空調くうちょう特集とくしゅう

2020年ねんの東京とうきょうオリンピック・パラリンピックに向むけた建設けんせつ需要じゅようや、増税ぞうぜい前まえの駆かけ込こみ需要じゅようの増加ぞうかにより、2016年度ねんどの国内こくない空調くうちょう市場いちばは活性かっせい化かする見通みとおしだ。これに向むけ空調くうちょう機器ききの展示てんじ会かい「HVAC＆R JAPAN2016 冷凍れいとう・空調くうちょう・暖房だんぼう展てん」では、国内こくないメーカー各社かくしゃが注力ちゅうりょく製品せいひんを一堂いちどうに披露ひろうした。

パナソニックは同社どうしゃの空調くうちょう事業じぎょうの売上うりあげ高だかを、2018年度ねんどまでに2015年度ねんど比ひ約やく1.5倍ばいとなる7000億おく円えん規模きぼに拡大かくだいする計画けいかくだ。特とくに“課題かだい”の大型おおがた空調くうちょう事業じぎょうに注力ちゅうりょくし、同どう事業じぎょうの売上うりあげ高だかを2倍ばいの2000億おく円えん規模きぼに引ひき上あげる。同時どうじにグローバル販売はんばい網もうを強化きょうかし、海外かいがい売上うりあげの増強ぞうきょうを図はかっていく方針ほうしんだ。

パナソニックがクローバル市場いちばで拡大かくだいが見込みこまれている空調くうちょう機器きき分野ぶんやへの取とり組くみを強つよめている。同社どうしゃの2014年度ねんどのエアコン事業じぎょうの売上うりあげ高だかは4606億おく円えん（製販せいはん連結れんけつ）。これを2015年度ねんどには5133億おく円えんまで引ひき上あげる計画けいかくだ。

世界せかいの空調くうちょう機器きき市場いちばで日本にっぽんメーカーが活発かっぱつな動うごきを見みせている。日本にっぽんメーカーによる欧米おうべいメーカーの買収ばいしゅうや提携ていけい、合弁ごうべん会社かいしゃの設立せつりつなどによる主導しゅどう権けん争あらそいが繰くり広ひろげられているのだ。

フロン改修かいしゅう・破壊はかい法ほうが改正かいせいされ、｢フロン類るいの使用しようの合理ごうり化かおよび管理かんりの適正てきせい化かに関かんする法律ほうりつ｣が2015年ねん4月がつ1日にちからスタートした。今回こんかいの改正かいせいにより、地球ちきゅう温暖おんだん化かとオゾン層そう破壊はかいの原因げんいんとなるフロン類るいの排出はいしゅつ抑制よくせいのため、業務ぎょうむ用ようのエアコン・冷凍れいとう冷蔵れいぞう機器ききの管理かんり者しゃには機器ききおよびフロン類るいの適切てきせつな管理かんりが義務付ぎむづけられた。また一定いっていの量りょうフロンが漏ろうえいした場合ばあいにも報告ほうこくが義務付ぎむづけられている。

企業きぎょうや家庭かていのエネルギー源げんとして電力でんりょくに押おされ気味ぎみだったガスが存在そんざい感かんを高たかめている。万一まんいちの災害さいがい時じに電力でんりょくが途絶とだえる心配しんぱいもあり、代替だいたいエネルギーとしてガスを使つかえる発電はつでん設備せつびや冷暖房れいだんぼう設備せつびが全国ぜんこくで広ひろがってきた。ガス料金りょうきんは長期ちょうき的てきに低下ていかする見通みとおしで、電力でんりょく会社かいしゃとの競争きょうそうが激はげしくなる。

仙台せんだい市しで下水道げすいどう管かんから取とり出だした熱ねつエネルギーを使つかった給湯きゅうとうシステムの実証じっしょう研究けんきゅうが始はじまった。実際じっさいに埋設まいせつされている下水道げすいどう管かんの熱ねつを利用りようした取とり組くみは日本にっぽんで初はじめて。老朽ろうきゅう化かが進すすんだ下水道げすいどう管かんの補強ほきょうを兼かねて熱ねつ回収かいしゅう機能きのうを付加ふかする。給湯きゅうとうシステムは市内しないのスーパーマーケットに設置せっちして利用りようする。

高性能こうせいのうな空調くうちょう設備せつびを導入どうにゅうしたり、照明しょうめいをLEDに置おき換かえたりすることで省しょうエネを進すすめ、電気でんき料金りょうきんを抑おさえる動うごきが盛さかんだ。しかし、建物たてものの設備せつびそのものも省しょうエネに効きく。熱ねつの出入でいりを抑おさえ、空調くうちょうに必要ひつような電力でんりょくを減へらす効果こうかがあるからだ。その一いち例れいが「窓まどガラス」。ガラス1枚まいからなるアルミサッシと比較ひかくして、最高さいこう性能せいのうの窓まどはどの程度ていど、熱ねつの出入でいりが少すくなくなるのだろうか。

外気がいきを使つかってデータセンターを冷却れいきゃくする外気がいき冷却れいきゃく。空調くうちょう用よう電力でんりょくを大幅おおはばに削減さくげんできるため、採用さいようが続つづいている。しかし、地方ちほう型がたデータセンターとは異ことなり、都市とし型がたデータセンターに採用さいようすると、夏季かきには十分じゅうぶんな能力のうりょくが発揮はっきできない場合ばあいがある。NTTグループ2社しゃは霧きり（ミスト）の気化きか熱ねつを援用えんようするシステムを開発かいはつした。

環境かんきょう配慮はいりょ店てんを毎年まいとし新設しんせつし、実際じっさいの省しょうエネ効果こうかが高たかかった設備せつびを既存きそん店舗てんぽに展開てんかいする。ローソンの手法しゅほうだ。秋田あきた県けんに新設しんせつする店舗てんぽでは氷雪ひょうせつ熱ねつと太陽熱たいようねつの利用りようを開始かいし、効果こうかを確認かくにんする。

三菱商事みつびししょうじは2013年ねん10月がつ、東京とうきょう都と三鷹みたか市しでデータセンターの運用うんようを開始かいししたと発表はっぴょうした。都心としん近郊きんこうにありながら、完全かんぜん外気がいき冷房れいぼうシステムを導入どうにゅうしたことが特徴とくちょうだ。従来じゅうらいのデータセンターと比較ひかくして消費しょうひ電力でんりょくを約やく3割わり削減さくげんできるという。

電力でんりょく会社かいしゃから購入こうにゅうする量りょうを減へらせば電気でんき料金りょうきんは確実かくじつに安やすくなる。そこで注目ちゅうもくを集あつめているのが電気でんきの代かわりにガスを使つかうことだ。ガス料金りょうきんはかかるが、電気でんきよりも安やすく済すむ場合ばあいが多おおい。火力かりょく発電はつでん所しょで電力でんりょくを作つくるよりもエネルギーの変換へんかん効率こうりつが高たかく、そのぶんコストが低ひくくなるためである。

　空調くうちょう設備せつびは電力でんりょくだけで動うごく――このような思おもい込こみは正ただしくない。ガスを使つかった空調くうちょう機器ききが広ひろく使つかわれているからだ。ガス空調くうちょうにも複数ふくすうの種類しゅるいがある。なかでも重要じゅうようなのがガスエンジンヒートポンプ式しき（GHP）だ。

省しょうエネ性せいや環境かんきょう性能せいのうをうたうGHP。ガスエンジンヒートポンプを利用りようしたオフィスや商店しょうてんなどに向むく空調くうちょうシステムだ。電気でんき式しき空調くうちょうと比較ひかくして、起動きどう時間じかんが短みじかく、静しずかでエネルギー利用りよう効率こうりつが高たかいというメリットがある。