S-5ロケット弾だん

S-5ロケット弾だん（S-5ロケットだん）は、ソビエト連邦れんぽうによって開発かいはつされた航空機こうくうき搭載とうさい型がたの対地たいち攻撃こうげき用ようロケット弾だんである。初期しょきにはARS-57とも呼よばれていた。現在げんざいはロシア空軍くうぐんやその他たの輸出ゆしゅつ先さきの多おおくの国々くにぐにで使用しようされている。

多おおくの状況じょうきょうに対応たいおうするため、成形せいけい炸薬さくやく弾だん（S-5K）や破片はへん効果こうか榴弾りゅうだん（S-5M/MO）、煙幕えんまく弾だん、焼夷弾しょういだんなど、数種類すうしゅるいの弾頭だんとうが製作せいさくされている。これらのロケット弾だんは弾頭だんとうや信管しんかんにもよるが、概おおむね全長ぜんちょう1.4m、重量じゅうりょう5kg、射程しゃてい3-4kmである。

開発かいはつ[編集へんしゅう]

当初とうしょはMiG-19用ようのAS-5対空たいくう兵へい装そうシステムの一部いちぶとして、ナチス・ドイツから鹵獲ろかくしたR4Mを参考さんこうにして1950年代ねんだい初頭しょとうに開発かいはつが開始かいしされた。開発かいはつ試験しけんではMiG-15bisやMiG-17に搭載とうさいして行おこなわれ、1955年ねん1月がつにMiG-17PFで行おこなわれた最終さいしゅう試験しけんで完成かんせいした。これらの試験しけんで明あきらかになったことは、このロケット弾だんは仮想かそう目標もくひょうに対たいしても期待きたい通どおりの成果せいかを見みせることがないということだった。しかし、このARS-57ロケット弾だんは、S-5ロケット弾だんとして1955年ねん4月がつに配備はいびされた。

概要がいよう[編集へんしゅう]

S-5は、直径ちょっけい55mmの無む誘導ゆうどうロケット弾だんで、57mm口径こうけいの発射はっしゃ管かんより射出しゃしゅつされる。主おもに攻撃こうげき機きやヘリコプターによって運用うんようされる。鋼はがね鉄てつ製せいの外そと殻からからなる固体こたい燃料ねんりょうロケットと高性能こうせいのう炸薬さくやく弾頭だんとう、信管しんかんからなる。後部こうぶには延長えんちょうノズルに8枚まいの安定あんてい翼つばさが折おりたたまれて収納しゅうのうされている。安定あんてい翼つばさは、発射はっしゃ管かんに収納しゅうのう中ちゅうはロケットに張はり付つくように収納しゅうのうされ、射出しゃしゅつ直後ちょくごにスプリングバックによって展開てんかいされる。飛行ひこう中ちゅうは安定あんてい翼つばさによりロケットの回転かいてんが安定あんていし、およそ毎まい分ぶん750回かいの速度そくどで回転かいてんする。固体こたい燃料ねんりょうロケットの燃焼ねんしょう時間じかんは1.1秒びょうで、この間あいだに300m飛翔ひしょうする。

S-5は、各種かくしゅのロケット弾だんポッドによって運搬うんぱんされる。最初さいしょの発射はっしゃ機きはORO-57 ポッドで、その派生はせいによって4、8あるいは16発はつのロケット弾だんを運搬うんぱんできる。その中なかで最もっとも一般いっぱん的てきなのが8発はつを収納しゅうのうするORO-57Kで、特とくにMiG-19によって運用うんようされた。その後ご1960年代ねんだい初頭しょとうには16発はつを収納しゅうのうするUB-16-57が一般いっぱん的てきになった。こちらも航空機こうくうきやヘリコプター向むけにいくつか派生はせい型がたが開発かいはつされた。UBとは"Universal Block"を表あらわし、標準ひょうじゅん的てきな爆ばく弾だん用ようのハードポイント（パイロン）に搭載とうさいできることを意味いみする。57は発射はっしゃ管かんの直径ちょっけいを表あらわし、ロケットの径みちより2mm大おおきい。最初さいしょ期き型がたとUB-16-57Uでは先端せんたん部ぶに円錐えんすい形かたちの先端せんたんを持もっていたが、次つぎのUB-16-57Dでは鈍にぶい先端せんたんとなった。1968年ねんからは円錐えんすい状じょうの先端せんたんとその頂点ちょうてんに5本ほんの発射はっしゃ管かんを備そなえたUB-16-57UMPの生産せいさんが開始かいしされる。1970年代ねんだいには比較的ひかくてき大型おおがたの航空機こうくうき向むけに32発はつを収納しゅうのう可能かのうな最終さいしゅう型がたであるUB-32が生産せいさんされた。ポーランドでは16発はつ搭載とうさいのMras-2 ランチャーが開発かいはつされた。

1980年代ねんだいのアフガニスタン紛争ふんそうにおいて、Su-25やMi-24によってS-5ロケット弾だんが広ひろく使用しようされたが、効果こうかは低ひくかったと考かんがえられている。パイロットたちは、このロケットは発射はっしゃ後ご「チューリップのように」拡散かくさんし、弾頭だんとうは「ムジャーヒディーンの踵かかとをくすぐる」程度ていどのものだったと表現ひょうげんしている。これに対たいし、ソビエト連邦れんぽう軍ぐんはS-8ロケット弾だんのような、より大だい口径こうけいのロケットで代替だいたいした。

2009年ねん 1月がつ6日にちの日曜日にちようび、イスラエル軍ぐんは、ガザ地区ちくの民兵みんぺいからイランやアフガニスタンでの戦闘せんとうで用もちいられたのと同型どうけいのS-5Kロケット弾だんが発射はっしゃされたと確認かくにんした。

ランチャー諸しょ元もと[編集へんしゅう]

ORO-57K
- ロケット搭載とうさい数すう：8
- 長ながさ×直径ちょっけい：1,447×220mm
- 空虚くうきょ重量じゅうりょう：33kg
- 満載まんさい重量じゅうりょう：64kg
- 搭載とうさい機き：MiG-19、J-6、Q-5
UB-16-57UMP
- ロケット搭載とうさい数すう：16
- 長ながさ×直径ちょっけい：1,880×335mm
- 空虚くうきょ重量じゅうりょう：57kg
- 満載まんさい重量じゅうりょう：138kg
- 搭載とうさい機き：MiG-21, Su-7, Mi-8
UB-32
- ロケット搭載とうさい数すう：32
- 長ながさ×直径ちょっけい：2,080×481mm
- 空虚くうきょ重量じゅうりょう：103kg
- 満載まんさい重量じゅうりょう：264kg
- 搭載とうさい機き：MiG-21, MiG-23, MiG-27, Su-7, Su-17/20/22, Su-25, Mi-17, Mi-24

ロケット諸しょ元もと[編集へんしゅう]

名称めいしょう	種類しゅるい	全長ぜんちょう	全ぜん重量じゅうりょう	弾頭だんとう重量じゅうりょう	注釈ちゅうしゃく
S-5	GP	0.915m	3.99kg	1.16kg	衝撃しょうげき信管しんかん。
S-5M	破片はへん効果こうか榴弾りゅうだん（HE-FRAG）	1.400m	5.00kg	1.16kg	75の破片はへんを飛散ひさんさせる。
S-5M1	破片はへん効果こうか榴弾りゅうだん（HE-FRAG）	0.882m	3.86kg	0.8kg	75の破片はへんを飛散ひさんさせる。
S-5MO	FRAG	0.998m	4.82kg	0.8kg	弾頭だんとうは、同心円どうしんえん状じょうに20の切きり込こみが刻きざまれ、360の破片はへんを飛散ひさんさせる。
S-5K	成形せいけい炸薬さくやく（HEAT）	?	?	?	成形せいけい炸薬さくやく弾だん。RHA換算かんさんで130mmの貫徹かんてつ能力のうりょくを持もつ。
S-5K1	成形せいけい炸薬さくやく（HEAT）	0.83m	3.64kg	1.1kg	成形せいけい炸薬さくやく弾だん。RHA換算かんさんで130mmの貫徹かんてつ能力のうりょくを持もつ。
S-5KO	成形せいけい炸薬さくやく（HEAT） FRAG	0.987m	4.43kg	1.36kg	弾頭だんとうは、同心円どうしんえん状じょうに10の切きり込こみが刻きざまれ、220の破片はへんを飛散ひさんさせる。
S-5KP	成形せいけい炸薬さくやく（HEAT） FRAG	?	?	?	成形せいけい炸薬さくやく弾だんに加くわえ、破片はへん効果こうかを増ますために鋼はがね線せん入いりのジャケットを備そなえる。圧あつ電でん効果こうか式しき衝撃しょうげき信管しんかん。
S-5KPB	成形せいけい炸薬さくやく（HEAT） FRAG	1.079m	5.01kg	1.8kg	成形せいけい炸薬さくやく弾だんに加くわえ、破片はへん効果こうかを増ますために鋼はがね線せん入いりのジャケットを備そなえる。圧あつ電でん効果こうか式しき衝撃しょうげき信管しんかん。
S-5S	フレシェット弾だん	?	?	?	1,000-1,100個この40mm矢や弾だんを詰つめ込こんだ弾頭だんとう。
S-5SB	フレシェット弾だん	?	?	?	1,000-1,100個この40mm矢や弾だんを詰つめ込こんだ弾頭だんとう。
S-5P（PARS-57）	チャフ	?	?	?	チャフロケット
S-5P1	チャフ	1.073m	5.04kg	?	チャフロケット
S-5-O	フレア	?	?	?	フレア、照明しょうめい弾だん
S-5-O1	Paraflare	0.948m	4.94kg	1.73kg	パラシュートフレア

開発かいはつ[編集へんしゅう]

概要がいよう[編集へんしゅう]

ランチャー諸しょ元もと[編集へんしゅう]

ロケット諸しょ元もと[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]