LISTSERV

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LISTSERV
作者さくしゃ エリック・トーマス (Eric Thomas)
初版しょはん 1986
最新さいしんばん
16.0 / 2009ねん12がつ10日とおか (14ねんまえ) (2009-12-10)
プラットフォーム クロスプラットフォーム
サポートじょうきょう Mature
種別しゅべつ メーリングリスト管理かんりソフトウェア
ライセンス プロプライエタリ
公式こうしきサイト L-Soft
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LISTSERVは、複数ふくすう電子でんしメールアドレスのうちのどれかにユーザが電子でんしメールおくるとおおくのひととどく、というかたちのものとしてははつ電子でんしメーリングリストソフトウェアである[1]。1986ねん発表はっぴょうされたのち、ほかにもいくつかのリスト管理かんりツールが開発かいはつされるようになった。1997ねんLyris ListManager同年どうねんSympa、1998ねんGNU Mailmanなどである。

LISTSERV以前いぜんは、電子でんしメールのメーリングリストは手作業てさぎょう保守ほしゅされていた。リストに参加さんかしたりリストから脱退だったいしたりしたければ、人間にんげんのリスト管理かんりしゃ追加ついか削除さくじょたのまなければならなかった。リストを討論とうろん利用りようすることがさかんになると、このような手続てつづきは手間てまがかかるとかんじられるようになった。

LISTSERVは1986ねんから1993ねんまでフリーウェアだったが、現在げんざいはL-Soft (LISTSERVの作者さくしゃエリック・トーマス〔Eric Thomas〕が1994ねん設立せつりつ) が開発かいはつする商用しょうよう製品せいひんである[2]無償むしょうばんはリスト10、リストあたりの登録とうろくしゃ500けんまでという制限せいげんがあり、同社どうしゃのウェブサイトからダウンロードできる。

歴史れきし[編集へんしゅう]

1986ねんに、エリック・トーマスはメーリングリスト自動じどう管理かんり着想ちゃくそうた。このとし、パリの学生がくせいであったかれが、現在げんざいLISTSERVとしてられるソフトウェアを開発かいはつしたのである[3]初期しょきのソフトウェアの仕様しようはトーマスが開発かいはつしたもので、これには人的じんてき管理かんり作業さぎょうによらずにLISTSERVにコマンドをおくることでリストへの登録とうろくやリストからの登録とうろく解除かいじょができる機能きのうや、リストの所有しょゆうしゃ (システム管理かんりしゃとはべつ) が購読こうどくしゃ追加ついか削除さくじょをしたり、登録とうろく通知つうちメッセージなどシステムメッセージの雛形ひながた変更へんこうしたりできる機能きのうがあった。LISTSERVはその革新かくしんつづけ、1993ねんにはダブル・オプトインの機能きのう (登録とうろくコマンドをおくると送信そうしんしゃ自身じしん登録とうろく確認かくにん方法ほうほういたメッセージが自動じどう返信へんしんされる) が、1995ねんにははつのスパムフィルタの機能きのう導入どうにゅうされた[4]。「listserv」のは、会議かいぎしつ掲示板けいじばんのウェブサイトのようなほかのインターネット事業じぎょうたいしてもたびたび使つかわれた。もっと著名ちょめいなものとしてはStandard Listserv Registry (SLR) (www.listserv.org) がある。これはlistservのメーリングリストをあつめ、インデクスしてウェブベースで検索けんさく可能かのうにしたものである。

商標しょうひょう[編集へんしゅう]

「LISTSERV」は米国べいこく特許とっきょ商標しょうひょうちょう[5]スウェーデン特許庁とっきょちょう英語えいごばんスウェーデンばん (PRV) [6]による登録とうろく商標しょうひょうである。そのため、「listserv」というかたり製品せいひん電子でんしメールによるメーリングリスト一般いっぱん意味いみもちいることは商標しょうひょう誤用ごようにあたる。一般いっぱんてきなものを言葉ことば通常つうじょう、リストそのものは「メーリングリスト」(electronic mailing list)、「elist」、「email list」であり、リストを管理かんりするソフトウェア製品せいひんは「メーリングリスト管理かんりソフトウェア」(email list manager)、「メーリングリストソフトウェア」(email list software) である[7]

安全あんぜんせい[編集へんしゅう]

LISTSERVにはエフセキュアウイルス対策たいさくソフトウェアまれており、メーリングリストに投稿とうこうされるすべてのメッセージとその添付てんぷファイルをウイルス検査けんさする。このようなみのコンピュータウイルス防御ぼうぎょ機能きのうをもつ電子でんしメーリングリストソフトウェアはLISTSERVがはつで、そのにはない。ウイルスを検知けんちすると、メッセージを自動的じどうてき拒否きょひする[8]

バージョン15.0までは、個人こじんユーザのパスワードが平文へいぶん格納かくのうされていたため、どうソフトウェアの設定せっていで「サイト管理かんりしゃ」(Site Manager) あるいは「ポストマスター」(Postmaster) になっているユーザはパスワードをることができた。バージョン15.5からは、パスワードを暗号あんごうして格納かくのうするようになった。

はんによる相違そうい[編集へんしゅう]

LISTSERVにはライセンスによっていくつかのはんがある。LISTSERV 無償むしょうばん (Free Edition) は商用しょうようのホビーユースのため。LISTSERV Liteは小規模しょうきぼけ。LISTSERV Classicが標準ひょうじゅん完全かんぜん機能きのうばん。ほかにLISTSERV HPO (High Performance Option) およびLISTSERV Maestro (電子でんしメールによる出版しゅっぱん報道ほうどうけにとくしたカスタマイズばん) がある。

対応たいおうしているオペレーティングシステム[編集へんしゅう]

LISTSERVは現在げんざいつぎのオペレーティングシステムで動作どうさする。LinuxSolarisFreeBSDAIXMac OS XOpenVMSHP-UXTru64, z/VMMicrosoft Windows (XP、2000、2003、Vista、2008、7)。

歴史れきしじょうのソフトウェア——BITNIC LISTSERV (1984-1986ねん)[編集へんしゅう]

IBM VM汎用はんようでメーリングリストを実装じっそうできるプログラムで、1984ねんアイラ・フュークス英語えいごばん (Ira Fuchs)、ダニエル・オバースト (Daniel Oberst)、リッキー・ヘルナンデス (Ricky Hernandez) が開発かいはつした。このメーリングリストサービスはLISTSERV@BITNICとしてられ、たちまちBITNET主要しゅようなサービスとなった。Sendmailのエイリアス (電子でんしメールアドレスをほかの電子でんしメールアドレスやプログラムへの転送てんそう使つかえる仕組しくみ) とた、手作業てさぎょう管理かんりされる機能きのう提供ていきょうした (当時とうじ、SendmailはIBM汎用はんようでは動作どうさしなかった)。1986ねんにトーマスのLISTSERVがリリースされてから、LISTSERV@BITNICはリストの自動じどう管理かんり機能きのう提供ていきょうできるよう強化きょうかされたが、数箇月すうかげつにBITNICがトーマスのLISTSERVをインストールしたため、放棄ほうきされた[9]

おなじころ、ノースカロライナ州立しゅうりつ大学だいがくがBITNICのコードのコピーを入手にゅうしゅしてどう大学だいがく汎用はんよう稼働かどうさせていた (LISTSERV@NCSUVM)。これは実際じっさいには、アラン・B・クレッグ (Alan B. Clegg) による改良かいりょうほどこした改造かいぞうばんのコードであった。どう大学だいがくも1986ねんにトーマスのLISTSERVにえた。 BITNICの製品せいひんとトーマスの製品せいひんは、名前なまえおなじだが無関係むかんけいである。りょう製品せいひんとも、たがいのコードを使つかってはいない[10]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]