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MSX2

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MSX > MSX2

MSX2(エム・エス・エックス・ツー)とはMSX規格きかくひとつで、1985ねん5月7にち発表はっぴょうされ[1]、6がつから規格きかく適合てきごう機種きしゅ発売はつばいされた[2]

後方こうほう互換ごかんせい配慮はいりょしつつ、従来じゅうらい初代しょだい規格きかくくらべ、おもにグラフィック機能きのう大幅おおはば強化きょうかされた。規格きかく末期まっきにはてい価格かかく路線ろせんすすめたことでユーザーすう大幅おおはば増加ぞうかしたことや、後継こうけいとなった規格きかくMSX2+性能せいのうてきにほぼきとなったこともあり、一連いちれんのMSX規格きかくのうち事実じじつじょう標準ひょうじゅんなされることもある。

一方いっぽうで、MSX2になってもゲームマシンとしてはファミコンおよばないめんもあり、パソコンとしてもパソコン御三家ごさんけなどからグラフィックをなおして移植いしょくされたものがだい多数たすうで、MSX2オリジナルのパソコンしかとしたソフトはすくなかった。解像度かいぞうど国産こくさんことなっていたことや、漢字かんじROMがオプションだったことも移植いしょく影響えいきょうした。またMSXのバンクえを多用たようする規格きかくじょう制約せいやくならびに、インターフェイスの設計せっけいからフロッピーディスクドライブなどの転送てんそうちゅうはCPUの処理しょりめざるをなかったため、サウンドの再生さいせい途切とぎれるなどの制約せいやく存在そんざいする。

歴史れきし

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S1985 MSX-SYSTEMII

MSX2は当初とうしょMSX1と並行へいこうして販売はんばいされ、マーケティングじょうをつけるためにFDD漢字かんじROM・128KiBから256KiBのマッパーメモリーを搭載とうさいした。さらに本体ほんたい・キーボードが分離ぶんりするセパレートタイプで「本格ほんかくてきなパソコンがた」の高価こうか製品せいひんおおかったが、これは、新規しんき設計せっけいされたMSX-SYSTEMMSX-SYSTEMIIV9938などの主要しゅようパーツや、8ビットパソコンとしては破格はかくだい容量ようりょうメモリーを搭載とうさいしたために製造せいぞう原価げんかげられたことによる。

1985ねん年末ねんまつには参入さんにゅう各社かくしゃからMSX2のセパレートモデルが市場いちば投入とうにゅうされたが、どう時期じきPC-8801mkIIFRX1turbo IIFM77AV20どう価格かかくたい発売はつばいされており、競合きょうごう機種きしゅがひしめいていた。

MSX2発売はつばい当初とうしょはまだメガROMカートリッジは存在そんざいせず、FDDのない標準ひょうじゅんてき仕様しようのMSX2ではその拡張かくちょうされたグラフィック機能きのうかすことがむずかしかった。また高級こうきゅうは、一般いっぱんけには独自どくじ仕様しようホビー・ビジネス対象たいしょうかさなり、16ビット台頭たいとういちじるしかったことから、一般いっぱんユーザーのMSX2への移行いこうゆるやかであった。こうして発売はつばいしばらくは「2〜6まんえんのMSX1」・「FDD搭載とうさい、キーボードいち体型たいけいで10まんえんじゃくのMSX2」・「FDD・漢字かんじROM内蔵ないぞう、キーボードセパレートタイプで15まんえん程度ていど高級こうきゅうMSX2」の3路線ろせんのマシンが併売へいばいされた。当時とうじワープロ専用せんよう全盛期ぜんせいきでもあり、ワープロソフトを内蔵ないぞうまたは付属ふぞくした製品せいひん数多かずおおく、10まんえんクラスの製品せいひんにはプリンター一体化いったいかした製品せいひん存在そんざいした。

1986ねんあき松下電器産業まつしたでんきさんぎょうとソニーが本体ほんたい・キーボードいち体型たいけいてい価格かかくとして、それぞれ定価ていか29,800えんのFS-A1と定価ていか32,800えんのHB-F1を発売はつばいする。これは前出ぜんしゅつのMSX-SYSTEMやMSX-SYSTEM II、V9938の製造せいぞう設備せつび償却しょうきゃく終了しゅうりょう単価たんか大幅おおはばげられたことと、他社たしゃ16ビットパソコンの普及ふきゅうでメモリーの価格かかく低下ていかしていたことなどの相乗そうじょう効果こうかによる。その直前ちょくぜんにメガROMカートリッジが登場とうじょうしたことで、向上こうじょうした映像えいぞう表現ひょうげん実現じつげんできるようにもなり、価格かかくくなったMSX1とわるかたちおもにゲームとして小中学生しょうちゅうがくせい中心ちゅうしん普及ふきゅうした。

1987ねん、このりょうシリーズの後継こうけいモデルであるFS-A1F/HB-F1XDが登場とうじょう。1のFDDを内蔵ないぞうして、定価ていかはいずれも54,800えんだった。どう時期じきそとけFDD(I/Fユニットふくむ)も3まんえんだいにまでがったことで主要しゅようメディアがROMカセットから廉価れんかなFDに移行いこうし、競合きょうごう機種きしゅにFDベースでソフトをリリースしていたメーカーがMSX2にもソフトを供給きょうきゅうする体制たいせいととのった。また、ユーザーがそのグラフィックを中心ちゅうしんとしたデータを自由じゆうあつかえる環境かんきょうととのい、そののMSX2規格きかく牽引けんいんしていった。りょうシリーズが普及ふきゅうしたことで、MSX2以降いこうも「キーボードいち体型たいけいの、安価あんかなオモチャのパソコン」というイメージが定着ていちゃくするとともに、カートリッジスロット2つにFDD1だい環境かんきょう標準ひょうじゅんてきなシステムとして、それにわせたソフトウェアが用意よういされるようになった。

一方いっぽうてい価格かかくなみ差別さべつ困難こんなんにし、ソニー、松下電器産業まつしたでんきさんぎょう三洋電機さんようでんき以外いがい各社かくしゃはMSX/MSX2規格きかくから撤退てったいした。ホビーパソコンの市場いちばすでに8ビットから16ビットの転換期てんかんきにあり、パソコンから撤退てったいしたメーカーや、16ビットのAX規格きかくにも参入さんにゅうするメーカーもあった。

世界せかいてきには400まんだい出荷しゅっか(MSX1もふくむ)されたと公称こうしょうされている。

おも仕様しよう

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V9938(Ver.C)

MSX1とはたか互換ごかんせいたもっていたものの、MSX2で追加ついかされた仕様しようによって特定とくてい状態じょうたい期待きたいしているものが、期待きたいされる状態じょうたいにならなくなったものや、ROM Versionに依存いぞんするかたちでのROMないルーチンの直接ちょくせつコールひとし初代しょだいMSXようのハードウェアならびにソフトウェアの一部いちぶ少数しょうすうながら動作どうさしないものが存在そんざいしている。

CPU
ザイログしゃ Z80A相当そうとうひんクロック周波数しゅうはすう3.579545MHz、みはモード1)
VDP
ヤマハV9938
画面がめんモード
〔〕ないはVRAM64KiBの機種きしゅ場合ばあい
SCREEN0
テキスト40×24または80×26文字もじ(1文字もじ6×8ピクセル) - 文字もじ背景はいけいとも(512しょくちゅう)16しょくパレットちゅう1しょく スプライト使用しよう不可ふか
SCREEN1〜3
MSX1準拠じゅんきょくわえ、固定こてい16しょくではなく512しょくちゅう16しょく選択せんたく可能かのう
SCREEN4
グラフィック256×192ピクセル 512しょくちゅう16しょくよこ8ドットない2しょくまで) - ライン単位たんいしょく指定していのスプライト使用しよう可能かのう以下いか画面がめんモードもおなじ)スプライト機能きのう以外いがいはSCREEN2と同一どういつ
SCREEN5
グラフィック256×212ピクセル×4画面がめん2画面がめん〕 - 512しょくちゅう16しょく
SCREEN6
グラフィック512×212ピクセル×4画面がめん2画面がめん〕 - 512しょくちゅう4しょく
SCREEN7
グラフィック512×212ピクセル×2画面がめん使用しよう不可ふか〕 - 512しょくちゅう16しょく
SCREEN8
グラフィック256×212ピクセル×2画面がめん使用しよう不可ふか〕 - 固定こてい256しょく
SCREEN9
韓国かんこくばんMSX2にのみ搭載とうさい(ハングル表示ひょうじようのモードで、日本にっぽん国内こくないばんふく他国たこくばんには搭載とうさいされていない)
512しょくあかみどりあおかく8かい調しらべ、256しょくあかみどりは8かい調しらべあおは4かい調ちょう
メインメモリー
64KiB〜
VRAM
64KiBまたは128KiB
サウンド
MSX1準拠じゅんきょ
PPI
MSX1準拠じゅんきょ

VDPの一新いっしん

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VDPはTMS9918とソフトウェアてき互換ごかんせいたもちつつ、ビットマップ画面がめん追加ついかスプライト拡張かくちょうなどの性能せいのう向上こうじょうはかったV9938へと変更へんこうされた。VRAMの容量ようりょうは64KiBまたは128KiBで、メーカーによる増設ぞうせつサービスやユーザーによる改造かいぞうなどの例外れいがいのぞけばその機種きしゅ標準ひょうじゅん構成こうせい固定こていである。システムの起動きどうにはたてスクロールしておおきいMSXロゴがあらわれ、VRAM搭載とうさい容量ようりょう表示ひょうじされた。

テキスト画面がめんも80けた表示ひょうじ可能かのうになった。家庭かていようテレビの使用しようにはづらくなり、フォントたりのよこはばが6ピクセルとなっているため一部いちぶ文字もじ表示ひょうじけてしまうものの、プログラムの作成さくせい入力にゅうりょくなどで画面がめんたりのテキスト情報じょうほうりょうえた。

一方いっぽうで、V9938は「スプライトの同時どうじ表示ひょうじ枚数まいすう強化きょうかされていない」「ビットマップの描画びょうががあまりはやくない」「PCGは強化きょうかされていない」「よこ方向ほうこうのハードウェアスクロール機能きのうがない」など、ゲーム用途ようともちいるにはすぐれているとはがたく、価格かかくたいとして競合きょうごうしたゲーム専用せんよう比較ひかくして本格ほんかくてきなアクションゲームをつくるには不向ふむきだった[注釈ちゅうしゃく 1]つくるとしても、VRAMの使用しようりょう比較的ひかくてきすくなく、速度そくどてき余裕よゆうがある16しょくよこ256ドットのモードが使用しようされることがおおかった。よこスムーススクロールについてはのちに、表示ひょうじ位置いち補正ほせい機能きのうもち実現じつげんするソフトウェアがあらわれた。

SCREEN4以上いじょう画面がめんモードでのスプライトはモード2とされ、よこラインごと着色ちゃくしょく指定していかさなりったまいのスプライトによりスプライト1のいろ・スプライト2のいろ両者りょうしゃのORをったいろ透明とうめいの4しょく表示ひょうじ可能かのうとなった。また、よこ方向ほうこう同時どうじ表示ひょうじできる枚数まいすうが4まいから8まいになり、実際じっさいいろかさなっている座標ざひょう検出けんしゅつするみモードの追加ついかなどが強化きょうかされている。ただし、いち画面がめん同時どうじ表示ひょうじが32まいまでであることにわりはないうえかさわせの多色たしょく表示ひょうじおこなうとそれらの恩恵おんけい利用りようできないという制約せいやくがあったため、シューティングゲームのてきなどは相変あいかわらず単色たんしょくのこともおおかった。のち画面がめんみを利用りようして、かけじょうばいの64まい表示ひょうじものにしたゲームも発売はつばいされた。

ビットマップグラフィックスモードでは、新設しんせつされたVDPコマンドが使用しようでき、CPUのアドレス空間くうかんえる容量ようりょうのVRAMにたいするアクセスをサポートした。転送てんそう描画びょうがには論理ろんり演算えんざんおこなえるなど当時とうじとしては高機能こうきのうであり、スプライトなどの機能きのうふくむこれらの機能きのうによってBASICコマンドで実現じつげんする描画びょうが処理しょり直接ちょくせつVDPを制御せいぎょするのに肉薄にくはくする速度そくど動作どうさし、当時とうじのパソコンには機種きしゅではむずかしかったユーザーによって作成さくせいされたリアルタイムゲームが多数たすう掲載けいさいされた。また、GRAPHIC 3(BASICでいうところのSCREEN4)以外いがい追加ついかされた画面がめんモードはビットマップグラフィックであり、VDPコマンドの存在そんざいをもってしてもゲームの背景はいけいとしてダイナミックなうごきを実現じつげんすることはむずかしかった。

理論りろんじょう、VDPはCPUとの並列へいれつ処理しょり可能かのうである。しかし、VDP自体じたい高速こうそくなものではなく、VDPのみで完結かんけつする処理しょりかぎられていること、CPU自体じたい高速こうそくではないことから並列へいれつせいがらず、現実げんじつてきにはアクセスにたいするウェイトの存在そんざいやVDPをかいしてVRAMにたいしてアクセスする構造こうぞうはコーディングによる工夫くふうかべとなり、実装じっそうのハードウェアにたいしておおきくパフォーマンスを向上こうじょうさせることはなかった。そしてVDPが表示ひょうじ制御せいぎょをする構造こうぞうは、後継こうけい規格きかくであるMSXturboRでCPUが高速こうそくしたさいにシステムパフォーマンスのあし原因げんいんとなった。

テレビへ表示ひょうじすることを前提ぜんていつくられていることもあり、最大さいだい解像度かいぞうどそのものもよこはば最大さいだい512ドットで、どう時期じきのコンピュータよりせま設定せっていされている。一方いっぽうで、256しょく同時どうじ発色はっしょくのモードはしょういろこう解像度かいぞうど一辺倒いっぺんとうだった当時とうじのパソコンのなかでは特色とくしょくのある仕様しようであり、こののちにシャープから256しょく表示ひょうじMZ-2500が、富士通ふじつうから4096しょく表示ひょうじFM77AV発売はつばいされた。また、しょういろ表示ひょうじのモードではカラーパレットが使つかえるようになり、表示ひょうじしょく選択せんたく自由じゆうした。初代しょだいMSX規格きかくようのソフトウェアの一部いちぶでは、機種きしゅ判定はんていし、カラーパレットによる表現ひょうげん追加ついかしているものもある。なお、起動きどう設定せっていされるカラーパレットのデフォルトしょくはMSX1にちかいものに設定せっていされたが、表示ひょうじしょく分解能ぶんかいのうなどからカラーテーブルに完全かんぜん互換ごかんせいがないため、実際じっさいにテレビにうついろ微妙びみょうことなる[3]

SCREEN5以降いこうのモードでは、2画面がめんえでインターレース表示ひょうじをすることで、たて方向ほうこう解像度かいぞうどかけじょうばいにすることができた。標準ひょうじゅんのBASICでは設定せっていができるのみで活用かつようされてはいなかったが、のち発売はつばいされた漢字かんじBASICでは正式せいしき使用しようされたほか一部いちぶのゲームソフトやグラフィックツールでも使つかわれていた。これにより、漢字かんじ表示ひょうじ文字数もじすうなどでは当時とうじほかのパソコンにほぼならぶことができた。ただし、「家庭かていようテレビにつなげて使つかえる」はずのMSXにあっては、アナログRGB入力にゅうりょく端子たんしつきのテレビ・モニターを所有しょゆうしているか、RF・ビデオ出力しゅつりょくでは目立めだってしまうちらつきを許容きょようする必要ひつようがあった。

メモリマッパの追加ついか

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オプション規格きかくではあるが、メモリマッパが追加ついかされた。かくスロットじょうに4MiBのメモリ空間くうかんつことができ、そのなか任意にんいのセグメントをそのスロットじょう任意にんいのページにてることができる。セグメント、ページはともに16KiBである。これによりシステム全体ぜんたいで64MiBのメモリ空間くうかんつことができる。 メモリマッパはマッパレジスタによって管理かんりされ、レジスタはI/O空間くうかんのFCH~FFHにマッピングされる。このポートはすべてのスロットで共用きょうようなので、基本きほんてき専用せんようである。

MSX2ではメイン・メモリー最低さいてい64KiBと規定きていされ、メモリマッパを搭載とうさいすれば4MiBのRAMをつことができた。ただし、MSX-SYSTEMIIなど、本体ほんたい内蔵ないぞうLSIのメモリマッパが512KiBまでしかデコードされておらず、当時とうじはメモリが高価こうかであり実際じっさいにフル実装じっそうされた環境かんきょうはまれだった。初期しょきのハイエンドでこそ128KBや、256KBを搭載とうさいした機種きしゅがあったものの、MSX-DOS1ならびにMSX-BASICとそのBIOSではサポートルーチンが用意よういされず、規格きかくとしてオプションだったことなどから、ディスクリート部品ぶひん構成こうせいされた国産こくさん機種きしゅなどでは搭載とうさいされていない機種きしゅおお存在そんざいする。このような条件じょうけんかさなって、国内こくない市販しはんソフトウェアで積極せっきょくてき対応たいおうすることはなく、メモリマッパをサポートするソフトウェアは独自どくじ流通りゅうつうのユーザーによるプログラムのほうおおられた。

システム全体ぜんたい管理かんりする仕組しくみがないため、MSX-DOS1じょうのプログラムなどで、常駐じょうちゅうプログラムなど複数ふくすう対応たいおうソフトウェアを併用へいようする場合ばあいはその使用しようじょうきょう競合きょうごうなどへの考慮こうりょ必要ひつようとなる。海外かいがいではメインメモリが64KiBでもメモリーマッパーを内蔵ないぞうしている機種きしゅ標準ひょうじゅんとされ、存在そんざいすることを前提ぜんていにMMUのわりに使用しようしているようなプログラムもられる。 システムからのサポートにはMSX-DOS2が必要ひつようとなり、もっとおおきいメモリが接続せつぞくされているメモリマッパーがプライマリマッパーとして選択せんたくされ、そのさい管理かんりされる最大さいだい容量ようりょうは4096KiBとなっている。

アスキーからは、768KiBのマッパーRAMカートリッジが発売はつばいされている。個人こじんユーザーによるものではあるが、カートリッジない拡張かくちょうスロットを増設ぞうせつし、そのぜんスロットにいちはいのRAMを搭載とうさいした16MiBメモリマッパカートリッジ[4]発表はっぴょうされている。

その変更へんこうてん

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16Byteとしょう容量ようりょうながら乾電池かんでんちによるバックアップ機能きのう付加ふかされ、RTC起動きどう画面がめんモードの保存ほぞん起動きどうパスワードの保持ほじ、Beepおん設定せってい保存ほぞんなどに排他はいたてき使用しようされた。

BASICは強化きょうかされた表示ひょうじまわりのサポートの強化きょうかのほか、カナの入力にゅうりょくマ字まじ入力にゅうりょくがサポートされるなどの機能きのう追加ついかおこなわれている。

サウンドではオプションとして、文字もじ多重たじゅう放送ほうそうキャプテンシステム対応たいおうしたFM音源おんげん/ADPCM音源おんげん採用さいようしたMSX-AUDIO(Y8950)規格きかくまれた。しかし、松下電器産業まつしたでんきさんぎょう商品しょうひんしたMSX-AUDIO対応たいおうカートリッジは、34,800えん本体ほんたい価格かかくして高価こうかでかつ対応たいおうソフトもほとんど発売はつばいされなかったこと、その特殊とくしゅ形状けいじょうなどから国内こくないでは普及ふきゅうしなかった。標準ひょうじゅんではMSX1からきのPSG音源おんげんのままであり、このころからFM音源おんげんをオプションとして用意ようい、もしくは標準ひょうじゅん搭載とうさいされはじめたほかのパソコンにおくれをっていた。この状態じょうたい1988ねん松下電器産業まつしたでんきさんぎょうから7,800えんとより安価あんかなFM音源おんげんカートリッジFM-PAC(MSX-MUSIC)が発売はつばいされるまでつづいた。

MSX1規格きかくからのアップグレード

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MSXという規格きかく柔軟じゅうなんさをかし、当初とうしょより拡張かくちょうアダプターによるMSX1規格きかくからのアップグレードパスがアナウンスされ、いくつかのメーカーで発売はつばい検討けんとうがされた。しかし、コストや互換ごかんせいなどの問題もんだいから最終さいしゅうてき製品せいひんとしてリリースされたのは1986ねんなつ発売はつばいされたNEOSのMA-20のみである。MA-20はMSX-BASICカートリッジと、VDPとう内蔵ないぞうしたカートリッジで構成こうせいされる。64KBのRAMを搭載とうさいしていないMSX1で使用しようするには別途べっとRAMの増設ぞうせつ必要ひつようで、合計ごうけい3スロットをようすることから標準ひょうじゅんてきな2スロットモデルでは拡張かくちょうスロットも必要ひつようになった。MSX2+やMSXturboRに接続せつぞくしても、カートリッジじょうのソフトウェアが優先ゆうせんされることにより、増設ぞうせつしたハードウェアによってMSX2として動作どうさするようになる。

MA-20発売はつばい価格かかくは29,800えんえより安価あんかだったが、同年どうねん10がつにはどう価格かかく本体ほんたい発売はつばいされ、普及ふきゅうすることはなかった。構造こうぞうてきにVDPは置換ちかんすることができないため、このアダプタではカートリッジないのV9938とMSX-BASIC2.0をシステムに追加ついかするかたち動作どうさする。MSX規格きかくではVDPにたいしアプリケーションがBIOSをかいさずメインROMの6、7番地ばんち格納かくのうされているアドレスをかいして直接ちょくせつアクセスすることを許容きょようしており、バージョンアップアダプタも既存きそんのVDPとの競合きょうごうけるため、標準ひょうじゅんではないI/Oアドレスに接続せつぞくされている。このような条件じょうけんのハードウェアはすくないことから問題もんだい露呈ろていすることがすくなく、標準ひょうじゅんのI/OアドレスにVDPが存在そんざいすることを前提ぜんていとしたプログラムではMSX2として動作どうさしないケースもあった。

MA-20にさきだって、MSX2がはつ出品しゅっぴんされた「マイコンショウ'85」で参考さんこう出品しゅっぴんのMA-10がすで展示てんじされていた。MA-20とはことなり据置すえおきがたのユニットをカートリッジスロットをかいして接続せつぞくする形状けいじょうで、ユニットがわにカートリッジスロットが1スロット搭載とうさいされていてスロットすうらないようになっていた[5]

参入さんにゅうしたメーカーと発売はつばいしたおも機種きしゅ

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太字ふとじはVRAM64KB、斜体しゃたい本体ほんたい・キーボード分離ぶんりがたのセパレートタイプをあらわす。

  • キヤノン - V-25,V-30F
  • 三洋電機さんようでんき - WAVY25F,WAVY25FD,WAVY25FK,WAVY25FS,WAVY23,WAVY-77,WAVY-55FD2
    • WAVY-25FはセパレートタイプでVRAM 64KB、1DDドライブ搭載とうさいのレアなモデル。25FDはVRAM 128KBで2DDドライブ搭載とうさい。25KKは漢字かんじROM追加ついか。25FSは海外かいがい専用せんようで25FのVRAMを128KBにしたモデル。
    • WAVY-77はワープロソフトMSX-JE(日本語にほんごMSX-Write)内蔵ないぞう・24×24ドットマトリクス熱転写ねつてんしゃプリンター搭載とうさいのワープロがた機種きしゅ。RAM64KB、VRAM128KB、FDD1搭載とうさい電源でんげん投入とうにゅう本体ほんたいスイッチ操作そうさでMSX2モード、ワープロモードを選択せんたくして起動きどうする。[6]
    • WAVY-23はFS-A1, HB-F1につづいて発売はつばいされた3まんえんMSX2。独立どくりつテンキーを標準ひょうじゅん搭載とうさい
  • ソニー - HB-F5,HB-F500,HB-F700,HB-F900,HB-T7,HB-T600,HB-F1,HB-F1mk2,HB-F1XD,HB-F1XDmk2
    • HB-F1シリーズは漢字かんじROM搭載とうさい、CPUを断続だんぞくてき停止ていしさせ、実行じっこう速度そくどおそくする機能きのうであるスピコン・スペースキーを連射れんしゃする連射れんしゃターボ・CPU動作どうさ一時いちじ停止ていしさせるポーズキーき。
    • HB-F900はRAM256KB、2DDディスクドライブが2本体ほんたいしょくしろくろ別売べつばい専用せんようデジタイザ(HBI-F900、いろくろのみ)を接続せつぞく可能かのう分離ぶんりがたキーボード、マウスとワープロソフト「WORD SHIP」が附属ふぞく[7]
    • HB-T7とHB-T600は通信つうしんモデムと漢字かんじROMを搭載とうさい
    • HB-T600はFDD1とRAM128KBも搭載とうさい株式かぶしきターミナルと銘打めいうって株式かぶしきパッドと専用せんよう株式かぶしき管理かんりソフトがどうこりされた。標準ひょうじゅんキーボードはオプションで、HB-F900とう同一どういつのものを使用しよう
    • HB-F1XDの筐体きょうたいはMSX2+以降いこう採用さいようされ、ソニーのMSX撤退てったいまで使つかわれつづけた。
    • HB-F500の初期しょきモデルはスロットマップに問題もんだいがあり一部いちぶ動作どうさしないソフトがあった。これを故障こしょうとして修理しゅうりすとメーカーがわでスロットマップを修正しゅうせいして返却へんきゃくされた。なお後期こうきモデルはスロットマップが変更へんこうされているのでこの問題もんだい発生はっせいしない。
  • 東芝とうしば - HX-23、HX-23F、HX-33、HX-34
    • パソピアIQのブランドで展開てんかいされていた。
    • RGBコネクタは独自どくじ仕様しよう[8]。いずれも漢字かんじROM搭載とうさい。HX-33やHX-34にはオプションでRS-232C搭載とうさい可能かのう、HX-23Fは標準ひょうじゅん搭載とうさい
    • おおくの機種きしゅで、サウンドの出力しゅつりょくがステレオになっている。
  • 日本にほんビクター - HC-80,HC-90,HC-95
    • HC-90,HC-95(HC-90のFDD2ばん)は3.58MHzのZ80Aのほかに、日立ひたちのZ80上位じょういCPUHD64180搭載とうさいし、6.144MHzの高速こうそく動作どうさにする「ターボモード」が存在そんざいする。PSGの音程おんていはそのままだが、ほとんどのゲームソフトはスプライトがちらついたり画面がめんくずれたりと正常せいじょう動作どうさしない。スーパーインボーズ機能きのうと、VHDカードなどがせる独自どくじのJVCスロットを外部がいぶに2独自どくじ内部ないぶ拡張かくちょうスロットを4そなえる。標準ひょうじゅん仕様しようのスロットは1
    • HC-95の後期こうき機種きしゅ(HC-95T)はVDPがV9958になっており、メーカー公認こうにんだがマシンレベルでMSX2+専用せんようプログラムが動作どうさする。搭載とうさいメモリも64KBから256KBに増設ぞうせつされている。MSX2+登場とうじょう以降いこう業務ぎょうむ用途ようと販売はんばいつづけられ、時期じきにより前面ぜんめんパネルやキーボードコネクタの形状けいじょうちがいがある。RGBコネクタは独自どくじ仕様しようのD-Sub25pin。
  • 日立製作所ひたちせいさくしょ - MB-H3,MB-H70
    • MB-H3は本体ほんたいから分離ぶんり可能かのう手書てがきタブレット(パッドじょうにテンキーのシルク印刷いんさつがされていてソフトウェアキーボードとしても使用しよう)を搭載とうさい標準ひょうじゅんではVRAMは64KBで、基板きばんには、増設ぞうせつようのパターンがもうけられており、メーカーが増設ぞうせつサービスをおこなっていたほか、改造かいぞうでVRAM128KBに増設ぞうせつできた。
    • MB-H70は三菱みつびしML-G30とキーボードが同一どういつで、それ以外いがい箇所かしょ酷似こくじしておりOEMの可能かのうせいがある。漢字かんじROMとRAM128KiB搭載とうさい
  • 三菱電機みつびしでんき - メルブレーンズ ML-G10,ML-G30,ML-TS2,ML-TS2H
    • ML-G30はセパレート漢字かんじROMとFDDとメインRAM128KiB搭載とうさい。FDD搭載とうさいすうとRS-232Cの有無うむで2モデル存在そんざいする。標準ひょうじゅんスロット1のほか内部ないぶスロット3搭載とうさい。「メルブレーンズ・ノート」という統合とうごうソフト(ワープロ・おもて計算けいさん・ペイント・通信つうしん)が添付てんぷされる。
    • ML-TSシリーズは松下電器産業まつしたでんきさんぎょうA1・ソニーF1とう同期どうき販売はんばいのモデム内蔵ないぞうだい2水準すいじゅん漢字かんじROMも搭載とうさいされている。ML-TS2Hは電話でんわ付属ふぞく
Panasonic FS-A1
  • 松下電器産業まつしたでんきさんぎょうげん:パナソニック)
    • ナショナルブランド - FS-4500,FS-4600F,FS-4700,FS-5000F2,FS-5500F1/F2
      • FS-4500,4600F,4700はワードプロセッサー内蔵ないぞうモデルで感熱かんねつしきプリンターが内蔵ないぞうされている。
      • 4600FはMSX-JE内蔵ないぞうでメインRAM128KiB搭載とうさい。5000F2はメインRAM128KiB搭載とうさい、ワープロソフト付属ふぞく
    • パナソニックブランド - FS-A1,FS-A1mk2,FS-A1F,FS-A1FM
      • A1/A1mk2は漢字かんじROM搭載とうさい。A1FMにはFDD1とモデムが搭載とうさいされており価格かかく比較的ひかくてきたかかった。この時点じてんでは、A1シリーズにワードプロセッサー内蔵ないぞうモデルはなかった。
      • FS-A1は松下まつしたが「パナソニック」ブランドを国内こくないけに使用しようした最初さいしょ製品せいひんである。
      • カートリッジのスロットカバーがはずれて紛失ふんしつしやすく、現在げんざい有志ゆうしにより3Dプリンターようデータが公開こうかいされている[9]
  • 日本にっぽん楽器がっきげん:ヤマハ) - YIS604/128,CX-7/128,CX-7M/128,YIS805/128,YIS805/256
    • ぜん機種きしゅRAM128KiB以上いじょう搭載とうさい、YIS805/256はRS-232C搭載とうさい。いずれもヤマハ独自どくじのサイドスロットをそなえ、FMシンセサイザーユニットが搭載とうさい可能かのう(CX-7M/128は、SFG-05 FM音源おんげん/MIDIユニットを標準ひょうじゅん搭載とうさい)。
  • 河合楽器かわいがっき - KMC-5000
    • パナソニックのFS-A1FのOEM。
  • 大山おおやま工業こうぎょう(ダイセン) - MX30A,MX30B
    • 業務ぎょうむ用途ようとけで機器ききみを前提ぜんていとした機体きたい。メインRAM128KiB搭載とうさい。FDDは2DD/2HD両用りょうよう。なお、2HDはMSX規格きかくがいである。
  • NTT - Captain Multi Station
    • キャプテンシステムの端末たんまつ
  • 大宇だいう電子でんし韓国かんこく日本にっぽん国内こくないでの発売はつばいし) - 大宇だいうポスコム CPC-300,CPC-400,CPC-400S
    • CPC-300はFDD搭載とうさい普及ふきゅうがたモデルで「大宇だいうポスコム IQ-2000」のブランドめい販売はんばいされた。『IQ教室きょうしつ』というチュートリアルプログラムが内蔵ないぞうされており、初期しょき状態じょうたいでは電源でんげんれると自動じどう起動きどうするようになっている。BIOSにもくわえられており、起動きどうのMSXロゴが「IQ-2000」のロゴにえられている。
    • CPC-400はFDD搭載とうさいのセパレートモデル。韓国かんこくではほとん使用しようされなくなった漢字かんじROMも搭載とうさいされている。『IQ教室きょうしつ』は添付てんぷのユーティリティディスクに収録しゅうろくされるかたちになった。
    • CPC-400Sはスーパーインポーズ、デジタイザーなどの映像えいぞう編集へんしゅう機能きのう搭載とうさい松下電器まつしたでんきの『ビデオグラフィックス』に酷似こくじした編集へんしゅうソフト(アイコンのデザインのみことなる)が付属ふぞくする。
    • いずれのモデルも、MSX-BASIC 2.0をベースに大宇だいう電子でんし拡張かくちょうしたハングルBASIC 3.0が搭載とうさいされており、ハングルの表示ひょうじモードを設定せっていするSET HAN命令めいれいや、こう精細せいさいでハングルを描画びょうがする専用せんようモードSCREEN 9ひとし追加ついかされている。
  • テレマティカアルゼンチン日本にっぽん国内こくないでの発売はつばいし) - タレント TPC-310

このほか、MSX規格きかく準拠じゅんきょした業務ぎょうむよう店頭てんとう端末たんまつよう工場こうじょうなどでの制御せいぎょようキャプテンシステムビデオタイトラー)の特殊とくしゅ製品せいひん存在そんざいする。

参入さんにゅう検討けんとうしたメーカー

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ たとえば、めんごとの多彩たさいなスクロールがあるコナミたましい』のMSX2移植いしょくばん画面がめん方式ほうしきになっていた。

出典しゅってん

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  1. ^ 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん 1985ねん5がつ8にちづけ
  2. ^ MSX Magazine 1985ねん8がつごう. アスキー. (1985ねん). p. 137 
  3. ^ TMS9918Aに針路しんろをとれ。
  4. ^ MSX2/2+/turboRよう 16MBメモリー拡張かくちょうカートリッジ | クラシックPC研究けんきゅうかい
  5. ^ 徳間書店とくましょてん 月刊げっかんテクノポリス1985ねん7がつごう p.84
  6. ^ 木村きむらよしひさ「しん製品せいひん速報そくほう ワープロもパソコンもOK! カタチも機能きのうもとてもユニークなMSX2パソコン 三洋さんよう“WAVY77(PHC-77)”」『マイコンBASICマガジン』1987ねん2がつごう、(だい6かんだい2ごう)、電波でんぱ新聞しんぶんしゃ、46 - 47ぺーじ 
  7. ^ 木村きむらよしひさ「しん製品せいひん速報そくほう マウスとワープロ・ソフト附属ふぞくのMSX2の最高峰さいこうほうマシン ソニー“HB-F900”」『マイコンBASICマガジン』1987ねん2がつごう、(だい6かんだい2ごう)、電波でんぱ新聞しんぶんしゃ、43 - 45ぺーじ 
  8. ^ しおんパパのひみつきち: 東芝とうしばMSXのRGB出力しゅつりょくピンアサイン
  9. ^ MSX2 : FS-A1 Slot Cover by cloudree - Thingiverse
  10. ^ アスキー書籍しょせき編集へんしゅうへん『みんながコレでえた!NEC8ビットパソコン PC-8001・PC-6001 永久えいきゅう保存ほぞんばん』(2005ねん、アスキー)