相続そうぞく税ぜいの電子でんし申告しんこくが可能かのうに　面倒めんどうな申告しんこくが個人こじんでできる？ラクになる？

1. 相続そうぞく税ぜいの電子でんし申告しんこくのしくみ

最初さいしょに相続そうぞく税ぜいの電子でんし申告しんこくのしくみについてお伝つたえします。

1-1. 相続そうぞく税ぜいの電子でんし申告しんこくとは

電子でんし申告しんこくは、国税庁こくぜいちょうが運営うんえいしているe-Tax（国税こくぜい電子でんし申告しんこく・納税のうぜいシステム）を経由けいゆしたインターネット上じょうの申告しんこく・納税のうぜい手続てつづきを言いいます。相続そうぞく税ぜいにおいては、電子でんし申告しんこくが可能かのうとなったことにより、「相続そうぞく税ぜいの申告しんこく書しょ」や「配偶はいぐう者しゃの税額ぜいがく軽減けいげん額がくの計算けいさん書しょ」といった一般いっぱん的てきな申告しんこくで使つかわれる帳票ちょうひょうがオンラインで作成さくせい・提出ていしゅつできるようになりました。なお、相続そうぞく税ぜいの電子でんし申告しんこくの対象たいしょうとなるのは、平成へいせい31年ねん（2019年ねん）1月がつ以降いこうに生しょうじた相続そうぞくに関かんするものです。それより前まえのものについては従前じゅうぜん通どおり、紙かみの申告しんこく書しょで行おこないます。

1-2. 電子でんし申告しんこくに必要ひつような事前じぜん手続てつづき

ただ、今いますぐ電子でんし申告しんこくができるわけではありません。事前じぜんに以下いかの準備じゅんびを行おこなう必要ひつようがあります。

1．利用りよう環境かんきょうの確認かくにん

e-TaxソフトはWindows OSにのみ対応たいおうしており、Mac OSでは使用しようできません。相続そうぞく税ぜいの電子でんし申告しんこくを行おこなうなら、対応たいおう可能かのうなOSを用意よういしなくてはなりません。

2．電子でんし証明しょうめい書しょの取得しゅとく

e-Taxでは、申請しんせい等とうのデータが利用りよう者しゃ本人ほんにんの作成さくせい・送信そうしんによるものであることを確認かくにんするため、電子でんし証明しょうめい書しょが必要ひつようになります。この電子でんし証明しょうめい書しょを国税庁こくぜいちょうが定さだめる発行はっこう機関きかんで交付こうふを受うけます。

参考さんこう：国税庁こくぜいちょうウェブサイト「電子でんし証明しょうめい書しょの取得しゅとく」

3．e-Taxの開始かいし届出とどけで書しょの提出ていしゅつ・利用りよう者しゃ識別しきべつ番号ばんごうの取得しゅとく

所轄しょかつの税務署ぜいむしょに「電子でんし申告しんこく・納税のうぜい等とう開始かいし届出とどけで書しょ」を提出ていしゅつし、利用りよう者しゃ識別しきべつ番号ばんごうを取得しゅとくしなくてはなりません。これは、書類しょるいを税務署ぜいむしょに直接ちょくせつ提出ていしゅつ・送付そうふするか、e-Tax上じょうのウェブサイトからオンラインで提出ていしゅつするかのどちらかになります。

なお利用りよう者しゃ識別しきべつ番号ばんごうは、直接ちょくせつ提出ていしゅつ・送付そうふなら当日とうじつあるいは後日ごじつ、オンラインなら登録とうろく完了かんりょう時じに「利用りよう者しゃ識別しきべつ番号ばんごう等とうの通知つうち書しょ」が交付こうふされます。

1-3. 相続そうぞく税ぜいの電子でんし申告しんこくの流ながれ

一般いっぱんの方ほうが相続そうぞく税ぜいの電子でんし申告しんこくを行おこなうとき、手続てつづきの流ながれは次つぎのようになります。

1．相続そうぞく人じんのうち1人にんの代表だいひょう者しゃがe-Taxのソフトかe-Tax対応たいおうの民間みんかんのソフトを使つかって相続そうぞく税ぜいの申告しんこく書しょを作成さくせいする
2．1．の内容ないようを他たの相続そうぞく人じんにメールかSNSで送付そうふする
3．1．の申告しんこくデータを受うけ取とった他ほかの相続そうぞく人じんたちは自分じぶんのe-Taxソフトに取とり込こむ
4．相続そうぞく人じんそれぞれが申告しんこく書しょデータに電子でんし署名しょめいし、必要ひつようなデータを添付てんぷした上うえで送信そうしんする
5．送信そうしん完了かんりょう確認かくにん後ご、相続そうぞく人じんそれぞれが納税のうぜいをする

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2. 窓口まどぐち申告しんこくとの違ちがいは？　電子でんし申告しんこく四よっつのメリット

では、電子でんし申告しんこくにはどのようなメリットがあるのでしょうか。従来じゅうらいの窓口まどぐちでの申告しんこくとの違ちがいを踏ふまえると次つぎの四よっつが強つよみだと言いえます。

2-1. 自宅じたくにいながら24時じ間あいだ申告しんこくができる

電子でんし申告しんこくの最大さいだいの強つよみは24時じ間あいだ申告しんこくができるという点てんです。従来じゅうらいの申告しんこく方法ほうほうは、税務署ぜいむしょの窓口まどぐちに直接ちょくせつ赴おもむくか、郵送ゆうそうするかのいずれかでした。どちらの方法ほうほうも平日へいじつ日び中ちゅうに限かぎられるため、忙いそがしい人ひとには大おおきな負担ふたんです。しかし、電子でんし申告しんこくならば時間じかんを気きにせずいつでも申告しんこくが行おこなえます。

2-2. 紙かみの添付てんぷ書類しょるいを提出ていしゅつしなくていい

従来じゅうらいの申告しんこく方法ほうほうでは紙かみの添付てんぷ書類しょるいをたくさん提出ていしゅつしなくてはなりませんでした。しかし、電子でんし申告しんこくならば、PDFで添付てんぷ書類しょるいを送信そうしんすることで紙かみの書類しょるい提出ていしゅつを省略しょうりゃくできます。

2-3. 自宅じたくから納税のうぜいができる

通常つうじょう、相続そうぞく税ぜいの納税のうぜいは税務署ぜいむしょか金融きんゆう機関きかんの窓口まどぐちで行おこなわなくてはなりません。しかし、電子でんし申告しんこくならば、これらの場所ばしょに出向でむかなくても、インターネットバンキング等とうを使つかって自宅じたくからそのまま納税のうぜいすることができます。

2-4. 相続そうぞく税ぜい申告しんこく書しょを電子でんしデータとして保存ほぞんできる

紙かみの申告しんこく書しょでもっとも怖こわいのが紛失ふんしつです。収受しゅうじゅ印いんが押おされたものは代替だいたい品ひんがないため、過去かこの申告しんこく内容ないようを確認かくにんしたいときや税務ぜいむ調査ちょうさがあったときは困こまってしまいます。

しかし、電子でんし申告しんこくを行おこなえば相続そうぞく税ぜいの申告しんこく書しょを電子でんしデータとして保存ほぞんすることができます。紛失ふんしつリスクがなくなる上うえ、管理かんり・共有きょうゆうをしやすくなります。

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3. 相続そうぞく税ぜいの電子でんし申告しんこくの注意ちゅうい点てん

便利べんりな相続そうぞく税ぜいの電子でんし申告しんこくですが、次つぎのような注意ちゅうい点てんもあります。

3-1. 計算けいさん機能きのうはついていない

相続そうぞく税ぜいの電子でんし申告しんこく用ようのe-Taxソフトには財産ざいさん評価ひょうかの自動じどう計算けいさん機能きのうや自動じどう転記てんき機能きのうがついていません。手て計算けいさんや民間みんかんの相続そうぞく税ぜいのソフトで課税かぜい価格かかくや税額ぜいがくを計算けいさんし、その結果けっかをe-Taxに清書せいしょするような作業さぎょうを行おこなうことになります。

所得しょとく税ぜいの確定かくてい申告しんこくでは国税庁こくぜいちょうの確定かくてい申告しんこくサイトで必要ひつよう事項じこうを入力にゅうりょくすれば自動的じどうてきに申告しんこく書しょが作成さくせいされます。しかし、同おなじような感覚かんかくで相続そうぞく税ぜいの申告しんこく書しょを作成さくせいすることはできないのです。

3-2. 相続そうぞく税ぜいの修正しゅうせい申告しんこくはできない

相続そうぞく税ぜいの申告しんこくを行おこなった後のち、「本来ほんらい申告しんこくすべき課税かぜい価格かかくや税額ぜいがくはもっと多おおかった」といった理由りゆうで修正しゅうせい申告しんこくを行おこなうことがあります。この修正しゅうせい申告しんこくは電子でんし申告しんこくができません。紙かみの申告しんこく書しょを税務署ぜいむしょの窓口まどぐちに提出ていしゅつすることになります。

3-3. 複数ふくすうの相続そうぞく人じんがいるとより煩雑はんざつに

相続そうぞく税ぜいの電子でんし申告しんこくに必要ひつような事前じぜん準備じゅんびは、複数ふくすうの相続そうぞく人じんがいると手間てまと時間じかんがかかります。また、電子でんし申告しんこく自体じたいも、相続そうぞく人じん全員ぜんいんがしくみを理解りかいしていないと活用かつようできません。相続そうぞく人じんの中なかにITが苦手にがてな人ひとや高齢こうれいの人ひとがいると、相続そうぞく税ぜいの電子でんし申告しんこくはかなりハードルの高たかいものとなります。

この他ほか「オンラインで添付てんぷ書類しょるいを送信そうしんできないときは紙かみで提出ていしゅつする」点てんも留意りゅういしておいた方ほうがよいでしょう。電子でんし申告しんこくで便利べんりになったといえども万能ばんのうではないのです。

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4. 相続そうぞく税ぜいの電子でんし申告しんこくは税理士ぜいりし向むけ

相続そうぞく税ぜいの電子でんし申告しんこくの仕組しくみを概観がいかんすると、相続そうぞく税ぜいの電子でんし申告しんこくは一般いっぱんの納税のうぜい者しゃ向むけとは言いえません。なぜかというと、心理しんり的てき・経済けいざい的てきな負担ふたんが大おおきいからです。

相続そうぞく税ぜいで電子でんし申告しんこくをするには、課税かぜい価格かかくや税額ぜいがくを手てで計算けいさんするか、専用せんようの相続そうぞく税ぜいのソフトを数すう万まん円えんから数すう十じゅう万まん円えんで購入こうにゅうして作業さぎょうすることが必要ひつようです。相続そうぞく税ぜいの申告しんこくを何なん度ども経験けいけんするわけではない一般人いっぱんじんに、このような負荷ふかは担になえるものではありません。そのため、相続そうぞく税ぜいの電子でんし申告しんこくは、事業じぎょうとして繰くり返かえし行おこなう税理士ぜいりし向むけのものだと言いえます。

ただ、税務署ぜいむしょの人手ひとで不足ふそくという現状げんじょうやコスト削減さくげんの必要ひつよう性せいを考かんがえると、今いまのシステムがずっと続つづくとは感かんじられません。今後こんご、状況じょうきょうに応おうじて改善かいぜんされ、いずれは納税のうぜい者しゃにとって使つかいやすい仕組しくみとなるのではないかと思おもわれます。

（記事きじは2020年ねん4月がつ1日にち時点じてんの情報じょうほうに基もとづいています）