(Translated by https://www.hiragana.jp/)
緑色蛍光タンパク質 - Wikipedia コンテンツにスキップ

緑色みどりいろ蛍光けいこうタンパク質たんぱくしつ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
GFPから転送てんそう

(りょくしょくけいこうタンパクしつ、えい: green fluorescent protein、GFP)はオワンクラゲがもつ分子ぶんしりょうやく27 kDa蛍光けいこうせいをもつタンパク質たんぱくしつである。1960年代ねんだい下村しもむらおさむによってイクオリンとともに発見はっけん分離ぶんり精製せいせいされた[1]下村しもむらはこの発見はっけんで2008ねんにノーベル化学かがくしょう受賞じゅしょうした[2]

概説がいせつ

[編集へんしゅう]
緑色みどりいろ蛍光けいこうタンパク質たんぱくしつ構造こうぞう結晶けっしょうのリボン・ダイアグラム)
みみをGFPたんぱくで標識ひょうしきされたマウス
緑色蛍光タンパク質遺伝子を組み込んだ大腸菌
緑色みどりいろ蛍光けいこうタンパク質たんぱくしつ遺伝子いでんしんだ大腸菌だいちょうきん

オワンクラゲの生体せいたいないではイクオリンふく合体がったい形成けいせいしている。イクオリンは、単体たんたいでは細胞さいぼうないカルシウム感知かんちして最大さいだい蛍光けいこう波長はちょう460 nm青色あおいろ発光はっこうバイオルミネセンス)であるが、オワンクラゲの発色はっしょく細胞さいぼうないでは、GFPがイクオリンから励起れいきエネルギーをけ、最大さいだい蛍光けいこう波長はちょう508 nmの緑色みどりいろ蛍光けいこうはっする(フェルスターがたエネルギー転移てんい)。GFPの緑色みどりいろ蛍光けいこう発色はっしょくかんしては、下村しもむら一連いちれん研究けんきゅうにより提唱ていしょうされた発色はっしょくだん分子ぶんし構造こうぞうモデルをもとに、10すうねんて1990年代ねんだいになって発色はっしょくだん分子ぶんし構造こうぞう確認かくにんされた。GFP分子ぶんしないでの発色はっしょくだん形成けいせいには自己じこ脱水だっすい結合けつごうのみで充分じゅうぶんであり、酵素こうそなど分子ぶんしたすけを必要ひつようとしない。

GFPは励起れいきこうてると単体たんたいでも蛍光けいこう発光はっこうフォトルミネセンス)する。下村しもむらによるその発見はっけんから30ねん1990年代ねんだい、ワード (Ward) ・プラッシャー(Prasher)らのグループがGFP遺伝子いでんし同定どうていクローニング成功せいこう[3]チャルフィーチエンらのグループがトランスジーンとして異種いしゅ細胞さいぼうへのGFP導入どうにゅう発現はつげん成功せいこうした(チャルフィーおよびチエンもまた、下村しもむら同時どうじにノーベル化学かがくしょう受賞じゅしょうしている)。GFPの発色はっしょく基質きしつ必要ひつようとしないことや単体たんたい機能きのうするなどの特徴とくちょうから、また、発色はっしょくだん形成けいせい酵素こうそ反応はんのう必要ひつようでないこと、異種いしゅ細胞さいぼうへの発現はつげん方法ほうほう確立かくりつしたことなどから1990年代ねんだいレポーター遺伝子いでんしとしてひろ普及ふきゅうした。

野生やせいがたタンパク質たんぱくしつをもとに遺伝子いでんし工学こうがくによって、蛍光けいこう強度きょうど波長はちょう特性とくせいいたりてき温度おんど発色はっしょくだん形成けいせい速度そくどなど様々さまざまことなる改変かいへんがたGFPがつくられている。GFPおよび、改変かいへんがたGFPは、細胞さいぼう生物せいぶつがく発生はっせい生物せいぶつがく神経しんけい細胞さいぼう生物せいぶつがくなどをはじめとしてもっとひろ使つかわれるレポーター遺伝子いでんしとなっている。

GFPはリアルタイム、かつ、そので(in situ細胞さいぼう破壊はかい必要ひつようがない)検出けんしゅつでき、タンパク質たんぱくしつとの融合ゆうごうタンパク質たんぱくしつとしても機能きのう発揮はっきする(GFPタグ)ことから、とく細胞さいぼうないシグナル伝達でんたつなどに関与かんよするタンパク質たんぱくしつ細胞さいぼうない局在きょくざいあきらかにするツールとして、なくてはならぬものとなっている。ただし実験じっけん対象たいしょうタンパク質たんぱくしつ機能きのう影響えいきょうあたえるおそれが皆無かいむではないので、結果けっか解釈かいしゃく慎重しんちょうにすべきである(現在げんざいこれにわるてい分子ぶんし試薬しやく開発かいはつされつつある)。

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ Shimomura, O.; Johnson, F. H.; Saiga, Y. (1962). “Extraction, purification and properties of aequorin, a bioluminescent protein from the luminous hydromedusan, Aequorea”. J. Cell. Comp. Physiol. 59: 223–239. PMID 13911999. 
  2. ^ ニュース - 科学かがく宇宙うちゅう - ノーベル化学かがくしょうはGFP発見はっけんしゃ開発かいはつしゃ記事きじ全文ぜんぶん”. ナショナルジオグラフィック 公式こうしき日本語にほんごサイト (2008ねん10がつ8にち). 2008ねん10がつ15にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2023ねん5がつ31にち閲覧えつらん
  3. ^ Prasher, D. C.; Eckenrode, V. K.; Ward, W. W.; Prendergast, F G.; Cormier, M. J. (1992). “Primary structure of the Aequorea victoria green-fluorescent protein”. Gene 111 (2): 229–233. PMID 1347277. 

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]
  • アルバ (ウサギ) - 遺伝子いでんしえによりGFPをち、緑色みどりいろ蛍光けいこうするウサギ。ただし、その信憑しんぴょうせいには疑問ぎもんたれている。

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]