外患がいかんの香港ほんこん、内憂ないゆうの中国ちゅうごくの流ながれが変かわるには

３月さんがつが終おわり、香港ほんこん市場いちばに上場じょうじょうする主要しゅよう企業きぎょうの決算けっさん発表はっぴょうがほぼ出揃でそろった。個別こべつ株かぶでは、好こう不調ふちょうのサプライズ決算けっさんもあったが、概おおむね予想よそうと大おおきく違ちがわぬ結果けっかとなった。

香港ほんこんをベースとする企業きぎょうは、その大半たいはんが大幅おおはば増益ぞうえきを達成たっせいした。不動産ふどうさんセクターは、物件ぶっけん価格かかくの上昇じょうしょうと取引とりひき量りょうの増大ぞうだい、銀行ぎんこうセクターは、デフレを脱だっした環境かんきょう下かで不良ふりょう債権さいけんへの引当ひきあて金きんが減少げんしょう、小売こうりセクターは、香港ほんこん居住きょじゅう者しゃの消費しょうひ性向せいこうの回復かいふくと中国ちゅうごく本土ほんどからの観光かんこう客きゃくの増加ぞうか、が収益しゅうえき増加ぞうかの牽引けんいん役やくとなった。

香港ほんこん経済けいざいは順調じゅんちょうな回復かいふくが続つづくとみており、香港ほんこん株かぶのファンダメンタルズには危惧きぐする点てんが少すくないが、米国べいこくの金利きんり動向どうこうに世界中せかいじゅうの投資とうし家かが神経質しんけいしつになっている今日きょうこの頃ころ、米あめりかドルとペグ制せいを敷しく香港ほんこん金融きんゆう界かいも、追随ついずい利上りあげを行おこなえば、株式かぶしき市場いちばにとってはネガティブだろうし、追随ついずいしなければ、米あめりかドルとの金利きんり差さ拡大かくだいで、香港ほんこんドル資産しさんの離散りさんを招まねき、どちらにしても売うり方かたを助長じょちょうしているように思おもわれる。バリュエーション面めんでの割安わりやす感かん、中国ちゅうごく本土ほんどとともに発展はってんする香港ほんこんの中期ちゅうき的てき展望てんぼうが、買かいに向むかう理由りゆうとなろうが、当面とうめんは、独自どくじ要因よういんより米国べいこくを中心ちゅうしんとした外部がいぶ要因よういんが、株価かぶかのレンジを決きめる展開てんかいが続つづこう。

Ｈ株かぶ、レッドチップといった中国ちゅうごく関連かんれん銘柄めいがらの動向どうこうはさまざまである。原油げんゆ高だかを背景はいけいに石油せきゆセクターが予想よそうどおりの好こう決算けっさんを発表はっぴょうする一方いっぽう、素材そざい、電力でんりょくセクターでは原料げんりょう、燃料ねんりょう高だかの影響えいきょうが下期しもきに入はいって顕在けんざい化かし始はじめている。ハイテクセクターは、数量すうりょうは増ふえるが、市況しきょう低下ていかの影響えいきょうをカバーしきれない銘柄めいがらも多おおい。

インフレ（一いち次じ産品さんぴん、サービス、不動産ふどうさん）とデフレ（自動車じどうしゃ、電機でんきなどの最終さいしゅう製品せいひん）が同居どうきょする中国ちゅうごくを本拠ほんきょとする中国ちゅうごく銘柄めいがらのファンダメンタルズはより複雑ふくざつである。自社じしゃの提供ていきょうする財ざい、サービスの価格かかくが上あがる（下さがる）銘柄めいがら、仕入しいれる財ざいの価格かかくが上あがる（下さがる）銘柄めいがらが混在こんざいしているからだ。加くわえて、ここ数すう年ねんの投資とうしブームで、２－３年ねん後ごの需給じゅきゅう関係かんけいが変化へんかするセクターも出でてこよう。先さきの全人代ぜんじんだいからは、バランスを重視じゅうしした健全けんぜんな経済けいざい成長せいちょうを、中国ちゅうごく政府せいふが強つよく望のぞんでいることが再さい確認かくにんされた。全体ぜんたい的てきな方向ほうこう性せいは好感こうかんされ、人民元じんみんげ切きり上あげ憶測おくそくも根強ねづよく、中国ちゅうごく関連かんれん銘柄めいがらへの投資とうしを増ふやす意向いこうをもつ投資とうし家かは多おおいだろうが、香港ほんこん株かぶと異ことなり、企業きぎょうファンダメンタルズにはさほど強気つよきになれないのがネックである。

ミクロ面めんでの不透明ふとうめい感かんがあるものの、香港ほんこんに上場じょうじょうする中国ちゅうごく銘柄めいがらは、中国ちゅうごくの各かく業界ぎょうかいのエース級きゅう企業きぎょう、若もしくはその優良ゆうりょう資産しさんを分離ぶんり上場じょうじょうさせたものが多おおく、将来しょうらいの勝かち組ぐみとなりそうな企業きぎょうが多おおい点てんは、中長期ちゅうちょうき投資とうしを目的もくてきとする投資とうし家かを引ひき付つける。昨年さくねんは、保険ほけん、通信つうしん、空そら運うんといったセクターで、中国ちゅうごく企業きぎょうの新規しんき公開こうかいが行おこなわれたが、今年ことしは、銀行ぎんこう、石炭せきたん、自動車じどうしゃといったセクターで新規しんき上場じょうじょうが予定よていされている。幅広はばひろい産業さんぎょうへの投資とうし選択肢せんたくしが増ふえることも、中国ちゅうごく関連かんれん銘柄めいがらへの投資とうしを活性かっせい化かする一助いちじょになることが期待きたいされる。