韓かん流りゅうブームの示しめす日本にっぽんの危あやうさ

一時いちじ的てき現象げんしょうと思おもわれた、またはそうであることを、特とくに日本にっぽんの芸能げいのう界かいには期待きたいされたと思おもわれる韓かん流りゅうブームは、今いまも衰おとろえを知しらないようだ。

もちろん、韓国かんこくの俳優はいゆうたちのイケメン振ぶりが韓かん流りゅうブームの主おもな理由りゆうであるわけだ。記憶きおく喪失そうしつや難病なんびょうの多用たようなど、突つっ込こみどころ満載まんさいのストーリーだが、そこに描えがかれた世界せかいの心地ここちよさが、ブームの背景はいけいにあるのではないだろうか。

純粋じゅんすいに愛あいすること、努力どりょくすること、真面目まじめであることは尊とうとい、父ちちと母ははと先生せんせいは敬うやまわなければならないという、当あたり前まえのことを当然とうぜんのように自信じしんをもって発言はつげんできる心地ここちよさだ。子供こどもが母親ははおやに少すこしでも文句もんくを言いえば、父親ちちおやが「お母かあさんに口答くちごたえするなんて、なんてことを」としかる。

当あたり前まえに努力どりょくする、正ただしいとされていることを当然とうぜんのように行おこなう、という世界せかいが、日本にっぽんでは学校がっこうですら、失うしなわれてしまった。いじめは悪わるいとも、努力どりょくすることは尊とうといとも言いえないという世界せかいが学校がっこうの中なかですら生うまれてしまった。

そうなってしまったのは、「型かた」を否定ひていし、個性こせいと自己じこ実現じつげんを教育きょういくや社会しゃかいの目標もくひょうにしてしまったからだ。何故なぜこんなことが起おきてしまったのか分わからない。教育きょういくとは、本質ほんしつ的てきに「型かた」を教おしえることであり、社会しゃかいは「型かた」によって秩序ちつじょが保たもたれているのに。秩序ちつじょのない社会しゃかいでは、個性こせいの発揮はっきも自己じこ実現じつげんもままならない。

自己じこ実現じつげんも「型かた」に拠よらなければ達成たっせいできない。エコノミストは主張しゅちょうを支ささえる事実じじつを集あつめる。それが、本当ほんとうに主張しゅちょうを支ささえているかどうかは、統計とうけい的てき証拠しょうこの示しめし方かたという「型かた」にはまっていることで判断はんだんされなければならない。「型かた」にはまっていない自己じこ主張しゅちょうが自己じこ実現じつげんだとする社会しゃかいは、危あやういものではないか。韓かん流りゅうブームが教おしえてくれたことは、「型かた」を否定ひていした日本にっぽん社会しゃかいの危あやうさではないだろうか。