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SN 1572

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
SN 1572[1]
SN 1572
チャンドラが撮影したSN1572の超新星残骸
チャンドラ撮影さつえいしたSN1572の超新星ちょうしんせい残骸ざんがい
星座せいざ カシオペヤ
かけの等級とうきゅう (mv) -4.0[1]
分類ぶんるい 超新星ちょうしんせい[1]
位置いち
もと:J2000.0[1]
あかけい (RA, αあるふぁ)  00h 25m 21.5s[1]
あかぬき (Dec, δでるた) +64° 08′ 27″[1]
物理ぶつりてき性質せいしつ
スペクトル分類ぶんるい B8 [1]
カタログでの名称めいしょう

SN 1572A[1]
B Cas[1]
BD +63 39a[1], HR 92[1]
Template (ノート 解説かいせつ■Project
ティコのほし(SN 1572)がのこした超新星ちょうしんせい残骸ざんがい星雲せいうん

SN 1572すなわち超新星ちょうしんせい1572は、カシオペヤあらわれた、いままでに肉眼にくがんえた8つの超新星ちょうしんせいのうちの1つである。この超新星ちょうしんせいは、1572ねん11月11にちティコ(チコ)・ブラーエによってはじめて観測かんそくされたので、「ティコ(チコ)の超新星ちょうしんせい[2]あるいは「ティコ(チコ)のほし[3]あるいは「ティコ(チコ)の新星しんせい[4]ともばれる。

経過けいか

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この超新星ちょうしんせい爆発ばくはつは、我々われわれ銀河系ぎんがけいうちこり、実視じっし最大さいだい光度こうどは-4等級とうきゅう[1]で、金星かなぼし匹敵ひってきするあかるさであった。その1574ねん3がつに、このほしかがやきは、肉眼にくがんではえなくなった[ちゅう 1]

ティコ・ブラーエがもっとくわしい観測かんそく記録きろくのこし、後世こうせいられたため「ティコのほし」のがあるが、このほし最初さいしょ気付きづいたのは、ティコ・ブラーエではなく、おそらく1572ねん11月6にち発見はっけんしたヴォルフガング・シューラー(Wolfgang Schuler)である。イタリアの天文学てんもんがくしゃフランチェスコ・マウロリーコ(Francesco Maurolico)もブラーエよりまえにこのほしつけていたとわれる。

しかしティコの業績ぎょうせきは、こうした一時いちじてき天文てんもん現象げんしょう宇宙うちゅう空間くうかんこったものであること証明しょうめいしたてんにある。中世ちゅうせいからルネサンスにかけ、西洋せいようキリスト教きりすときょう世界せかいかんでは、宇宙うちゅうかみつくった完全かんぜん無欠むけつ世界せかいで、すべてがわることなく永遠えいえんつづき、したがって彗星すいせい新星しんせい [ちゅう 2]のようにえるほどの速度そくど変化へんかする現象げんしょう宇宙うちゅう空間くうかんこったものではなく、大気たいきちゅう現象げんしょうぎないとかんがえられていた。ティコはこの超新星ちょうしんせい精密せいみつ観測かんそくし、まった位置いちえなかったこと確認かくにんし、これを宇宙うちゅう空間くうかん天体てんたいであるとするせつとなえた。

爆発ばくはつ状況じょうきょう

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SN 1572は、もと白色はくしょく矮星通常つうじょう恒星こうせいからなる近接きんせつれんほしけいで、白色はくしょく矮星に相手あいてほしからチャンドラセカール限界げんかいにいたるまで物質ぶっしつ水素すいそ)が降着こうちゃくして爆発ばくはつしたIaがたであった。一般いっぱんにIaがた超新星ちょうしんせいは、かに星雲せいうん形成けいせいしたSN 1054 [ちゅう 3]のようなIIがた超新星ちょうしんせいられる典型てんけいてきではっきりとした星雲せいうんをつくらない。この超新星ちょうしんせい残骸ざんがいは、かなりかすかな星雲せいうんとしてパロマー天文台てんもんだい1960年代ねんだい発見はっけんされ、のち衛星えいせいROSAT望遠鏡ぼうえんきょうによって写真しゃしんおさめられた。ガスのからは、いまやく9,000 km/sで外側そとがわかってひろがっている。また、電波でんぱ天体てんたいとしてられるG.120•1+1•4はSN 1572に同定どうていされている。

現在げんざい研究けんきゅう成果せいか

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2004ねん10がつ、イギリスの科学かがく雑誌ざっしネイチャー」の記事きじは、SN 1572の近傍きんぼうにおけるG2がた[ちゅう 4]恒星こうせい発見はっけんほうじた。このほしは、ティコのほしとなった白色はくしょく矮星に水素すいそ流入りゅうにゅうさせた相手あいてほしであるとかんがえられる。2005ねん3がつ出版しゅっぱんされたその研究けんきゅうでは、「ティコG」と名付なづけられたこのほしについてさらに詳細しょうさいあきらかにされた。このほしは、おそらく爆発ばくはつまえにはしゅ系列けいれつぼしじゅん巨星きょせいであったが、超新星ちょうしんせい爆発ばくはつ影響えいきょう質量しつりょう一部いちぶられ、外層がいそう衝撃波しょうげきは加熱かねつされた。またティコGは高速こうそく固有こゆう運動うんどうをしており、これは、このほし白色はくしょく矮星のたいをなしていたこともっと有力ゆうりょく証拠しょうこである。このほし近隣きんりんほかほし固有こゆう運動うんどう速度そくどよりはるかにはやい136 km/sでうごいており、これは、超新星ちょうしんせい爆発ばくはつによってれんぼし一方いっぽうであった白色はくしょく矮星が消滅しょうめつし、ティコGが宇宙うちゅう空間くうかんばされた結果けっかかんがえられるからである。

2008ねん国立こくりつ天文台てんもんだいハワイ観測かんそくしょ東京大学とうきょうだいがく数物かずもの連携れんけい宇宙うちゅう研究けんきゅう機構きこう、マックスプランク天文学てんもんがく研究所けんきゅうじょ合同ごうどう研究けんきゅうチームにより、超新星ちょうしんせい爆発ばくはつひかり周辺しゅうへんちり反射はんしゃする現象げんしょう、いわゆる「ひかりエコー」をすばる望遠鏡ぼうえんきょう観測かんそくした結果けっか発表はっぴょうされた[5]。これにより、SN 1572のスペクトルはIaがた超新星ちょうしんせい特徴とくちょうてきなものであり、SN 1572がIaがたなかでも標準ひょうじゅんてき光度こうどしめ超新星ちょうしんせい爆発ばくはつだったこと、そして地球ちきゅうからの距離きょりやく12,000光年こうねんであることがあきらかとなった。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 正常せいじょう視力しりょくひと感知かんちもっとくらほしは6とうぼしであるから、6とう以下いか光度こうどちたことになる。
  2. ^ 超新星ちょうしんせいふくむが、当時とうじ超新星ちょうしんせい概念がいねんはまだなかった。
  3. ^ 1054ねんおうし出現しゅつげんした超新星ちょうしんせい日本にっぽん中国ちゅうごく記録きろくのこる。
  4. ^ 恒星こうせいひかりのスペクトル分析ぶんせきによって分類ぶんるいしたかたひとつ。我々われわれ太陽たいようおな黄色おうしょく恒星こうせいである。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l SIMBAD Astronomical Database”. Results for SN 1572A. 2016ねん8がつ27にち閲覧えつらん
  2. ^ ティコの超新星ちょうしんせいしま模様もよう発見はっけんナショナルジオグラフィック ニュース
  3. ^ 札幌さっぽろ 2011ねん9がつ・10月の星空ほしぞら札幌さっぽろ青少年せいしょうねん科学かがくかん
  4. ^ [1]9ページ 兵庫ひょうご県立けんりつ大学だいがく西にしはりま天文台てんもんだい
  5. ^ 超新星ちょうしんせい残骸ざんがいティコの起源きげん解明かいめい ~ ティコ・ブラーエが16世紀せいきていた超新星ちょうしんせいなぞを、こんすばるが解読かいどく 国立こくりつ天文台てんもんだいすばる望遠鏡ぼうえんきょう

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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