ニッケル・カドミウム蓄電池ちくでんち

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ニッケル・カドミウム蓄電池ちくでんち
ニッケル・カドミウム蓄電池ちくでんち
重量じゅうりょうエネルギー密度みつど 40–60 W·h/kg
体積たいせきエネルギー密度みつど 50–150 W·h/L
出力しゅつりょく荷重におも 150 W/kg
充電じゅうでん/放電ほうでん効率こうりつ 70–90%
自己じこ放電ほうでんりつ 10 %/つき
サイクル耐久たいきゅうせい 300-2,000 サイクル
公称こうしょう電圧でんあつ 1.2 V
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各種かくしゅニカド電池でんち乾電池かんでんち互換ごかん形状けいじょうやカセットプレーヤーよう電池でんちパック、機器ききようなど
ドイツアルトルスハイム オートビジョン博物館はくぶつかんPSAのニッケル・カドミウム蓄電池ちくでんち
リサイクルマーク(リサイクルほうによる)

ニッケル・カドミウム電池でんち(ニッケル・カドミウムでんち、英語えいご: Nickel-Cadmium rechargeable battery:Ni-Cd)とは、電池でんち一種いっしゅで、せいきょくオキシ水酸化すいさんかニッケルきょくカドミウム電解でんかいえき水酸化すいさんかカリウム水溶液すいようえき苛性かせいカリ・KOH aq.)をもちいたアルカリ蓄電池ちくでんちである。ニッカド電池でんち三洋電機さんようでんき商標しょうひょう[1])、ニカド電池でんちカドニカ電池でんち三洋電機さんようでんき登録とうろく商標しょうひょうだい1913742ごう)ともばれる。ユングナー英語えいごばん電池でんちとも[2]

識別しきべつしょくは、みどりライムグリーン)。日本工業規格にほんこうぎょうきかく(JIS)じょう名称めいしょうは、密閉みっぺいがたニッケル・カドミウム蓄電池ちくでんち(JIS C 8705)。

概要がいよう[ソースを編集へんしゅう]

ニッケル・カドミウム蓄電池ちくでんち出力しゅつりょく特性とくせいは、モーターなどのこう出力しゅつりょく用途ようとてきしている。反面はんめん自然しぜん放電ほうでん使用しようしなくてもたくわえていた電気でんきりょう減少げんしょうすること)がおおきいため、時計とけいなど消費しょうひ電力でんりょくちいさく、また長期間ちょうきかん稼働かどうさせつづける機器ききには不向ふむきである。また、一般いっぱんひろ流通りゅうつうしている円筒えんとうがたニッケル・カドミウム蓄電池ちくでんち公称こうしょう電圧でんあつは1.2 Vから1.25 Vとされており、どう形状けいじょういち電池でんちマンガン乾電池かんでんちアルカリ乾電池かんでんち)のていかくである1.5 V よりもひくいので、それらと単純たんじゅんえても正常せいじょう動作どうさしない機器ききなかにはある。

また、水銀すいぎん電池でんちおなじように、使つかはじめから放電ほうでん終止しゅうし直前ちょくぜんまで電圧でんあつ電流でんりゅうともに安定あんていした放電ほうでんおこない、放電ほうでん終了しゅうりょう直前ちょくぜんから急激きゅうげき電圧でんあつがるという、ニッケル・カドミウム電池でんち独特どくとく放電ほうでん特性とくせいにより、いち電池でんち使用しよう前提ぜんていとした機器ききでは、電池でんちざんりょう表示ひょうじ正常せいじょうはたらかないことがおおい。ニッケル・カドミウム電池でんち使用しよう前提ぜんていとした機器ききビデオカメラ掃除そうじヘッドホンステレオなど)では、1980年代ねんだい後半こうはん電子でんし制御せいぎょによってざんりょう表示ひょうじ可能かのうとなった。

含有がんゆうするカドミウムが「イタイイタイ病いたいいたいびょう」をこす有害ゆうがい物質ぶっしつで、廃棄はいき環境かんきょう悪影響あくえいきょうあたえる問題もんだいがあること、容量ようりょうすくないこと、メモリー効果こうか顕著けんちょ管理かんり面倒めんどうなことなどから、ニッケル・水素すいそ充電じゅうでんリチウムイオン電池でんちわりにひろ使用しようされるようになってきたが、歴史れきしながあつかいのノウハウが豊富ほうふであることや、電池でんちがタフである(放電ほうでんつよい)こと瞬発しゅんぱつりょくたかさ、生産せいさんコストめんなどから、ラジコンなどホビー分野ぶんや電動でんどう工具こうぐよう蓄電池ちくでんちとしては現役げんえきひろ使つかわれつづけている。

近年きんねん需要じゅよう製造せいぞうメーカーの減少げんしょうにより、ニッケル・水素すいそ充電じゅうでんよりも価格かかくたかくなる逆転ぎゃくてん現象げんしょうつづいていたが、ガーデニングよう太陽光たいようこう充電じゅうでんしきガーデンライトや家庭かていようソーラー防犯ぼうはんとう普及ふきゅうにより、需要じゅよう減少げんしょう歯止はどめがかかったため沈静ちんせいした。

反応はんのうしき[ソースを編集へんしゅう]

  • せいきょく:
  • きょく:

種類しゅるい[ソースを編集へんしゅう]

ごくいた形式けいしきによる分類ぶんるいつぎのとおり。

  • ポケットしきアルカリ蓄電池ちくでんち
  • しょうゆい(シンター)しきアルカリ蓄電池ちくでんち
    とくごくいたうすくすることが出来できため短時間たんじかんだい電流でんりゅうせる瞬発しゅんぱつりょくおおきさが期待きたい出来できる。

特徴とくちょう[ソースを編集へんしゅう]

  • 内部ないぶ抵抗ていこうちいさい
    • だい電流でんりゅう放電ほうでん可能かのう
  • 電圧でんあつがほぼゼロになるまで放電ほうでんをしても(放電ほうでん)、所定しょてい回復かいふく充電じゅうでんたかし放電ほうでんすうかいかえす)をおこなうことにより容量ようりょう回復かいふくする
    • 蓄電池ちくでんちとしては、少々しょうしょうざつあつかいにもえるとえる
  • 低温ていおん環境かんきょうでの電圧でんあつ降下こうかすくない(0 - 20 ℃ の範囲はんいでも使用しよう可能かのうである。おなじように低温ていおん状態じょうたいでも使用しよう可能かのう電池でんちリチウム電池でんちのみである)
  • 自然しぜん放電ほうでんがニッケル・水素すいそ充電じゅうでんよりすくない(現在げんざいでは、自己じこ放電ほうでん抑制よくせいがたのニッケル水素すいそ電池でんち登場とうじょうで、立場たちば逆転ぎゃくてんしている)

問題もんだいてん[ソースを編集へんしゅう]

  • どうサイズ(体積たいせき)で比較ひかくすると、ニッケル・水素すいそ充電じゅうでんくらべて放電ほうでん容量ようりょうすくない
  • つぎ充電じゅうでんかえおこなうとメモリー効果こうか顕著けんちょにあらわれる。そのため次回じかい充電じゅうでんするさい注意ちゅうい必要ひつよう
  • 自然しぜん環境かんきょうへの影響えいきょう使用しようしているカドミウムが有害ゆうがい)がある。そのため、使用しよう電池でんち回収かいしゅうおこなわれている。
  • 起電きでんりょくまけ温度おんど特性とくせいっているため、サーマルランナウェイ(ねつ暴走ぼうそう)をこす。

国内こくないおも製造せいぞうメーカー[ソースを編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[ソースを編集へんしゅう]

  1. ^ 福田ふくだ 2013, p. 110.
  2. ^ エレクトロニクス術語じゅつご解説かいせつ 1983, p. 234.
  3. ^ コラムシリーズ”. 産業さんぎょうよう蓄電池ちくでんち. 古河電池ふるかわでんち株式会社かぶしきがいしゃ. 2018ねん2がつ2にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん[ソースを編集へんしゅう]

  • 福田ふくだ京平きょうへい電池でんちのすべてが一番いちばんわかる : 高性能こうせいのうする乾電池かんでんち充電じゅうでんから注目ちゅうもく燃料ねんりょう電池でんち太陽たいよう電池でんちまで』技術評論社ぎじゅつひょうろんしゃ〈しくみ図解ずかい ; 039〉、2013ねん10がつ25にちISBN 978-4-7741-5981-2 
  • いずみ弘志ひろし『エレクトロニクス術語じゅつご解説かいせつまことぶんどう新光しんこうしゃ、1983ねん5がつ20日はつか