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Display PostScript

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

Display PostScript (DPS) は、画面がめんじょう表示ひょうじシステムである。名前なまえしめすとおり、Display PostScriptはPostScript (PS) のイメージモデルと言語げんご使つかって画面がめんじょうのグラフィックスを生成せいせいする。

NeXT一連いちれんUNIXベースのコンピュータで表示ひょうじシステムとして採用さいようされた。当初とうしょのバージョンはアドビシステムズ開発かいはつしたが、Display PostScriptの完全かんぜん実装じっそうはNeXTが主体しゅたいとなってアドビの協力きょうりょくった。NeXTのオペレーティングシステム以外いがいではアドビが独自どくじ標準ひょうじゅんし、ライセンス条件じょうけん設定せっていして製品せいひんしている。

PostScriptからの変更へんこうてん

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対話たいわ機能きのうをサポートし、画面がめん表示ひょうじえうる性能せいのうにするため、以下いかのような変更へんこうくわえられた。

複数ふくすう実行じっこうコンテクスト
逐次ちくじてき処理しょりされるプリンタの場合ばあいとはことなり、DPSは複数ふくすうウィンドウ同時どうじ表示ひょうじし、それぞれのウィンドウに様々さまざま設定せっていがある。そのため、ウィンドウごと(プロセスごと)にコンテクスト(状態じょうたいデータのセット)をアクティブに保持ほじするよう修正しゅうせいされた。
名前なまえ符号ふごう
PostScriptでは、プロシージャやデータ構造こうぞうおおくは名前なまえ参照さんしょうされる。DPSでは名前なまえ数値すうちえて、参照さんしょう高速こうそくした。
対話たいわ機能きのうサポート
たり判定はんていのような機能きのうなど、対話たいわ制御せいぎょのためのプロシージャが定義ていぎされた。
ハーフトーン・フェーズ
スクロール性能せいのう向上こうじょうさせるため、DPSではあらたにえる部分ぶぶんだけを描画びょうがし、それ以外いがい部分ぶぶんはすでにある画像がぞうデータをさい描画びょうがせずにシフトさせている。しかし、そのためにハーフトーンがうまくととのわず、画像がぞう不要ふようせん矩形くけいえるようになる。DPSはハーフトーンをととのえるコードを追加ついかしている。ただし、最近さいきんのフルカラーのディスプレイではハーフトーンを使つかうことはないため、この技術ぎじゅつ現在げんざいではあまり重要じゅうようではない。
インクリメンタル・アップデート
PSコードを解釈かいしゃくして印刷いんさつする場合ばあいshowpage到達とうたつしてはじめて印刷いんさつおこなわれる。しかし、つねこまかい更新こうしん必要ひつようなディスプレイでは、この方式ほうしき不適切ふてきせつである。DPS では、ユーザープログラムから命令めいれいたびにほぼリアルタイムに描画びょうがするモードを追加ついかした。
ビットマップフォントのサポート
DPSでは、PSフォントをビットマップフォントにマップし、その変換へんかんする機能きのう追加ついかされている。PSのフォントはてい解像度かいぞうど機器ききおもにうまく機能きのうするが、ここでいう「てい解像度かいぞうど」とは300dpi程度ていどのことであり、NeXTの画面がめんの96dpiではない。その場合ばあいはビットマップフォントのほうがよい出力しゅつりょくられる。
プログラミング言語げんごサポート
DPSでは、"pswrap" という概念がいねん導入どうにゅうされた。これはPostScriptコードをC言語げんご関数かんすうないみ、アプリケーションからせるようにしたものである。

なお、DPSにはウィンドウシステムまれていない。ウィンドウシステムは別途べっと実装じっそうする必要ひつようがあり、これによってDPSを既存きそんのウィンドウシステムとわせて利用りようすることができる。X Window Systemわされることがおおく、そのようなかたちのちIBMシリコングラフィックスがワークステーションにDisplay PostScriptを採用さいようした。X WindowからDPSをさいのインタフェース部分ぶぶんのコードはDPS本体ほんたいよりも複雑ふくざつすることがおおい。ほかにも選択肢せんたくしはあるため、DPSはひろ採用さいようされるにはいたらなかった。

NeXTでのDisplay PostScript

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NeXT開発かいはつしゃは、NeXTのオブジェクト指向しこうオペレーティングシステム利点りてん最大限さいだいげんかすため、まったあたらしいウィンドウシステム開発かいはつした。DPSにウィンドウを生成せいせいするためのコマンドやイベントに対応たいおうするためのコマンドが追加ついかされた。これはNeWSにもているが、より単純たんじゅんである。APIを統一とういつすることでたか抽象ちゅうしょうレベルでのプログラミングが容易よういになり、NeXTはDPSを多用たようした数少かずすくないシステムのひとつとなった。ユーザ空間くうかんでのウィンドウシステムのライブラリであるNEXTSTEP, OPENSTEPは、タイトルバーやスクロールバーなどのアイテムをPostScriptを使つかって描画びょうがしている。これは、実際じっさいにはpswrap多用たようしたもので、プログラマからはオブジェクトのかたちでアクセスできるようになっている。

NeXT以後いご

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AppleがNeXTのOPENSTEP後継こうけいシステムとしてリリースしたMac OS X採用さいようした独自どくじのウィンドウサーバQuartzは、PostScriptコードを格納かくのう実行じっこうするのではなく、ビットマップとしてウィンドウのグラフィックスをキャッシュする。Quartz 2Dというグラフィックスライブラリは、PostScriptにPDFのグラフィックス・プリミティブを提供ていきょうするが、これはあくまでもアプリケーションのフレームワークであり、ウィンドウサーバないではPostScriptもPDFも存在そんざいしない。Appleがこのようなモデルを採用さいようした理由りゆうはいろいろあるが、アドビがDPSのライセンスりょうとして提示ていじした金額きんがくおおきかったこと、CarbonClassicのコードをより効率こうりつてきにサポートすること、QuickDrawベースのアプリケーションがビットマップによる描画びょうがおこなっていることなどがげられる。アドビのPDF規格きかくのライセンス条件じょうけんはずっとゆるく、条件じょうけんきで無料むりょうでソフトウェアにPDFフォーマットを採用さいようできるようになっている。

参考さんこう文献ぶんけん

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外部がいぶリンク

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