山形やまがた藩はん（読よみ）やまがたはん

出羽でわ国こく村山むらやま郡ぐん山形やまがた（現げん，山形やまがた市し）に藩はん庁ちょうを置おく藩はん。はじめ外様とざま大名だいみょう，まもなく譜代ふだい中ちゅう藩はん。関ヶ原せきがはらの戦後せんご最上もがみ氏しは加増かぞうをうけて57万まん石せきとなり，村山むらやま・最上もがみ郡ぐんのほか庄内しょうない・由利ゆり郡ぐんを領有りょうゆうした。1622年ねん（元和がんわ8）最上もがみ氏し改易かいえきのあと譜代ふだいの鳥居とりい忠政ただまさが22万まん石せきで入部にゅうぶし，36年ねん（寛永かんえい13）には保科ほしな正之まさゆきが20万まん石せきで入にゅう封ふうしている。山形やまがた藩はんは最上もがみ氏しのあと元禄げんろく年間ねんかん（1688-1704）まで城主じょうしゅの交替こうたいが8回かいもあり，はじめは村山むらやま地方ちほう一いち円えんを支配しはいし，外様とざま大名だいみょうの多おおい東北とうほくに対たいして譜代ふだい大名だいみょうによる奥羽おうう筋すじの押おさえの役割やくわりを果はたした。しかし68年ねん（寛文ひろふみ8）入部にゅうぶの奥平おくだいら氏し以後いごは石高こくだかも9万まん石せき余あまりとなり，1746年ねん（延のべ享とおる3）には6万まん石せきに縮小しゅくしょうするなど，山形やまがたは譜代ふだい大名だいみょうの左遷させん地ちとなったといわれる。総そう検地けんちは1623年ねんに行おこなわれ，左京さきょう縄なわともよばれたが，村むら高だかは普通ふつうの石盛いしもり法ほうによらず斗と代だい取と米べいから算出さんしゅつした。以後いご領内りょうないの村むら高だかはこれが基準きじゅんとなっている。山形やまがた藩はんの縮小しゅくしょうとともに村山むらやま郡ぐん内ないには幕まく領りょう，小しょう藩はんが散在さんざいし，その支配しはいも錯綜さくそう状態じょうたいとなった。領内りょうないのおもな特産とくさん物ぶつとしてベニバナ，青あお苧からむし（あおそ）があり，元禄げんろく年間ねんかんの役やく金きん対象たいしょう額がくは，ベニバナが約やく400～500駄だ，青あお苧からむしは約やく1000駄だにのぼる。その後ご郡ぐん内ないの商品しょうひん生産せいさんが発展はってんし，その統制とうせいが複雑ふくざつ化かすると，各かく領内りょうないの代表だいひょうによる郡中ぐんちゅう議定ぎていが結むすばれた。また郡ぐん内ないには1801年ねん（享とおる和わ1）に村山むらやま一揆いっきが起おこり，天童てんどう，山形やまがたの周辺しゅうへんを中心ちゅうしんとする広域こういき闘争とうそうとなったが，以後いご村山むらやま地方ちほうには一揆いっき，騒動そうどうが頻発ひんぱつしている。

　山形やまがた藩主はんしゅは幕まく領りょう期きを除のぞき13氏しにのぼるが，統治とうち期間きかんのもっとも長ながいのは1767年ねん（明和めいわ4）から78年間ねんかんの秋元あきもと氏し4代だいであった。そのあとに入はいった水野みずの忠ただし精せいは幕府ばくふの天保てんぽう改革かいかくの失敗しっぱいによる左遷させんであった。水野みずの氏しは藩はん財政ざいせいの施策しさくとして秋元あきもと氏し以来いらいの領内りょうない豪商ごうしょう・豪農ごうのうを御用達ごようたしとし，とくに城下じょうかの豪商ごうしょうを士し格かく御用達ごようたしや臨時りんじ御用達ごようたしにとりたて，御ご用金ようきんを課かしている。戊辰戦争ぼしんせんそうでは奥羽おうう越えつ列藩れっぱん同盟どうめいに荷担かたんしたがやがて降伏ごうぶくし，版籍はんせき奉還ほうかんを経へて藩主はんしゅ忠弘ただひろは山形やまがた藩はん知事ちじとなり，1870年ねん（明治めいじ3）7月がつ近江おうみ朝日山あさひやま藩はんに転出てんしゅつ。山形やまがた藩はん領りょうは同年どうねん9月がつ山形やまがた県けんとなった。
執筆しっぴつ者しゃ：横山よこやま 昭男あきお