トランプ氏敗訴、賠償金6億円超の支払い命令 27年前の女性暴行
ニューヨークの裁判所の陪審団は9日、トランプ前米大統領から性的暴行を受けたなどとして女性が訴えた民事訴訟で、原告の主張をおおむね認め、トランプ氏に約500万ドル(約6億7500万円)の損害賠償を命じる評決をい渡した。米メディアは、トランプ氏による性的な違法行為の訴えを司法が認定したのは初めてと報じている。
審理開始から3時間ほどでのスピード決着だった。陪審団(男性6人、女性3人)はトランプ氏による「レイプ(強制性交)」については認めなかったものの、本人の同意なく性的な接触があったとして、トランプ氏に性的暴行と名誉毀損(きそん)の責任があると認めた。トランプ氏側は控訴する方針。
提訴していたのは、元雑誌コラムニストのジーン・キャロル氏(79)。1995年の秋から96年春の間のある日、ニューヨークの高級デパートで、トランプ氏から別の女性への贈り物について相談を受けた際、試着室で性的暴行をされたと証言した。被害を告発すると、トランプ氏から「でっち上げだ」などと責められ、名誉を傷つけられたとしている。
キャロル氏は声明で「この評決は私だけでなく、(主張を)信じてもらえずに苦しんでいるすべての女性のためのものだ」と述べた。
女性との関係をめぐるトランプ氏の不祥事や違法行為の疑いは、当選した2016年の大統領選の前から様々な形で明るみに出ていた。米紙ニューヨーク・タイムズは、これまで十数人の女性がトランプ氏から性的な違法行為を受けたと被害を申し出ているが、訴えが司法で認定されたのは初めてだと報道している。
今回の民事訴訟では、別の2人の女性もトランプ氏から性的暴行の被害に遭ったと証言した。また、05年、トランプ氏が女性と性的関係を持つことに関して「スターになれば何でもできる」などと話したわいせつな会話の録音も流された。
ただ、トランプ氏は一切を否定している。9日、自らのSNS「トゥルース・ソーシャル」で、キャロル氏のことを知らない、などと主張。動画も投稿して、評決について「この国にとって恥ずべきこと」「史上最大の魔女狩り」などと持論を展開した。(ニューヨーク=遠田寛生)
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