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エチルtert-ブチルエーテル

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ETBEから転送てんそう
エチルtert-ブチルエーテル[1]
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識別しきべつ情報じょうほう
略称りゃくしょう ETBE
CAS登録とうろく番号ばんごう 637-92-3 チェック
PubChem 12512
ChemSpider 11996 チェック
UNII 3R9B16WR19 チェック
EC番号ばんごう 211-309-7
ChEBI
RTECS番号ばんごう KN4730200
特性とくせい
化学かがくしき C6H14O
モル質量しつりょう 102.17 g mol−1
外観がいかん 無色むしょく透明とうめい液体えきたい
密度みつど 0.7364 g/cm3
融点ゆうてん

-94 °C, 179 K, -137 °F

沸点ふってん

69 - 71 °C, 271 K, -27 °F

みずへの溶解ようかい 1.2 g/100 g
危険きけんせい
GHSピクトグラム 可燃性急性毒性(低毒性)
GHSシグナルワード 危険きけん(DANGER)
Hフレーズ H224, H225, H315, H319, H335, H336
Pフレーズ P210, P233, P240, P241, P242, P243, P261, P264, P271, P280, P302+352, P303+361+353, P304+340, P305+351+338
引火いんかてん −19 °C (−2 °F; 254 K)
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・つねあつ (100 kPa) におけるものである。

エチルtert-ブチルエーテル(ethyl tert-butyl ether、略称りゃくしょう ETBE)とは、エタノールイソブテンから合成ごうせいされる化学かがく物質ぶっしつである。消防しょうぼうほうさだめるだい4るい危険きけんぶつ だい1石油せきゆるい該当がいとうする[2]

自動車じどうしゃ燃料ねんりょう混合こんごうして使用しようされている。

さん触媒しょくばいにより ETBE を合成ごうせいする反応はんのうしきしたしめす。

ETBE の合成法

特性とくせい

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  • 蒸気じょうきあつひくいため燃料ねんりょう揮発きはつしにくい。
  • オクタン価おくたんか火花ひばな点火てんかしきエンジンよう燃料ねんりょうのアンチノックせいあらわ尺度しゃくど)がたかいため、アンチノックせいすぐれている。このため、MTBE同様どうようオクタン価おくたんか向上こうじょうざいとして活用かつようされる[3]
  • みずとのあい溶性ようせいひくいため、みず混和こんわしにくい。

ガソリンへの混合こんごう規制きせい

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ガソリンへの ETBE の混合こんごうについては、日本にっぽんにおいては揮発きはつとう品質ひんしつ確保かくほとうかんする法律ほうりつにより、やく8.3%wt.までとされている(明示めいじはないが、含酸もとりつ1.3%wt.との規制きせいによりそのような計算けいさんとなる)。

ETBE混合こんごうガソリンの特性とくせい

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環境かんきょうへの影響えいきょう

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ETBE をガソリンに混合こんごうしても、蒸気じょうきあつ上昇じょうしょうせず、ガソリンからの燃料ねんりょう蒸発じょうはつガスを増加ぞうかさせないため、光化学こうかがくスモッグ発生はっせい影響えいきょうおよぼさない。

自動車じどうしゃ部材ぶざいへの影響えいきょう

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ETBE混合こんごうガソリンは、水分すいぶん混入こんにゅうしても、ETBE がみず混和こんわして分離ぶんりすることがなく、水分すいぶん除去じょきょすることも可能かのうであり、ガソリンの性状せいじょう変化へんかしない。このため、金属きんぞく腐食ふしょくやゴムの劣化れっかとうしょうじず、自動車じどうしゃ安全あんぜんせい走行そうこう性能せいのう問題もんだいしょうじない。

消火しょうか

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2008ねん東京とうきょう消防庁しょうぼうちょう消防しょうぼうたいよう器材きざい使用しようした消火しょうか実験じっけん結果けっか以下いかよう報告ほうこくした[4]

  1. エタノール濃度のうどたかくなるほど消火しょうか時間じかん必要ひつようとなる。
  2. エタノール含有がんゆうりつ10%程度ていどまではガソリンとおおきな差違さいい。
  3. ETEB7 の消火しょうかにはガソリンと同様どうよう合成ごうせい界面かいめん活性かっせいざいあわによる消火しょうか可能かのうである。
  4. E30 にたいしては、水溶すいようせい液体えきたいようあわおよびみずなりまくあわ使用しようすると、合成ごうせい界面かいめん活性かっせいざいあわよりも短時間たんじかん消火しょうか可能かのうである。
  5. あわ消火しょうか燃料ねんりょうあわ放射ほうしゃを10秒間びょうかん継続けいぞくすることでさい着火ちゃっか防止ぼうし出来できた。

人体じんたいへの影響えいきょうについて

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ETBEについて、急性きゅうせい毒性どくせい発癌はつがんせいなどのデータ・情報じょうほう十分じゅうぶんではないことから、その人体じんたいへの影響えいきょう毒性どくせい評価ひょうかはまだ十分じゅうぶんにはあきらかになっていない。

ETBEは、生物せいぶつ体内たいないへの蓄積ちくせきせいはないものの、なん分解ぶんかいせいであり、かつ、ひとへの長期ちょうき毒性どくせいうたがいがあるとされている。このため、くににおいては、平成へいせい18年度ねんどから2かねん予定よていで、ETBE導入どうにゅう環境かんきょう整備せいび一環いっかんとして、ETBE の化学かがく物質ぶっしつリスクにかんする調査ちょうさ研究けんきゅうおこなうこととしている。化学かがく物質ぶっしつ審査しんさおよ製造せいぞうとう規制きせいかんする法律ほうりつで「だいしゅ監視かんし化学かがく物質ぶっしつ」とされていたが、ほう改正かいせいにより一般いっぱん化学かがく物質ぶっしつあつかいになった。

なお、オーストラリアでは ETBE の毒性どくせいかんする知見ちけん十分じゅうぶんでないとして、ガソリンへの ETBE の添加てんか禁止きんししている[5]

ETBE の吸入きゅうにゅう曝露ばくろ代謝たいしゃされるさい体内たいないでは中間ちゅうかん代謝たいしゃぶつとして発癌はつがんせい物質ぶっしつのアルデヒドるいつくられる[6]、マウスを使つかった動物どうぶつ実験じっけんでは肝臓かんぞう細胞さいぼうのDNA損傷そんしょう誘発ゆうはつすると報告ほうこくされた[6]。またこう濃度のうど曝露ばくろによって、精子せいし運動うんどうりつ前進ぜんしんせい運動うんどう精子せいしりつ低下ていかなどがみとめられたとの報告ほうこくがある[7]。なお、これらの有害ゆうがい作用さよう東洋とうようじんおおいおさけよわ体質たいしつ2がたアルデヒドだつ水素すいそ酵素こうそ活性かっせい欠損けっそん)によっておおきくなることが示唆しさされると報告ほうこくされた[7]

バイオETBE混合こんごうガソリンの販売はんばい

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バイオエタノール原料げんりょうとするETBEはスペインフランスドイツなどで以前いぜんからガソリンに混合こんごうして使用しようされていたが、日本にっぽんでも2007ねん4がつ27にちから東京とうきょう近郊きんこう皮切かわきりに混合こんごうガソリンの販売はんばいはじまった[8]

エタノールはサトウキビなどから生成せいせいされたバイオマスエタノール使用しようし、イソブテンは石油せきゆ生成せいせい過程かてい副産物ふくさんぶつとしてられたものを使用しようしている。 2007ねん4がつ発売はつばいされた混合こんごう燃料ねんりょうのETBEはフランスから輸入ゆにゅうされたものである。

バイオエタノールを利用りようした燃料ねんりょうとしてはETBEのほかに、ガソリンに直接ちょくせつエタノールを混合こんごうするE3方式ほうしきのものが2007ねんなつ販売はんばい開始かいしされる予定よていである。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Merck Index, 11th Edition, 3732.
  2. ^ 法規ほうき情報じょうほう (東京とうきょう化成かせい工業こうぎょう株式会社かぶしきがいしゃ)
  3. ^ メチル‐ターシャリ‐ブチルエーテル 厚生こうせい労働省ろうどうしょう 職場しょくばのあんぜんサイト
  4. ^ 黒田くろだ裕司ゆうじ, 菊地きくち保正やすまさ, 尾川おがわ義雄よしお, 「アルコール含有がんゆうガソリンの消火しょうかかんする検証けんしょう -消防しょうぼうたいよう器材きざいによるアルコール含有がんゆうガソリン火災かさい消火しょうか時間じかん-」『日本にっぽん火災かさい学会がっかいろん文集ぶんしゅう』 58かん 2ごう 2008ねん p.41-45, 日本にっぽん火災かさい学会がっかい, doi:10.11196/kasai.58.2_41
  5. ^ 「ETBEについて」 (PDF) 平成へいせい15ねん10がつ10日とおか実施じっしだい3かい再生さいせい可能かのう燃料ねんりょう利用りよう推進すいしん会議かいぎ 資料しりょう3(環境省かんきょうしょうウェブサイト)[リンク]
  6. ^ a b おう銓, 須田すだめぐみ, 大谷おおや勝己かつみ, 王瑞生おうずいき, ETBE慢性まんせい吸入きゅうにゅう曝露ばくろによるAldh2遺伝子いでんしノックアウトマウスの肝臓かんぞうDNA損傷そんしょうについて」『日本にっぽんトキシコロジー学会がっかい学術がくじゅつ年会ねんかい』 2010ねん 37かん だい37かい日本にっぽんトキシコロジー学会がっかい学術がくじゅつ年会ねんかい, セッションID:P109, p.309, doi:10.14869/toxp.37.0.309.0
  7. ^ a b 王瑞生おうずいき, 大谷おおや勝己かつみ, 須田すだめぐみ, おう銓, 「ETBE慢性まんせい吸入きゅうにゅう曝露ばくろによるALDH2遺伝子いでんしノックアウトマウスの生殖せいしょくけいへの影響えいきょうにつ いて」『日本にっぽんトキシコロジー学会がっかい学術がくじゅつ年会ねんかい』 2010ねん 37かん, だい37かい日本にっぽんトキシコロジー学会がっかい学術がくじゅつ年会ねんかい, セッションID:P177, p.377, doi:10.14869/toxp.37.0.377.0
  8. ^ 「バイオガソリンについて」 石油せきゆ連盟れんめいウェブサイト

関連かんれん項目こうもく

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出典しゅってん

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  • 「ETBE利用りよう検討けんとうワーキンググループとりまとめ」総合そうごう資源しげんエネルギー調査ちょうさかい石油せきゆ分科ぶんかかい石油せきゆ部会ぶかい燃料ねんりょう政策せいさくしょう委員いいんかいETBE利用りよう検討けんとうワーキンググループ(だい9かい平成へいせい18ねん4がつ4にち開催かいさい