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第3次ブーム下の中国投資 2005年02月28日 | 大和総研 | 松島 光男

だい3ブーム中国ちゅうごく投資とうし

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2005ねん02がつ28にち

  • 松島まつしま 光男みつお
 

日本にっぽん企業きぎょう中国ちゅうごくへの投資とうしブームがつづいている。80年代ねんだいひさしだい投資とうしブーム、90年代ねんだい前半ぜんはんだい2ブームにつづいて、現在げんざい、2000ねんからはじまっただい3ブームの渦中かちゅうにある。中国ちゅうごくのWTO加盟かめい(2001ねん12がつ〕による規制きせい緩和かんわ市場いちば開放かいほうへの期待きたいかん安定あんていてき中国ちゅうごく経済けいざい成長せいちょう背景はいけいにある。昨年さくねん日本にっぽん企業きぎょう中国ちゅうごくへの投資とうし特徴とくちょうとして、(1)輸送ゆそう機器きき分野ぶんや大型おおがた投資とうし、(2)商業しょうぎょう金融きんゆう分野ぶんや中心ちゅうしんとした製造せいぞうぎょう投資とうし増大ぞうだいがある。昨年さくねん12がつには流通りゅうつう分野ぶんや一段いちだん規制きせい緩和かんわ実施じっしされ、今後こんご流通りゅうつう物流ぶつりゅう分野ぶんや投資とうしがさらに活発かっぱつしよう。

昨年さくねん11がつ発表はっぴょうされた国際こくさい協力きょうりょく銀行ぎんこうの「海外かいがい直接ちょくせつ投資とうしアンケート」調査ちょうさ結果けっかによると、他国たこくくらべて中国ちゅうごく中期ちゅうき長期ちょうき投資とうし対象たいしょうこくとして有望ゆうぼうする日本にっぽん企業きぎょうきわめておおい。その理由りゆうとして、「現地げんち市場いちば成長せいちょうせい」という要素ようそ指摘してきするきがもっとおおく、販売はんばい市場いちばとしての中国ちゅうごく最大さいだい魅力みりょくになっている。「安価あんか労働ろうどうりょく」、「投資とうしにかかる優遇ゆうぐう税制ぜいせい」という要素ようそ相変あいかわらず中国ちゅうごく有望ゆうぼうする理由りゆう上位じょういめている。

 ところが、ここにきてこれらの要素ようそのいくつかに変化へんかきざしがてきている。製造せいぞう拠点きょてんにとって重要じゅうよう要素ようそである「安価あんか労働ろうどうりょく」だが、昨年さくねんあたりから広東かんとんしょうなど華南かなんにおいて、長年ながねんにわたっていわれてきた、内陸ないりくからの出稼でかせ労働ろうどうしゃやす人件じんけん容易ようい確保かくほできるという状況じょうきょうわりはじめている。とくに,賃金ちんぎん水準すいじゅんひく香港ほんこん台湾たいわんけい企業きぎょうにおいてひとあつめがむずかしくなってきている。今年ことしはじめ、広東かんとんしょうではかく都市とし最低さいてい賃金ちんぎん基準きじゅん改定かいていされ、これまでにくらべ25-35%の賃金ちんぎん上昇じょうしょうをみている。当然とうぜん相対そうたいてきたか賃金ちんぎんはらってきた日系にっけい企業きぎょうといえども影響えいきょうけるであろう。内陸ないりくへの企業きぎょう進出しんしゅつで、内陸ないりく都市としでもはたら場所ばしょつかるようになってきたこと、多少たしょう賃金ちんぎんやすくても郷里きょうりちかくではたらくほうがよいという傾向けいこう反映はんえいとみられる。技術ぎじゅつしゃいたっては、地域ちいきわず、人材じんざい払底ふっていしているとく。上海しゃんはい中心ちゅうしんとしたはなひがし地域ちいきでは事務職じむしょく人材じんざい不足ふそく気味ぎみで、とく日本にっぽん企業きぎょうにとって、日本語にほんご人材じんざい不足ふそく頭痛ずつうたねになっている。日系にっけい企業きぎょう場合ばあい日本にっぽん本社ほんしゃ制度せいどしばられて,大胆だいたん成果せいか主義しゅぎにもとづいた賃金ちんぎん体系たいけいれられないことも、ヒトがあつまらない理由りゆうになっている。日系にっけい企業きぎょうにとって、マネジメントの根本こんぽんてき見直みなおしが必要ひつようだろう。

 「外資がいし企業きぎょうたいする優遇ゆうぐう税制ぜいせい」という要素ようそかんしても、WTO加盟かめい3ねん経過けいかした中国ちゅうごくにとって、内外ないがい企業きぎょう公平こうへい競争きょうそうできる環境かんきょう整備せいび必須ひっす課題かだいになっている。現行げんこう企業きぎょう所得しょとくぜい国内こくない企業きぎょうでは33%の税率ぜいりつ国税こくぜい30%、地方ちほうぜい3%〕が適用てきようされているが、外資がいし企業きぎょうたいしては、各種かくしゅ優遇ゆうぐう税制ぜいせい適用てきようから15%の税率ぜいりつにとどまっている。この格差かくさたいして国内こくない企業きぎょうから批判ひはんこえがあがっており、外資がいし企業きぎょう国内こくない企業きぎょう税率ぜいりつ統一とういつする方向ほうこうで、議論ぎろんされはじめている。この問題もんだいは3がつ5にちから開始かいしされる全国ぜんこく人民じんみん代表だいひょう大会たいかい上程じょうていされ、審議しんぎされるとつたえられている。原則げんそく24-25%という税率ぜいりつ統一とういつされるという観測かんそくつよい。はやければ来年らいねん1がつから統一とういつされる見込みこみだが、業種ぎょうしゅ地域ちいきによって優遇ゆうぐうさく継続けいぞくされ、5年間ねんかん過渡かとてき期間きかんもうけられるといわれている。

一部いちぶ投資とうし環境かんきょう変化へんかとともに、ほう制度せいど整備せいび,知的ちてき財産ざいさんけん侵害しんがい電力でんりょく水不足みずぶそくによる制約せいやく土地とちをめぐる問題もんだいとう課題かだいおお中国ちゅうごくだが、投資とうしにあたっては、ブームにおどらされることなく、じゅうふん事前じぜん情報じょうほう収集しゅうしゅう検討けんとう対応たいおうさく必要ひつようであろう。

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