RJ500 (エンジン)

RJ500とはロールス・ロイスと日本にっぽん航空機こうくうきエンジン協会きょうかいにより共同きょうどうで開発かいはつされたターボファンエンジン。

開発かいはつ経緯けいい

この国際こくさい共同きょうどう開発かいはつのきっかけとなったのが、航空機こうくうき用ようジェットエンジン技術ぎじゅつ研究けんきゅう組合くみあいが開発かいはつしたFJR710をイギリスの国立こくりつガスタービン研究所けんきゅうじょ (National Gas Turbine Establishment : NGTE)にて高空こうくう試験しけんを行おこなった際さいに、英国えいこく側がわに日本にっぽんの技術ぎじゅつを高たかく評価ひょうかされたことであるとされる。

1977年ねんの非公式ひこうしきな打診だしんののち、1978年ねんにロールス･ロイスより正式せいしきに100席せき～120席せき機き用ように推力すいりょく16,000ポンドクラスのRB432エンジンの国際こくさい共同きょうどう開発かいはつを提案ていあんがなされた。1979年ねん12月12日にちにRJ500共同きょうどう開発かいはつ協定きょうてい書しょに正式せいしき調印ちょういんが行おこなわれ、1980年ねん4月がつにRolls Royce & Japanese Aero Engines Ltd.(RR-JAEL)が設立せつりつされ、RJ500-01の開発かいはつが開始かいしされた。

RJ500-01は推力すいりょく20,000ポンドクラスのエンジンで、開発かいはつはロールス・ロイスと日本にっぽん側がわで50対たい50の割合わりあいで分担ぶんたんし(日本にっぽん側がわではそれをさらに石川島播磨重工業いしかわじまはりまじゅうこうぎょうが60%、川崎重工業かわさきじゅうこうぎょうが25%、三菱重工業みつびしじゅうこうぎょうが15%の割合わりあいで分担ぶんたんした)、高こう圧あつ系けいをロールス･ロイス、低圧ていあつ系けいを日本にっぽん側がわが担当たんとうし、日にち英えい両りょう政府せいふの助成じょせいのもと開発かいはつが行おこなわれた。RJ500-01は2基きの試験しけん用ようエンジンが製作せいさくされ日にち英えい両国りょうこくにおいて1985年ねんまでに地上ちじょう評価ひょうか試験しけんが行おこなわれた。 またその間あいだ、日本にっぽん航空機こうくうきエンジン協会きょうかいが1981年ねん10月に設立せつりつされ、航空機こうくうき用ようジェットエンジン組合くみあいのRJ500開発かいはつ計画けいかくを引ひき継ついだ。

130席せき旅客機りょかくき用ようのRJ500-01D4の開発かいはつが進すすめられていたものの、市場いちばの動向どうこうからより大型おおがたの機材きざいのためのエンジンの需要じゅようが有望ゆうぼう視しされ、燃費ねんぴもRJ500-01よりさらに1割わり低ひくい水準すいじゅんが要求ようきゅうされるようになったため、推力すいりょく23,000ポンドクラスのRJ500-35の開発かいはつを決定けっていし着手ちゃくしゅするに至いたった。しかし、プロジェクトの大型おおがた化かとそれに伴ともなう開発かいはつ費ひの増大ぞうだいから、同様どうようの計画けいかくを持もち共同きょうどう開発かいはつの申もうし入いれをしてきたUTCグループ（プラット・アンド・ホイットニー、MTU、フィアット）と合流ごうりゅうすることを決きめ、V2500の5カ国かこく共同きょうどう開発かいはつへ移行いこうすることとなった。

RJ500-01

100～130席せき機きをターゲットとした推力すいりょく20,000ポンドクラスのエンジンとして開発かいはつされた。第だい1に低ていコスト、第だい2に低てい公害こうがい、第だい3に低てい燃費ねんぴを狙ねらいとし、少すくない部品ぶひん点数てんすう、高価こうかな材料ざいりょうを避さける、圧力あつりょく比ひやタービン入口いりくち温度おんどをあまり高たかくないようにするなどしてイニシャルコスト、整備せいびコストの低減ていげんを図はかって、なおかつ燃料ねんりょう消費しょうひ率りつはJT8Dなどに比くらべて2割わり低減ていげんすることを目標もくひょうとしていた。2基きが製作せいさくされ、1号機ごうきのRJ01が英国えいこく、2号機ごうきのRJ02が日本にっぽんにおいてそれぞれ試験しけんに供きょうされた。

諸しょ元もと

RJ500-01D4

• 長ながさ : 2,571 mm
• 巾はば : 1,940 mm
• 高たかさ : 1,640 mm
• エンジン重量じゅうりょう : 4,116 lb
• ファン : 1段だん軸じく流りゅうファン 外がい径みち59inch
• 圧縮あっしゅく機き : 9段だん軸じく流りゅう高だか圧あつ圧縮あっしゅく機き
• 燃焼ねんしょう器き : アニュラー式しき燃焼ねんしょう器き
• タービン : 2段だん軸じく流りゅう空冷くうれい高だか圧あつタービン、3段だん軸じく流りゅう低圧ていあつタービン
• バイパス比ひ : 4.69
• 圧縮あっしゅく比ひ : 22.2
• タービン入口いりくち温度おんど : 1,488°K
• 推力すいりょく : 20,000 lb (静止せいし状態じょうたい、SL、ISA、気温きおん15°C、離陸りりく定てい格かく)
• 燃料ねんりょう消費しょうひ率りつ : 0.654 lb/lbf.h (マッハ0.8、30,000ft、ISA、巡航じゅんこう時じ)

RJ500-35

より大型おおがたの150席せき機きをターゲットに23,000ポンドクラスのエンジンとして開発かいはつが行おこなわれた。基本きほん的てきにはRJ500-01の構造こうぞうを踏襲とうしゅうしているものの、ファンを大型おおがた化かし、その後うしろに1段だんのブースト段だんを追加ついか、それらを駆動くどうする低圧ていあつタービンを4段だんのものに改あらためるなど大幅おおはばな改良かいりょうが織おり込こまれていた。

諸しょ元もと

RJ500-35

• エンジン重量じゅうりょう : 4,896 lb
• ファン : 1段だん軸じく流りゅうファン 外がい径みち64inch
• 圧縮あっしゅく機き : 1段だん軸じく流りゅう低圧ていあつ圧縮あっしゅく機き、9段だん軸じく流りゅう高だか圧あつ圧縮あっしゅく機き
• 燃焼ねんしょう器き : アニュラー式しき燃焼ねんしょう器き
• タービン : 2段だん軸じく流りゅう高だか圧あつタービン、4段だん軸じく流りゅう低圧ていあつタービン
• タービン入口いりくち温度おんど : 1,525°K
• バイパス比ひ : 5.12
• 圧縮あっしゅく比ひ : 31.0
• 推力すいりょく : 23,700 lb (静止せいし状態じょうたい、SL、ISA、気温きおん15°C、離陸りりく定てい格かく)
• 燃料ねんりょう消費しょうひ率りつ : 0.601 lb/lbf.h (マッハ0.8、30,000ft、ISA、巡航じゅんこう時じ)

参考さんこう資料しりょう

• 井上いのうえ利昭としあき 「JAECにおける旅客機りょかくき用ようエンジンの国際こくさい共同きょうどう開発かいはつ」『日本にっぽんガスタービン学会がっかい誌し』Vol.28 No.5、日本にっぽんガスタービン学会がっかい、13頁ぺーじ-17頁ぺーじ、2000年ねん
• 松木まつき正勝まさかつ、佐々木ささき誠まこと、遠藤えんどう征ただし紀き、「航空機こうくうき用ようエンジン」『内燃ないねん機関きかん』Vol.22 No.275 3月がつ号ごう、山海さんかい堂どう、1983年ねん
• ガスタービン統計とうけい作成さくせい委員いいん会かい編へん 『国産こくさんガスタービン・過か給きゅう機き資料集しりょうしゅう－統計とうけい・生産せいさん実績じっせき・仕様しよう諸しょ元もと－ 1989年版ねんばん』、日本にっぽんガスタービン学会がっかい、162頁ぺーじ-163頁ぺーじ、1989年ねん

関連かんれん項目こうもく

• FJR710 (エンジン)
• V2500 (エンジン)

外部がいぶリンク

• 財団ざいだん法人ほうじん日本にっぽん航空機こうくうきエンジン協会きょうかい
• 国立こくりつ科学かがく博物館はくぶつかん 産業さんぎょう技術ぎじゅつ史し資料しりょうデーターベース内ないのRJ500の情報じょうほう