地方ちほう債さい の“協議きょうぎ制せい移行いこう”にまつわる関係かんけい者しゃの悩なやみ

平成へいせい18年度ねんどから、地方ちほう債さいは許可きょか制せいから事前じぜん協議きょうぎ制せいへ移行いこうされる。従来じゅうらい、自治体じちたいが起債きさいを行おこなう際さいには総務そうむ大臣だいじん・知事ちじの許可きょかを必要ひつようとしていたが、事前じぜん協議きょうぎを行おこなうだけで基本きほん的てきには自由じゆうに起債きさいできるようになる。このため、過去かこ数すう年ねんにわたって関係かんけい者しゃからは高たかい関心かんしんを集あつめてきたが、移行いこう直前ちょくぜんの現在げんざい、自治体じちたい・市場いちばの双方そうほうからやや困惑こんわく気味ぎみの様子ようすがみてとれる。

この協議きょうぎ制せい移行いこうを謳うたったの地方ちほう分権ぶんけん一括いっかつ法ほう（平成へいせい11年ねん7月がつ8日にち可決かけつ）を改あらためてみると、地方ちほう財政ざいせい法ほうの改正かいせい箇所かしょの“地方ちほう債さいの協議きょうぎ等とう”（第だい5条じょうの3）に、自治じち大臣だいじん（現げん総務そうむ大臣だいじん）・知事ちじとの協議きょうぎで同意どういを得えた場合ばあい、公的こうてき資金しきんを充あてることや交付こうふ税ぜい措置そちを受うけることが可能かのうであるという主旨しゅしの内容ないようとなっており、続つづく“地方ちほう債さいについての関与かんよの特例とくれい”（第だい5条じょうの4）で財政ざいせい的てきな問題もんだいを抱かかえるとみなされる自治体じちたいへは国くにの関与かんよが続つづくことが示しめされている。したがって、この特例とくれいによらないところのみ同意どうい債さい、不ふ同意どうい債さいかの自由じゆうが与あたえられるしくみとなっている。

したがって、マクロの財源ざいげん確保かくほと財政ざいせい再建さいけん団体だんたい制度せいどを含ふくめ、従来じゅうらいどおり、大枠おおわくにおいて地方ちほう債さいの信用しんよう力りょくが保たもたれるかたちになっており、この点てんは投資とうし家か側がわも理解りかいしやすいところであろう。ただし、さらなる理解りかいを得えるためには詳細しょうさいに関かんしての情報じょうほうが必要ひつようとなる。(1)同意どういの基準きじゅん、(2)同意どうい債さいと不ふ同意どうい債さいの区別くべつ、(3)不ふ同意どうい資金しきんの充当じゅうとう先さき（同意どういの起債きさい充当じゅうとう率りつ超過ちょうか分ぶん？、枠わく外債がいさい？）、など一般いっぱんにはわかりにくいことも残のこされているのである。さらに、地方ちほう分権ぶんけんの脈絡みゃくらくで基本きほん的てきに起債きさいが自由じゆう化かされるなら国くには既存きそんのしくみをどこまで担保たんぽする気きがあるのかということにまで踏ふみ込こめば、政治せいじ的てき色彩しきさいが強つよいこともあり“大枠おおわくの理解りかい”を超こえる部分ぶぶんにまで到達とうたつしてしまう。

さらにわかりにくくしているのが9月11日にちに予定よていされている衆議院しゅうぎいん総そう選挙せんきょである。掛かけ声ごえばかりが大おおきかった“地方ちほう分権ぶんけん”に、より明確めいかくな方向ほうこう性せいが示しめされることとなったのは小泉こいずみ政権せいけん誕生たんじょう以降いこうであり、進捗しんちょくのスピードは別べつとしても同どう政権せいけんの強つよい意向いこうがあったからこそ、三位一体さんみいったいの改革かいかくというかたちで地方ちほうの自立じりつが現実味げんじつみをともなって議論ぎろんされてきたという側面そくめんは否定ひていできない。従来じゅうらいなら翌よく年度ねんどの地方ちほう債さい計画けいかく案あんが出だされようというこの時期じきにあって、新あらたな地方ちほう債さい制度せいどのイメージが描えがきにくいのは、選挙せんきょの影響えいきょうが小ちいさくないといえる。一刻いっこくも早はやい情報じょうほう提供ていきょうが新しん制度せいど移行いこうをスムーズに行おこなうための最善さいぜん策さくであると考かんがえられるが、選挙せんきょという特殊とくしゅ要因よういんが加くわわったことで、もうしばらくは自治体じちたいも投資とうし家かも悩なやましい日々ひびが続つづくものとみられる。