土地とちにかかる相続そうぞく税ぜいはどう計算けいさんする？　路線ろせん価か以外いがいの評価ひょうか方法ほうほうと相続そうぞく税ぜい対策たいさくを税理士ぜいりしが解説かいせつ

1. 土地とちの相続そうぞく税ぜいを計算けいさんする方法ほうほう

相続そうぞくした土地とちにかかる相続そうぞく税ぜいの計算けいさん方法ほうほうについて、「土地とちの評価ひょうか額がく×相続そうぞく税ぜいの税率ぜいりつ」と勘違かんちがいをしている方ほうが多おおいですが、実じつはそんなに単純たんじゅんではありません。

相続そうぞく税ぜいは、以下いか図表ずひょうの「課税かぜいされる遺産いさん総額そうがく」に対たいして課税かぜいされます。相続そうぞくした土地とちは、その評価ひょうか額がくが以下いか図表ずひょうの一番いちばん上段じょうだん「遺産いさん総額そうがく」に含ふくまれますが、その評価ひょうか額がくに直接ちょくせつ税率ぜいりつを乗じょうじて相続そうぞく税額ぜいがくを求もとめるわけではありません。

2. 土地とちの評価ひょうか方法ほうほうは大おおきく2パターンある

相続そうぞくした土地とちの評価ひょうか方法ほうほうは、課税かぜい時期じき（相続そうぞくにより財産ざいさんを取得しゅとくした日ひで、通常つうじょうは被ひ相続そうぞく人じんの死亡しぼう日び）における現況げんきょう地目ちもく（土地とちの利用りよう状じょう況きょう）によって異ことなりますが、ここでは現況げんきょう地目ちもくが宅地たくちの場合ばあいの評価ひょうか方法ほうほうを簡単かんたんにご紹介しょうかいします。

宅地たくちの評価ひょうか方法ほうほうは、大おおきく（１）路線ろせん価か方式ほうしきと（２）倍率ばいりつ方式ほうしきの２パターンに分わけられます。相続そうぞくした宅地たくちの評価ひょうか方法ほうほうが、路線ろせん価か方式ほうしきか倍率ばいりつ方式ほうしきかは、毎年まいとし国税庁こくぜいちょうホームページ路線ろせん価か図ず・倍率ばいりつ表ひょう（以下いか参照さんしょう）で公表こうひょうされています。
参考さんこう：国税庁こくぜいちょうHP路線ろせん価か図ず・倍率ばいりつ表ひょう

2-1. 路線ろせん価か方式ほうしき

路線ろせん価か方式ほうしきは、相続そうぞくした宅地たくちが接せっ面めんする道路どうろに付ふされた路線ろせん価かをもとに評価ひょうかする方法ほうほうです。
路線ろせん価かは、その路線ろせん（道路どうろ）に接せっ面めんする標準ひょうじゅん的てきな宅地たくちの1㎡あたりの価額かがくが千せん円えん単位たんいで表示ひょうじされたものであり、毎年まいとし国税庁こくぜいちょうより公表こうひょうされています（国税庁こくぜいちょうHP路線ろせん価か図ずhttps://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm）。
路線ろせん価かは、地価ちか公示こうじ価格かかくのおおむね8割わり水準すいじゅんで定さだめられています。なお、路線ろせん価かが定さだめられている地域ちいきは、主おもに路線ろせん（道路どうろ）ごとに地価ちかの差さの開ひらきが見みられる市街地しがいちになります。

もっともシンプルな宅地たくちの評価ひょうか例れいを示しめせば以下いかの通とおりです。設しつらえ例れいでは、路線ろせん価かに奥行おくゆき価格かかく補正ほせい率りつを乗じょうじているだけですが、実際じっさいの土地とちの形状けいじょうによっては、他たの補正ほせい率りつも乗じょうじて補正ほせいし、最後さいごに土地とちの面積めんせきを乗じょうじて評価ひょうかします。

2-2. 倍率ばいりつ方式ほうしき

倍率ばいりつ方式ほうしきは、相続そうぞくした宅地たくちの基準きじゅん年度ねんどの固定こてい資産しさん税ぜい評価ひょうか額がくに評価ひょうか倍率ばいりつ（1.1が多おおい）を乗じょうじて評価ひょうかする方法ほうほうです。評価ひょうかに用もちいる倍率ばいりつは、毎年まいとし国税庁こくぜいちょうより公表こうひょうされており、国税庁こくぜいちょうホームページ倍率ばいりつ表ひょうhttps://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm
で確認かくにんできます。路線ろせん価か方式ほうしきで評価ひょうかする地域ちいき以外いがい（地方ちほう郊外こうがいの住宅じゅうたく地ちや農村のうそん地域ちいきなど）にある宅地たくちは倍率ばいりつ方式ほうしきで評価ひょうかされます。

2-3. 賃貸ちんたいしている場合ばあい

例たとえば、被ひ相続そうぞく人じんが自身じしんの宅地たくち上じょうにアパートを建たてて賃貸ちんたいしていた場合ばあいや、自身じしんの土地とち自体じたいを建物たてもの所有しょゆう目的もくてきで誰だれかに賃貸ちんたいしていた場合ばあい、上記じょうき①②で評価ひょうかした宅地たくちの評価ひょうか額がくから他人たにんの権利けんりが付着ふちゃくしていることに伴ともない、一定いっていの評価ひょうか減げんを行おこなって評価ひょうかします。

3. 土地とち持もちの地主じぬしの相続そうぞく税ぜい対策たいさく

ひと口くちに相続そうぞく税ぜい対策たいさくといってもその内容ないようは様々さまざまですが、被ひ相続そうぞく人じんの死後しごにできる対策たいさくは限かぎられているので、ここでは生前せいぜんにできる対策たいさくについて具体ぐたい例れいを挙あげて簡単かんたんにご紹介しょうかいします。

3-1. 財産ざいさんの組くみ換かえによる生前せいぜん対策たいさく

これは、保有ほゆう財産ざいさんを組くみ換かえることにより相続そうぞく税ぜいの課税かぜい対象たいしょうとなる財産ざいさん評価ひょうか額がくの引ひき下さげを狙ねらった対策たいさくです。

具体ぐたい例れいとしてよく挙あげられるのが、土地とち持もちの地主じぬしが、土地とちの上うえにアパートを建築けんちくするというものです。ここで、アパート建築けんちく資金しきんは手持てもち現げん預金よきんや借入金かりいれきんで調達ちょうたつします。現金げんきん預金よきんをそのまま保有ほゆうしているよりもアパートを建築けんちくすることで土地とちや建物たてものの評価ひょうか上じょう一定いっていの評価ひょうか減げんを適用てきようできるため生前せいぜんにできる相続そうぞく税ぜい対策たいさくとなります（下図したず参照さんしょう）。

また、アパートの建たて方かた次第しだいで土地とちの評価ひょうか額がくに大おおきな差異さいが生しょうじます。例たとえば、下図したずにおいて、2棟むね建築けんちくの場合ばあいと1棟むね建築けんちくの場合ばあいでは、『評価ひょうか通達つうたつ20－2（地積ちせき規模きぼの大おおきな宅地たくちの評価ひょうか）』の適用てきよう要件ようけんのうち面積めんせき要件ようけんの判定はんてい結果けっかが異ことなり、2棟むね建築けんちくの方ほうは評価ひょうか減げんとして大おおきな『評価ひょうか通達つうたつ20－2』の適用てきようができなくなってしまいます。

もちろん、2棟むね建築けんちくの場合ばあいと1棟むね建築けんちくの場合ばあいでは建築けんちくコストやアパートとしての収益しゅうえき性せいなどが異ことなるため、相続そうぞく税ぜい評価ひょうか額がくの大小だいしょうだけで建たて方かたを決定けっていすべきではありません。しかしハウスメーカーに丸まる投なげせずに、税理士ぜいりしにも相談そうだんの上うえ、アパートの建たて方かたまで検討けんとうした方ほうがよいでしょう。

3-2. 生前せいぜん贈与ぞうよによる相続そうぞく税ぜい対策たいさく

相続そうぞく税ぜい対策たいさくが必要ひつような地主じぬしがすでにアパート経営けいえいを行おこなっている場合ばあい、アパート経営けいえいから生しょうじる利益りえき（家賃やちん収入しゅうにゅう－必要ひつよう経費けいひ）相当そうとうの現げん預金よきんが毎年まいとし蓄積ちくせきし、相続そうぞく税ぜいの課税かぜい対象たいしょうが増ふえていきます。そこで相続そうぞく時じ精算せいさん課税かぜい制度せいどを選択せんたくしてアパートなどの収益しゅうえき物件ぶっけんを、生前せいぜんに子こ（例れい：息子むすこ）に贈与ぞうよする方法ほうほうも考かんがえられます。こうすることで、贈与ぞうよ後ごの家賃やちん収入しゅうにゅうが子こに帰属きぞくし、相続そうぞく税ぜい対策たいさくが必要ひつような方ほうの現げん預金よきんがどんどん増ふえるのをストップさせることができます（下図したず参照さんしょう）。

相続そうぞく時じ精算せいさん課税かぜい制度せいどは、60歳さい以上いじょうの父母ちちははまたは祖父母そふぼから、18歳さい以上いじょうの子こまたは孫まごに対たいする贈与ぞうよについて選択せんたくできる制度せいどです。

3-3. 生前せいぜんから行おこなう納税のうぜい資金しきん対策たいさく

土地とち持もちの地主じぬしの相続そうぞくの場合ばあい、相続そうぞくした土地とちなどの不動産ふどうさんはすぐに売却ばいきゃくして換金かんきんできないため、相続そうぞく税ぜいの納税のうぜい資金しきんが不足ふそくする危険きけん性せいが高たかいです。そのため、地主じぬしが生前せいぜんに生命せいめい保険ほけんをかけるなどして納税のうぜい資金しきんをあらかじめ準備じゅんびしておくことも有効ゆうこうです。

4. 生前せいぜんの相続そうぞく税ぜい対策たいさくや相続そうぞく税ぜい申告しんこく上じょうの注意ちゅうい点てん

生前せいぜんの相続そうぞく税ぜい対策たいさくとして先さきにいくつか具体ぐたい例れいを紹介しょうかいしましたが、各種かくしゅ相続そうぞく税ぜい対策たいさくには必かならず注意ちゅういすべき点てんやデメリットも存在そんざいします。例たとえば、アパート経営けいえいにはアパート自体じたいの収益しゅうえき性せい低下ていかによる各種かくしゅ経営けいえいリスクがある点てんも十分じゅうぶんに認識にんしきしておく必要ひつようがあります（下図したず参照さんしょう）。

相続そうぞく開始かいし後ごの相続そうぞく税ぜい申告しんこくにおいては、土地とちをはじめとした各種かくしゅの財産ざいさんの評価ひょうかミスや評価ひょうか漏もれ、小規模しょうきぼ宅地たくち等とうの特例とくれいの適用てきようミスや適用てきよう漏もれなどに注意ちゅういが必要ひつようです。

生前せいぜんの相続そうぞく税ぜい対策たいさくや相続そうぞく開始かいし後ごの相続そうぞく税ぜい申告しんこくで困こまったら早はやめに税理士ぜいりしに相談そうだんしましょう。

（記事きじは2022年ねん10月がつ1日にち時点じてんの情報じょうほうに基もとづいています）

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