RJRナビスコ

R・J・レイノルズ・ナビスコ
R. J. Reynolds Nabisco, Inc.

元もとの種類しゅるい	子会社こがいしゃ
業種ぎょうしゅ	食品しょくひん産業さんぎょう たばこ産業さんぎょう
その後ご	R・J・レイノルズ・タバコを分割ぶんかつし、ナビスコ・グループ・ホールディングスに改称かいしょう
設立せつりつ	1986年ねん4月がつ25日にち
解散かいさん	1999年ねん3月がつ1日にち
本社ほんしゃ	ノースカロライナ州しゅうウィンストン・セーラム ジョージア州しゅうコブ郡ぐん ニューヨーク市しミッドタウン
製品せいひん	菓子かし、タバコ
親会社おやがいしゃ	RJRナビスコ・ホールディングス (1985-1999)
ウェブサイト	www.rjrnabisco.com

RJRナビスコ(RJR Nabisco, Inc.)は、かつてアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにあった食品しょくひん産業さんぎょうとたばこ産業さんぎょうのコングロマリット企業きぎょうである。

1986年ねんにナビスコブランズとR・J・レイノルズ・インダストリーズが合併がっぺいして誕生たんじょうした。1988年ねん、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が同社どうしゃを買収ばいしゅうした。これは、当時とうじ史上しじょう最大さいだいのレバレッジド・バイアウトだった。同年どうねん、たばこ事業じぎょうがR・J・レイノルズ・タバコとして分割ぶんかつされ、RJRナビスコはナビスコ・ホールディングスに改称かいしょうされた。その後ごの企業きぎょう買収ばいしゅうにより、現在げんざいはモンデリーズ・インターナショナルの一部いちぶとなっている。

歴史れきし

設立せつりつ

R・J・レイノルズ・タバコ(R. J. Reynolds Tobacco Company)は1875年ねんにノースカロライナ州しゅうウィンストン・セーラムで設立せつりつされ、1970年ねんにR・J・レイノルズ・インダストリーズ(R. J. Reynolds Industries, Inc.)に改称かいしょうした。1985年ねん、同社どうしゃは49億おくドルの現金げんきんと19億おくドルの株式かぶしき交換こうかんによりナビスコブランズ社しゃを買収ばいしゅうし、1986年ねん4月がつ25日にちにRJRナビスコに改称かいしょうした。

本社ほんしゃの移転いてん

1987年ねん1月がつ1日にち、社長しゃちょうが元もとRJR社長しゃちょうのJ・タイリー・ウィルソンから元もとナビスコ社長しゃちょうのF・ロス・ジョンソンに交代こうたいした。ジョンソンは、ウィンストン・セーラムは「田舎いなか」であり、世界せかい企業きぎょうたるRJRナビスコにはふさわしくないと考かんがえ、社長しゃちょうに就任しゅうにんしてすぐに本社ほんしゃの移転いてんを検討けんとうし始はじめた。「成金なりきん的てきで建物たてものが多おおすぎる」という理由りゆうでニューヨークやダラスは除外じょがいされ、ジョージア州しゅうアトランタを移転いてん先さきに決定けっていした。1987年ねん1月がつ15日にち、RJRナビスコの取締役とりしまりやく会かいは、アトランタの北きたのコブ郡ぐんに本社ほんしゃを移転いてんすることを決定けっていした。250人にんから300人にんがコブに転勤てんきんとなったが、ウィンストン・セーラムには1万まん4千せん人にんの従業じゅうぎょう員いんがとどまった。ウィンストン・セーラムにある51万まん9千せん平方へいほうフィートの旧きゅう本社ほんしゃビルは、1987年ねん9月がつの移転いてんまで使用しようした後のち、ウェイクフォレスト大学だいがくに寄贈きぞうされた。その後ご、RJRナビスコの一部いちぶの部門ぶもんが旧きゅう本社ほんしゃビルに移転いてんした。

レバレッジド・バイアウト

RJRナビスコは、1988年ねんにコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)によりレバレッジド・バイアウト(LBO)によって買収ばいしゅうされた。この買収ばいしゅうは、企業きぎょうや経営けいえい者しゃの強欲ごうよくさの突出とっしゅつした例れいとして広ひろく知しられている。ブライアン・バーロウとジョン・ヘルヤーは、この買収ばいしゅうを取とり上あげたドキュメンタリー『野蛮やばんな来訪らいほう者しゃ―RJRナビスコの陥落かんらく』(Barbarians at the Gate: The Fall of RJR Nabisco)を出版しゅっぱんした。この本ほんは、HBOによりテレビ映画えいが化かされた（日本語にほんご訳やく題だい『企業きぎょう買収ばいしゅう/250億おくドルの賭かけ』）。

RJRナビスコの社長しゃちょうのロス・ジョンソンとKKRの経営けいえいパートナーであるヘンリー・クラビスは、1988年ねん10月がつから11月がつにかけて同社どうしゃの経営けいえい権けんを巡めぐって争あらそいを繰くり広ひろげ、最終さいしゅう的てきにはKKRがRJRナビスコの経営けいえい権けんを取得しゅとくした。レバレッジド・バイアウトの金額きんがくは250億おくドルだった。

RJRナビスコの経営けいえい陣じんと投資とうし銀行ぎんこうのシアーソン・リーマン・ハットンが、同社どうしゃの株式かぶしきを1株かぶ75ドルで非公開ひこうかい化かすることを発表はっぴょうしたのが発端ほったんだった。その後ご、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、ソロモン・ブラザーズ、ファースト・ボストン、ワッサースタイン・ペレラ、フォースマン・リトル、シアーソン・リーマン・ハットン、メリルリンチという、当時とうじの大手おおてプライベート・エクイティ業者ぎょうしゃのほぼ全すべてが参加さんかし、交渉こうしょうと提案ていあんが行おこなわれた。

KKRは、RJRナビスコ株かぶを1株かぶ90ドルで買収ばいしゅうするという公開こうかい買付かいつけを、RJRナビスコの了承りょうしょうを得えずに開始かいしした。これに対抗たいこうしてRJRナビスコ側がわは、シアーソン、ソロモンと共同きょうどうで、1株かぶ112ドルでの入札にゅうさつを提示ていじした。最終さいしゅう的てきにKKRは1株かぶ109ドルで入札にゅうさつし、RJRナビスコの取締役とりしまりやく会かいはこれを了承りょうしょうした。これは、KKRが提示ていじ額がくを保証ほしょうしていたのに対たいし、RJRナビスコの提示ていじ額がくには「リセット」がなく、最終さいしゅう的てきな株価かぶかが112ドルを下回したまわる可能かのう性せいがあったからである。それに加くわえて、RJRナビスコの取締役とりしまりやくの多おおくは、ジョンソン社長しゃちょうがゴールデンパラシュート契約けいやくに関かんする情報じょうほう開示かいじを行おこなったことに対たいして懸念けねんを抱だいた。『タイム』誌しは、1988年ねん12月がつ号ごうの表紙ひょうしにジョンソン社長しゃちょうの肖像しょうぞうを掲載けいさいし、"A Game of Greed: This man could pocket $100 million from the largest corporate takeover in history. Has the buyout craze gone too far?"（強欲ごうよくのゲーム: この男おとこは史上しじょう最大さいだいの企業きぎょう買収ばいしゅうで1億おくドルを手てに入いれた。バイアウトの熱狂ねっきょうはやり過すぎだったのか?）という見出みだしをつけた。

RJRナビスコの取締役とりしまりやく会かいはKKRの提案ていあんを歓迎かんげいした。しかし、一部いちぶの評論ひょうろん家かは、取締役とりしまりやく会かいがリセットの問題もんだいを殊更ことさら取とり上あげたのは、ジョンソンが提示ていじした1株かぶ112ドルという高たかすぎる額がくを拒否きょひする口実こうじつではないかと指摘してきした。ジョンソンは、この買収ばいしゅうにより6千せん万まんドル以上いじょうの報酬ほうしゅうを受うけ取とり、1989年ねん2月がつに退任たいにんした。同年どうねん3月がつ、アメリカン・エキスプレスのルイス・ガースナーが新あたらしい社長しゃちょうに就任しゅうにんした。

KKRによる買収ばいしゅう後ご

RJRナビスコの最後さいごの本社ほんしゃが置おかれたカリヨン・ビル

KKRによる買収ばいしゅう後ごの1989年ねん4月がつ27日にち、RJRナビスコは本社ほんしゃをニューヨークに移転いてんすると発表はっぴょうし、ミッドタウンのカリヨン・ビルに移転いてんした。

KKRによる買収ばいしゅう後ご、RJRナビスコは以下いかの部門ぶもん・子会社こがいしゃを売却ばいきゃくした。

• ナビスコのイギリスでの事業じぎょう（スミス・スナックフードとウォーカーズを含ふくむ）、フランスのブラン(Belin)、イタリアのサイワ(Saiwa)はBSNに売却ばいきゃくされた。BSNはスミスとウォーカーズをペプシコに売却ばいきゃくした。
• チャンキング(Chun King)はヨー・ヒャップセンに売却ばいきゃくされた。
• アソシエイテッド・ビスケッツ・インターナショナルはブリタニア・インダストリーズに売却ばいきゃくされた。
• デルモンテ・フーズのうち生鮮せいせん食品しょくひん部門ぶもんはフレッシュ・デルモンテ・プロデュースとして分割ぶんかつされ、ポリー・ペックに売却ばいきゃくされた。残のこりのデルモンテ・フーズは、メリルリンチ、シティバンク・ベンチャーキャピタル、キッコーマンに売却ばいきゃくされた。アジア（フィリピンを除のぞく）での事業じぎょうはキッコーマンに売却ばいきゃくされた。
• 保有ほゆうしていたESPNの20%の持もち分ぶんは、ハースト・コーポレーションに売却ばいきゃくされた。

アメリカ労働省ろうどうしょうの報告ほうこく書しょ"American Workplace"によれば、RJRナビスコの買収ばいしゅうの結果けっか、2千せん人にん以上いじょうが失業しつぎょうし、その72%が別べつの職しょくを得えたが、収入しゅうにゅうは半分はんぶん以下いかとなり、再さい就職しゅうしょくに平均へいきんで5.6か月げつかかっている。

1991年ねん3月がつ21日にち、RJRナビスコの親会社おやがいしゃであるRJRナビスコ・ホールディングス(RJR Nabisco Holdings Corp.)は株式かぶしきを公開こうかいした。1999年ねん6月がつ、RJRナビスコはたばこ部門ぶもんをR・J・レイノルズ・タバコとして分割ぶんかつし、株式かぶしきを売却ばいきゃくした。親会社おやがいしゃのRJRナビスコ・ホールディングスはナビスコグループホールディングスに改称かいしょうし、たばこ部門ぶもん売却ばいきゃく後ごにRJRナビスコから改称かいしょうしたナビスコ・ホールディングスの株式かぶしきの80.5%を保有ほゆうした。2000年ねん、フィリップ・モリスがナビスコ・ホールディングスを買収ばいしゅうし、クラフトフーヅと合併がっぺいさせた。これは、食品しょくひん業界ぎょうかい最大さいだいの合併がっぺいとなった。2011年ねん、クラフトフーヅは食品しょくひん部門ぶもんと菓子かし部門ぶもんの会社かいしゃに分割ぶんかつされた。ナビスコは菓子かし部門ぶもんの会社かいしゃであるモンデリーズ・インターナショナルの一部いちぶとなった。

参考さんこう文献ぶんけん

• Burrough, Bryan; Helyar, John (1990). Barbarians at the Gate: The Fall of RJR Nabisco. New York: Harper & Row. ISBN 0-06-016172-8. https://archive.org/details/barbariansatgat000burr 

外部がいぶリンク

• RJR Nabisco (WebArchive)