これがタカスィーの原点げんてん！藤井ふじい隆たかし×松本まつもと隆たかし×本間ほんま昭光あきみつの「ロミオ道行みちゆき」再演さいえん＆外伝がいでん

藤井ふじい隆たかしのイベント「藤井ふじい隆たかし meets 松本まつもと隆たかし『ロミオ道行みちゆき』～再演さいえん＆外伝がいでん～」が5月27日にちに東京とうきょう・I'M A SHOWにて開催かいさいされた。このイベントは藤井ふじいが2002年ねんに発表はっぴょうしたアルバム「ロミオ道行みちゆき」を題材だいざいにしたもの。同どうアルバムより松本まつもと隆たかしがプロデュースおよび作詞さくしを手てがけた10曲きょくを披露ひろうするライブパート「再演さいえん」と、アルバム制作せいさくに携たずさわった藤井ふじい、松本まつもと、本間ほんま昭光あきみつによるトークパート「外伝がいでん」の2部ぶ制せいで行おこなわれた。この記事きじでは昼夜ちゅうや公演こうえんのうち、昼ひる公演こうえんの模様もようをレポートする。

第だい1部ぶ

ライブパート「再演さいえん」は、アルバム制作せいさくのみならず藤井ふじいの初はつコンサートツアー「ロミオ道行みちゆき～タカシが街まちにやってきた！ツアー～」にも深ふかく関かかわった本間ほんまが音楽おんがく監督かんとくを担当たんとう。さらに初はつコンサートのバンドメンバーだったnang-chang（Manipulator）、「藤井ふじい隆たかしワールドツアー2004 ～わたしの青あおい空そら～」にも参加さんかした中村なかむらタイチ（G）が藤井ふじいのパフォーマンスをサポートした。「絶望ぜつぼうグッドバイ」のイントロをバックに登場とうじょうした藤井ふじいは、アルバムの1曲きょく目めを飾かざった「未み確認かくにん飛行ひこう体たい」でライブをスタート。すでにリリースから約やく21年ねんという月日つきひが経たっているが、ハイトーンも伸のびやかに歌うたいこなし、序盤じょばんからオーディエンスを沸わかせた。

筒美つつみ京平きょうへいが作曲さっきょくしたスウィンギンな「究極きゅうきょくキュート」、自然しぜんの風景ふうけいを繊細せんさいに描えがいた歌詞かしが特徴とくちょう的てきな「地球ちきゅうに抱いだかれて」といった楽曲がっきょくが披露ひろうされていく中なか、「幸福こうふくインタビュー」の間奏かんそうではYOUが「ねえ、何なに食たべたい？」と語かたりかけてきたほか、ユースケ・サンタマリアがインタビュアーとなり声ごえで参加さんか。この音声おんせいは今回こんかいの公演こうえんのために録ろくり下おろされたもので、思おもわぬサプライズに藤井ふじいは驚おどろきを隠かくせない様子ようすだった。

「地球ちきゅうに抱いだかれて」の歌唱かしょう中ちゅう、最さい前列ぜんれつの観客かんきゃくからうちわを受うけ取とっていた藤井ふじい。MCに入はいると「このうちわ、実じつは初はつコンサートのときに売うられたグッズなんです」と説明せつめいし、客席きゃくせきにはそのほかの初はつコンサートグッズを掲かかげるファンの姿すがたも見みられた。また本ほん間あいだは「ロミオ道行みちゆき」の“再演さいえん”を行おこなうにあたり、できる限かぎり原曲げんきょくを再現さいげんするようなアレンジを施ほどこしていることを明あかし、このライブに向むけた並々なみなみならぬ意気込いきごみを覗のぞかせた。

ライブパート後半こうはんは、藤井ふじいが「全然ぜんぜんリラックスできないぐらい難むずかしい」と語かたりつつもムーディなボーカルを存分ぞんぶんに聴きかせた「リラックス」、作詞さくし家か・松本まつもと隆たかしの代表だいひょう曲きょくの1つ「さらばシベリア鉄道てつどう」を彷彿ほうふつとさせる本ほん間あいだ制作せいさく曲きょく「モスクワの夜よる」と、さらにバラエティ豊ゆたかなサウンドが展開てんかいされた。そしてラストナンバーに選えらばれたのは、近年きんねんも藤井ふじいのライブで披露ひろうされている「絶望ぜつぼうグッドバイ」。藤井ふじいがキレッキレのダンスを繰くり広ひろげると、フロアから「タカスィー！」という温あたたかな歓声かんせいが飛とび交かった。

第だい2部ぶ

トークパート「外伝がいでん」には藤井ふじい、松本まつもと、本ほん間あいだに加くわえ、アルバム収録しゅうろく曲きょく「未み確認かくにん飛行ひこう体たい」「代官山だいかんやまエレジー」の作曲さっきょく者しゃである堀込ほりごみ高だか樹じゅ（KIRINJI）も特別とくべつゲストとして登場とうじょう。トークの進行しんこうは「ロミオ道行みちゆき～タカシが街まちにやってきた！ツアー～」のTてぃーシャツを持参じさんするほどのファンであるライター・Z11こと内田うちだ文明ふみあきが担当たんとうした。藤井ふじいのライブを客席きゃくせきから見守みまもっていたという松本まつもとは「最高さいこう。すごくいいと思おもう」と顔かおをほころばせつつ、「自分じぶんもいい仕事しごとしてる」と語かたり、場内じょうないを和なごませた。

松本まつもとが藤井ふじいの楽曲がっきょくに携たずさわるようになった経緯けいいについて、藤井ふじいは「スタッフに3枚まい目めのシングル曲きょくを誰だれに作つくってもらいたいか聞きかれて、難むずかしいと思おもいつつ『松本まつもと隆たかしさんにぜひご相談そうだんしたい』とお話はなししたんです。そうしたら死しぬ気きでオファーしてくれて。決きまったときは震ふるえました」と当時とうじを振ふり返かえる。そうして「絶望ぜつぼうグッドバイ」が制作せいさくされることになり、「松本まつもとさんが『景色けしきを思おもい浮うかべながら歌うたってみてご覧らんなさい』と言いってくださって、僕ぼくの横よこで歌詞かしを朗読ろうどくしてくれたんです」とレコーディング時じのエピソードが語かたられた。

ところが「代官山だいかんやまエレジー」に話題わだいが移うつると、松本まつもとはこの歌詞かしが本来ほんらいシングル曲きょく「絶望ぜつぼうグッドバイ」のために書かかれたものだったことを明あかしつつ「藤井ふじいくんに『歌詞かしに出でてくるじゃんけんの部分ぶぶん、子供こどもっぽくないですか？』って言いわれちゃったんだよね」と告白こくはく。そこには「絶望ぜつぼうグッドバイ」を作曲さっきょくした筒美つつみの姿すがたもあったとのことで、日本にっぽん歌謡かよう史しのレジェンド2人にんを前まえに直談判じかだんぱんする藤井ふじいを現場げんばで見みていたという本間ほんまは「後うしろで2人ふたりが話はなしていたんだけど、怖こわくて振ふり向むけなかった。ずーっと（ミキシングコンソールの）卓たくを見みてた」と緊迫きんぱくした状況じょうきょうを補足ほそくした。藤井ふじいは「いやあ、もう……あのときはすみませんでした!!」と謝罪しゃざいし、「当時とうじも『なんであんなことを言いってしまったんだろう……』と反省はんせいして。その後ごボツにならず、歌うたわせていただくことができたので本当ほんとうによかったです」と少々しょうしょう気きまずそうな様子ようすを見みせつつも、「代官山だいかんやまエレジー」に対たいする思おもい入いれを述のべた。

また「代官山だいかんやまエレジー」の作曲さっきょくを担当たんとうした堀込ほりごみは、当時とうじメロディから作つくり始はじめる“曲きょく先さき”がほとんどで、詞しを提供ていきょうされてから曲きょく作づくりに入はいる“詞し先さき”は初はじめてだったとのこと。「でも、言葉ことば数すうとか音おとの高低こうていが決きまっているから『もしかしたらこっちのほうが効率こうりつ的てきかも』と気付きづいて。2週間しゅうかん近ちかくかかると思おもったけど、4日にちぐらいでデモが完成かんせいしたんです」と堀込ほりごみは制作せいさく背景はいけいを明あかす。さらに「未み確認かくにん飛行ひこう体たい」はもともとキリンジの楽曲がっきょくとして制作せいさくされたが、サウンドが明あかるすぎるため藤井ふじいへの提供ていきょう曲きょくになったこと、発表はっぴょう後ごスタッフに「なんで提供ていきょうしたんだ！ キリンジに足たりないのはああいう明あかるさだよ！」と怒おこられてしまったことなど、貴重きちょうな裏話うらばなしも飛とび出だした。

松本まつもと×筒美つつみコンビ曲きょく「絶望ぜつぼうグッドバイ」で編曲へんきょくを担当たんとうした本ほん間あいだは、「京平きょうへい先生せんせいのアレンジ指示しじはとても明確めいかくでした。イントロであったり、メロディとメロディの間あいだの合あいの手てのフレーズだったり、曲きょく進行しんこうの構築こうちくが綿密めんみつで。また、それに対たいしての歌詞かしがまるで同時どうじにできあがったかのように合あっていて、歌詞かしが書かき変かえられてもまたぴったりになる。これがすごくて、歴史れきし的てきな瞬間しゅんかんに立たち会あったような気持きもちでしたね」と2人ふたりの息いきの合あった制作せいさく過程かていについてコメント。また藤井ふじいの初はつコンサートについて「藤井ふじいくんはとにかく真面目まじめ。歌うたもダンスもあそこまで時間じかんをかけて準備じゅんびしてくる人ひとはなかなかいないので、僕ぼくもたくさん学まなばせていただきました」と藤井ふじいのストイックな一いち面めんについて触ふれた。

「ロミオ道行みちゆき」は現在げんざいでも多おおくのファンを生うみ出だしており、藤井ふじいは「島根しまねのライブでアルバムの曲きょくを披露ひろうしたとき、10代ぐらいの男おとこの子こが一緒いっしょに歌うたってくれたんです。『震災しんさいのときにアルバムを聴きいて励はげまされました』と言いってくださった方ほうもいました」とさまざまなエピソードを列挙れっきょ。愛あい聴している人ひとたちへ感謝かんしゃの思おもいを告つげ、「あのとき、よく『松本まつもと隆たかしさんとやりたいです！』と言いえたなって思おもう。当時とうじの自分じぶんをほめてあげたいです」としみじみ語かたった。

本ほん公演こうえんの入場にゅうじょう者しゃには特典とくてんとして未み発表はっぴょう曲きょく「負まけるなハイジ」を収おさめたCDが配布はいふされたが、トークではこの曲きょくについても話題わだいに。「負まけるなハイジ」はアルバム完成かんせい後ごのコンサートツアー用ように書かき下おろされた曲きょくで、松本まつもとは「僕ぼくが応援おうえんソングを作つくるのはすごく珍めずらしいことなんです。コロナ禍かを経へて元気げんきがなくなっている、今いまの日本にっぽんだからこそ映はえる曲きょくかもしれない」と評価ひょうかした。さらに本ほん間あいだは「負まけるなハイジ」について、スタジオではレコーディングされておらず、サウンドデータと仮かり歌うたしか残のこっていなかったため、当時とうじの素材そざいを参考さんこうに再さい構築こうちくしたバージョンをCDに収録しゅうろくしたと解説かいせつ。トーク後ごには「負まけるなハイジ」のライブパフォーマンスも行おこなわれ、ファン待望たいぼうのサプライズが多数たすう盛もり込こまれた公演こうえんとなった。