マーフィーの法則ほうそく

食しょくパンを落おとすと必かならずバターが付ついているほうが下したになってしまう

マーフィーの法則ほうそく（マーフィーのほうそく、英えい: Murphy's law）とは、「失敗しっぱいする余地よちがあるなら、失敗しっぱいする」「落おとしたトーストがバターを塗ぬった面めんを下したにして着地ちゃくちする確かく率りつは、絨毯じゅうたんの値段ねだんに比例ひれいする」をはじめとする、事実じじつか事実じじつでないかは別べつにして、先人せんじんたちの経験けいけんから生しょうじた数々かずかずのユーモラスでしかも哀愁あいしゅうに富とむ経験けいけん則そくをまとめたユーモア及およびジョーク集しゅうである。

多おおくはユーモアの類るいで笑わらえるものであるが、精神せいしん科か医いや学者がくしゃの中なかには、「認知にんちバイアスのサンプルとして捉とらえることが可能かのうなものも少数しょうすうある」との見方みかたもある。

概要がいよう

A_History_of_Murphy's_Law の表紙ひょうし

マーフィーの法則ほうそくとは、"If anything can go wrong, it will."（「失敗しっぱいする可能かのう性せいのあるものは、失敗しっぱいする。」）に代表だいひょうされる、「経験けいけん則そく」や、「法則ほうそく」の形式けいしきで表明ひょうめいしたユーモア及およびジョーク集しゅうである。

立教大学りっきょうだいがく教授きょうじゅで社会しゃかい学者がくしゃの小池こいけ靖やすしは、ニューソート思想しそうのジョセフ・マーフィーの著作ちょさくのパロディであると述のべている。

日本にっぽんでも1970年代ねんだい前半ぜんはんに小規模しょうきぼな流行りゅうこうがあり、1980年ねん頃ごろにはコンピュータ関係かんけい者しゃを中心ちゅうしんに知しられるようになり、1990年代ねんだい前半ぜんはんに広ひろく流行りゅうこうした。アメリカ空軍くうぐんから広ひろまったものとされるが、後述こうじゅつのように原形げんけいはよく知しられている形かたちとは少々しょうしょう異ことなっている。

一いち面めんでは「高価こうかな物ものほどよく壊こわれる」に代表だいひょうされるような自虐じぎゃく的てき悲観ひかん論ろんを具現ぐげん化かしたものと捉とらえることができるが、その一方いっぽうで「常つねに最悪さいあくの状況じょうきょうを想定そうていすべし」という観念かんねんは今日きょう、システム開発かいはつ・労働ろうどう災害さいがい予防よぼう・危機きき管理かんり・フェイルセーフなどの分野ぶんやで現実げんじつ問題もんだいとして重要じゅうよう視しされる考かんがえとなっている（→「ハインリッヒの法則ほうそく」を参照さんしょう）。

元もと東邦大学とうほうだいがく医学部いがくぶ附属ふぞく大橋おおはし病院びょういん精神せいしん神経しんけい科か助教授じょきょうじゅで精神せいしん科か医いの高橋たかはし紳しん吾われは、「このジョーク集しゅうには、経験けいけん法則ほうそくや帰納きのうが陥おちいりやすい実例じつれいがある」という。 「洗車せんしゃしはじめると雨あめが降ふる」という言葉ことばに共感きょうかんする人ひとは、洗車せんしゃしはじめてすぐに雨あめが降ふったという出来事できごとの印象いんしょうを引ひきずっているのが原因げんいんだ（実際じっさいは洗車せんしゃしても雨あめが降ふらない場合ばあいの方ほうが多おおいのだが、そうしたありきたりな結果けっかは記憶きおくに残のこらないがゆえに考慮こうりょされることもない）、として、もしマーフィーの法則ほうそくが正ただしければ、「雨あめを降ふらせたいので洗車せんしゃしよう」という言葉ことばが引ひき出だせることになる、と高橋たかはしは主張しゅちょうしたという。

マーフィーの法則ほうそくをまとめた書籍しょせきとして、『マーフィーの法則ほうそく』（1993年刊ねんかん）と『21世紀せいき版ばん　マーフィーの法則ほうそく』（2007年ねん7月刊げっかん）がある。後者こうしゃは前者ぜんしゃから優すぐれた法則ほうそくのみを残のこし、新しん法則ほうそくを膨大ぼうだいに追加ついかした原文げんぶん（英語えいご）併記へいきの最新さいしん版ばんである。

「マーフィーの法則ほうそく」の様々さまざまな表現ひょうげん

英語えいご版ばんによると 、

"If it can happen, it will happen."

「起おこる可能かのう性せいのあることは、いつか実際じっさいに起おこる。」

が基本きほん精神せいしんであって、その基本きほん的てき表現ひょうげんは

"Anything that can go wrong will go wrong."

"Everything that can possibly go wrong will go wrong."

「うまく行いかなくなり得えるものは何なんでも、うまく行いかなくなる。」

「何事なにごとであれ失敗しっぱいする可能かのう性せいのあるものは、いずれ失敗しっぱいする。」

である。歴史れきし的てきには後述こうじゅつのように、

"If that guy has any way of making a mistake, he will."

「何なにか失敗しっぱいに至いたる方法ほうほうがあれば、あいつはそれをやっちまう。」

があり、更さらにパワーアップした

"If there's more than one way to do a job, and one of those ways will result in disaster, then somebody will do it that way."

「作業さぎょうの手順てじゅんが複数個ふくすうこあって、その内うち破局はきょくに至いたるものがあるなら、誰だれかがそれを実行じっこうする。」

に変化へんかした。日常にちじょう生活せいかつでも

"It will start raining as soon as I start washing my car, except when I wash the car for the purpose of causing rain."

「洗車せんしゃしはじめると雨あめが降ふる。雨あめが降ふって欲ほしくて洗車せんしゃする場合ばあいを除のぞいて。」

が知しられている。

O'Tooleによる次つぎのようなメタ法則ほうそくもある。"Murphy was an optimist!"「マーフィーは楽天らくてん家かだった!」

名称めいしょうの由来ゆらい

「マーフィーの法則ほうそく」の「マーフィー」はエドワード・A・マーフィー・ジュニアに由来ゆらいする。彼かれはアメリカ空軍くうぐんによる急きゅう減速げんそくに関かんする研究けんきゅうプロジェクト「MX-981」に関かかわった。

MX-981プロジェクトはこの法則ほうそくの名前なまえの原点げんてんとしての伝説でんせつの他ほか、プロジェクトリーダーのジョン・スタップ自みずからの志願しがんにより人体じんたいを使つかった実験じっけんが行おこなわれたことでも知しられるように、トラブルが大おおきな危険きけんにつながる研究けんきゅうであった。

アーサー・ブロックに、ジョージ・E・ニコルズから寄よせられた手紙てがみの内容ないように基もとづく、以下いかのようなエピソードが伝つたえられている。

1949年ねん、エンジニアのマーフィーは、空軍くうぐん研究所けんきゅうじょからエドワーズ空軍くうぐん基地きちに来きて、strap transducer（加速度かそくど計けい）に発生はっせいした異常いじょうを調しらべ、ひずみゲージのブリッジにあった（誰だれかの）配線はいせん間違まちがいが原因げんいんであるとつきとめた。その際さいに、"If there is any way to do it wrong, he will"（「いくつかの方法ほうほうがあって、1つが悲惨ひさんな結果けっかに終おわる方法ほうほうであるとき、人ひとはそれを選えらぶ」（アスキー出版しゅっぱん『マーフィーの法則ほうそく』（1993）、p. 270 の訳文やくぶん）、"he"は「間違まちがえた誰だれか」を指さしている）と言いった、という。

数すう週間しゅうかん後ごに、プロジェクトリーダーのジョン・スタップ少佐しょうさ（当時とうじ）が、プロジェクト外がいの人物じんぶつも含ふくまれる場じょうでこれについて紹介しょうかいしたのが、プロジェクト外がいにも広ひろがったきっかけとされる。その結果けっか、この「法則ほうそく」は軍部ぐんぶ内ないに広ひろまり、各種かくしゅ技術ぎじゅつ雑誌ざっしから一般いっぱん雑誌ざっし・新聞しんぶんの話題わだいへと広ひろがって行いった。そして1977年ねんには『Murphy's Law and Other Reasons Why Things Go WRONG』が出版しゅっぱんされ、これは全米ぜんべいのベストセラーにまでなり、いまなおウェブサイトや単行本たんこうぼん、シンクタンクなどで話題わだいを賑にぎわしている、というものである。

日本にっぽんにおける「マーフィーの法則ほうそく」の流行りゅうこう

日本にっぽんでは1970年代ねんだい前半ぜんはんの石油せきゆショックの頃ころに（後ごの1990年代ねんだいの流行りゅうこうと比較ひかくして）小規模しょうきぼな流行りゅうこうがあった。当時とうじはイギリス式しきに「Sod's law」（ショウガナイの法則ほうそく）とも呼よばれた。また、1981年ねんの時点じてんで『生いきるにも技術ぎじゅつがいる－人生じんせい工学こうがくの発想はっそう』にて紹介しょうかいされていた例れいがあり、1988年ねんには『コンピュータ大辞林だいじりん』で紹介しょうかいされているなど、技術ぎじゅつ者しゃなど一部いちぶで知しられていた。

ライターで編集へんしゅう者しゃの遠藤えんどう諭さとしは、編集へんしゅう長ちょうを務つとめた雑誌ざっし『月刊げっかんアスキー』で、ペンネームのホーテンス・S・エンドウ名めいで執筆しっぴつしていた連載れんさい記事きじ「近代きんだいプログラマの夕ゆう」における、「マーフィーの法則ほうそくの起源きげんをめぐって」（1990年ねん7月がつ号ごう）などにおいて、本ほん法則ほうそくを精力せいりょく的てきに紹介しょうかいした。1993年ねん7月がつには、"The Complete Murphy's Law" の訳本やくほん『マーフィーの法則ほうそく』を出版しゅっぱんする。同書どうしょのベストセラー化かで、一般いっぱんにも広ひろく知しられるようになり、家庭かていや学校がっこうや職場しょくばや地域ちいきでも「〜の法則ほうそく」遊あそびが流行りゅうこうした。なお、「〜の法則ほうそく」というタイトルの本ほんとしては、作家さっかの藤井ふじい青銅せいどうによる『み〜んながやってる宇宙うちゅうの法則ほうそく』が1991年ねん1月がつ、『宇宙うちゅうの法則ほうそく2 3Dステレオコラム集しゅう』が1993年ねん6月がつに出でており、ブームの源みなもとはひとつではない。

1994年ねん2月がつ2日にちにはn嘉門かもん達夫たつおがシングル『マーフィーの法則ほうそく』を発売はつばい。その後ご、同年どうねん6月がつ1日にちにシングル『続ぞく・マーフィーの法則ほうそく』、1995年ねん1月がつ1日にち発売はつばいのアルバム「娯楽ごらくの殿堂でんどう」に『究極きゅうきょくのマーフィーの法則ほうそく』が収録しゅうろく、2000年ねん8月がつ23日にちにマキシシングル『ミレニアムの法則ほうそく』、2003年ねん4月がつ23日にち発売はつばいのアルバム「達人たつじん伝説でんせつ」には『マーフィーの法則ほうそく2003』が収録しゅうろくされている。

1990年代ねんだいの日本にっぽんでの流行りゅうこう当時とうじは、各々おのおの未曾有みぞうの政治せいじ的てき・経済けいざい的てき転換てんかん点てんに見舞みまわれ、そこからの先行さきゆきが不透明ふとうめいな情況じょうきょうであった。しかし、昨今さっこんの『サラリーマン川柳せんりゅう』のように客観きゃっかん視しし笑わらい飛とばしている面めんや、畑村はたむら洋太郎ようたろうの提唱ていしょう・リードする「失敗しっぱい知識ちしきデータベース」「失敗しっぱい学会がっかい」のように逆手さかてに取とって活用かつようしている側面そくめんもあった。同様どうような観点かんてんからの批判ひはんとして、桔梗ききょう清きよしは著書ちょしょで「力動りきどう精神せいしん医学いがくとしての誘導ゆうどう自己じこ暗示あんじ（療法りょうほう）」を紹介しょうかいしている。

また、深層しんそう心理しんり学がくの世界せかいでは、「法則ほうそく11 ＝ 挨拶あいさつをトチリそうだと思おもっている人ひとは本当ほんとうにトチる」のように、人ひとは自己じこ暗示あんじなどによって思おもわぬ行動こうどうに出でてしまうことがあることを多た湖みずうみ輝てるは指摘してきしており、青木あおき智子さとこもユングの「トリックスター理論りろん」から分析ぶんせきを試こころみている。

そのほか、エリック・バーンらの交流こうりゅう分析ぶんせきやウェイン・クリッツバーグ等ひとしのアダルトチルドレンの役割やくわり類型るいけいである「クラウン（道化師どうけし）」「マスコット（なだめ役やく）」「ファミリーペット（甘あまえっ子こ）」等とうの観点かんてんから解釈かいしゃくしている杉田すぎた峰みね康やすしのグループ、さらには確率かくりつ論ろんや認知にんち科学かがく（ヒューリスティックス発見はっけん的てき方法ほうほうや共きょう変へん関係かんけい認知にんち論ろんなど）から説明せつめいしている増田ますだ真しん也等ひとしもいる。

「落おとしたトースト」の法則ほうそく

落おとしたトーストがバターを塗ぬった面めんを下したにして着地ちゃくちする確かく率りつは、カーペットの値段ねだんに比例ひれいする

ユーモアに溢あふれていて、マーフィーの法則ほうそくの中なかでも特とくに秀逸しゅういつな「法則ほうそく」としてしばしば引用いんようされるものである。

アストン大学だいがくのロバート・マシューズは「トーストの転落てんらく　マーフィーの法則ほうそくと基本きほん的てき定数ていすう」という論文ろんぶんを発表はっぴょうした。彼かれはその論文ろんぶんの中なかで通常つうじょうのテーブルを使用しようした時ときほとんどの場合ばあいにバターを塗ぬった面めんが下したになることを証明しょうめいし、バターを塗ぬった面めんを上うえにして着地ちゃくちさせるためには高たかさ3メートル以上いじょうのテーブルを使つかうべきだという結論けつろんを出だした。マシューズはこの功績こうせきにより1996年ねんにイグノーベル賞しょうを受賞じゅしょうした。バター面めんが下したになる確かく率りつが何なにに比例ひれいするのかというと、「カーペットの値段ねだん」ではなく、テーブルの高たかさ（や初動しょどう時じバター面めんが上うえを向むいている事ことや滑すべり落おち方かた）ということに成なる。

「マーフィーの法則ほうそく」に類るいするもの

「マーフィーの法則ほうそく」という名なが生うまれたのは以上いじょうのような経緯けいいによると言いわれるが、「法則ほうそく」の内容ないよう自体じたいは古ふるくから世界中せかいじゅうで様々さまざまな形かたちで言いわれてきたものであった。

• フランスでは"La loi d'emmerdement maximum"（「くそったれの法則ほうそく」）と呼よばれる注意ちゅういを促うながす表現ひょうげんがある。
• "The bread never falls but on its butteredside."「食しょくパンを落おとすと必かならずバターが付ついているほうが下した」はマーフィーの法則ほうそくの中なかの「選択せんたく的てき重力じゅうりょくの法則ほうそく」の一種いっしゅであって、イギリス北西ほくせい部ぶランカシャー地方ちほうの諺ことわざ。（→バター猫ねこのパラドックス）
• 日本にっぽんの諺ことわざや慣用かんよう句くにも「転ころべばクソの上うえ」「泣なきっ面めんに蜂はち」「弱よわり目めに祟たたり目め」等とう、類似るいじしたものがある。
• 映画えいが監督かんとく伊丹いたみ万作まんさくの随筆ずいひつ中ちゅうに「机つくえの面積めんせきの大おおきさはその使用しよう者しゃの地位ちいの高たかさの二に乗じょうに正せい比例ひれいする」「机つくえの面積めんせきの大おおきさは、その使用しよう者しゃの受うけ持もつ事務じむの頻度ひんどの二に乗じょうに逆ぎゃく比例ひれいする」という「法則ほうそく」（架空かくうの外国がいこく人じんの博士はかせによる、と擬ぎしているが、伊丹いたみの創作そうさく）がある。
• イギリスでは、"Sod's law"（「こんちきしょうの法則ほうそく」）と言いわれ建物たてもの解体かいたい業者ぎょうしゃの常套句じょうとうくとして使つかわれ始はじめた。なお、Sodの語源ごげんはSodomiteであり、語源ごげんは『旧約きゅうやく聖書せいしょ』に登場とうじょうするソドムの住民じゅうみんであるが、英国えいこく俗語ぞくごでは、男色なんしょく者しゃ、獣しし姦かん者しゃを指さす。
• 「Finagle's law フィネグルの法則ほうそく」（「フィナグルの〜」とも）は、主おもに数学すうがくや情報じょうほう科学かがく等とうの広義こうぎの自然しぜん科学かがく全般ぜんぱんにあてはまる「マーフィーの法則ほうそく」のことを言いう。『アスタウンディング・サイエンスフィクション(Astounding Science Fiction Magazine)』誌し1957年ねん11月号ごうが法則ほうそく例れいを公募こうぼしてから2年ねん以上いじょうも投稿とうこうが殺到さっとうした。（1924年ねん:FAINAIGUE: 「トランプカードをごまかして配くばる」「だます」。後者こうしゃの意味いみでは「Murphy」にもほぼ同どう時期じき（1811年ねん）ほぼ同義どうぎの語彙ごい（信用しんよう詐欺さぎ（をする））がある。<ジョージIV世よ摂政せっしょう時代じだい（1811-20）」の催眠さいみん術じゅつ師しでトランプゲームのブリッジの前身ぜんしんホイストの名人めいじんとして知しられたドイツ人じんの名なファインナーゲル（FEINAGEL）から）

"Anything that can go wrong will go wrong - at the worst possible moment."

日本語にほんご訳やく「うまく行いかなくなりうるものは何なんでも、うまく行いかなくなる－しかも最悪さいあくのタイミングで」

• 「予想よそう外がいの事ことは起おこるものなので、備そなえておけ」。（保守ほしゅ・右派うはの政治せいじ家かサッチャー）。嫉妬しっと深ふかい大衆たいしゅうに媚こびた官僚かんりょう批判ひはんとして、官僚かんりょう主義しゅぎは「予想よそうのできることしか起おきてはいけないとして、硬直こうちょくしてしまう非常ひじょうに悪わるいところがある」。ネオ・リベラリズムとサッチャー主義しゅぎについては、モリッシー、ザ・スミス、スタイル・カウンシル、エルヴィス・コステロら、英国えいこくのかなりの人数にんずうのミュージシャンから厳きびしく批判ひはんされた。

エピソード

• アメリカでは、前述ぜんじゅつの逸話いつわが事実じじつとして広ひろく認みとめられており、1990年代ねんだい初はじめには百科ひゃっか事典じてんにも語源ごげんの説明せつめいとして記載きさいされた。しかし、イギリスでは1990年代ねんだい末まつになっても、著名ちょめいな辞典じてん編纂へんさん者しゃで語源ごげん学者がくしゃであるジョン・エイトなどは米べい軍ぐん技術ぎじゅつ者しゃ起源きげん説せつに慎重しんちょうな態度たいどを崩くずしておらず「この呼称こしょうの起源きげんに関かんする説明せつめいは典拠てんきょが疑うたがわしい」とし、日本にっぽんの代表だいひょう的てきな大型おおがた英和えいわ辞典じてんの最新さいしん版ばん（2002年ねん）の語源ごげん欄らんでも「Ed Murphy（米べい空軍くうぐん大尉たいい）にちなむとする説せつもあるが不ふ詳しょう」としている。
• 中村なかむら則之のりゆきや130数すう年ねんの歴史れきしを誇ほこるイギリスの格言かくげん・慣用かんよう句く辞典じてんの編纂へんさん者しゃにより、マーフィーの法則ほうそくと『キャッチ=22』（ジョーゼフ・ヘラーの小説しょうせつの題名だいめい）との共通きょうつう点てんの多おおさが指摘してきされている。
• 「オーグ（ガ）スチンの法則ほうそく」は、様々さまざまな失敗しっぱい例れいから学まなぶ方式ほうしきでビジネススクールの教材きょうざいにも活用かつようされている。

「10番ばんより古ふるい製造せいぞう番号ばんごうの飛行機ひこうきには絶対ぜったい乗のるな」（オーグスチンの航空こうくう学がくの基本きほん法則ほうそく）

「西暦せいれき2015年ねん以降いこうは航空機こうくうき墜落ついらく事故じこはなくなる。また離陸りりくすることもなくなる。なぜならばエレクトロニクス（部品ぶひん）が全ぜん重量じゅうりょうの100％を占しめるからである。」（オーグスチンの容赦ようしゃのないエレクトロニクス化かの法則ほうそく）等々とうとう。

• 「マーフィーの法則ほうそく」物理ぶつり学がく版ばんに次つぎのものがある。むかつく力学りきがく（物ものの振ふる舞まい）についての（ジェロルドの）法則ほうそく（英語えいご版ばんGerrold's Laws of Infernal Dynamics）によると、
  1. 運動うんどうしている物体ぶったいは、誤あやまった方向ほうこうに動うごいている。
  2. 静止せいししている物体ぶったいは、誤あやまった位置いちにある。
  3. ある物体ぶったいを正ただしい方向ほうこうに動うごかす時ときに、またはある物体ぶったいを正ただしい位置いちにおく時ときに要求ようきゅうされるエネルギーは、貴方あなたが期待きたいするより多おおく、しかし遂行すいこうをさまたげる程ほどではない。
• 物理ぶつり学者がくしゃの間あいだで言いわれたパウリ効果こうかなども似にた「現象げんしょう」である。
• スリーマイル島とう原子力げんしりょく発電はつでん所しょ事故じこに触発しょくはつされたこともあり、BBNテクノロジーズ社主しゃしゅ任にん研究けんきゅう員いんの人間にんげん工学こうがく者しゃリチャードW.ピューらは、マーフィーの法則ほうそくの「未知みちの知識ちしき領域りょういき」論ろんとJ.ラスムッセンの認知にんち心理しんり学がく的てきアプローチ（ステップ・梯子はしごモデルや致命ちめい的てきアクション・決定けっていに結むすびつく決定けってい要素ようそ論ろん等とう）とを融合ゆうごうした「マーフィー図ず(Murphy diagram)」(1981)を開発かいはつし、大小だいしょう様々さまざまなプラント等とうの安全あんぜん設計せっけい及および事故じこ原因げんいん解析かいせきの代表だいひょう的てき支援しえんツールの1つになっている。
• 類似るいじした意味いみを持もつものとして「物欲ぶつよくセンサー」というネットスラングが存在そんざいする。主おもにゲームなどで稀少きしょうなアイテムの入手にゅうしゅや特定とくていの行動こうどうの成功せいこう・失敗しっぱいに確かく率りつが大おおきく関かかわってくる時とき、プレイヤーが成功せいこうを望のぞめば望のぞむほどプレイヤーの理想りそうとはかけ離はなれた結果けっかに終おわりがちであるというもので、「プレイヤーの物欲ぶつよくを検知けんちして望のぞまれない結果けっかに改竄かいざんしてしまうセンサーが存在そんざいする」というジョークである。

脚注きゃくちゅう

注ちゅう

出典しゅってん

参考さんこう文献ぶんけん/推薦すいせん図書としょ

• 川勝かわかつ久ひさ・竹村たけむら之宏ゆきひろ、『生いきるにも技術ぎじゅつがいる: 人生じんせい工学こうがくの発想はっそう』、講談社こうだんしゃ、1981年ねん。
• 高橋たかはし亮一りょういち、『コンピュータ虫むし辞じ林りん』、サイエンス社しゃ、1988年ねん。ISBN 4-7819-0527-7。
• ホーテンス・S・エンドウ、『近代きんだいプログラマーの夕ゆう』、アスキー　1991年ねん。
• 倉骨くらほね彰あきら、『マーフィーの法則ほうそく－現代げんだいアメリカの知性ちせい』、アスキー、1993年ねん。
• 桔梗ききょう清きよし、『「悲惨ひさんな法則ほうそく」の危険きけんなワナ: 逆ぎゃくマーフィーの法則ほうそくのすすめ』、山下やました出版しゅっぱん、1994年ねん。
• アンリ・フレデリック・エレンベルガー、『無意識むいしきの発見はっけん: 力動りきどう精神せいしん医学いがく発達はったつ史し』、木村きむら敏さとし・中井なかい久夫ひさお訳わけ、弘文こうぶん堂どう、1980年ねん、上巻じょうかん203頁ぺーじ。
• C.H.ブルックス・エミール・クーエ、『自己じこ暗示あんじ』、河野こうの徹とおる訳わけ、千葉ちば康則やすのり解説かいせつ、法政大学ほうせいだいがく出版しゅっぱん局きょく、1966年ねん。
• 青木あおき智子さとこ・齋藤さいとう勇いさむ、『人間にんげん関係かんけい学がくトピックス100』、誠まこと信しん書房しょぼう、1997年ねん、第だい5章しょう。
• 増田ますだ真しん也・広田ひろたすみれ・他た、『心理しんり学がくが描えがくリスクの世界せかい: 行動こうどう的てき意思いし決定けってい入門にゅうもん』、慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく出版しゅっぱん会かい、2002年ねん。
• 松澤まつざわ喜好きよし・松澤まつざわ千晶ちあき、『21世紀せいき版ばん　マーフィーの法則ほうそく』、アスキー、2007年ねん。ISBN 978-4-7561-4957-2。

関連かんれん項目こうもく

• トマ・ピケティ
• ポール・クルーグマン
• ケインズ主義しゅぎ
• 自己じこ啓発けいはつ
• 自己じこ啓発けいはつセミナー
• オカルト
• カルト
• 嘉門かもん達夫たつお - マーフィーの法則ほうそくシリーズ
• 哲学てつがく
• 経済けいざい学がく
• 錯誤さくご相関そうかん
• マイロ・マーフィーの法則ほうそく

外部がいぶリンク

• マーフィーの法則ほうそく（歌うた：嘉門かもんタツオ） - YouTube