プログラマの消きえる日ひ

業務ぎょうむシステムにおけるウォーターフォール型がたの開発かいはつ工程こうていは、(1)要件ようけん定義ていぎ、(2)設計せっけい、(3)開発かいはつ･構築こうちく、(4)単体たんたいテスト･結合けつごうテスト、(5)総合そうごうテストに分類ぶんるいされ、上流じょうりゅう工程こうていである(1)(2)(5)はシステムエンジニア(SE)を中心ちゅうしんに対応たいおうし、プログラマは主おもに(3)(4)の下流かりゅう工程こうていを担当たんとうする。プログラマの活躍かつやくの場ばとなる下流かりゅう工程こうていについて、特定とくていのプログラミング言語げんごを習得しゅうとくした専せん門もんのスキルを持もつプログラマが大量たいりょうに必要ひつようとされるが、国内こくないで充分じゅうぶんな開発かいはつ要員よういんを揃そろえることが困難こんなんであった。このためシステム開発かいはつを担になうIT企業きぎょうは中国ちゅうごくなど海外かいがいへのオフショア開発かいはつを推進すいしんすることで、人員じんいん不足ふそくの解消かいしょうと同時どうじに開発かいはつコストの削減さくげんを推進すいしんしてきている。

その一方いっぽうで、このオフショア開発かいはつは開発かいはつ拠点きょてんをより人件じんけん費ひの安価あんかな国くに･地域ちいきに移うつしただけで、特定とくていのプログラミング言語げんごを使用しようした開発かいはつ手法しゅほうという点てんでは何なんら変かわらず、また言語げんごや習慣しゅうかんの違ちがいもあり、生産せいさん性せいや品質ひんしつの向上こうじょうが困難こんなんであるという問題もんだいに直面ちょくめんしている。プログラミング言語げんごを用もちいた開発かいはつでは、手作業てさぎょうでのコーディングが大量たいりょうに発生はっせいするため、記述きじゅつルールを定さだめても遵守じゅんしゅさせることが難むずかしく、その生産せいさん性せいや品質ひんしつは個々ここのプログラマの能力のうりょく･資質ししつによるところが大おおきいのである。

このような開発かいはつ環境かんきょうでは、専門せんもん的てきな知識ちしき･技術ぎじゅつを持もったプログラマによる開発かいはつ体制たいせいを継続けいぞく的てきに維持いじする必要ひつようがあるが、多おおくの企業きぎょうがオフショア開発かいはつに乗のり出だしている中なか、高度こうどなスキルを持もった開発かいはつ要員よういんの確保かくほが難むずかしくなっている。さらにプログラムをメンテナンスする際さいには、ドキュメントとプログラムが一致いっちしている保証ほしょうが無ないため、再度さいどプログラムを解析かいせきしたり、処理しょり条件じょうけんを調しらべなおしたりする作業さぎょう負荷ふかが大おおきい。

オフショア開発かいはつにより人員じんいん不足ふそくの解消かいしょうとコスト削減さくげんという目標もくひょうを達成たっせいしたかに見みえるIT企業きぎょうであるが、生産せいさん性せいや品質ひんしつ面めんでの向上こうじょうという課題かだいは依然いぜんとして残のこされている。これらの課題かだいを克服こくふくするために、最近さいきんの開発かいはつ現場げんばでは、例たとえばETLなどのGUI(Graphical User Interface)ツールを利用りようしたコーディングレスの開発かいはつ手法しゅほうを取とり入いれる動うごきがある。

ETLとはシステムに蓄積ちくせきされたデータを抽出ちゅうしゅつ(Extract)、編集へんしゅう･加工かこう(Transform)し、データベースなどに書かき込こむ(Load)という一連いちれんの処理しょりを支援しえんするツールである。従来じゅうらいはプログラミングで実現じつげんしてきたデータの抽出ちゅうしゅつ、変換へんかん、計算けいさんといった処理しょりが部品ぶひん化かされており、GUIを用もちいてこれを配列はいれつし組くみ立たてる開発かいはつ手法しゅほうをとることで、コーディングレスの開発かいはつが可能かのうになる。たとえるなら、VISIOなどの描画びょうがソフトで図面ずめんをひくような感覚かんかくでドラッグ＆ドロップで処理しょり順序じゅんじょをデザインし、各種かくしゅパラメータ(処理しょり条件じょうけん)を設定せっていするだけで、迅速じんそくにプログラム開発かいはつができるのである。

実際じっさいに私わたし自身じしんが担当たんとうしたプロジェクトにおいても、Linux OS上じょうの分散ぶんさん環境かんきょうでETLによるシステム開発かいはつを実行じっこうしており、以下いかの評価ひょうか結果けっかでも述のべているとおり、その利用りよう価値かちは高たかいと考かんがえている。
 

現在げんざいはETLだけでなく、帳票ちょうひょう作成さくせいを支援しえんするツールやOLAPツールなどコーディングレスを支援しえんする開発かいはつツールは多岐たきにわたる。これらツールを利用りようすることで、専せん門もんのスキルを持もたない一般いっぱんの職員しょくいんが直接ちょくせつプログラム開発かいはつを担になうことも可能かのうになりつつある。最近さいきんでは専門せんもん職しょくとしてのプログラマの地位ちいは相対そうたい的てきに低ひくくなってきており、結果けっか、中国ちゅうごくなどオフショアのプログラマによる開発かいはつ作業さぎょうはその優位ゆうい性せいが崩くずれてきている。

今後こんごは中国ちゅうごくをはじめとする海外かいがい拠点きょてんでのオフショア開発かいはつから、国内こくないを拠点きょてんとする開発かいはつ体制たいせいに回帰かいきする動うごきが加速かそくすることが十分じゅうぶんに考かんがえられるが、その際さいに活用かつようされる人材じんざいとして、価格かかく競争きょうそう力りょくのある一般いっぱんの派遣はけん社員しゃいんに注目ちゅうもくが集あつまることは間違まちがいない。つまり、システム開発かいはつという作業さぎょうはより一般いっぱん化かしていき、プログラマという職種しょくしゅがなくなるという時代じだいが近ちかづきつつあるといえよう。