ロッテ・メルセデスの日ひだった。そう思おもえるほど、すばらしいピッチング、完璧かんぺきだった。右みぎ打者だしゃのインサイドにカット気味ぎみに入はいってくるボールが効きいた。初回しょかい、今宮いまみやの空振からぶり三振さんしんを見みて、調子ちょうしがいいと感かんじたが、8回かいまで安定あんていしていた。

甘あまいボールはなかった。腕うでの振ふりも良よく、あれだけ真まっすぐと同おなじ強つよさで振ふってこられると、バッターも苦くるしい。打者だしゃにとっていい風ふうが吹ふいており柳田やなぎだ、山川やまかわは振ふり過すぎるくらいだった。それでは、小ちいさなボールの動うごきを操あやつるメルセデスの術中じゅっちゅうにはまってしまう。

守備しゅびでは4回かい無死むし一塁いちるいで柳田やなぎだの右中間うちゅうかんへの大だい飛球ひきゅうを高部たかべがフェンスにぶつかりながら好捕こうほするビッグプレーがあった。あれでメルセデスはかなり助たすけられた。マウンド上じょうで高部たかべにお礼れいのポーズをしていた。投球とうきゅう内容ないようの良よさ、守備しゅびの援護えんごという理想りそう的てきな展開てんかいだった。

開幕かいまくして強つよさを発揮はっきしているソフトバンクだが、2回かいの守備しゅび隊形たいけいに違和感いわかんを覚おぼえた。1死し三塁さんるいで、佐藤さとうの打席だせきで前進ぜんしん守備しゅびを敷しかなかった。佐藤さとうの二にゴロでソトが先制せんせいのホームを踏ふんだ。

おそらく、ベンチとしては、ズルズルと大量たいりょう失点しってんしないように考かんがえた上うえでの判断はんだんと思おもうが、あっさりと先制せんせいを許ゆるしたのはやや意外いがいだった。それでもソフトバンクの強力きょうりょく打線だせんを軸じくとした強つよさは出色しゅっしょくで、ここから交流こうりゅう戦せんに入はいるがソフトバンクが優勝ゆうしょうの最右翼さいうよくであることに変かわりはない。

ロッテ打線だせんでは安田やすだのバッティングに注目ちゅうもくした。大津おおつに対たいし、いつものように強つよいスイングをしていたが、ボールを小ちいさく動うごかすピッチャーには、もう少すこし工夫くふうが必要ひつようだと感かんじた。

スイングの幅はばをもう少すこし狭せまくした方ほうがいい。体からだ全体ぜんたいで振ふっている印象いんしょうだ。トップからフィニッシュ、そしてフォロースルーまで大おおきく振ふるのではなく、トップからインパクトまで、バットをパチンッと当あてるくらいの意識いしきで打うった方ほうが、大津おおつに対たいしては有効ゆうこうだろう。

その日ひの投手とうしゅのタイプや好こう不調ふちょう、自分じぶんのバッティングの調子ちょうしを加味かみして、常つねに同おなじ強つよさで振ふるのではなく、スイングの軌道きどうで自分じぶんなりに調整ちょうせいできるように。そこは意識いしきの問題もんだいだろう。そうすることで、恐怖きょうふの7番ばんとして、相手あいてに脅威きょういをもたれる存在そんざいになれる。

チームが好調こうちょうな時ときに、そうしたヒントをつかみ、上位じょうい打線だせんが苦くるしむ時ときにこそ、チームを救すくうバッティングを披露ひろうしてほしい。（日刊にっかんスポーツ評論ひょうろん家か）