スイーツ（笑）

菓子かしやデザートは、女性じょせい向むけメディアではしばしば「スイーツ」とい換いかえられる

スイーツ（笑）（スイーツかっこわらい）とは、菓子かしやデザートなどの甘味あまみを「スイーツ」と呼称こしょうする日本人にっぽんじんを揶揄やゆするために用もちいられる日本語にほんごのインターネットスラングである。主おもに女性じょせいへの揶揄やゆとして用もちいられ、関連かんれん用語ようごにスイーツ男子だんしがある。スィーツ（笑）、あるいは単たんにスイーツと称しょうする場合ばあいもある。また、そのような人物じんぶつの思考しこう形態けいたいを指さしてスイーツ脳のうと称しょうすることもある。

概要がいよう

このスラングが生うまれた当時とうじ、日本にっぽんのマスメディアの発はっする女性じょせい向むけグルメ特集とくしゅうでは、洋菓子ようがし・和菓子わがし・果物くだものなどの甘味あまみ全般ぜんぱんを英語えいごの「スイーツ」という単語たんごにい換いかえることが盛さかんに行おこなわれており、和菓子わがしを「和わスイーツ」とい換いかえる造語ぞうごなども登場とうじょうした。このような商品しょうひんに新あらたなイメージを付与ふよするためのい換いかえやキャッチコピーによって消費しょうひを煽あおることは、商売しょうばい上じょうの理由りゆうからしばしば行おこなわれるものだが、こうした雑誌ざっしやテレビ番組ばんぐみによって仕掛しかけられた言葉ことばに踊おどらされ、そのような流行りゅうこうを追おうことをお洒落しゃれなものとして享受きょうじゅしているような日本人にっぽんじん女性じょせいたちが、決きまって「デザート」を「スイーツ」とい換いかえて呼よんでいるような現象げんしょうを男性だんせい側がわがからかい、皮肉ひにくの意味いみで「（笑）」をつけて呼よんだことが、このスラングの由来ゆらいであると言いわれている。

あくまで俗語ぞくごの類るいであり厳密げんみつな定義ていぎはなく、このスラングを用もちいる者ものや受うけ取とる者ものの解釈かいしゃくや文脈ぶんみゃく、その時ときの気分きぶんによって意味いみや微妙びみょうなニュアンスが異ことなる場合ばあいもある。報道ほうどう媒体ばいたいなどで紹介しょうかいされる場合ばあいには、「ケーキやお菓子かしをあえてオシャレな感かんじを装よそおって『スイーツ』と呼よぶ女性じょせいたち」といった意味いみで用もちいられ、軽かるいからかいや冷笑れいしょう、冷ひやかし、蔑さげすみ、あるいは馬鹿ばかにするような意味いみを込こめたスラングであるとされる。

このスラングはネット流行りゅうこう語ご大賞たいしょう2007において銀賞ぎんしょうに選えらばれ、その後ご2009年ねんに発表はっぴょうされたアイシェアの調査ちょうさでも高たかい認知にんち度どを証明しょうめいするなど、ネットでは広ひろく浸透しんとうした表現ひょうげんとなった（詳細しょうさいは#反響はんきょうを参照さんしょう）。このような反響はんきょうの大おおきさの分析ぶんせきとして、日本経済新聞にほんけいざいしんぶんのコラムニストの周しゅうは、かつてアニメやゲームに熱中ねっちゅうする男性だんせいがマスメディアから「オタク」のレッテルを貼はられて冷遇れいぐうされてきた経緯けいいと、若わかい女性じょせいたちが「メディアのお得意とくい様さま」という特権とっけん的てきな地位ちいにあることを比較ひかくした上うえで、このスラングを「そんな状況じょうきょうにいらだつ男性だんせいが放はなった辛しんらつなカウンターパンチ」であるという解釈かいしゃくを掲載けいさいしている。

なお、スイーツという用語ようご自体じたいは当時とうじから男女だんじょを問とわず一般いっぱんに使用しようされていた。実際じっさい、2005年ねんの時点じてんで「コンビニスイーツの売上うりあげの7割わりは男性だんせい」「有名ゆうめいスイーツを集あつめたネット販売はんばいサイトの利用りよう者しゃの4割わりは男性だんせい」となっており、スイーツ男子だんし、スイーツ男おとこなどと呼よばれていた。

この表現ひょうげんが流行りゅうこうした当時とうじには「スイーツ」に限かぎらず、「自分じぶんへのご褒美ほうび」や「ホットヨガ」といった、同様どうように女性じょせいが使つかいそうな単語たんごやキャッチコピーに対たいして逐次ちくじ的てきに「（笑）」をつけて揶揄やゆの対象たいしょうとするような用例ようれいも流行りゅうこうした。一方いっぽう、こうした風潮ふうちょうに対たいして、サンケイ・エクスプレス誌しは2007年ねん12月10日にち付づけの紙面しめんで、「スイーツ（笑）」というスラングに込こめられた揶揄やゆに対たいして一定いっていの理解りかいを示しめしつつも、「言葉ことばを狩かって均質きんしつ化かしてしまっては、多様たようでユニークな文化ぶんかは生うまれてこない」という批判ひはんも加くわえている。

用例ようれい

広義こうぎの用法ようほうや意図いと

2ちゃんねるなどのインターネット掲示板けいじばんやはてななどのコミュニティの中なかで使つかわれているスラングであり、「（笑）」のように目めで読よむ表現ひょうげんを用もちいたインターネットスラング特有とくゆうの表現ひょうげんが使用しようされている。稀まれに女性じょせい自身じしんが自虐じぎゃくとして使つかう例れいもあるものの、このスラングを利用りようして批判ひはんされる対象たいしょうが主おもに女性じょせいであることから、使用しよう者しゃは主おもに男性だんせいであると理解りかいされており、またパソコン端末たんまつ向むけウェブサイトの利用りよう者しゃが携帯けいたい端末たんまつ向むけウェブサイトの利用りよう者しゃ層そうを見下みくだして使つかうスラングとして解釈かいしゃくされることもある。

このスラングは、マスメディアやマーケティング戦略せんりゃくに対たいする受動じゅどう性せいと高たかい自己じこ肯定こうてい感かんに対たいする、女性じょせいへの皮肉ひにくとして使つかわれる。具体ぐたい的てきには、うわべの言葉ことばを飾かざり立たてて何なにでもおしゃれに表現ひょうげんしようとする発想はっそうに対たいして向むけられるとされる。

更さらには、単たんにおしゃれすることそのものを指さすスラングとして解釈かいしゃくされる例れいもある。対象たいしょうを女性じょせいに限かぎらず、そのような価値かち観かんに同調どうちょうする男性だんせいを指さす場合ばあいもある。罵倒ばとうや嘲あざけりに近ちかい意味いみで使つかわれることもあれば、ごく軽かるい冷ひやかしの範疇はんちゅうで使つかわれることもある。

なお『（笑）』という表現ひょうげんは、一般いっぱん的てきには「面白おもしろおかしく笑わらい転ころげるさま」と解釈かいしゃくされるが、この表現ひょうげんにおいては前述ぜんじゅつのように皮肉ひにくの意味いみで使つかわれている。2ちゃんねるやオンラインゲームで使つかわれるインターネットスラングでは、単たんなる笑わらいは『w』『wwwwww』と表現ひょうげんされることが多おおい。詳細しょうさいは「（笑）」を参照さんしょう。

「スイーツ（笑）的てき」であるとされるもの

携帯けいたい端末たんまつ向むけウェブサイト利用りよう者しゃ層そうはパソコン端末たんまつ向むけウェブサイトの利用りよう者しゃ層そうと大おおきく異ことなっており、その多おおくは若わかい女性じょせいであるが、パソコン利用りよう者しゃはこういった携帯けいたい端末たんまつ向むけウェブサイトの利用りよう者しゃ層そうを見下みくだし、自分じぶんたちとは異質いしつな女性じょせい向むけインターネットコミュニティで流行りゅうこうしている事柄ことがらに対たいして「スイーツ（笑）」であるというレッテルを貼はることがある。例たとえば2007年ねんに発表はっぴょうされたケータイ小説しょうせつ『恋こい空むなし』は、携帯けいたい端末たんまつ向むけウェブサイトの利用りよう者しゃから大おおきな反響はんきょうを受うけベストセラーになった作品さくひんだが、この作品さくひんも「スイーツ（笑）」との揶揄やゆの対象たいしょうとなった。「スイーツ（笑）」というスラングの流行りゅうこうは、このような作品さくひんを絶賛ぜっさんしている携帯けいたい端末たんまつ向むけウェブサイト利用りよう者しゃ層そうに対たいする、パソコン利用りよう者しゃの優越ゆうえつ意識いしきが引ひき金がねになったとも言いわれ、実際じっさい日本にっぽんのインターネットでこのようなスラングが流行りゅうこうし始はじめた時期じきと、『恋こい空そら』がブレイクした時期じきは重かさなっている。また、このようなケータイ小説しょうせつで多用たようされる文章ぶんしょう表現ひょうげんや、携帯けいたい電話でんわ発はつ着信ちゃくしんの電子でんしメールにおける小文字こもんじ、ギャル文字もじ、絵文字えもじといった独自どくじの日本語にほんご表現ひょうげんを用もちいた「デコメール」、かわいらしく飾かざりつけたデコレーション携帯けいたい電話でんわ（デコ電でん）やなどについても、「スイーツ（笑）」的てきであると見みなされる場合ばあいがある。

他たに、ミクシィのようなSNS（ソーシャル・ネットワーキング・サービス）において「読よみ逃にげ」「踏ふみ逃にげ」などと呼よばれる、友人ゆうじんのページを見みた後のちにコメントを残のこさず去さることを嫌きらうような価値かち観かんも、「スイーツ（笑）」的てきなコミュニティに属ぞくするものであると受うけ取とられている。しかし実際じっさいに調査ちょうさを行おこなったところ、そのような価値かち観かんは若わかい女性じょせいよりも社会しゃかい人じんの既婚きこん男性だんせいや専業せんぎょう主婦しゅふに多おおい価値かち観かんであるという統計とうけいもあり、ITメディア・ニュースではこの統計とうけいを取とり上あげ、ネットに流布るふする「スイーツ（笑）」的てきなイメージとは乖離かいりがあることを指摘してきしている。

「スイーツ（笑）」な女性じょせいは、菓子かしやデザートをスイーツとい換いかえるような女性じょせい向むけ雑誌ざっしを読よみ、そのような雑誌ざっしに書かかれているキャッチコピーに沿そった価値かち観かんを実践じっせんしているとされる。そのような女性じょせいが雑誌ざっしに影響えいきょうされ、おしゃれな言葉ことばとして用もちいるフレーズは、「スイーツ（笑）」のようなスラングを用もちいる男性だんせいにとっては失笑しっしょうの対象たいしょうとなり、「スイーツ」に限かぎらず「（笑）」をつけて面白おもしろおかしく冷ひやかす対象たいしょうとされた。しかし「スイーツ（笑）」的てきであるとされる価値かち観かんを広ひろめているとされる「女性じょせい誌し」については、具体ぐたい的てきなファッション雑誌ざっしや情報じょうほう誌しの誌し名めいが挙あげられることもあるが、具体ぐたい的てきにどの雑誌ざっしがどの程度ていど「スイーツ（笑）」と見みられているかについては諸説しょせつがある。このスラングは男性だんせいが女性じょせいに対たいして漠然ばくぜんとして抱いだく女性じょせい不信ふしんや、女性じょせい誌しへの警戒けいかい感かんをい表いあらわす表現ひょうげんであって、具体ぐたい的てきな実態じったいについてはあまり問題もんだい視しされていないのだと理解りかいされる場合ばあいもある。

反響はんきょう

2007年ねん12月14日にちには、2ちゃんねる検索けんさくサイト「未来みらい検索けんさくブラジル」が主催しゅさいするネット流行りゅうこう語ご大賞たいしょう2007において、「スイーツ（笑）」が銀賞ぎんしょうに選えらばれており、この時期じきには産経新聞さんけいしんぶん関連かんれん紙しや日本経済新聞にほんけいざいしんぶんといった新聞しんぶんでも紹介しょうかいされた。2008年ねん9月がつグーが集計しゅうけい、発表はっぴょうした印象いんしょうに残のこるネットの「ガイドライン」ランキングでも「スイーツ（笑）」は7位いに選えらばれ、2009年ねん3月がつにアイシェアがインターネットの利用りよう者しゃを対象たいしょうに行いったアンケート調査ちょうさでは全体ぜんたいで45.6％（男性だんせい42.6％、女性じょせい49.4％）がこの単語たんごを知しっていると回答かいとうした。

一方いっぽうで、2009年ねん9月がつにNTTレゾナントが発表はっぴょうした、グー・リサーチの登録とうろく者しゃを対象たいしょうとして集計しゅうけいした「よく見みかけるけど意味いみがわからないインターネット用語ようごランキング」では、第だい7位いに「スイーツ（笑）」が選えらばれている。

関連かんれん項目こうもく

• スイーツ男子だんし
• （笑）
• メディア・リテラシー
• ミーハー
• スノッブ
• インターネットスラング
• オサレ
• チー牛うし