日本郵船にっぽんゆうせん（読よみ）ニッポンユウセン

海運かいうんのトップ企業きぎょう。岩崎いわさき弥太郎やたろう(やたろう)設立せつりつの郵便ゆうびん汽船きせん三菱みつびし(みつびし)会社かいしゃと、共同きょうどう運輸うんゆ会社かいしゃとが合併がっぺいし1885年ねん（明治めいじ18）設立せつりつされた。政府せいふの特許とっきょ会社かいしゃとして補助ほじょ金きんを受うけ、1893年ねんにはボンベイ航路こうろ、1896年ねん欧州おうしゅう、北米ほくべい、豪州ごうしゅう(ごうしゅう)各かく航路こうろを開設かいせつして日本にっぽん海運かいうんの遠洋えんよう進出しんしゅつの先駆さきがけをなした。いわゆる「社しゃ船せん」三さん社しゃ（日本郵船にっぽんゆうせん・大阪おおさか商船しょうせん・東洋とうよう汽船きせん）のうちでも別格べっかくの外そと航こう定期ていき船せん会社かいしゃとして成長せいちょうするが、第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん後ごは大阪おおさか商船しょうせんに急追きゅうついされる。1923年ねん（大正たいしょう12）近海きんかい郵船ゆうせんを設立せつりつ、1926年ねん東洋とうよう汽船きせんの外そと航こう部門ぶもんを買収ばいしゅうした。1941年ねん（昭和しょうわ16）には133隻せき86万まん総そうトンを保有ほゆうし世界せかい最大さいだいの船主せんしゅとなったが、1942年ねん船舶せんぱく運営うんえい会かいに全ぜん船舶せんぱくの運航うんこうをゆだねたうえ、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん終戦しゅうせん時じまでにほとんど全ぜん船舶せんぱくを失うしなう。

　1950年ねん（昭和しょうわ25）民営みんえい還元かんげん後ご、世界せかい的てき定期ていき航路こうろ網あみを回復かいふくするが船隊せんたい再建さいけんの負担ふたんは大おおきく、1964年ねん、海運かいうん集約しゅうやくによって累積るいせき債務さいむを整理せいりするとともに、三菱商事みつびししょうじ船舶せんぱく部ぶから1943年ねん独立どくりつした三菱みつびし汽船きせんの後身こうしん三菱みつびし海運かいうんを吸収きゅうしゅう合併がっぺいした。その後ご、定期ていき航路こうろ網もうを積極せっきょく的てきに拡大かくだいするとともに不定期ふていき船せん・タンカー部門ぶもんを拡充かくじゅう、1955年ねんには郵船航空ゆうせんこうくうサービスを設立せつりつして国際こくさい一貫いっかん輸送ゆそう体制たいせいを強化きょうか。さらに1968年ねん日本にっぽん船せんの先陣せんじんを切きって、コンテナ輸送ゆそうに進出しんしゅつしている。支配しはい船腹せんぷく777隻せき5053万まん重量じゅうりょうトン。資本しほん金きん885億おく円えん（2008）、売上うりあげ高だか2兆ちょう5846億おく円えん（2008。連結れんけつベース）。

［田付たつき茉莉子まりこ］

『日本郵船にっぽんゆうせん株式会社かぶしきがいしゃ編へん・刊かん『日本郵船にっぽんゆうせん七なな十じゅう年ねん史し』（1956）』▽『林はやし芳典よしのり著ちょ『二に引の旗はたの下したに』（1985・日本郵船にっぽんゆうせん株式会社かぶしきがいしゃ）』▽『日本にっぽん経営けいえい史し研究所けんきゅうじょ編へん『日本郵船にっぽんゆうせん株式会社かぶしきがいしゃ百ひゃく年ねん史し』『日本郵船にっぽんゆうせん株式会社かぶしきがいしゃ百ひゃく年ねん史し　資料しりょう』（1988・日本郵船にっぽんゆうせん）』▽『日本郵船にっぽんゆうせん株式会社かぶしきがいしゃ社しゃ史し編纂へんさん室しつ編へん『日本郵船にっぽんゆうせん社しゃ史し――創立そうりつ100周年しゅうねんからの20年ねん』（2007・日本郵船にっぽんゆうせん）』