今後こんごも注目ちゅうもくされる地方ちほう行財政ぎょうざいせい改革かいかく

ここ数すう年ねん、骨太ほねぶとの方針ほうしんの大おおきな注目ちゅうもく点てんの一ひとつは三位一体さんみいったい改革かいかくであったが、今年ことしに限かぎっては例年れいねんの盛もり上あがりを欠かいた。というのも、昨秋さくしゅうの「政府せいふ・与党よとう合意ごうい」によって平成へいせい18年度ねんどまでの改革かいかくの全体ぜんたい像ぞうが示しめされていたためである。但ただし、問題もんだいが全すべて解決かいけつされているわけではない。3兆ちょう円えんの税源ぜいげん移譲いじょうの方法ほうほうこそ明確めいかくになっているが、「政府せいふ・与党よとう合意ごうい」で先送さきおくりされた、義務ぎむ教育きょういく費ひ国庫こっこ負担ふたん金きん、生活せいかつ保護ほご費ひ負担ふたん金きん・児童じどう扶養ふよう手当てあて負担ふたん金きん、施設しせつ費ひの取とり扱あつかい等とう、実行じっこう段階だんかいでの課題かだいは残のこされている。また、地方ちほう交付こうふ税ぜい改革かいかくの行方ゆくえも不透明ふとうめいである。さらには、各種かくしゅ新聞しんぶん報道ほうどうでも伝つたえられているとおり、地方ちほう側がわは改革かいかく期間きかん内ないの三位一体さんみいったい改革かいかくが十分じゅうぶんとの認識にんしきは持もっておらず、第だい二に期きの改革かいかくが必要ひつようとする声こえは多おおい。これらを考かんがえれば、三位一体さんみいったい改革かいかくを中心ちゅうしんとする地方ちほう財政ざいせい改革かいかくは、改革かいかく期間きかん内ないの着実ちゃくじつな実施じっしはもとより、中期ちゅうき的てきにもみていくべき課題かだいといえる。

三位一体さんみいったい改革かいかく以外いがいでも、地方ちほう行財政ぎょうざいせい改革かいかくを巡めぐっては、中期ちゅうき地方ちほう財政ざいせいビジョンの策定さくてい、公務員こうむいんの総そう人件じんけん費ひ改革かいかく等々とうとう、注目ちゅうもくされる点てんは多おおい。中期ちゅうき地方ちほう財政ざいせいビジョン策定さくていは、地方ちほう財政ざいせいへの予見よけん可能かのう性せいを高たかめ、地方ちほうが「経営けいえい感覚かんかくを発揮はっきして行財政ぎょうざいせい運営うんえい」を行おこなうことに資しするものと期待きたいされる。また、公務員こうむいんの総そう人件じんけん費ひ改革かいかくは、純じゅん減げん目標もくひょうを掲かかげると同時どうじに、新しん地方ちほう行革ぎょうかく指針ししんにより、団体だんたい間あいだで比較ひかく可能かのうな財政ざいせい情報じょうほうや給与きゅうよ情報じょうほうを開示かいじすることで、改革かいかくを後押あとおしするというものになっている。さらに、その範囲はんいは、地方ちほう公営こうえい企業きぎょう、地方ちほう公社こうしゃ等とうにも及およぶことで公的こうてき部門ぶもん全体ぜんたいの見直みなおしが図はかられている。その最終さいしゅう的てきな目標もくひょうである「小ちいさな政府せいふ」が、果はたして地方ちほう分権ぶんけんに沿そうものかどうかはともかくとして、取とり組くみの方向ほうこう性せいは、従来じゅうらい、透明とうめい性せいに欠かけていた公的こうてき部門ぶもん全体ぜんたいの財政ざいせい状況じょうきょう等とうを明あかるみにするという意味いみでも注目ちゅうもくに値あたいし、徹底てっていした情報じょうほう開示かいじは財政ざいせい健全けんぜん化かにも資しするものとなるだろう

平成へいせい18年度ねんどには、地方ちほう債さい制度せいどが事前じぜん協議きょうぎ制せいに移行いこうし、地方ちほうの行財政ぎょうざいせいは、「市場いちば化か」「地方ちほう分権ぶんけん」「財政ざいせい健全けんぜん化か」が絡からむ中なかで、今いままで以上いじょうに、自主じしゅ的てきな財政ざいせい運営うんえいが求もとめられ、さまざまな立場たちばから注目ちゅうもくを集あつめることになろう。但ただし、いずれの立場たちばにせよ、日本にっぽんの地方ちほう行財政ぎょうざいせいが複雑ふくざつな国くにと地方ちほうの関係かんけいの中なかにあること、また基礎きそ的てきな対人たいじんサービスの提供ていきょうという役割やくわりを担になっていること等ひとし、制度せいどや実態じったいへの理解りかいは適切てきせつな評価ひょうかを行おこなう上うえでの前提ぜんていである。