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乾電池かんでんち

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乾電池かんでんちひだりから、たん2・たん3・たん4・たん5・9Vかたち

乾電池かんでんち(かんでんち)は、電解でんかいえき固体こたいませて担持させ、あつかいやすくしたいち電池でんちである。(いちかいかぎりの使用しよう使つかてるものがいち電池でんち充電じゅうでんしてかえ使つかうものが電池でんち

概要がいよう

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いち電池でんちは、乾電池かんでんちと、電解でんかいえき液状えきじょうのまま使つか湿しめ電池でんちけられるが、現在げんざいいち電池でんちはほぼすべ乾電池かんでんちである。

文字もじどおりには、いち電池でんち以外いがい化学かがく電池でんちである電池でんち燃料ねんりょう電池でんちも、湿しめ電池でんち乾電池かんでんちけられるが、これらの用語ようごいち電池でんちかぎって使つかう。電池でんちでは、それぞれにたるものを開放かいほうがた密閉みっぺいがたう。

乾電池かんでんち基本きほんてき充電じゅうでんができず、放電ほうでん機器ききうごかすには電池でんち交換こうかん必要ひつようなため、寸法すんぽう電圧でんあつなどが国際電気こくさいでんき標準ひょうじゅん会議かいぎIEC 60086日本にっぽんではJIS C 8500)で規格きかくされている。日本にっぽん実際じっさいに「乾電池かんでんち」としてられるものはそのうち通称つうしょうたん1かたち - たん5かたち・9Vかたちなどとばれる一部いちぶである。それ以外いがいは、小型こがたのものは「ボタンがた電池でんち」、それ以外いがいは「リチウム電池でんち」のように電池でんちけいばれる。以下いかでは、この狭義きょうぎの「乾電池かんでんち」についておもべる。

規格きかく

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いくつかの形状けいじょう電圧でんあつなどが規格きかくされていて、たか互換ごかんせいがある。かたちちいさい電池でんちに、よりおおきい電池でんち形状けいじょうをした「スペーサー」とばれる製品せいひんつつむように装着そうちゃくして、かたちおおきい電池でんちとして使用しようできる場合ばあいもあり、近年きんねんひんそろえがすくなくなり価格かかくてきにも不利ふりたん2かたち以上いじょうおおきさの電池でんち使用しようする機器ききたいしてしばしばもちいられる。

1887ねん日本にっぽん乾電池かんでんち発明はつめいされ(屋井やい乾電池かんでんち後述こうじゅつ)、日本にっぽんでは1910ねんごろには現在げんざいのような形状けいじょうでの乾電池かんでんち量産りょうさんおこなわれていたが、1935ねんごろまではおおきな電圧でんあつ必要ひつようとする機器ききおおく、機器ききごとに複数ふくすう乾電池かんでんち直列ちょくれつにつないでパッケージした積層せきそう電池でんちとして販売はんばいされていた。その機器ききてい電圧でんあつ省力しょうりょくにより、使用しようしゃ機器ききごとに乾電池かんでんちをいくつかわせて必要ひつよう電圧でんあつ使つかうように乾電池かんでんち単体たんたい販売はんばいされるようになる[1]

日本にっぽんでは戦時せんじの1942ねんにDセルを「たん1かたち」、Cセルを「たん2かたち」の呼称こしょうとすることがさだめられた。ただし現在げんざいでは通称つうしょうであり、この名称めいしょう使用しようしているのは日本にっぽんだけである。その日本にっぽんでは現在げんざいまでにさらに容量ようりょうちいさくした「たん3かたち」「たん4かたち」「たん5かたち」をくわえた5種類しゅるい商品しょうひんされている[1]

この「たんxかたち」の呼称こしょう現在げんざい形状けいじょう互換ごかんすときのみに使つかわれる。電解でんかいしつ従来じゅうらいのマンガン電池でんちからよりエネルギー密度みつどたか材質ざいしつえたアルカリマンガン電池でんちでも、単位たんい電池でんち公称こうしょう電圧でんあつは1.5Vだが、その充電じゅうでんさい利用りよう可能かのううたって発売はつばいされたニッケル・カドミウム電池でんちでは、形状けいじょうこそたん1かたちたん3かたち互換ごかんせいをもたせた製品せいひんがあるが、公称こうしょう電圧でんあつは1.2Vしかないため使用しようには注意ちゅういようする場合ばあいがある[注釈ちゅうしゃく 1]

代表だいひょうてき規格きかく

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日本にっぽんでは国際こくさい規格きかく「IEC 60086」をもとにJIS C 8500を制定せいてい2017ねん改正かいせいした規格きかく一部いちぶすたれた規格きかくもあるため)を記載きさいする[2]。なお8501、8511、8512は廃止はいし(JIS C 8515に統合とうごう)となった[3]

かく名称めいしょうとサイズ[4][5][6]
名称めいしょう通称つうしょう 寸法すんぽう(mm)
[注釈ちゅうしゃく 2]
備考びこう
IEC 日本にっぽん アメリカ その たか 直径ちょっけいはば
R20 たん1かたち D Mono 61.5 (直径ちょっけい)
34.2
R14 たん2かたち C Baby 50.0 (直径ちょっけい)
26.2
R6 たん3かたち AA Mignon 50.5 (直径ちょっけい)
14.5
R03 たん4かたち AAA Micro 44.5 (直径ちょっけい)
10.5
R1 たん5かたち N Lady 30.2 (直径ちょっけい)
12.0
  • R8D425
    (マンガン)
  • LR8D425
    (アルカリ)
N/A AAAA
  • たん6かたち
    (備考びこう参照さんしょう)
  • Mini
42.5 (直径ちょっけい)
8.3
JIS C 8515:2017において、形状けいじょう仕様しよう存在そんざいするが「たん6かたち」とは明記めいきされていない。
電子でんし回路かいろ内蔵ないぞうするペンのバッテリーなどで採用さいようされていたが、日本にっぽん国内こくないで*R8D425の流通りゅうつうはほとんど[7]
R61の電池でんちよりすこおおきい。(R61はたかさ39mm、直径ちょっけい7.8mm)
R44 N/A N/A
  • LR44
    (アルカリ)
  • PR44
    (空気くうき亜鉛あえん)
  • SR44
    (酸化さんかぎん)
5.4 (直径ちょっけい)
11.6
円形えんけい電池でんち仕様しようじょうけることはいが「ボタンがた電池でんち」ともばれる。
LR44、PR44、SR44それぞれサイズはおなじだがわずかに公称こうしょう電圧でんあつことなる。
F22 9V Nine-volt, PP3
  • 6F22
    (マンガン)
  • 6LR61
    (アルカリ)
  • 006P
    (JISきゅう規格きかく)
48.5 (はば)
13.5
代表だいひょうてき平形ひらがた積層せきそう乾電池かんでんち
かんなかで1.5vの電池でんちを6直列ちょくれつつなぎ、9vを出力しゅつりょくしている。
きょくがわに6かく形状けいじょうのスナップ端子たんし採用さいようされる。
乾電池かんでんち種類しゅるい記号きごう[4][5]
電池でんちけい
記号きごう
電池でんち名称めいしょう せいきょく 電解でんかいえき きょく 公称こうしょう電圧でんあつ(V) 備考びこう
(なし) マンガン乾電池かんでんち 二酸化にさんかマンガン(MnO2 塩化えんかアンモニウム酸化さんか亜鉛あえんみず 亜鉛あえん(Zn) 1.50 最小さいしょう平均へいきん持続じぞく時間じかんことなる場合ばあい以下いかの「追加ついか記号きごう」でしめす。
S - 標準ひょうじゅん
P - 高性能こうせいのう
C 二酸化にさんかマンガン
リチウム乾電池かんでんち
二酸化にさんかマンガン(MnO2 リチウムしお有機ゆうき電解でんかいえき リチウム(Li) 3.00 型式けいしきが「CR」ではじまる円形えんけい電池でんち日本にっぽんでは「コイン電池でんち」ともばれる。
F 硫化りゅうかてつ
リチウム乾電池かんでんち
硫化りゅうかてつ(FeS2 リチウムしお有機ゆうき電解でんかいえき リチウム(Li) 1.50 最高さいこうひらき回路かいろ電圧でんあつが1.8 V ほどあり、一部いちぶ機器ききでは推奨すいしょう[8]
L アルカリマンガン乾電池かんでんち 二酸化にさんかマンガン(MnO2 アルカリ金属きんぞく水酸化物すいさんかぶつみず 亜鉛あえん(Zn) 1.50
P 空気くうき亜鉛あえん電池でんち 二酸化にさんかマンガン(MnO2 アルカリ金属きんぞく水酸化物すいさんかぶつみず 酸素さんそ(O2 1.40
S 酸化さんかぎん電池でんち 酸化さんかぎん(Ag2O) アルカリ金属きんぞく水酸化物すいさんかぶつみず 亜鉛あえん(Zn) 1.55
Z ニッケル乾電池かんでんち オキシ水酸化すいさんかニッケル(NiOOH) アルカリ金属きんぞく水酸化物すいさんかぶつみず 亜鉛あえん(Zn) 1.50 おもにデジカメようとして東芝とうしば、SONY、パナソニックなどが販売はんばいしていた。パナソニックのみ一般いっぱんけとして存続そんぞくねらったが失敗しっぱい後継こうけいオキシライド乾電池かんでんち生産せいさん終了しゅうりょうしている。

型式けいしきかた

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積層せきそう電池でんち(F22/9V)に内蔵ないぞうされているもと電池でんち形状けいじょうちがい。
型式けいしきかた[4][5]
1 2 3 4 5
0
0
0
0
0
0
0
0
1. 直列ちょくれつした電池でんちかず
場合ばあい省略しょうりゃくし、平形ひらがた乾電池かんでんちのように内部ないぶ複数ふくすう電池でんち直列ちょくれつつながってる場合ばあい、そのかず記載きさいされる。
2. 電池でんちけい記号きごう
マンガン乾電池かんでんちのように「なし」の場合ばあい省略しょうりゃくする。乾電池かんでんち種類しゅるい記号きごう参照さんしょう
3. 形状けいじょう記号きごう
  • R - 円筒えんとうがた円形えんけい(ボタンがた、コインがた同様どうよう
  • F - 平形ひらがた
  • S - 角形かくがた
4. 形式けいしき記号きごう 直径ちょっけい記号きごう / たか記号きごう円形えんけいのみ)
ミリ単位たんい記載きさいされる。円形えんけい記号きごうたか記号きごうについては下表かひょう直径ちょっけい記号きごうたかさの記号きごう」に記載きさい
5. 追加ついか記号きごう
追加ついか事項じこう
直径ちょっけい記号きごうたかさの記号きごう上記じょうき「4. 形式けいしき記号きごう」)[5]
最大さいだい直径ちょっけい小数点しょうすうてんだい1 記号きごう たかさの小数点しょうすうてんだい2 記号きごう
0.0 A 0.00 A
0.1 B 0.01 B
0.2 C 0.02 C
0.3 D 0.03 D
0.4 E 0.04 E
0.5 G 0.05 G
0.6 H 0.06 H
0.7 J 0.07 J
0.8 K 0.08 K
0.9 L 0.09 L

直径ちょっけい記号きごう最大さいだい直径ちょっけい整数せいすう変換へんかんしたと、小数点しょうすうてんだい1を記号きごうえ、それらをわす。れい直径ちょっけい15.6mmの円形えんけい電池でんち直径ちょっけい記号きごうは「15H」。
たか記号きごう整数せいすう(「.」をのぞく)にする、またはたかさを0.01単位たんいあらわ場合ばあいは、上記じょうきひょうにある記号きごう記載きさいしてもよい。れいたかさ1.67mmの円形えんけい電池でんちたか記号きごうは「167」または「16J」。

特徴とくちょう用途ようと

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マンガン乾電池かんでんち

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使用しようにより徐々じょじょ電圧でんあつ低下ていかするが、電流でんりゅうめると一時いちじてき起電きでんりょく回復かいふくする。

だい電流でんりゅうながせないため、時計とけい置時計おきどけい掛時計かけどけい)や(CDラジカセなどの)バックアップメモリーようのようにしょう電流でんりゅう連続れんぞく動作どうささせるもの、ドアチャイム・石油せきゆストーブ点火てんか&消火しょうかくさ機構きこう・デジタル体重たいじゅうけい電卓でんたく各種かくしゅリモコンなどのように間欠かんけつてき動作どうさおこなうものにてきする。ただ機器ききによって、アルカリ乾電池かんでんち使つかうよう指示しじされているものもある。


アルカリ乾電池かんでんち

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マンガン電池でんちして長時間ちょうじかん安定あんていした電圧でんあつだい電流でんりゅう維持いじし、電流でんりゅうめると一時いちじてき起電きでんりょく回復かいふくする。

デジタルカメラエレクトロニックフラッシュ携帯けいたいテレビ・小型こがた携帯けいたい電話でんわ&スマートフォン充電じゅうでん・バックライト液晶えきしょうディスプレイをそなえた携帯けいたいオーディオ機器きき(ポータブルMD、ポータブルCDプレーヤー、ポータブルレコードプレーヤー、MP3プレーヤー、CDプレーヤーラジオ、ポケットラジオ、ポータブルリビングラジオ、CDラジカセテープレコーダーICレコーダー)・電動でんどう玩具おもちゃ電池でんちうごくるま電車でんしゃ動物どうぶつ)・懐中かいちゅう電灯でんとう電動でんどうシェーバー拡声かくせい小型こがた楽器がっきアンプ携帯けいたいよう小型こがた扇風機せんぷうきなどだい電流でんりゅう連続れんぞく動作どうささせるものや、電波でんぱ時計とけいエアコン&温水おんすい洗浄せんじょう便座べんざのリモコン・ガス器具きぐガステーブル瞬間しゅんかん湯沸ゆわかしバランスがた風呂ふろがまなど)や石油せきゆ風呂ふろがま点火てんか&安全あんぜん装置そうち・ワイヤレスマウス&キーボード・ワイヤレスマイクなど電圧でんあつ降下こうかすると機能きのう影響えいきょうしたりうごかなくなったりする機器ききてきする。

ニッケル乾電池かんでんち

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デジタルカメラなどこう電圧でんあつ要求ようきゅうする機器ききく。初期しょき電圧でんあつ一般いっぱん乾電池かんでんちよりもたかく1.7V程度ていどあり、負荷ふかをかけてもそれを維持いじするため、とく消費しょうひ電力でんりょくおおきなデジタルカメラで実力じつりょく発揮はっきする。

リチウム乾電池かんでんち

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だい容量ようりょうだい電流でんりゅう維持いじできる。また、きわめて自己じこ放電ほうでんすくなく長期間ちょうきかん使用しようえる。

出力しゅつりょくモーターやデジタルカメラなどからデータ保持ほじようまで、だい電流でんりゅうしょう電流でんりゅうわず使用しよう可能かのう電池でんち本体ほんたいかるく、本数ほんすうおお使用しようするカメラようストロボなどの機器ききにも有用ゆうよう対応たいおうする温度おんどいきひろく、低温ていおんつよい。

酸化さんかぎん電池でんち

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おもカメラなどの露出ろしゅつけい薄型うすがた電卓でんたく電源でんげんなど。

水銀すいぎん電池でんち

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おもにカメラの露出ろしゅつけい電源でんげんなどで使つかわれていた。

日本にっぽんでは1996ねん製造せいぞう中止ちゅうし2018ねんから輸出入ゆしゅつにゅう禁止きんしとなった。水銀すいぎん電池でんち型式けいしきは「NR」「MR」のいずれか[9]

二酸化にさんかマンガンリチウム電池でんち

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メモリ起動きどうよう電源でんげんよううわき、フィルムカメラのデート機能きのう携帯けいたいゲームなど。

空気くうき亜鉛あえん電池でんち

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みみかけしきおよみみあなしき眼鏡めがね一体化いったいかされている補聴器ほちょうき電源でんげんとして使つかわれている。

使用しようじょう注意ちゅうい

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えき

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えきれをこした乾電池かんでんち

アルカリ電池でんちきやすいとされるえきれは、放電ほうでんによってさらにそのかくりつがる。放電ほうでんとは、機器きき作動さどうさせることができない電圧でんあつ通常つうじょう0.9V が基準きじゅん)になること。これにより、乾電池かんでんちない水素すいそ急速きゅうそく発生はっせいし、内圧ないあつ上昇じょうしょうによる破裂はれつふせぐため、安全弁あんぜんべんひら構造こうぞうになっている。このとき水素すいそ一緒いっしょうちえき放出ほうしゅつされる。また、マイナスがわ端子たんし損傷そんしょう原因げんいんひとつ。度重たびかさなる改良かいりょうおこなわれているが、現在げんざいでも基本きほんてきにはどの電池でんちにもこりうる。異種いしゅ電池でんち混用こんようによって、さき寿命じゅみょうむかえた電池でんち放電ほうでんないしぎゃく充電じゅうでん状態じょうたいかれてこされることもある。マンガン電池でんち相応そうおうとされる微弱びじゃく電力でんりょく機器きき時計とけいなど)[10][11]にアルカリ電池でんちれた場合ばあい結果けっかてき長期間ちょうきかん使用しようとなりえきれを誘発ゆうはつすることもある。なんらかの理由りゆうでいったんえきれが発生はっせいすると、アルカリ電池でんち場合ばあい電解でんかいえき水酸化すいさんかカリウムひとしつよアルカリのため、れたえきさわれば化学かがく火傷かしょうこし、はいれば失明しつめいのおそれもある。また、電池でんち種類しゅるいわずえきれは金属きんぞく腐食ふしょく原因げんいんとなるため故障こしょうこりやすい。

使用しよう推奨すいしょう期限きげん

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1993ねん以降いこう発売はつばいされた乾電池かんでんちおおくには、使用しよう推奨すいしょう期限きげん刻印こくいんされている。使用しよう推奨すいしょう期限きげんは、使用しよう開始かいし推奨すいしょうする期限きげんしめしたものであり、期限きげんまでに使つかわることを推奨すいしょうしているわけではない。期限きげん製造せいぞうからすうねん程度ていど一般いっぱんてき

想定そうていされるリスクについて

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コインがたリチウムいち電池でんちやボタンがたアルカリ電池でんちなどの小形こがた電池でんちは,ちいさな子供こども興味きょうみちやすく,くちれてんでしまうこともある。しかし,あやまったあつかいをすると人体じんたい重大じゅうだい損傷そんしょうあたえる可能かのうせいがある。まれた電池でんちは,粘液ねんえき唾液だえきなどの体液たいえき反応はんのうして回路かいろ形成けいせいし、人体じんたい組織そしきかしてしまうのに十分じゅうぶんつよさのアルカリ成分せいぶん発生はっせいさせる。それによって化学かがくやけどや粘膜ねんまく組織そしき損傷そんしょうじゅう症例しょうれいでは、食道しょくどう気管きかんあいだにあいたあな貫通かんつうし、最悪さいあく場合ばあいいたる。

JIS規格きかく規定きてい内容ないよう記号きごうについて

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Keep-out-of-reach-of-children

JIS 規格きかくでは,電池でんち取扱とりあつかいの安全あんぜんせいかんする注意ちゅうい事項じこうおよびそれを表示ひょうじすることが規定きていされている。たとえば「JIS C8513(リチウムいち電池でんち安全あんぜんせい)」では、「7.2 電池でんち取扱とりあつかいの安全あんぜんせいかんする注意ちゅうい事項じこう」として、「電池でんちは、乳幼児にゅうようじとどくところにかない。」と記載きさいされており、乳幼児にゅうようじ可能かのうせいがあるちいさな電池でんち乳幼児にゅうようじとどくところにかないこと、電池でんちんだ場合ばあいにはただちに医師いし連絡れんらくし、指示しじけること、電池でんちんだ場合ばあいただちにさなければならないことが記載きさいされている。さらに、大人おとな監視かんししていないところで、子供こども電池でんち交換こうかんをさせないことも記載きさいされている。この安全あんぜん記号きごうは“電池でんちは,乳幼児にゅうようじとどかないところにく”という注意ちゅうい喚起かんき保護ほごしゃおこなうことを目的もくてきとしている。[12]

使用しよう乾電池かんでんち

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日本にっぽん

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国内こくない製造せいぞうされた乾電池かんでんちには『水銀すいぎん0使用しよう』の表記ひょうきがあり、原料げんりょう水銀すいぎん使つかってないことしめす。マンガン乾電池かんでんち1991ねん、アルカリ乾電池かんでんち1992ねんから、水銀すいぎん使用しようされていない。ただし輸入ゆにゅうされたすべての乾電池かんでんちかんしては水銀すいぎんふくんでいる可能かのうせいがある[13][14][15]

いち電池でんちなかでも水銀すいぎんふく電池でんち存在そんざいする。2018ねん水銀すいぎんによる環境かんきょう汚染おせん防止ぼうしかんする法律ほうりつ」の規制きせいにより酸化さんかぎん電池でんちは1%未満みまん空気くうき亜鉛あえん電池でんちは2%未満みまん水銀すいぎんふくむことが許容きょようされている[16]。そのボタンがた電池でんちでもわずかに水銀すいぎんふくんでいるが、2020ねんすえから製造せいぞう輸出入ゆしゅつにゅう禁止きんしされている[9]

電池でんちちがい、粘着ねんちゃくテープとう電極でんきょく絶縁ぜつえんしてから不燃ふねんゴミとして廃棄はいきすることは可能かのうであるが、種類しゅるいにかかわらず回収かいしゅう・リサイクルすることがのぞましい[17][18][15]

欧州おうしゅう連合れんごう

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RoHS指令しれいおよびWEEE指令しれいにより、水銀すいぎん0使用しよう達成たっせいした乾電池かんでんちであっても回収かいしゅう・リサイクルが義務ぎむづけられている[19]

歴史れきし

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乾電池かんでんち以前いぜん

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乾電池かんでんち誕生たんじょう

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  • 1885ねん明治めいじ18ねん)- ドイツカール・ガスナードイツばんがドイツで乾電池かんでんち特許とっきょ取得しゅとく生産せいさん開始かいし1888ねん)。小型こがた湿しめ電池でんち性能せいのう不満ふまんいた日本にっぽん時計とけい技師ぎし屋井やいさきぞうが、より取扱とりあつかいが簡素かんそでまた日本にっぽん寒冷かんれいでも使用しよう可能かのう時計とけいもちい小型こがたいち電池でんち屋井やいしき乾電池かんでんち」をつく[注釈ちゅうしゃく 3]
  • 1888ねん明治めいじ21ねん) - デンマークウィルヘルム・ヘレンセン英語えいごばん乾電池かんでんち特許とっきょ取得しゅとく
  • 1892ねん明治めいじ25ねん) - シカゴ万国博覧会ばんこくはくらんかい帝国ていこく大学だいがく理学部りがくぶ地震じしんけい出展しゅってんする。これに使用しようした屋井やいしき乾電池かんでんちがアメリカ企業きぎょう模倣もほうされ、翌年よくねんには「Dry battery」という模倣もほうひん舶来はくらいひんとして日本にっぽんぎゃく輸入ゆにゅうされた(当時とうじ日本にっぽんは「日本にっぽん外国がいこくからるものはおおくても外国がいこく日本にっぽんからるものはすくない」とのかんがえにって法律ほうりつつくっていた[22])。
  • 1892ねん明治めいじ25ねん) - 日本にっぽん乾電池かんでんち特許とっきょだいいちごう高橋たかはし市三郎いちさぶろうによって取得しゅとくされる(だい2062ごう)。その屋井やいさきぞう金銭きんせんなんから出願しゅつがんできずにいた[23]乾電池かんでんち特許とっきょ出願しゅつがん取得しゅとくだい2086ごう)。
  • 1896ねん明治めいじ29ねん) - アメリカ・エナジャイザー(energizer)しゃが、世界せかいはじめて消費しょうひしゃけの乾電池かんでんち発明はつめい

乾電池かんでんち飛躍ひやく

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  • 1909ねん タングステンフィラメントによって、乾電池かんでんちうご最初さいしょ懐中かいちゅう電灯でんとうができた。
  • 1954ねん 外装がいそう円筒えんとうじょう金属きんぞくおおった円筒えんとうがた単位たんい電池でんち松下電器産業まつしたでんきさんぎょうから発売はつばいされた[24]

日本にっぽん国内こくないおも乾電池かんでんち充電じゅうでんしき電池でんちメーカーとおもなブランド

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現在げんざい生産せいさん販売はんばいちゅう

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生産せいさん販売はんばいより撤退てったい

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  • ソニー
    • ソニーエナジーデバイス(FDKへ生産せいさん委託いたくしていたが、2019ねん7がつかぎりでぜん種類しゅるい電池でんち販売はんばいより完全かんぜん撤退てったい。リチウムイオン電池でんち事業じぎょう村田製作所むらたせいさくしょ譲渡じょうと今後こんごソニー製品せいひんまれるおためよう乾電池かんでんちはパナソニック・マクセルなどの他社たしゃより供給きょうきゅう):スタミナ乾電池かんでんち
  • シャープ同社どうしゃ製品せいひんのリモコンにまれているおためよう乾電池かんでんちはパナソニックなどの他社たしゃより供給きょうきゅう
  • 日立製作所ひたちせいさくしょ(マクセルへ生産せいさん委託いたくしていた「HITACHI」ブランド乾電池かんでんちは2018ねんかぎりで販売はんばい終了しゅうりょう現在げんざい日立ひたちチェーンストールではマクセル・FDKせい乾電池かんでんち販売はんばいし、日立ひたち製品せいひんのリモコンにまれるおためよう乾電池かんでんちはマクセルなどの他社たしゃより供給きょうきゅう
  • 三洋電機さんようでんき(パナソニック完全かんぜん子会社こがいしゃともない「SANYO」ブランドは廃止はいしされ親会社おやがいしゃ「Panasonic」ブランドへ吸収きゅうしゅう合併がっぺい充電じゅうでんしき電池でんちエネループ」はパナソニックブランドで継続けいぞく販売はんばい)。
  • 日本にほんビクターげんJVCケンウッド
  • 朝日あさひ電器でんき(「ELPA」ブランド。乾電池かんでんち販売はんばいからは撤退てったいし、現在げんざい小型こがたLEDライト・携帯けいたいオーディオなどの電池でんち応用おうよう商品しょうひんのみを生産せいさん販売はんばい

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 懐中かいちゅう電灯でんとうなど白熱はくねつ電球でんきゅう点灯てんとう用途ようとでは、ひく電圧でんあつでややくらくなる程度ていど影響えいきょうがあるが、電圧でんあつ降下こうか前提ぜんていとした設計せっけいがなされておらず厳密げんみつ電圧でんあつ必要ひつようとする機器ききでは、製品せいひん誤動作ごどうさ内部ないぶ部品ぶひん破壊はかいしてしまう場合ばあいがある。
  2. ^ すべ最大さいだい寸法すんぽうであり、最小さいしょう省略しょうりゃくする。
  3. ^ ただし年次ねんじ証明しょうめいする明確めいかく資料しりょう確認かくにんできず[20]、1887ねんともつたわる[21]

出典しゅってん

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  1. ^ a b Q11. 乾電池かんでんちの、たん1、たん2とはなにですか?”. 一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん 電池でんち工業こうぎょうかい. 2021ねん2がつ23にち閲覧えつらん
  2. ^ 日本工業規格にほんこうぎょうきかく(JIS)を制定せいてい改正かいせいしました(平成へいせい29ねん9がつぶん)~給水きゅうすいせんいち電池でんち通則つうそくなどのJISを制定せいてい改正かいせい”. 経済けいざい産業さんぎょうしょう (2017ねん9がつ20日はつか). 2021ねん2がつ23にち閲覧えつらん
  3. ^ 日本にっぽん産業さんぎょう規格きかく電池でんち関係かんけい)(JIS)”. 一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん 電池でんち工業こうぎょうかい. 2020ねん12月24にち閲覧えつらん
  4. ^ a b c 電池でんち知識ちしき電池でんち規格きかくについて”. 一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん 電池でんち工業こうぎょうかい. 2020ねん12月24にち閲覧えつらん
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外部がいぶリンク

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