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一(イチ)とは？ 意味や使い方 - コトバンク

デジタル大辞泉だいじせん 「一いち」の意味いみ・読よみ・例文れいぶん・類語るいご

いち【一いち】［漢字かんじ項目こうもく］

［音おと］イチ（呉ご）　イツ（漢かん）　［訓くん］ひと　ひとつ
［学習がくしゅう漢字かんじ］1年ねん
〈イチ〉
１ 数かずの名な。ひとつ。「一いち一いち・一いち枚まい／逐一ちくいち・万一まんいち」
２ 物事ものごとの最初さいしょ。一いち番目ばんめ。「一いち位い／第だい一いち」
３ ひとたび。「一応いちおう・一巡いちじゅん」
４ 最上さいじょうのもの。「随一ずいいち・天下一てんかいち・日本一にっぽんいち」
５ ひとまとまり。「一概いちがい・一軍いちぐん・一座いちざ・一同いちどう・一様いちよう」
６ 他たをまじえず、それ一ひとつだけ。もっぱら。「一意いちい・一途いっといちず・一念いちねん」
７ ある一ひとつの。もう一ひとつの。「一案いちあん・一時いちじ・一部いちぶ・一いち名めい」
８ ほんのわずか。ちょっと。「一瞥いちべついちべつ・一抹いちまつ・一縷いちるいちる」
〈イツ〉
１ ひとつ。「択一たくいつ・唯一ゆいいつ」
２ 一いち番目ばんめ。「一いち階かい・一等いっとう」
３ 一ひとつにまとまる。ひとまとまり。「一致いっち・一般いっぱん／画一かくいつ・帰一きいつ・均一きんいつ・単一たんいつ・統一とういつ・不一ふいつ」
４ もっぱら。「純一じゅんいつ・専せん一いち」
５ ある一ひとつの。他たの。「一説いっせつ・一方いっぽう」
６ わずか。「一顧いっこ・一瞬いっしゅん」
〈ひと〉「一息ひといき・一際ひときわ・一癖ひとくせ・一口ひとくち・一筋ひとすじ・一昔ひとむかし」
[補ほ説せつ]「弌」は異体いたい字じ。
［名なのり］おさむ・か・かず・かた・かつ・くに・すすむ・ただ・ち・のぶ・はじむ・はじめ・ひ・ひじ・ひで・ひとし・まこと・まさし・もと
［難読なんどく］一昨日おとといおととい・一昨年いっさくねんおととし・三さん一いちサンピン・一寸ちょっとちょっと・都みやこ都と一いちどどいつ・一向いっこうひたすら・一入ひとしおひとしお・一いち十じゅうひとそじ

いち【一いち／壱いち】

［名な］
１ 数かずの名な。自然しぜん数すうで最初さいしょの数かず。ひとつ。
２ いちばん初はじめ。1番目ばんめ。「―の鳥居とりい」
３ 物事ものごとの最初さいしょ。「―から出直でなおす」
４ 最もっともすぐれていること。最上さいじょう。最高さいこう。「―の子分こぶん」「世界せかい―」
５ 三味線しゃみせんなどで、いちばん音おとの低ひくい太ふとい糸いと。一いちの糸いと。
６ 島田しまだ髷まげまげなどの後うしろに張はり出でた部分ぶぶん。
「菊きく千せん代だいは潰つぶせ島田しまだつぶしの―を気きにしながら色気いろけのない大欠おおがきおおあくび」〈荷風かふう・腕うでくらべ〉
［副ふく］いちばん。最もっとも。いっち。
「木きこねりと申もうして、―うまい柿かきでござる」〈虎とら寛ひろし狂きょう・合ごう柿かき〉
[補ほ説せつ]「壱いち」は、主おもに証書しょうしょなどに金額きんがくを記しるすときまちがいを防ふせぐために、「一いち」の代かわりに特とくに用もちいる。
[類語るいご]二に・三さん・四よん・五ご・六ろく・七なな・八はち・九きゅう・十じゅうじゅう・百ひゃく・千せん・万まん・億おく・兆ちょう・ゼロ・零れい・一ひとつ・二ふたつ・三みっつ・四よっつ・五いつつ・六むっつ・七ななつ・八やっつ・九ここのつ・十じゅうとお

ひと【一いち】

１ ひとつ。いち。
２ （名詞めいしや動詞どうしの連用形れんようけいの上うえに付ついて）
㋐一ひとつ、または1回かいの意いを表あらわす。「一いち包つつみ」「一いち勝負しょうぶ」
㋑不ふ特定とくていの一時期いちじきや大体だいたいの範囲はんいなどを表あらわす。「一いちころ」「一いちわたり」「一いち通とおり」
㋒ちょっとしたものであることを表あらわす。「一いちかど」「一いちくせ」
㋓全体ぜんたいに及およぶさまを表あらわす。全部ぜんぶ。…中なかじゅう。「一いち皿さらたいらげる」「一いち夏なつを山荘さんそうで過すごす」
㋔（「ひと…する」の形かたちで）軽かるくある動作どうさを行おこなう、あることをひととおりする意いを表あらわす。「一いち眠ねむりする」「一いち風呂ふろ浴あびる」

いつ【一いち／▽壱いち】

１ ひとつ。
「ここに―の秘法ひほうを案出あんしゅつ致いたし候こうそろ」〈漱石そうせき・吾輩わがはいは猫ねこである〉
２ 同おなじこと。まとまっていること。「軌を―にする」「心しんを―にする」
３ 一方いっぽう。あるもの。別べつなもの。「―は甘あまく、―は苦にがい」
４ （「いつに」の形かたちで副詞ふくし的てきに用もちいて）もっぱら。ひとえに。「成否せいひは―に現在げんざいの努力どりょくにかかっている」

いつ【一いち／壱いち】［漢字かんじ項目こうもく］

〈一いち〉⇒いち
〈壱いち〉⇒いち

ひい【▽一いち】

「ひ（一いち）」の音おと変化へんか。「一いち、ふう、みい」

ひ【▽一いち】

いち。ひとつ。声こえに出だして数かずをかぞえるときの語かたり。ひい。「一いち、ふ、み、よ」

イー【一いち】

《〈中国ちゅうごく語ご〉》数すうのいち。ひとつ。

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精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてん 「一いち」の意味いみ・読よみ・例文れいぶん・類語るいご

いち【一いち・壱いち】

  1. [ 1 ] 〘 名詞めいし 〙
    1. ① 数かずの名な。最初さいしょの基本きほん数すう。また、いくつかに分わけたものの一ひとつ。ひとつ。ひと。いつ。
      1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「一いち(いち)二にの目めのみにはあらず五ご六ろく三さん四よんさへありけり双六すごろく(すぐろく)の采さい(さえ)」(出典しゅってん：万葉集まんようしゅう（８Ｃ後ご）一いち六ろく・三さん八はち二に七なな)
      2. 「惣そう(すべ)て都とのうち、三さん分ふんが一いちに及およべりとぞ」(出典しゅってん：方丈ほうじょう記き（1212）)
      3. [その他たの文献ぶんけん]〔易えき経けい‐繋辞けいじ・上うえ〕
    2. ② 物事ものごとの始はじめ。最初さいしょ。第だい一いち番目ばんめ。
      1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「父母ちちははふみを一いちにてよむ」(出典しゅってん：宇津うつ保たもつ物語ものがたり（970‐999頃ごろ）藤原ふじわらの君きみ)
      2. 「一いちの御子みこは右大臣うだいじんの女御にょうごの御ご腹はらにて」(出典しゅってん：源氏物語げんじものがたり（1001‐14頃ごろ）桐きり壺つぼ)
      3. [その他たの文献ぶんけん]〔老子ろうし‐四よん二に〕
    3. ③ 最もっともすぐれていること。最もっとも大事だいじなこと。また、そのもの。第だい一いち。最上さいじょう。一等いっとう。
      1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「一いちを得えて運うんを撫なで」(出典しゅってん：日本にっぽん霊異れいい記き（810‐824）中ちゅう)
      2. 「すべて人じんに一いちに思おもはれずは、なににかはせん」(出典しゅってん：枕草子まくらのそうし（１０Ｃ終おわり）一いち〇一いち)
    4. ④ ( 名詞めいしの上うえについて ) 多おおくの中なかの不ふ確定かくていな一ひとつをさす。ある。
      1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「東京とうきょうの一いち家庭かていに起おこった異常いじょうな事件じけんである」(出典しゅってん：日ひの出で前まえ（1946）〈太宰だざい治おさむ〉)
    5. ⑤ 極端きょくたんなこと。はなはだしいこと。
      1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「御供ごくうのうちに、某ぼう(それがし)一いちの老体ろうたいにて候こう」(出典しゅってん：大観たいかん本ほん謡曲ようきょく・七なな騎き落（1483頃ごろ）)
    6. ⑥ 三味線しゃみせんの糸いとの中なかの最もっとも太ふといもの。いちのいと。
      1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「年としわすれかわれぬ時分じぶん一いちが切きれ」(出典しゅってん：雑俳ざっぱい・柳やなぎ多留たる‐四よん（1769）)
    7. ⑦ 髷まげ(まげ)などの、元結もとゆい(もとゆい)でくくったところから、後方こうほうに出でた部分ぶぶん。
      1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「一いち(イチ)が上のぼり過あやまたじゃあないかね」(出典しゅってん：滑稽本こっけいぼん・浮世うきよ風呂ふろ（1809‐13）二に)
    8. ⑧ 酒さけの一いち合ごう。
      1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「紅葉こうよう(もみぢ)おろしで一いち(イチ)よ」(出典しゅってん：滑稽本こっけいぼん・八はち笑わらい人じん（1820‐49）五ご)
    9. ⑨ 「いちにち（一いち日にち）」の略りゃく。特とくに八はち月がつ一いち日にち（八朔はっさく(はっさく)）。
      1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「一いち(いチ)はのがれたが十じゅう五ご是ぜ天命てんめい」(出典しゅってん：雑俳ざっぱい・川かわ傍はた柳やなぎ（1780‐83）三さん)
    10. ⑩ さいころの一いちの目めのこと。
      1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「一いちの裏うらは六ろく、悪あくの裏うらは善ぜん也」(出典しゅってん：仮名かめい草子ぞうし・竹たけ斎とき（1621‐23）上じょう)
    11. ⑪ 笙しょう(しょう)の管かん名めい。盤ばん渉わたる(ばんしき)の音律おんりつを出だすもの。
      1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「譜ふ十じゅう字じ 十じゅう〈双そう調ちょう〉下か〈下しも無む〉乙おつ〈平たいら調ちょう〉工こう〈上うえ無む〉美よし〈鳬鐘〉一いち〈盤ばん渉わたる〉行ぎょう〈黄き鐘がね〉凡〈壱いち越こし〉乞〈下しも黄き鐘がね〉比ひ〈神仙しんせん〉」(出典しゅってん：楽らく家か録ろく（1690）一いち〇)
  2. [ 2 ] 〘 副詞ふくし 〙 一番いちばん。第だい一いちに。最もっとも。→いいち・いっち。
    1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「孔子こうし七なな十じゅう余あまり国こくを遍歴へんれきするに居いレ陳ひね三さん年ねんそ一いち久ひさしいそ」(出典しゅってん：足利あしかが本論ほんろん語ご抄しょう（１６Ｃ）公おおやけ冶長第だい五ご)
    2. 「いちほねおりて見みえけるはいかなる人ひとぞ」(出典しゅってん：虎明とらあき本ほん狂言きょうげん・祇園ぎおん（室町むろまち末まつ‐近世きんせい初はつ）)

ひと【一いち】

  1. [ 1 ] 〘 名詞めいし 〙 物もの数のかずを、声こえに出だして順じゅんに唱うたえながら数かぞえるときの一いち(いち)。ひい。ひ。
    1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「一いち(ヒト)二に(ふた)三さん(み)四よん(よ)」(出典しゅってん：年中ねんじゅう行事ぎょうじ秘ひ抄しょう（１２Ｃ末まつ）鎮魂ちんこん祭さい歌か)
  2. [ 2 ] 〘 造語ぞうご要素ようそ 〙 ( 名詞めいし・助数詞じょすうしまたは動詞どうしの連用形れんようけいの上うえに付つけて用もちいる )
    1. ① 物事ものごとの数かずがひとつであること、または一いち回分かいぶんであることを表あらわす。「ひと足あし」「ひと冬ふゆ」「ひと勝負しょうぶ」「ひと浜はま」など。
      1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「山やま処しょ(やまと)の比ひ登とう(ヒト)本ほん薄うす(すすき)、うなかぶし汝なんじが泣なかさまく」(出典しゅってん：古事記こじき（712）上じょう・歌謡かよう)
      2. 「ひとふさ折おりてまゐれ」(出典しゅってん：源氏物語げんじものがたり（1001‐14頃ごろ）夕顔ゆうがお)
    2. ② ひとつのもの全体ぜんたいに満みちている、または、全体ぜんたいに及およぶ意いを表あらわす。…にいっぱい。…全体ぜんたい。…じゅう。「ひと鍋なべ」「ひとかかえ」「ひと晩ばん」など。
      1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「日にちひとひ下か(しも)に居きょくらしてまゐりたれば」(出典しゅってん：枕草子まくらのそうし（１０Ｃ終おわり）八はち二に)
    3. ③ 不ふ特定とくていのある一いち点てんを漠然ばくぜんとさして表あらわす。ある。
      1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「ひとひの文ぶんに、ありし事ことなど語かたり給きゅうふ」(出典しゅってん：枕草子まくらのそうし（１０Ｃ終おわり）一いち三さん六ろく)
      2. 「一いちとせ山門さんもんの訴訟そしょうによってながされしを」(出典しゅってん：平家ひらか物語ものがたり（１３Ｃ前まえ）二に)
    4. ④ 一応いちおうその範疇はんちゅうにはいる意い、またちょっとしたものである意いを表あらわす。ひとかどの。いちおうの。
      1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「一いち(ヒト)面目めんぼくに備んと攻おさむ(せめ)戦たたかふ」(出典しゅってん：太平たいへい記き（１４Ｃ後ご）一いち五ご)
    5. ⑤ ( 「ひと…（…）する」の形かたちで ) その動作どうさを一応いちおうする、一いち通とおりする意いを表あらわす。ちょっとの。また、ひとしきりの。「ひと苦労くろうする」「ひと泡あわふかす」「ひと旗はたあげる」「ひとかせぎする」など。なお、この後半こうはんを略りゃくして「ひと…」の形かたちだけでいうことも多おおい。
      1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「わが背子せこが古ふるき垣内かきうち(かきつ)の桜花おうかいまだ含(ふふ)めり比ひ等とう(ヒト)目見まみに来きね」(出典しゅってん：万葉集まんようしゅう（８Ｃ後ご）一いち八はち・四よん〇七なな七なな)
      2. 「其矢〈略りゃく〉本堂ほんどうの艮うしとら(うしとら)の柱はしらに一いちゆりゆりて、くつまき過あやまてぞ立たたりける」(出典しゅってん：太平たいへい記き（１４Ｃ後ご）一いち七なな)
    6. ⑥ ( 「ひと…に…する」の形かたちで ) その動作どうさが一いち回かいだけで終おわる、一回いっかいだけで完全かんぜんに行おこなわれる意いを表あらわす。一回いっかいだけの。一いち度どだけの。また、いっきの。ひといきの。「ひと筆ぴつに書かく」「ひと打うちに打うちのめす」など。なお、この後半こうはんを略りゃくして「ひと…」の形かたちだけでいうことも多おおい。
      1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「おにはやひとくちに食しょくひてけり」(出典しゅってん：伊勢物語いせものがたり（１０Ｃ前まえ）六ろく)

いつ【一いち・壱いち】

  1. 〘 名詞めいし 〙
  2. ① 数かずの名な。最初さいしょの基本きほん数すう。また、いくつかに分わけたものの一ひとつ。「も」を伴ともなって、少すこしも、の意いにも用もちいる。ひとつ。いち。
    1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「抜山ぬきやま之これ力りょく蓋世がいせい之の気き一いちも用もちいに不ふレ立だてぞ」(出典しゅってん：史記しき抄しょう（1477）六ろく)
    2. 「中なかにも此関は三関みつせきの一いち(いつ)にして」(出典しゅってん：俳諧はいかい・奥おくの細道ほそみち（1693‐94頃ごろ）白川しらかわの関せき)
  3. ② 同おなじこと。同様どうよう。同一どういつ。「軌きを一いつにする」
    1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「本ほん注ちゅうの写本しゃほんは、いつも伐うと代だいとをば一いちにするほどに」(出典しゅってん：史記しき抄しょう（1477）五ご)
  4. ③ 一ひとつに集中しゅうちゅうすること。合同ごうどう。統一とういつ。「力ちからを一いちにする」
    1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「我わが臣民しんみん克かつ(よ)く忠ちゅうに克かつく孝こうに、億兆おくちょう心しんを一いちにして」(出典しゅってん：教育きょういくに関かんする勅語ちょくご‐明治めいじ二に三さん年ねん（1890）一いち〇月がつ三さん〇日にち)
  5. ④ 一方いっぽう。あるもの。別べつのもの。
    1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「民間みんかんには義士ぎし烈婦れっぷありて、国辱こくじょくをそそぎたりとて、大だいに外交がいこう政略せいりゃくに関かんする而已(のみ)ならず、一いち(イツ)は以もって内うち政府せいふを改良かいりょうするの好こう手段しゅだんたり、一挙両得いっきょりょうとくの策さくなり」(出典しゅってん：妾わらわの半はん生涯しょうがい（1904）〈福田ふくだ英子えいこ〉二に)
    2. 「一いち(イツ)を良心りょうしん的てきと讚たたえへ、他たを非ひ良心りょうしん的てきと貶(けな)したが」(出典しゅってん：文学ぶんがく史し的てき空白くうはく時代じだい（1928）〈大宅おおたく壮一そういち〉三さん)
  6. ⑤ ( 「に」を伴ともなって副詞ふくし的てきに用もちいる ) もっぱら。ひとえに。「いつに日頃ひごろの研究けんきゅう心しんのたまものです」「成否せいひはいつにかかってここにある」 〔礼れい記き‐礼れい運うん〕

イー【一いち】

  1. 〘 名詞めいし 〙 「一いち」の中国ちゅうごく音おん。いち。ひとつ。江戸えど時代じだいには拳こぶし(けん)の用語ようごとして用もちいられ、現代げんだいではマージャン用語ようごとして用もちいられる。
    1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「真しん(ほんとう)の拳こぶし(けん)と云うんふ物ぶつは一いち(イイ)二に(りゃん)三さん(さん)四よん(すう)五ご(うう)六ろく(りう)七なな(ちゑい)八はち(ぱま)九きゅう(くゎい)といふものだっサ」(出典しゅってん：滑稽本こっけいぼん・浮世うきよ風呂ふろ（1809‐13）三さん)

ひ【一いち】

  1. 〘 名詞めいし 〙 ( 「ひと（一いち）」の頭あたまの音おとを符丁ふちょうのようにしたもの ) 物もの数のかずを、声こえに出だして順じゅんに唱うたえながら数かぞえるときの一いち。実際じっさいに唱となえるときには普通ふつうは「ヒーフーミーヨー」のように長ながく発音はつおんする。ひい。→ひい（一いち）。
    1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「一いち二に三さん四よん五ご六ろく七なな八はち九きゅう十じゅうをひふとて、手てに石いしふたつをもちてかはりがはりたまにとるに、ひふみよいむなやこと、といへるは」(出典しゅってん：名な語ご記き（1275）四よん)

いっち【一いち】

  1. 〘 副詞ふくし 〙 ( 「いち（一いち）」を強つよめていった語かたり ) ものの程度ていどや状態じょうたいが、最もっともはなはだしいさま。第だい一いち。最もっとも。いちばん。
    1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「極ごく遅おそ六ろく十じゅう劫こうとて一いち(イッ)ちをそいぞ」(出典しゅってん：百ひゃく丈たけ清規しんぎ抄しょう（1462）二に)
    2. 「最もっとも居きょレ下した故ゆえとは三さん衣ころもの中なかにて位くらいがいっちの下しも也」(出典しゅってん：六ろく物もの図ず抄しょう（1508）)

いち【一いち・市し・都と・城しろ】

  1. 〘 接尾せつび語ご 〙 盲人もうじんの名なにつける語かたり。→一いち名めい(いちな)。
    1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「なんと清きよいち、証文しょうもんの文言もんごん(もんごん)はあれでよかろうが」(出典しゅってん：黄表紙きびょうし・高こう漫斉行脚あんぎゃ日記にっき（1776）中ちゅう)

ひい【一いち】

  1. 〘 名詞めいし 〙 「ひ（一いち）」の変化へんかした語かたり。物もの数のかずを、声こえに出だして順じゅんに唱うたえながら数かぞえるときの一いち。ひ。ひと。
    1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「君きみか代だいは長ちょうの数かずよむひいふうみい〈西鶴さいかく〉 たはね木きをつむ高こうき屋やの内うち〈西にし吟ぎん〉」(出典しゅってん：俳諧はいかい・西鶴さいかく五ご百ひゃく韻いん（1679）何なに鞠きく)

いいち【一いち】

  1. 〘 副詞ふくし 〙 第だい一いちに。一番いちばんに。最上さいじょうの。いっち。いち。
    1. [初出しょしゅつの実例じつれい]「いいちひとの見みめのよきは」(出典しゅってん：狂言きょうげん記き・法師ほうし物ぶつ狂きょう（1660）)

いちにはち‐じけん【一いち・二に八はち事件じけん】

  1. 上海しゃんはい事変じへんの中国ちゅうごくにおける呼よび方かた。昭和しょうわ七なな年ねん（一いち九きゅう三さん二に）一いち月がつ二に八はち日にちに起おこった。

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普及ふきゅう版ばん 字じ通どおり 「一いち」の読よみ・字形じけい・画数かくすう・意味いみ

一いち
常用漢字じょうようかんじ 1画かく

(異体いたい字じ)弌
4画かく

[字音じおん] イツ・イチ
[字訓じくん] ひとつ・はじめ・もっぱら

[説せつ文ぶん解かい字じ]
[甲かぶと骨こつ文ぶん]
[金文きんぶん]

[字形じけい] 指事しじ
横よこ画一かくいつ。記号きごう的てき表示ひょうじ。算木さんぎをならべる計算けいさん法ほう。卜ぼく文ぶん・金文きんぶんでは四よんまでは横よこ画がを重かさね、五ごは×、十じゅうはで示しめす。弌は貳に（弐に）より派生はせい。貳には鼎かなえ銘めいを戈ほこで削けずり、盟約めいやくに貳に(たが)う意い。その字形じけいを一いちに適用てきようした。〔説せつ文ぶん〕一いち上じょうに「惟おもんみ(こ)れ初はじめ太ふと始はじめ、は一いちに立たつ。天地てんちをし、物ものをす」とし、古文こぶん一いち字じを収おさめる。一いち・二に・三さんを発生はっせい論ろん的てきに解げする思考しこう法ほうは、〔老子ろうし〕によるものであろう。古文こぶんの字形じけいは卜ぼく文ぶん・金文きんぶんにみえず、ただ〔鼎かなえ(こつてい)〕に「貳に(たが)ふ」の字じがあり、鼎かなえに戈ほこを加くわえて銘文めいぶんを削けずり改あらためる意いであろう。のち略りゃくして弍に作つくり、一いちにも弌の形かたちが作つくられた。〔古文こぶん尚書しょうしょ、文ぶん侯こう之の命いのち〕にその字じがみえる。

[訓くん義よし]
1. 数かずの一いち、ひとつ、ひとり、ひとたび。
2. 一いちよりはじめるので、はじめ。
3. 最小さいしょうの数かずであるから、すこし、わずか。
4. 一いちにまとめるので、すべて、みな、もっぱらの意いとなる。

[古こ辞書じしょの訓くん]
〔名義めいぎ抄しょう〕一いち　ヒトツ・ヒトリ・トモシ・チヒサシ・モハラ・キハム・オナシ・トモ／一心いっしん　ココロヲモハラニス／一いち二に　ツバヒラカニ

[語かたり系けい]
一いち・壹いち（壱いち）ietは同どう声こえ。壹いちは壺つぼ中ちゅうにあるものが醸かもして、その気きがなかに充みつる意い。その充たかししたものを一いちという。鬱うつ・iut、iunなども同系どうけいの語かたりである。

[熟語じゅくご]
一いち握にぎ▶・一意いちい▶・一いち▶・一雨ひとあめ▶・一いち詠えい▶・一いち臥が▶・一概いちがい▶・一いち行ぎょう▶・一隅いちぐう▶・一芸いちげい▶・一言ひとこと▶・一元いちげん▶・一座いちざ▶・一いち字じ▶・一時いちじ▶・一いち次じ▶・一いち縄なわ▶・一場いちじょう▶・一いち陣じん▶・一いち朶▶・一いち代だい▶・一いち諾だく▶・一段いちだん▶・一道いちどう▶・一いち二に▶・一念いちねん▶・一臂いっぴ▶・一いち別べつ▶・一望いちぼう▶・一眸いちぼう▶・一味いちみ▶・一脈いちみゃく▶・一命いちめい▶・一いち面めん▶・一いち沐▶・一門いちもん▶・一躍いちやく▶・一いち遊ゆう▶・一陽いちよう▶・一様いちよう▶・一覧いちらん▶・一理いちり▶・一律いちりつ▶・一粒ひとつぶ▶・一流いちりゅう▶・一いち領りょう▶・一縷いちる▶・一類いちるい▶・一いち例れい▶・一いち列れつ▶・一聯いちれん▶・一いち臠▶・一路いちろ▶・一いち老ろう▶・一いち弄ろう▶・一いち楼ろう▶・一いち▶・一いち▶・一いち个▶・一いち架か▶・一いち箇▶・一介いっかい▶・一いち覚さとし▶・一喝いっかつ▶・一いち竿さお▶・一いち簡▶・一貫いっかん▶・一気いっき▶・一いち奇き▶・一紀かずのり▶・一揆いっき▶・一いち簣▶・一いち期き▶・一掬いっきく▶・一いち去さ▶・一挙いっきょ▶・一いち曲きょく▶・一いち局きょく▶・一計いっけい▶・一顧いっこ▶・一刻いっこく▶・一再いっさい▶・一切いっさい▶・一策いっさく▶・一いち拶▶・一いち粲つばら▶・一盞いっさん▶・一いち▶・一死いっし▶・一枝かずえ▶・一いち是ぜ▶・一いち瀉▶・一いち終おわり▶・一いち宿しゅく▶・一瞬いっしゅん▶・一いち将しょう▶・一心いっしん▶・一新いっしん▶・一いち酔よい▶・一斉いっせい▶・一いち隻せき▶・一いち洗あらい▶・一掃いっそう▶・一双いっそう▶・一いち束たば▶・一いち尊みこと▶・一旦いったん▶・一いち▶・一致いっち▶・一籌いっちゅう▶・一朝いっちょう▶・一対いっつい▶・一いち▶・一天いってん▶・一転いってん▶・一途いっと▶・一統いっとう▶・一派いっぱ▶・一いち杯はい▶・一髪いっぱつ▶・一般いっぱん▶・一いち斑まだら▶・一筆いっぴつ▶・一夫かずお▶・一いち封ふう▶・一いち幅ぶく▶・一碧いっぺき▶・一いち偏へん▶・一遍いっぺん▶・一いち抔▶
[下しも接せっ語ご]
画一かくいつ・帰一きいつ・貴一きいち・均一きんいつ・合一ごういつ・混一こんいつ・執と一いち・什一・純一じゅんいち・随一ずいいち・斉一せいいつ・精一せいいち・専一せんいつ・太一たいち・第だい一いち・択一たくいつ・単一たんいつ・逐一ちくいち・貞一さだいち・統一とういつ・同一どういつ・得一とくいち・寧やすし一いち・不一ふいつ・抱一ほういつ・万一まんいち・唯一ゆいいつ・理一りいち

出典しゅってん　平凡社へいぼんしゃ「普及ふきゅう版ばん 字じ通どおり」普及ふきゅう版ばん 字じ通どおりについて　情報じょうほう

デジタル大辞泉だいじせんプラス 「一いち」の解説かいせつ

一いち

三村みつむら純じゅん也の句集くしゅう。「はじめ」と読よむ。2018年ねん刊行かんこう（角川かどかわ文化ぶんか振興しんこう財団ざいだん）。2019年ねん、第だい34回かい詩歌しか文学ぶんがく館かん賞しょう（俳句はいく部門ぶもん）受賞じゅしょう。

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スキマバイト

働はたらき手てが自分じぶんの働はたらきたい時間じかんに合あわせて短時間たんじかん・単発たんぱつの仕事しごとに就つくこと。「スポットワーク」とも呼よばれる。単発たんぱつの仕事しごとを請うけ負おう働はたらき方かた「ギグワーク」のうち、雇用こよう契約けいやくを結むすんで働はたらく形態けいたいを指さす場合ばあいが多おおい。働はたらき手てと企くわだて...

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