侵略しんりゃくへ感度かんどなき日本にっぽん､平和へいわへの防衛ぼうえい負担ふたんを公平こうへいに 太平洋戦争たいへいようせんそうの地上ちじょう戦せんから見みる戦争せんそうの教訓きょうくん(後編こうへん)

日本にっぽん本土ほんど周辺しゅうへんの各地かくちでは終戦しゅうせんまでに凄惨せいさんな地上ちじょう戦せんが繰くり広ひろげられた。今いまの私わたしたちは教訓きょうくんとして何なにを導みちびき出だせるのかを前後ぜんご編へんで考かんがえる（後編こうへん）。

沖縄おきなわで6月がつ23日にちは「慰霊いれいの日ひ」だ。先さきの大戦たいせんから平和へいわのために何なにを学まなび、今後こんご何なにが必要ひつようなのか。写真しゃしんは沖縄おきなわ平和へいわ祈念きねん公園こうえん（写真しゃしん：PIXTA）

終戦しゅうせんの過程かていを左右さゆうした各地かくちの地上ちじょう戦せんでは、本土ほんど防衛ぼうえいのために行おこなわれた日本にっぽん軍ぐんの「捨すて石いし」作戦さくせんと、民間みんかん人じんの根ねこそぎ動員どういん・集団しゅうだん自決じけつという共通きょうつうのパターンが繰くり返かえされたことを前編ぜんぺんで指摘してきした。

日にちソ戦せんでは、ソ連それん軍ぐんによる略奪りゃくだつ・暴行ぼうこうや強制きょうせい連行れんこうも加くわわった。後編こうへんでは、最新さいしんの研究けんきゅうである麻田あさだ雅文まさふみ『日にちソ戦争せんそう』（中公新書ちゅうこうしんしょ）に依拠いきょしながら、現在進行形げんざいしんこうけいで行おこなわれるロシアのウクライナ侵略しんりゃくと重かさなる日ひソ戦せんの実相じっそうにも触ふれる。

また台湾たいわん有事ゆうじをめぐる議論ぎろんに象徴しょうちょうされるように、本土ほんど防衛ぼうえいのために辺境へんきょうを戦場せんじょうとするという政策せいさく決定けってい者しゃの発想はっそうが、戦後せんごもまったく変かわっていないという現実げんじつも論ろんじる。これの裏返うらがえしとして、台湾たいわん有事ゆうじに「巻まき込こまれない」ための議論ぎろんにも問題もんだいがあることを第だい1次じ・第だい2次じ世界せかい大戦たいせんのベルギーの歴史れきしを参照さんしょうしながら同時どうじに指摘してきする。

停戦ていせんに応おうじなかったソ連それん

ソ連それんは東京とうきょう大だい空襲くうしゅうの翌月よくげつ、アメリカ軍ぐんの沖縄おきなわ島とう上陸じょうりく直後ちょくごの1945年ねん4月がつ5日にちに日本にっぽんに対たいして翌年よくねんに有効ゆうこう期限きげん満了まんりょうを迎むかえる日ひソ中立ちゅうりつ条約じょうやくを延長えんちょうしないと通告つうこくした。にもかかわらず、日本にっぽん政府せいふはソ連それんに戦争せんそう終結しゅうけつのための仲介ちゅうかいを期待きたいし続つづける。米べい英えい両国りょうこくとの直接ちょくせつ交渉こうしょうを避さけ、ソ連それんの仲介ちゅうかいに固執こしつしたのは、日本にっぽんに有利ゆうりな条件じょうけんで終戦しゅうせんするためだった。

1945年ねん7月がつ末まつに、米べい英えい中ちゅう3国こくは日本にっぽん軍ぐんの無条件むじょうけん降伏ごうぶくを求もとめるポツダム宣言せんげんを発表はっぴょうした。ソ連それんの署名しょめいがないことから、日本にっぽん政府せいふはソ連それんに終戦しゅうせん仲介ちゅうかいの意志いしがあると都合つごうよく解釈かいしゃくしてポツダム宣言せんげんを「黙殺もくさつ」しソ連それんとの交渉こうしょうに望のぞみを託たくす。実際じっさいには、ソ連それん不信ふしんからアメリカが単独たんどくでポツダム宣言せんげんを作成さくせい、ソ連それんとは一切いっさい協議きょうぎせずに発表はっぴょうしたにすぎなかった。

むしろ、米べいソ関係かんけいが悪化あっかする中なかでアメリカがソ連それんへの予告よこくなしに8月がつ6日にち、広島ひろしまに原子げんし爆ばく弾だんを投下とうかしたことで、ヤルタ会談かいだんでの密約みつやくが反故ほごにされるのではないかとアメリカへの不信ふしんを強つよめたソ連それんは対たい日にち参戦さんせんを早はやめる。ルーズベルト大統領だいとうりょうはヤルタ秘密ひみつ協定きょうていで、樺太からふと・千島ちしま交換こうかん条約じょうやくで日本にっぽん領りょうとなった千島ちしま列島れっとうのソ連それん引ひき渡わたしや、日にち露ろ戦争せんそうで日本にっぽんが得えた南みなみ樺太からふとのソ連それん「返還へんかん」を認みとめていた。

ソ連それんの攻撃こうげき開始かいしからわずか1日にち後ごの8月がつ10日とおか、日本にっぽん政府せいふは「国体こくたい〔＝天皇てんのうによる日本にっぽん統治とうち〕護持ごじ」のみを条件じょうけんにポツダム宣言せんげん受諾じゅだくを連合れんごう国こく側がわに表明ひょうめいした。ソ連それんの仲介ちゅうかいで終戦しゅうせんする可能かのう性せいがなくなったことが、日本にっぽん側がわにどれだけ深刻しんこくな衝撃しょうげきを与あたえたかが分わかる。

だが、ソ連それんは無条件むじょうけん降伏ごうぶくでないことを理由りゆうに日本にっぽんへの攻撃こうげきを継続けいぞくした。逆ぎゃくにアメリカは、天皇てんのうの権限けんげんを連合れんごう国こく総そう司令しれい部ぶの下したにおくことを条件じょうけんに、降伏ごうぶくを認みとめる回答かいとうを行おこなう。昭和しょうわ天皇てんのうの「聖断せいだん」で日本にっぽん側がわが受諾じゅだくを返答へんとうしたのが8月がつ14日にち深夜しんや、翌日よくじつ正午しょうごに米べい軍ぐんが停戦ていせん、同時どうじに玉音ぎょくおん放送ほうそうで日本にっぽん国民こくみんに敗戦はいせんが知しらされた。それでも、ソ連それんは停戦ていせんに応おうじなかった。