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人体(ジンタイ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

人体じんたいみ)ジンタイ

デジタル大辞泉だいじせん人体じんたい」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

じん‐たい【人体じんたいじんたい


人体じんたい人間にんげんのからだ。「―におよぼす影響えいきょう」「―実験じっけん
ひとのようす。人柄ひとがら人品じんぴん。にんてい。
「やら―にも似合にあいはぬことをおしやる」〈虎明とらあききょうかり盗人ぬすっと
ひと丁寧ていねいにいうかたり。おかた。御仁ごじんごじん
「ソノさとめいヲバイソポトげんウテ異形いぎょう不思議ふしぎナ―ガオヂャッタガ」〈天草あまくさほん・イソポが生涯しょうがい
御仁ごじんたいごじんたい
かたちどうナリ]体裁ていさいわるいこと。また、そのさま。
「―なことうんはずと、ひとあいだにおいでいなあ」〈伎・黄金おうごん鱐〉
[類語るいご]人身じんしんからだからだたい身体しんたいしんたい肉体にくたい体躯たいくたいく図体ずうたいずうたい肢体したいしたい五体ごたいごたい全身ぜんしん満身まんしん総身そうしんそうしん・そうみ生体せいたいボディーにくかたまりししむら骨身ほねみ

にん‐てい【人体じんたい

そのひと外見がいけんのようす。風体ふうたい。また、それからけるひととしての印象いんしょう人品じんぴんじんぴん。「いやしからぬ人体じんたい
からだつき。容姿ようし
「―のどかなるよそほひ」〈はなきょう
[類語るいご]風体ふうたい風采ふうさい体裁ていさい人前ひとまえ世間体せけんてい見場みばみば見栄みばかけてくれ

じん‐てい【人体じんたい

かたちどう
ひとのようす。人柄ひとがら
馬丁ばていなんぞをさるような―じゃないね」〈鏡花きょうかよし侠血〉
人品じんぴんのよいこと。また、そのさまや、そのようなひと
「これはまた、―なじょ太夫たゆうどのともうし」〈伎・霊験れいけん曽我そがませ

にん‐たい【人体じんたい

にんてい(人体じんたい

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精選せいせんばん 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん人体じんたい」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

じん‐たい【人体じんたいじんたい

  1. 名詞めいし
  2. 人間にんげん身体しんたい。からだ。五体ごたい。また、たんに、人間にんげんをいう。じんてい
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「ひとからだふし草木くさきじゅんじて、ふしといへる歟」(出典しゅってん(1275))
    2. [その文献ぶんけん]〔こう漢書かんしょはな佗〕
  3. ひと様子ようす人柄ひとがら。みがら。人品じんぴん風采ふうさい(ふうさい)身分みぶん。じんてい。
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「其中に山名やまな小次郎こじろうとて生年せいねんじゅうななさいなりきゅうけるは〈りゃくひとしからだこころざま幽玄ゆうげんにましましければ」(出典しゅってん明徳めいとく(1392‐93ころか)ちゅう)
  4. ( かたちどう ) 人品じんぴんのよいさま。また、そのひと立派りっぱ身分みぶんのあるひと。ごじんたい。じんてい。
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「あっぱれ器用きよう人体じんたいかな。さてなんじだれそ」(出典しゅってん謡曲ようきょくせいみこと(1541ごろ))
  5. ひとをていねいにいうかたり。おひと。おかた。
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「もとみやびは、こんぱるならではとうみち家名かめい後世こうせいにのこすべきひとからだあらずとおもひけるやらん」(出典しゅってん:却来はな(1433))
  6. ( かたちどう ) 世間体せけんていわるいこと。体裁ていさいわるいこと。
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「しんたいなことをしおったわいやい。扨々つらのかわのあついやつ」(出典しゅってん歌舞伎かぶき・けいせいはな絵合えあわせ(1773)くちあきら)

にん‐てい【人体じんたい

  1. 名詞めいし
  2. からだつき。からだ。姿すがた容姿ようし。にんたい。
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「此の人体じんたいのうのうこころしてちふるまふべし」(出典しゅってんきょくさんたい人形にんぎょう(1421))
  3. ひと人物じんぶつ
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「もとみやびは、〈りゃくとうみち家名かめい後世こうせいのこすべき人体じんたいあらずと」(出典しゅってん:却来はな(1433))
  4. そのひとのようす。人品じんぴん。ふうさい。ひとがら。じんたい。じんてい。にんたい。
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「人体じんたい(ニンテイ)あた浪人ろうにんしゅ」(出典しゅってん浄瑠璃じょうるり・いろはうたしん鍪(1764)なな)
  5. 身分みぶん家柄いえがら。にんたい。
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「むべところはんひとからだいちゆう随分ずいぶんかんごといち」(出典しゅってん仁和寺にわじ文書ぶんしょこよみおうさんねん(1340)がついちよんにちざつ訴法)

じん‐てい【人体じんたいじんたい

  1. 名詞めいし
  2. じんたい(人体じんたい
  3. じんたい(人体じんたい
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「お見受みうもうしたところが、馬丁ばていなんぞをさるやうなひとからだ(ジンテイ)ぢゃいね」(出典しゅってんよし侠血(1894)〈いずみ鏡花きょうかいちいち)
  4. ( かたちどう ) =じんたい(人体じんたい
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「あとからあさ上下じょうげいためつけて、人体じんたい(ジンテイ)なるおとこが、あたらしきさんぽう三味線しゃみせんばち積上つみあげ」(出典しゅってん浮世草子うきよぞうし傾城けいせい三味線しゃみせん(1732)いち)

にん‐たい【人体じんたい

  1. 名詞めいし ( 「にんだい」とも )
  2. にんてい(人体じんたいいろるいしょう(1177‐81)〕
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「そんな真似まねをなされてはひとからだ(ニンタイ)かかわはること」(出典しゅってんさんにんつま(1892)〈尾崎おざき紅葉こうようまえ)
  3. 身分みぶんのあるひと
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「とがにんをうつのとき〈りゃく〉にんたいととうたうこうはば」(出典しゅってん塵芥じんかいしゅう(1536)さんじょう)

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日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)人体じんたい」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

人体じんたい
じんたい

ヒトのからだをいう。人体じんたいでもっとも特徴とくちょうてきであり、また高度こうどはたらきをもつ部分ぶぶん神経しんけいけいである。この神経しんけいけいは、人間にんげん下肢かしち、ある生活せいかつはじめた段階だんかい発達はったつしたものであり、動物どうぶつ人間にんげんとのおおきくけるにいたった。そして、とくに霊長れいちょうるい人間にんげんとをおおきく区別くべつしたのは、人間にんげん周囲しゅうい環境かんきょう適応てきおうする能力のうりょくくわえて、環境かんきょう人間にんげん適応てきおうさせる能力のうりょく知力ちりょく)をもそなえるにいたったことであろう。そしてその原動力げんどうりょくとなったのは人体じんたい肉体にくたいてき構造こうぞうである。これによって人体じんたい環境かんきょう適応てきおうするように進化しんか発達はったつするとともに、環境かんきょう人間にんげん適応てきおうさせる能力のうりょく発達はったつして現在げんざいいたったとかんがえられる。肉体にくたいてき構造こうぞうのなかで、もっとも驚異きょういてきであり、精密せいみつであるのはのうである。人間にんげんのう駆使くしすることによって複雑ふくざつからだ仕組しくみを統御とうぎょ調節ちょうせつし、さらにそれらの仕組しくみを高度こうど発達はったつさせたといえる。のうはたらきにおうじてとくに活躍かつやくしたのは骨格こっかくすじ構造こうぞうである。人間にんげん下肢かしによって生活せいかつはじめたことにより、上肢じょうし使用しようすることが可能かのうとなり、飛躍ひやくてき発達はったつしたとかんがえることができる。

しま和世かずよ

ヒトの脊柱せきちゅう

動物どうぶつがくじょう脊椎せきつい(せきつい)動物どうぶつぞくするヒトは、基本きほんてきには魚類ぎょるい両生類りょうせいるい、爬虫(はちゅう)るい鳥類ちょうるい共通きょうつうした秩序ちつじょによって脊柱せきちゅう構造こうぞうができあがっている。しかし、ヒトの場合ばあいには、とくにだて歩行ほこうそく歩行ほこう)にたいする適応てきおうしめすいろいろな特徴とくちょうそなわっている。哺乳ほにゅう(ほにゅう)るいのうちの四足しそく動物どうぶつでは、脊柱せきちゅう脊髄せきずい保護ほごする重要じゅうよう器官きかんであると同時どうじに、体勢たいせい維持いじする、内臓ないぞうしょ器官きかん脊柱せきちゅう付着ふちゃくするなどの役割やくわりがあるが、ヒトではさらにからだ中軸ちゅうじくとしての重要じゅうようやくたしている。脊柱せきちゅうは33~35脊椎せきついこつが、それぞれの脊椎せきついこつあいだしいあいだえんばんという軟骨なんこつはさみながらかさなってつくられており(からだぶしという)、屈伸くっしんせいやねじれのような運動うんどう可能かのうにしている。たとえば、ヒトではからだをねじる動作どうさ可能かのうであるが、イヌではねじる運動うんどうはできない。これは、ヒトの脊柱せきちゅう構造こうぞうからだぶしからなっているということによる。このように、ヒトにおいても、節足動物せっそくどうぶつ昆虫こんちゅう甲殻こうかくるい)、たまきがた動物どうぶつ(ミミズ)などにみられる明瞭めいりょう(めいりょう)なからだぶし構造こうぞうおな機構きこうそなえた部分ぶぶんがあり、胴体どうたいちょうじく方向ほうこう一定いってい間隔かんかくおな構造こうぞうかえされている。完成かんせいした人体じんたいではあまりこの構造こうぞう明瞭めいりょうでなくなるが、脊柱せきちゅう肋間ろっかん(ろっかん)神経しんけい肋間ろっかんすじ静脈じょうみゃくなどの一部分いちぶぶんにその傾向けいこうみとめられる。なお、脊柱せきちゅう自然しぜん彎曲わんきょく(わんきょく)をしめすのは、これによってだて歩行ほこう活動かつどう最小さいしょう努力どりょくおこなえるという生理せいりてき結果けっかである。発育はついくにあまりばかりの生活せいかつつづけると、すじ発育はついく均衡きんこうによってさまざまな異常いじょう彎曲わんきょくしょうじ、姿勢しせいわるくなることがある。

しま和世かずよ

人体じんたい方向ほうこう位置いちしめ用語ようご

人体じんたい構成こうせいする各部かくぶさん次元じげんてき構造こうぞうについてその方向ほうこう位置いちしめ場合ばあい一定いってい解剖かいぼうがく用語ようごもちいられる。一般いっぱんてき表示ひょうじとしては、からだ左右さゆうひとしく半分はんぶんけるせん正中せいちゅうせん、このせん一致いっちするわりめん正中せいちゅうめん正中せいちゅうめんにつねに平行へいこうめんじょう(しじょう)めんはなった方向ほうこう)、前頭まえがしらがく(ひたい))に平行へいこうするめん前頭まえがしらめんあるいは前額ぜんがく(ぜんがく)めんとよび、このめん正中せいちゅうめんじょうめん直角ちょっかくまじわるめんとなる。さらに正中せいちゅうめんちか部分ぶぶん内側うちがわ正中せいちゅうめんからはなれてとお部分ぶぶん外側そとがわとなる。

 からだみきではうえ方向ほうこうあたまがわしも方向ほうこうがわ顔面がんめん口吻こうふん(こうふん))の方向ほうこうを吻側、からだみきまえはらがわうしろをがわとよぶ。からだ上肢じょうし下肢かし)の場合ばあい運動うんどうによって方向ほうこう位置いち変化へんかすることから、上肢じょうしでは橈(とう)がわ(橈骨のあるがわ外側そとがわははゆびがわともいう)、しゃくがわしゃくこつのあるがわ内側うちがわ小指こゆびがわともいう)、下肢かしではずね(けい)がわ脛骨けいこつのあるがわ内側うちがわははゆびがわともいう)とこむら(ひ)がわ腓骨ひこつのあるがわ外側そとがわ小指こゆびがわともいう)の区別くべつがある。また、からだみきちか部分ぶぶんきんくらいとおはなれる部分ぶぶんとおくらいとよぶ。これらの用語ようごはとくに人体じんたい動物どうぶつたいとを比較ひかく表現ひょうげんする場合ばあい必要ひつようとなる。人体じんたい構造こうぞう場合ばあい外形がいけい骨格こっかくすじ正中せいちゅうじょうだんによってけても左右さゆうがほぼとうだい対称たいしょうてき構造こうぞうであるが、かく部分ぶぶんについてみると非対称ひたいしょうてき部分ぶぶんもかなりおおい。内臓ないぞうについてはとくにその傾向けいこうつよい。なお、上肢じょうし場合ばあいみぎきではみぎ上肢じょうし左上ひだりうえよりもながいとされる。また内臓ないぞう正常せいじょう位置いちとまったくぎゃく場合ばあいがまれにあり、これをぜんぎゃくという。

しま和世かずよ

外形がいけいてき特徴とくちょう

人体じんたい外形がいけいからあたま頸部(とうけいぶ)、からだみき躯幹くかん(くかん)・胴体どうたい)およびからだ四肢しし)に区別くべつされ、からだみきは、胸部きょうぶ背部はいぶどうおよび骨盤こつばんかいかげ(えいん)をふくむ)を区別くべつする。あたま前面ぜんめん顔面がんめん、その上方かみがた頭蓋とうがい(とうがい)が区別くべつできる。あたまどうは頸(くび)でつながり、頸の側部そくぶこう(うなじ)となる。あたまつづ部分ぶぶんとして上方かみがたから頸、むねはらがあり、下端かたん骨盤こつばん内容ないようとしたこし位置いちする。頸、むねはらうしろが全長ぜんちょうにわたって背部はいぶになる。この最下さいか殿しんがり臀部でんぶ(でんぶ))となる。どう全体ぜんたいとしてほぼ円柱えんちゅうがたであるが、多少たしょう前後ぜんこう扁平へんぺい(へんぺい)となっている。ヒトの四肢ししだて歩行ほこう生活せいかつ様式ようしき適応てきおうするように四足しそく動物どうぶつとはことなる形態けいたい変化へんかしめすが、とくに下肢かしにその特徴とくちょうしるあきらあらわれている。動物どうぶつ前肢ぜんし相当そうとうするヒトの上肢じょうしこまかい屈伸くっしん作用さよう把握はあく運動うんどう感覚かんかくなどが発達はったつし、活動かつどう範囲はんいひろいが、ほねすじ発育はついく下肢かしくらべていちじるしくちいさく、よわい。下肢かし人類じんるい表徴ひょうちょうともいうべき部分ぶぶんで、全体ぜんたいにわたり強大きょうだい発育はついくしめし、頑丈がんじょうにつくられている。下肢かし歩行ほこう走行そうこう跳躍ちょうやくなどの運動うんどう基本きほんてき役割やくわりたしているが、運動うんどう範囲はんい上肢じょうしよりもせまい。上肢じょうし上腕じょうわん前腕ぜんわん区別くべつし、下肢かしでは大腿だいたい(だいたい)・しもあしあし区別くべつする。なお、ヒトの骨盤こつばんだて歩行ほこう段階だんかい腹部ふくぶ内臓ないぞうしょ器官きかんざらとしての意義いぎふかくなってくる。とくに女性じょせい骨盤こつばんは、子宮しきゅうによる胎児たいじ維持いじ胎児たいじ出産しゅっさん産道さんどう役割やくわりたすため、男性だんせいよりもひろ発達はったつしている。

しま和世かずよ

人体じんたい構成こうせいする器官きかん

人体じんたいぜん表面ひょうめん皮膚ひふおおわれているが、くち鼻孔びこう肛門こうもん(こうもん)、泌尿器ひにょうき生殖せいしょく開口かいこうでは皮膚ひふからうち腔(ないくう)の粘膜ねんまく移行いこうするのがみられる。皮膚ひふはその一部いちぶであるもうつめ(つめ)などとともにからだ表面ひょうめん防護ぼうごしているが、からだ環境かんきょう状況じょうきょう把握はあくする受容じゅよう一部いちぶでもあるため、感覚かんかく器官きかんにもぞくしている。また、皮膚ひふ体温たいおん調節ちょうせつでもある。骨格こっかく人体じんたい基礎きそとしてからだ全体ぜんたいささえるとともに、骨格こっかく付着ふちゃくする骨格こっかくすじやそれらにともな血管けっかん神経しんけいなどの支配しはいけて運動うんどうにも関与かんよする。なお、頭蓋骨ずがいこつのう収容しゅうようして人体じんたい統御とうぎょ器官きかん保護ほごしている。人体じんたい内部ないぶにはこの頭蓋とうがいのほかに、横隔膜おうかくまくによって仕切しきられる体腔たいこう上方かみがた胸腔きょうこう下方かほう腹腔ふくこう)がある。胸腔きょうこうにはしゅとして呼吸こきゅう循環じゅんかん左右さゆう肺臓はいぞう心臓しんぞう)がおさまる。胸腔きょうこうのなかでひだりみぎはいはさまれたなかあいだ腔はむねたてへだたとよび、心臓しんぞうむね大動脈だいどうみゃく気管きかん気管支きかんし食道しょくどうなどの重要じゅうよう臓器ぞうき収容しゅうようしている。腹腔ふくこうにはおもに消化しょうかけいと泌尿生殖せいしょくけい臓器ぞうきおさまる。骨盤こつばん腔内におさめられている臓器ぞうき膀胱ぼうこう(ぼうこう)や生殖せいしょく器官きかんであり、これを骨盤こつばん臓器ぞうきとよぶ。これらの人体じんたい臓器ぞうき栄養えいよう呼吸こきゅう代謝たいしゃをつかさどるのが血管けっかんけいであり、血管けっかんけい胸腔きょうこう心臓しんぞうからはじまる。まず心臓しんぞうから動脈どうみゃく身体しんたいかく器官きかんたっするが、そのあいだ動脈どうみゃくはしだいにほそくなり、毛細血管もうさいけっかんとなる。毛細血管もうさいけっかんは、ついで静脈じょうみゃくにかわり、静脈じょうみゃくはしだいにふとさを心臓しんぞうもどる。動脈どうみゃく静脈じょうみゃくとは体内たいないでは原則げんそくてきには並行へいこうしてはしるが、皮下ひか静脈じょうみゃくもんみゃくけいでは単独たんどくはしる。また、全身ぜんしんめぐらされたリンパけい最終さいしゅうてきには静脈じょうみゃく流入りゅうにゅうする。

 これらの人体じんたい構成こうせいする器官きかん一般いっぱんに、骨格こっかくけいすじけい骨格こっかくすじけい)、循環じゅんかんけい血管けっかんリンパ管りんぱかん)、消化しょうかけい呼吸こきゅうけい泌尿器ひにょうきけい生殖せいしょくけい感覚かんかくけいみみはなした皮膚ひふ)、神経しんけいけい内分泌ないぶんぴつけいというように、いくつかの系統けいとうけられている。

しま和世かずよ

人体じんたいおおきさと体型たいけい

人体じんたいおおきさをしめ身長しんちょう体重たいじゅうは、ともに年齢ねんれい個人こじんがあるほか、生活せいかつ環境かんきょう食生活しょくせいかつ健康けんこう状態じょうたいによってもさまざまなるが、日本人にっぽんじん成人せいじん身長しんちょう体重たいじゅう平均へいきん(2000ねん平均へいきん)はつぎのようになる。身長しんちょうは20さい男子だんしで170.4センチメートル、女子じょしで158.2センチメートル、体重たいじゅうは20さい男子だんしで65.1キログラム、女子じょしで52.5キログラムである。日本人にっぽんじんからだおおきさはかつては小柄こがらであったが、生活せいかつ内容ないよう向上こうじょう生活せいかつ様式ようしき変化へんかともなって、しだいに身長しんちょう体重たいじゅう平均へいきん増大ぞうだいしている。また、一般いっぱん身長しんちょう体重たいじゅうともに1にち生活せいかつのなかで変化へんかしめす。身長しんちょう午後ごごになると1~2センチメートル短縮たんしゅくし、体重たいじゅう夕刻ゆうこくころになると平均へいきん2キログラム前後ぜんこう増加ぞうかする。

 従来じゅうらいから日本人にっぽんじんどう長短ちょうたんあしといわれ、全体ぜんたい姿勢しせいからみると見栄みばえはよくないとされるが、これは人種じんしゅ遺伝いでんてき素因そいんなどがかかわるため、解決かいけつしがたい要素ようそといえる。どうちょう数字すうじてき表現ひょうげんするのは座高ざこうであるが、座高ざこう身長しんちょうとの座高ざこうとよび、この平均へいきん身長しんちょうびてもあまり変化へんかしないものである。人間にんげん場合ばあいまた(また)の位置いちさかいにして上体じょうたいしたたいはおよそ1たい1である。また、成人せいじんではあたまちょうを1とすると、それ以下いかは7の割合わりあいとなるいわゆる八頭身はっとうしんがもっとも均衡きんこうのとれた体型たいけいといわれる。

 からだ発育はついく程度ていどはいろいろの指数しすうによってしめされるが、よくもちいられる指数しすうには、体重たいじゅう体重たいじゅう身長しんちょうじょした)、ローレル指数しすう体重たいじゅう身長しんちょうの3じょうり、107じょうじた)、クラウス指数しすう胸囲きょういの2じょう身長しんちょうじょした)などがある。また、人体じんたい各部かくぶ、つまり頭部とうぶ、頸部、胸部きょうぶ腹部ふくぶ下肢かしなどのながさの比率ひりつ成長せいちょう時期じきによっていちじるしい変化へんかしめすし、男女だんじょもあるが、新生児しんせいじではよんとうしめす。

 人体じんたい体型たいけいについては人種じんしゅ男女だんじょ基本きほんてき存在そんざいするほか、年齢ねんれい個人こじんくわわって複雑ふくざつになるが、体型たいけい分類ぶんるいでもっとも一般いっぱんてきなのはドイツの精神せいしんクレッチマーによる体型たいけい分類ぶんるいである。これは体型たいけいを3がた分類ぶんるいするもので、だい1がた細長ほそなが狭長きょうちょうがただい2がた筋骨きんこつがただい3がた肥満ひまんがたとなる。細長ほそなががた一般いっぱんにやせがたで、身長しんちょうたかいが骨格こっかくほそく、すじ発育はついくよわい。また、体重たいじゅう身長しんちょうのわりにすくなく、全体ぜんたい弱々よわよわしいかんじの体型たいけいである。筋骨きんこつがた全体ぜんたい骨格こっかくがしっかりとしており、筋肉きんにくもよく発育はついくしているかたで、肩幅かたはば胸郭きょうかくひろく、身長しんちょう平均へいきんよりもたかい。肥満ひまんがた脂肪しぼう組織そしき多量たりょう存在そんざいするかたで、とくにからだ幹部かんぶ脂肪しぼう組織そしき沈着ちんちゃくしているのが特徴とくちょうである。そのため腹部ふくぶの膨隆がだち、頸はふとくてみじかい。頭髪とうはつ年齢ねんれい増加ぞうかともなってはげやすくなる。このほか、体型たいけい分類ぶんるいには無力むりょくせい体型たいけいとか、内臓ないぞう下垂かすいがた筋力きんりょくがたなどに分類ぶんるいするものもあるが、個人こじん個人こじんをこうした体型たいけい明確めいかく位置いちづけることは困難こんなんであるため、おおくの場合ばあい混合こんごうがたとなる。

しま和世かずよ

組織そしき細胞さいぼう

すでにべたように、人体じんたい構造こうぞう解剖かいぼう学的がくてきにはいくつかの系統けいとうけられ、それらのかく系統けいとうぞくするしょ器官きかん総合そうごうてきはたらいて人体じんたい生活せいかつ活動かつどうささえている。その生活せいかつに「どう」の統御とうぎょ調節ちょうせつおこなうのが神経しんけいけいのなかののう脊髄せきずいである。神経しんけいけいは、そのはたらきのうえから動物どうぶつ神経しんけいけい植物しょくぶつ神経しんけいけいけられる。動物どうぶつ神経しんけいけい人体じんたいうん動作どうさよう感覚かんかく作用さようなど、動物どうぶつ一般いっぱんそなわっているはたらきをつかさどるため、この名称めいしょうがある。植物しょくぶつ神経しんけいけい人体じんたい消化しょうか呼吸こきゅうせん(せん)分泌ぶんぴつ排泄はいせつ(はいせつ)、血液けつえき循環じゅんかん生殖せいしょく作用さようなど、われわれの意志いし活動かつどうとはべつに、生命せいめい現象げんしょう統御とうぎょ調節ちょうせつする自律じりつてき作用さようをつかさどるもので、同様どうよう作用さよう植物しょくぶつ代謝たいしゃ生育せいいく活動かつどうにもみられることからこの名称めいしょうがある。これらの神経しんけいけい活動かつどうによって人体じんたいには高度こうど精神せいしん作用さよう発達はったつしていることとなる。

 人体じんたいしょ器官きかん基本きほんてきには4組織そしき、つまり上皮じょうひ組織そしき支持しじ組織そしきすじ組織そしき神経しんけい組織そしき組合くみあわせによって構成こうせいされている。これら組織そしきをつくる単位たんい細胞さいぼうである。人体じんたい細胞さいぼうおおきさは平均へいきんすれば10~20マイクロメートルほどであるが、最小さいしょう血液けつえきちゅうのリンパだまみち5マイクロメートル)、最大さいだい卵子らんしみち200マイクロメートル)である。なお、種々しゅじゅ刺激しげき興奮こうふん伝達でんたつする神経しんけい細胞さいぼう突起とっき神経しんけい線維せんい)は1メートルほどになるものもある。体内たいないではおな形態けいたいおなはたらきをもつ細胞さいぼうあつまってひとつの組織そしきをつくる。

 上皮じょうひ組織そしきは、からだ表面ひょうめん皮膚ひふ)やこれにつづ器官きかんうち腔の表面ひょうめん粘膜ねんまく)をおお細胞さいぼうあつまりであり、分化ぶんかした分泌ぶんぴつせん上皮じょうひ組織そしきからできている。支持しじ組織そしき体内たいないではもっともひろ分布ぶんぷするものであり、その種類しゅるいおおい。支持しじ組織そしきひとつである結合けつごう組織そしきは、かく器官きかん相互そうごあいだ器官きかん実質じっしつなかはいんで細胞さいぼうのつなぎのやくをするものであり、そのはたらきはきわめて複雑ふくざつである。また、結合けつごう組織そしき器官きかん修復しゅうふくにも重要じゅうよう役割やくわりたしている。支持しじ組織そしきふくまれるその組織そしきとして、ほね(こつ)組織そしき軟骨なんこつ組織そしき血液けつえきなどがある。すじ組織そしきすじ細胞さいぼう線維せんい)で構成こうせいされ、もっぱら収縮しゅうしゅくをその役割やくわりとしている。人体じんたいでは平滑へいかつすじよこもんすじ心筋しんきんの3種類しゅるいがある。神経しんけい組織そしきは、神経しんけい細胞さいぼうとその突起とっき神経しんけい線維せんい)およびそれらのあいだめている神経しんけいにかわほそ(こうさい)からなっている。

 人体じんたいかく臓器ぞうきはこれら各種かくしゅ組織そしき組合くみあわせで構成こうせいされている。たとえば、ちょう場合ばあい上皮じょうひ組織そしき支持しじ組織そしきのうちの結合けつごう組織そしきすじ組織そしき構成こうせいされており、のう脊髄せきずいはほとんど神経しんけい組織そしきだけでできているなどである。1個いっこ受精卵じゅせいらんから出発しゅっぱつした人体じんたいは、その分裂ぶんれつ増殖ぞうしょく分化ぶんかによって、これまでべてきたようなきわめて精密せいみつな、また複雑ふくざつ構造こうぞう機能きのうをもつにいたるわけである。このことをかんがえれば、人体じんたいにはまだまだおおくの未知みち未開みかい部分ぶぶんがあるということができる。

しま和世かずよ


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普及ふきゅうばん どおり人体じんたい」のみ・字形じけい画数かくすう意味いみ

人体じんたい】じんたい

身体しんたい

どおりひと」の項目こうもく

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世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん旧版きゅうばんうち人体じんたい言及げんきゅう

からだ】より

からだ相称そうしょうせい発生はっせい過程かていにおける形態けいたい形成けいせい様式ようしきや,運動うんどうせい特徴とくちょう密接みっせつむすびついたものである。【すみ ほんせい
【ヒトのからだ構造こうぞう

からだ外形がいけい
 人体じんたいともいわれるヒトのからだ外形がいけいは,ほぼ左右さゆう対称たいしょうで,たいあたまどう(あたまからどう部分ぶぶんからだみきという),1つい上肢じょうし下肢かしからなる。あたまどうがくびれてぼそくなった(くび)によってささえられる。…

※「人体じんたい」について言及げんきゅうしている用語ようご解説かいせつ一部いちぶ掲載けいさいしています。

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