフト『Ground Zero Texas』の製作せいさくは300まんドルと、1ほん映画えいがるのとおなじくらいかかったという。そのため、初代しょだいPlayStation(1994ねん発売はつばい)などムービーがあつかえる家庭かていようゲーム普及ふきゅうした1990ねん後半こうはん以降いこう、ポリゴンのムービーを多用たようしながらゲームせいたかくて面白おもしろ作品さくひん多数たすう登場とうじょうするようになると衰退すいたいしてしまった。

DVD再生さいせい普及ふきゅうする1990年代ねんだいまつより「Interactive film」が復活ふっかつした。アメリカでは「DVD game」などとばれる。「DVD game」はゲームせいひくいため、専用せんようコントローラーを使つかわなくてもDVDプレーヤーのリモコンでプレイできるのが利点りてんで、おも玩具おもちゃメーカーから、まだゲームあつかえないてい年齢ねんれいそうけに作品さくひん発売はつばいされた。また、DVDプレーヤーは普及ふきゅう初期しょきにはインタラクティブプレーヤーとしての展開てんかい考慮こうりょされていたため、DVDプレーヤーばんドラゴンズレア』(1998ねん)など、レーザーディスクゲーム移植いしょくばんがいくつかたが、わざわざDVDプレーヤーでゲームをしたいそう限定げんていてきであったため、リリースされたのはごくわずかの有名ゆうめいタイトルにまる。

一方いっぽう日本にっぽんでは、「DVDゲーム」は当時とうじパソコンようゲームとして流行りゅうこうしていたビジュアルノベルエロゲーとの相性あいしょうかったので、2000ねんごろよりこれらがさかんに移植いしょくされた。当時とうじはまだPCが高価こうか普及ふきゅうりつひくかったので、DVDプレーヤーさえっていれば、PCをっていないひとでもビジュアルノベルがプレイできるのが利点りてんであった。また、映像えいぞうソフトはゲームと流通りゅうつうちがうので、普段ふだんゲームをしないそうにもリーチするという供給きょうきゅうがわ思惑おもわくがあった。もっとも、2000ねん当時とうじもっと安価あんか普及ふきゅうりつたかかったDVDプレーヤーはPlayStation 2であり、PCけビジュアルノベルのヒットさくおおくはぜん年齢ねんれいけとしてPS1/PS2にも移植いしょくされていたため、市場いちば限定げんていてきであった。やがて「DVDゲーム」としてリリースされるソフトのほとんどが、PSでは正規せいきにリリースできないエロゲーの移植いしょくになった。

2000ねん発売はつばいされたPlayStation 2は、標準ひょうじゅんでDVDが再生さいせいでき、事実じじつじょうのDVDプレーヤーとして機能きのうした。また、2006ねん発売はつばいされたPlayStation 3は、標準ひょうじゅんでブルーレイ(BD)が再生さいせいでき、事実じじつじょうのBDプレーヤーとして機能きのうした。そのため、「Interactive film」は2000年代ねんだいから2010年代ねんだいにかけて、つまりDVD世代せだいからブルーレイ世代せだいにおいて、日本にっぽんでは「プレステであそべるエロゲー」として位置いちづけられ、「プレーヤーズゲーム」という独特どくとくのジャンルを形成けいせいした。

DVDプレーヤーズゲーム(DVDPG)[編集へんしゅう]

DVD-Video規格きかく準拠じゅんきょしたDVD-ROM利用りようしているため、DVDプレイヤーのリモコンやPlayStation 2などのゲーム(DVD再生さいせい機能きのうき)ようコントローラで操作そうさおこなう。DVD-Videoのマルチストーリー機能きのうをストーリーの分岐ぶんき使用しようすることでゲームを成立せいりつさせており、コマンド選択せんたくしきアドベンチャーゲームであれば、それなりに通用つうようする。一般いっぱんてきパソコンゲームちがってインストールなどの手間てまがかからず手軽てがるにゲームをたのしめる反面はんめん前述ぜんじゅつのマルチストーリー機能きのう以外いがい分岐ぶんきさせることができないため、高度こうどフラグ管理かんり不可能ふかのうである。途中とちゅう自由じゆうにセーブすることもできず、これについてはコントローラのテンキーからのパスワード入力にゅうりょくなどで代用だいようしていることがおおい。

アダルトゲームとは無関係むかんけい一般いっぱん作品さくひん場合ばあい、「インタラクティブDVD」などの名称めいしょうもちいられる。ただし、この名称めいしょう場合ばあいかならずしもゲームであるとはかぎらず、インタラクティブ(双方向そうほうこう機能きのう利用りようしたマルチストーリーのドラマアニメ、アミューズメントディスクのようなものなどもふくんでいる。

展開てんかい[編集へんしゅう]

日本にっぽんにおけるDVDゲームは、レーザーディスクの開発元かいはつもとであったパイオニアのDVD部門ぶもんであるパイオニアビデオ初期しょきより展開てんかいしており、1998ねん7がつ10日とおかにテレビゲームソフト『時空じくう探偵たんていDD~まぼろしのローレライ~』の移植いしょくさく発売はつばいしている。1998ねん8がつ15にちにはDVDゲームのオリジナル作品さくひんとして美少女びしょうじょごうコンゲーム『プロポーズだい作戦さくせん』も発売はつばいされた。開発かいはつはどちらもINNER BRAIN。この当時とうじはこの規格きかくたいするまったかたとくになかった。

成人せいじんけアドベンチャーゲームとしては、当時とうじ実写じっしゃのアダルトDVD販売はんばい会社かいしゃ在籍ざいせきしていたげんイーアンツ有田ありた昭久あきひさ発案はつあんにより2000ねん4がつ21にちNOISEから『コレクター おりなか美少女びしょうじょたち』が発売はつばいされた[3]。そのアダルトゲームアダルトビデオのメーカー各社かくしゃ発売はつばいするようになり、2001ねんコンピュータソフトウェア倫理りんり機構きこう(ソフりん主導しゅどうで「DVDプレーヤーズゲーム」の統一とういつ名称めいしょう使つかわれるようになった。略称りゃくしょうDVDPG

ソフりんがこの呼称こしょう提唱ていしょうした背景はいけいには、PCをっていないユーザーに対応たいおうすることによってアダルトゲームの裾野すそのひろげたい、という期待きたいがあった。また、DVDPGはPCゲームの流通りゅうつうではなくアダルトビデオの流通りゅうつう販売はんばいされるため、PCゲームとはちが客層きゃくそうひとってもらうという目的もくてきもあった。初期しょきには『だれひとり~常世とこよさと~』『訪問ほうもんしゃ』『なつ迷宮めいきゅう~サマーラビリンス~』『夢魔むま -Succubus-』などのDVDPGオリジナル作品さくひんもあったが、やがてほとんどがPCよう移植いしょく作品さくひんとなった。

初期しょきは『Phantom -PHANTOM OF INFERNO-』(デジターボ)のようにアダルトゲームの原作げんさくからせい描写びょうしゃ削除さくじょした作品さくひんられたが、やがて発売はつばいされるタイトルのほとんどがアダルトゲームとなった。そのおおくがPCばんのCGやキャラクターボイスなどの流用りゅうようであり、『水月すいげつ』などボイスを新規しんき収録しゅうろくする作品さくひんすくない。

PCよう移植いしょく作品さくひんもあればアダルトビデオけいメーカーが発売はつばいする実写じっしゃタイトルもあり、PCようのアダルトゲームとはことなる客層きゃくそう形成けいせいしている。おも顧客こきゃくは、「PCをっておらず、アダルトゲームのためにパソコンをうわけにもいかない」という、どっちつかずの成人せいじんけゲームユーザーとされている。もっとも、開発かいはつ意図いと顧客こきゃくのためというより、メーカーがっている「データのさい利用りよう」をおも目的もくてきとしており、ていコストでつくっている。

PCばんではDVD-ROM1まい収録しゅうろくされている作品さくひんおおいのにたいし、DVDPGではメーカーによってはDVD-ROM2まいかそれ以上いじょう枚数まいすう使つかって収録しゅうろくされることもめずらしくない。なかには、上下じょうげまきべつルートによる分割ぶんかつで1ほん原作げんさくから2ほん以上いじょう移植いしょくさくつくられることもある。

アメリカでは、日本にっぽんのビジュアルノベルを翻訳ほんやくしてアメリカけにリリースする「AnimePlay」(AnimePlay PC)シリーズを2000ねんより展開てんかいしていたヒラメキインターナショナルというメーカーが、おなじく日本にっぽんのDVDPGを翻訳ほんやくして展開てんかいする『AnimePlay DVD』シリーズを展開てんかいし、日本にっぽんのDVDPGをそのまま、あるいは『魔女まじょのおちゃかい』(2004ねん)など日本にっぽん家庭かていようゲームをDVDPGして発売はつばいしていたが、アメリカ市場いちばれられたとはいいがたく、2008ねん事業じぎょう停止ていしした。

BDプレーヤーズゲーム(BDPG)[編集へんしゅう]

BDプレーヤー/レコーダーようBDもちいたBDPG2006ねん以降いこう登場とうじょうしている[4]操作そうさ方法ほうほうはDVDPGそのままに、DVD以上いじょう画質がしつ音質おんしつでゲーム内容ないようたのしめる。

BD-J(Blu-ray Disc Java)を使つかうことにより、DVDPGでは不可能ふかのうだったPCゲームによりちか複雑ふくざつ内容ないよう実現じつげん可能かのうである。ただし、BDプレーヤー/レコーダーの性能せいのうによっては動作どうさおもくなることもある。

アダルトゲームにかんしてはDVDPGがひろ定着ていちゃくしていたためながらく開発かいはつされなかったが、2010ねん5月21にちにはmintsより『After... BDPG』と『あきら まぼろしゆめかん BDPG』がアダルトゲームはつのBDPGとして同時どうじ発売はつばいされた。これらには、DVDPGばんでは不可能ふかのうだったセーブ機能きのうなども実装じっそうされている。

アダルトゲームメーカーのビジュアルアーツは、『あそべる!BD-GAME』シリーズだい1だんとして『Kanon』など6タイトルを2011ねん12月16にち発売はつばいした。これら6タイトルは『あそBD』の動作どうさ環境かんきょうにおいて、PCではPowerDVD11以降いこうTotalMedia_Theatreでもプレイ可能かのう表記ひょうきされている[5]。しかし、2012ねん前半ぜんはんまでに発売はつばいされた初期しょき8作品さくひん以外いがいについてはこれらをふくむPCじょうでのプレイはサポート対象たいしょうがいとなっている[6]。サポートページやスペック情報じょうほうページにてBD-Live使用しようしていることが明記めいきされている[7][6]

UMDPG[編集へんしゅう]

PlayStation PortableようUMDもちいたUMDPG2005ねん以降いこう登場とうじょうしている。UMD自体じたい一般いっぱん規格きかくであるが、現状げんじょうではUMDを再生さいせい可能かのう機器ききがPSP(PSP-1000/2000/3000がた)しかないため、UMDPGは事実じじつじょう「PSPようアダルトゲーム」となっていた。

レインソフトウェアなど他社たしゃ共同きょうどうでPalaceを意欲いよくてきにUMDPGを販売はんばいしていた。また、UMDPGのほとんどは18きんであるが、JIN企画きかくのオリジナル作品さくひんは、(CEROやソフりんなどから審査しんさけておらず)自主じしゅ規制きせい一環いっかんとして「15さい〜18さい以上いじょう推奨すいしょう」となっていた。

Players Gameメーカー一覧いちらん[編集へんしゅう]

現存げんそん[編集へんしゅう]

現存げんそんするメーカーは以下いか[8]

活動かつどう休止きゅうし[編集へんしゅう]

撤退てったい[編集へんしゅう]

Players Gameオリジナル作品さくひん[編集へんしゅう]

実写じっしゃ作品さくひんのぞく。

DVDPG
  • 夢魔むま SUCCUBUS (2002ねん、D.V.S)
  • だれひとり~常世とこよさと~(2002ねん千歳ちとせ
  • トロイメライ~服従ふくじゅう~(2002ねん、SAKURADO・R2Corp)
  • 訪問ほうもんしゃ(2003ねん、ファボライト)
  • JAN しのげしいたげ野球やきゅうけん(2003ねん、ソシエッタ)
  • DOUBLE RONDE DVDPG - MAHJONG & QUIZ -(2003ねん、BLACKRAINBOW)
  • WATCH!封印ふういん妖精ようせい(2003ねんみやびおう
  • エロポリー マーシーをさがせ!(2003ねん、ソシエッタ)
  • もういちど…~close your eyes~(2004ねんみやびおう
  • しばってポン!(2004ねん、ソシエッタ)
  • なつ迷宮めいきゅう~サマーラビリンス~(2004ねん、ブロードゲーム)
  • エロリンピック婦人ふじんけいかん保母ほぼ・ビーチバレー選手せんしゅへん(2004ねん、プチチェリー)
  • エロリンピック人妻ひとづま英会話えいかいわ講師こうし女子じょし校生こうせいへん(2004ねん、プチチェリー)
BDPG
  • クドわふたー あそBD(2013ねん、あそべる!BD-GAME)[10]
UMDPG
  • 遠野とおの屋形やかた だいいちしょう契約けいやく」(2008ねん、ソシエッタ)

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ TSUTAYA R18
  2. ^ HMV&BOOKS ONLINE
  3. ^ Galge.com - 特集とくしゅう - 「メーカー訪問ほうもん:イーアンツへん”. web.archive.org (2007ねん12月31にち). 2021ねん2がつ2にち閲覧えつらん
  4. ^ ゲベット、BDビデオはつ恋愛れんあいアドベンチャーゲームを発売はつばい”. av.watch.impress.co.jp. 2021ねん2がつ2にち閲覧えつらん
  5. ^ スペック情報じょうほう(2011ねん発売はつばいタイトル)”. あそべる! BDゲーム『あそBD』公式こうしきサイト. 2021ねん2がつ2にち閲覧えつらん
  6. ^ a b スペック情報じょうほう”. あそべる! BDゲーム『あそBD』公式こうしきサイト. 2021ねん2がつ2にち閲覧えつらん
  7. ^ あそBD 2011ねん発売はつばいタイトル サポートページ”. bd-game.product.co.jp. 2021ねん2がつ2にち閲覧えつらん
  8. ^ PlayersGame・ブランド一覧いちらん”. www.getchu.com. 2021ねん2がつ2にち閲覧えつらん
  9. ^ 動作どうさ環境かんきょうHUBLOTS
  10. ^ クドわふたー あそBD 【BDPG】

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

  1. ^ https://www.videolan.org/vlc/releases/3.0.0.html