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MiG-37 (架空かくう軍用ぐんよう)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

MiG-37(MiG-37B "Ferret-E")とは、アメリカ模型もけいメーカー、テスター(Testor)しゃ(英語えいごばん)が創作そうさくし、同社どうしゃおよびイタリア模型もけいメーカーであるイタレリ(Italeri)しゃ共同きょうどう販売はんばいしたプラスチックモデルキット商品しょうひんめいであり、実際じっさいには存在そんざいしない航空機こうくうき形式けいしき番号ばんごうである。

概要がいよう

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1986ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくイリノイしゅう本拠ほんきょをおく模型もけいメーカー、テスター(Testor)しゃ(英語えいごばん)が同社どうしゃのデザイナーによって創作そうさくして発売はつばい[1]、アメリカをはじめとした世界せかい各国かっこくでヒット商品しょうひんとなったプラスチックモデルキット、『F-19 Stealth Fighter』の成功せいこうけて、1987ねん発売はつばいした[注釈ちゅうしゃく 1]プラスチックせいしきスケールモデルキットであり、名称めいしょう外形がいけいデザイン・設定せってい性能せいのうとうすべては完全かんぜん創作そうさく存在そんざいである。

設定せっていとしては「アメリカのステルス戦闘せんとうであるF-19に対抗たいこうしてソビエトで開発かいはつされたステルス戦闘せんとう」となっているが、『MiG-37』の発売はつばい当時とうじ実際じっさいに“ソビエト当時とうじ)で開発かいはつされていたステルスせい戦闘せんとう”としては「I-90(英語えいごばん)」や「MFI」の計画けいかく名称めいしょう開発かいはつ計画けいかくすすめられていたものが存在そんざいするものの、このモデルキットに相当そうとうするステルス戦闘せんとう実機じっき開発かいはつされていたというかくたる証拠しょうこはない。現実げんじつ開発かいはつすすめられていた機体きたいである"MiG 1.42"設計せっけいあんも、『MiG-37』とは外形がいけい性能せいのうまったことなるものである。

なお、2021ねん現在げんざい、ミコヤン・グレヴィッチ設計せっけいきょくげん公開こうかい株式会社かぶしきがいしゃ「ロシア航空機こうくうき製作せいさく会社かいしゃ『MiG』)が実際じっさい開発かいはつした「MiG-**」の型式けいしき番号ばんごうばれる戦闘せんとう最新さいしんのものはMiG-41NATOコード付与ふよ)であるが、MiG-41からMiG-35“Fulcrum-F”のあいだには番号ばんごうられた機体きたいはなく、"MiG-37"はいま実機じっき存在そんざいしていない。将来しょうらい実際じっさいに「MiG-37」という型式けいしき番号ばんごう機体きたい登場とうじょうする可能かのうせいはあるが、2021ねん現在げんざいのところは未定みていである。

経緯けいい

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1980年代ねんだいなかば、アメリカ空軍くうぐん極秘ごくひ開発かいはつ配備はいびしているという“ステルス戦闘せんとう”として「F-19」という機体きたい存在そんざい話題わだいとなり、話題わだい便乗びんじょうするかたちでテスターしゃは『F-19 Stealth Fighter』なるプラモデルを1986ねん発売はつばいした。この商品しょうひんマスメディアおおきくげたこともあり、アメリカ国内こくないだいヒットとなったばかりでなく同社どうしゃ提携ていけいしていたイタリアの模型もけいメーカーであるイタレリ(Italeri)しゃからも同社どうしゃブランドの製品せいひんとして発売はつばいされ[注釈ちゅうしゃく 1]日本にっぽんはじめとした世界せかい各国かっこくでも販売はんばいされて世界せかいてきヒット製品せいひんとなった。

F-19だいヒットをけ、よく1987ねん、テスターしゃは『MiG-37B 'ferret-E'』と銘打めいうった架空かくうのモデルキットを発売はつばいした[2][3][注釈ちゅうしゃく 1]

このモデルの外形がいけい

  • 直線ちょくせん主体しゅたい構成こうせいされており、機体きたいじくせん並行へいこう垂直すいちょくなラインがほとんど
  • 水平すいへい尾翼びよくたず、外側そとがわななめに傾斜けいしゃした垂直すいちょく尾翼びよく

ひとし、“本来ほんらいの”ステルス機体きたい形状けいじょうとらえており、それも翌年よくねん1988ねん11月に公表こうひょうされたF-117よりは、1985ねん開始かいしされて1986ねんよりに開発かいはつ計画けいかくすすめられていた“ATF(先進せんしん戦術せんじゅつ戦闘せんとう)”の計画けいかくであるYF-22YF-23ちかいデザインとなっていた。模型もけいはおろか軍事ぐんじ専門せんもん航空こうくう雑誌ざっしとうでもこのように“ただしい”ステルス形状けいじょう発表はっぴょうされたものはほんモデルよりもさきにはなく[4]ほんモデルは事実じじつじょう世界せかい最初さいしょに“正確せいかくなステルス”の外形がいけい考察こうさつ存在そんざい”となっている。

これらのてんにおいて、『MiG-37B 'Ferret-E'』は当時とうじ航空こうくう常識じょうしきえた先進せんしんてきなモデルであったが、当時とうじはまだYF-22もYF-23も実機じっき完成かんせいしていないうえ詳細しょうさい公表こうひょうされておらず、“ステルス機体きたい形状けいじょう曲線きょくせん主体しゅたい構成こうせいされている”という認識にんしきつよかったため、航空こうくうファンや航空こうくう模型もけい愛好あいこうには「このような形状けいじょうたかいステルスせい発揮はっきされるとはかんがえられない[注釈ちゅうしゃく 2]」と不評ふひょうで、『F-19 Stealth Fighter』のようなヒット商品しょうひんになることはなく、メディアで話題わだいになることもなかった。

製品せいひんについて

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MiG-37のモデルキットは1987ねん発売はつばいされた1/48スケールのもの[2][3]いで1988ねんにイタレリしゃより1/72スケールのものも発売はつばいされており[5]、1/48、1/72のりょうスケールで模型もけいされている。また、1/72スケールのモデルはイタレリしゃOEM製品せいひんとしてチェコ模型もけいメーカーであるBilekしゃ[6]およびロシア模型もけいメーカーであるModelistしゃ[7]からも発売はつばいされている[8][9]日本にっぽんにおいてはイタレリしゃ日本にっぽんでの提携ていけい企業きぎょうである田宮たみや模型もけい(TAMIYA)が輸入ゆにゅう販売はんばい担当たんとうした。

テスターしゃばん、イタレリしゃばんとも一旦いったん廃盤はいばんとなったものの、イタレリしゃばんの1/72スケールの製品せいひん以後いご不定期ふていきさい生産せいさんされている[10][5]

なお、この『MiG-37』のデザインは1987ねんにテスターしゃによりアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく特許とっきょ出願しゅつがんされている[11]

設定せってい

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すでべたように"MiG-37B Ferret-E"なる戦闘せんとう実在じつざいしておらず、機体きたい開発かいはつ経緯けいい性能せいのうとう架空かくうのもので、デザインも開発かいはつ / 発売はつばいもとのテスターしゃ前作ぜんさく『F-19 Stealth Fighter』を手掛てがけたデザイナー、ジョン・アンドリュース(John Andrews)によるものである[注釈ちゅうしゃく 3]

モデルキットの説明せつめいしょには以下いかのように記載きさいされている。

HISTORY
The United States has begun a major change in military strategic Policy known as AirLand Battle 2000. Highly mobile and using modern technology - including stealth weapons - this change in U.S. policy is causing the Soviet Union to make major adjustments in their tactics, particularly in the European theater of operations.
With U.S. development of stealth aircraft planes capable of flying undetected in to enemy territory - it is certain the Soviets would quickly attempt to counter the craft and to develop one of their own.
Testor Corporation engineers did consider-able research before producing the MiG-37B. Studies and determinations of production capability and techniques were developed as was a look at the history of Soviet military aircraft and tactical considerations.
It was concluded the likely producer of a Soviet stealth aircraft would be the design bureau of Mikoyan-Gurevich. Powerplants would be provided by Tumansky. The Soviets have traditionally had difliculty producing complex compound curved plastic parts. Because stealth RAM(Radar Absorbing Material) is primarly of composite structural materials, the Soviets would need to simplify their design - make it more angular and less blended in contour - than a U.S.stealth aircraft. At the same time the Soviets do not require a long range stealth aircraft inefficiencies can be tolerated. As a result the design is a bit more angular than what a U.S. equivalent might be.
SPECIFICATIONS
Wingspan 33'-6'
Length 44'-6"
Height 10'-9'
Estimated Weight 33,000 pounds
Max. Speed 550 mph
Range 1400 miles
Powerplants(2)
Specially Modified Tumansky R-29 of 22,OOO lbs. thrust

沿革えんかく
アメリカは「エアランドバトル2000」とばれる軍事ぐんじ戦略せんりゃくじょうおおきな変革へんかく着手ちゃくしゅしており、ステルス兵器へいきふく機動きどうせいたか最新さいしん技術ぎじゅつは、アメリカの軍事ぐんじ戦略せんりゃく政策せいさくおおきな変化へんかをもたらしました。これに対抗たいこうするため、ソビエト連邦れんぽうとくにヨーロッパにおける作戦さくせん行動こうどうにおいて戦術せんじゅつ大幅おおはば変更へんこうする必要ひつようせいせまられています。 アメリカでステルスてき発見はっけんされずにてき領土りょうど上空じょうくう飛行ひこうできる航空機こうくうき)が開発かいはつされたことで、ソビエトはただちにこれに対抗たいこうして独自どくじ航空機こうくうき開発かいはつしようとすることは間違まちがいありません。

テスターしゃのエンジニアは、MiG-37Bを製造せいぞうするまえおおくの調査ちょうさおこない、ソビエト軍用ぐんよう歴史れきし戦術せんじゅつてき考察こうさつ同様どうように、生産せいさん能力のうりょく技術ぎじゅつ研究けんきゅう決定けってい能力のうりょくについて考察こうさつしました。

ソビエトのステルス製造せいぞうしゃおもわれるのは、ミコヤン・グレビッチ設計せっけいきょくであると結論けつろんづけられました。エンジンはツマンスキーによって提供ていきょうされます。ソビエトは伝統でんとうてき複雑ふくざつ湾曲わんきょくしたふくあいプラスチック部品ぶひん製造せいぞうするのが困難こんなんです。ステルスのレーダー吸収きゅうしゅう材料ざいりょうおもふくあい構造こうぞう材料ざいりょう構成こうせいされているため、その制約せいやくからソビエトのステルス米国べいこくのステルスよりも設計せっけい簡素かんそした輪郭りんかくのものとする必要ひつようがありました。しかし、ソビエトは長距離ちょうきょりステルス必要ひつようとしていないため、てい性能せいのう許容きょようされています。その結果けっか、デザインはアメリカの同等どうとうよりもすこかくばったものになりました。
仕様しよう
つばさはば:33 フィート 6 インチ
全長ぜんちょう:44 フィート 6 インチ
全高ぜんこう:10 フィート 9 インチ
推定すいてい重量じゅうりょう:33,000 ポンド
最大さいだい速度そくど:550 マイル/とき
航続こうぞく距離きょり:1,400 マイル
エンジン:ツマンスキー R-29(特殊とくしゅ改良かいりょうがた) 2
推力すいりょく:22,000 ポンド

(1/48モデルキットの説明せつめいしょ[12]より (※日本語にほんごやくとう項目こうもく執筆しっぴつしゃによる)

ミグ37B フェレット-E
アメリカのF-19ステルスの登場とうじょう対抗たいこうするべく、ソビエトの最新さいしん技術ぎじゅつをつぎこんで開発かいはつされたのが、ミグ37Bです。直線ちょくせんおお機体きたいデザインはアメリカのF-19にくらべて、無骨ぶこつ印象いんしょうあたえますが、レーダーとうたいするたか隠密おんみつせいつのはもちろん、その性能せいのうだい1きゅうのものです。イタレリのミグ37Bモデルは、すうねんわた調査ちょうさ開発かいはつもとづき製品せいひんされました。

※イタレリしゃばん1/72モデルキットの説明せつめいしょ[13]より

MiG-37はそうじて“F-19と同様どうようのコンセプトと設計せっけい思想しそう開発かいはつ設計せっけいされた機体きたい”という設定せっていで、開発かいはつにあたっての運用うんよう思想しそうそら対空たいくう戦闘せんとうではなく地上ちじょう目標もくひょうへの攻撃こうげきおも任務にんむとする)や搭載とうさいするへいそう対地たいち攻撃こうげきへいそう主体しゅたいで、たい戦闘せんとうようそら対空たいくうミサイル搭載とうさいしない)などはF-19にじゅんじたものとなっている。

やり穂先ほさきのような細長ほそながぜんつばさがたデルタつばさのデザインであった『F-19 Stealth Fighter』とはことなり、MiG-37は同様どうよう平面へいめんてきながらも主翼しゅよく胴体どうたい一体化いったいかはしていない、より通常つうじょう航空機こうくうきちかいデザインとなっている。尾翼びよく垂直すいちょく / 水平すいへいかれておらず、そう尾翼びよく外側そとがわ傾斜けいしゃしたVつばさ形式けいしきのデザインで、排気はいきノズルは外部がいぶ露出ろしゅつせず、高温こうおん排気はいき排気はいきこう周囲しゅういをスリットじょうそとばんかこんで流入りゅうにゅうさせた外気がいき混合こんごうしたのち排出はいしゅつして温度おんどげ、赤外線せきがいせん放射ほうしゃ低減ていげんさせるものとされている[注釈ちゅうしゃく 4]

機体きたい中央ちゅうおう部下ぶかめん主翼しゅよくえん付近ふきん左右さゆうわかれたしゅあし収納しゅうのうがあり、あし収納しゅうのう前後ぜんごにはへいそうがある。モデルでは前方ぜんぽうへいそう多面体ためんたい形状けいじょうばくだん(キットの説明せつめいしょには「Stealth Treatment Nuclear Weapon」、“ステルス処理しょりかくばくだん”とある[注釈ちゅうしゃく 4])、後方こうほうへいそうにはれんのパイロンにそうされたR-60(AA-8)形状けいじょうのミサイル(説明せつめいしょによれば「anti-radiation missiles」、“たいレーダーミサイル”となっている)が収容しゅうようされる[注釈ちゅうしゃく 4]着陸ちゃくりくあしMiG-23のものが流用りゅうようされているとされており、これは設計せっけい生産せいさん簡素かんそすることと、配備はいび運用うんようにあたりスペアパーツの供給きょうきゅう容易よういにするため、と解説かいせつされている[注釈ちゅうしゃく 4]

なお、『MiG-37B "Ferret-E"』との製品せいひんめいであるが、Bがた以外いがいのバリエーションや"Ferret -A / -B / -C / -D"のNATOコードネームあたえられた機種きしゅ存在そんざいするかについて(の設定せってい)はモデルキットの解説かいせつではまったれられていない。ただし、組立くみたて説明せつめいしょ塗装とそう / マーキングれいには"MiG-37B Winter Scheme"の名称めいしょうでガルグレイとフラットホワイトの2しょくけの塗装とそうれい掲載けいさいされており、そのなかで「Camera window decals Used on photo recon version only.」(“カメラまどのデカールは写真しゃしん偵察ていさつがたのみに使用しようします”)との指示しじがなされている(貼付ちょうふ場所ばしょ機首きしゅ下面かめん左右さゆう部分ぶぶん指定していされている)デカールがあることから、機首きしゅ偵察ていさつよう機材きざいそなえる写真しゃしん偵察ていさつかた存在そんざいするという設定せっていとなっていることがわかる。

“ステルス”としての実在じつざいせいについて

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前述ぜんじゅつのように「ステルス機体きたい形状けいじょう曲線きょくせん主体しゅたい構成こうせいされているものであり、このような形状けいじょうたかいステルスせい発揮はっきされるとはかんがえられない」とされたMiG-37の直線ちょくせんてきなデザインの理由りゆうは、製品せいひん説明せつめいしょにある一連いちれん解説かいせつ(「TECHNICAL NOTE」の項目こうもくめい記述きじゅつされている)によれば以下いかのようにべられている。

The Soviets haw traditionally had dilficultyin producing plastic surfaces with complexcompound curves. With stealth materialsbeing mosdy made of plastics and compositematerials heir problems have multiplied.
By minimizing the use of curves and puttingtogether a craft witt a multiplicity of flatpanels, the aircraft is still mission capablebut not as sleek as a U.S. stealth design.

ソビエトの工業こうぎょう技術ぎじゅつでは伝統でんとうてき複雑ふくざつ曲線きょくせんわせた構成こうせいめん合成ごうせい樹脂じゅし製品せいひん製造せいぞうするのが困難こんなんであり、ステルス航空機こうくうきには合成ごうせい樹脂じゅしふくあい材料ざいりょうおお使つかわれるため、その問題もんだいはますますおおきくなっている。
この問題もんだいは、曲面きょくめん最小限さいしょうげんおさえて平面へいめん多用たようした機体きたいデザインにすることで対処たいしょ可能かのうではあるが、アメリカのステルス設計せっけいほど洗練せんれんされてはいない。

(1/48モデルキットの説明せつめいしょ[12]より (※日本語にほんごやくとう項目こうもく執筆しっぴつしゃによる)

この解説かいせつ設定せってい)によれば、MiG-37が直線ちょくせんてき機体きたい形状けいじょうとなっているのは、当時とうじのソビエトではふくあい材料ざいりょう製造せいぞう技術ぎじゅつがアメリカにおとっていたため、ステルスとして最適さいてき曲線きょくせんてき機体きたい形状けいじょう実現じつげんできず、簡素かんそした機体きたい形状けいじょうとなった、となっている。

ほんモデルの発売はつばいF-117公表こうひょうにより、直線ちょくせん多用たようした機体きたい形状けいじょうはむしろ実際じっさいのステルスそくしていることがあきらかになった。また、「機体きたい複数ふくすう平面へいめんわせにより直線ちょくせんてき構成こうせいされている理由りゆう」についても、F-117がそのような形状けいじょうである理由りゆう曲面きょくめん構成こうせい理想りそうだが、当時とうじコンピュータ能力のうりょくではレーダー反射はんしゃりつ曲面きょくめん計算けいさんするには能力のうりょくてき無理むりがあり、その当時とうじのコンピュータで計算けいさん容易よういかくばった機体きたい形状けいじょうとして妥協だきょうした)とはことなるものの、「技術ぎじゅつてき限界げんかいにより妥協だきょうして簡素かんそした機体きたい形状けいじょうとなった」というてんでは合致がっちしていた。「この機体きたい形状けいじょうではたかいステルスせい発揮はっきされないであろう」とかんがえられていたほんモデルキットは、予想よそうはんしてステルス航空機こうくうき実態じったいとらえていたのである。

だが、アメリカ国防総省こくぼうそうしょうとアメリカ空軍くうぐん公式こうしきにステルス戦闘せんとう開発かいはつ配備はいびみとめてF-117の存在そんざい実機じっき公表こうひょうしたのはほんモデルキットの発売はつばいされた翌年よくねんである1988ねん11月のことであり、これ以前いぜんにステルス戦闘せんとう開発かいはつ運用うんようかかわっているアメリカ空軍くうぐん担当たんとう航空機こうくうきメーカーの一部いちぶ関係かんけいしゃ以外いがい正確せいかく情報じょうほうるとはかんががたいため、『MiG-37』の開発かいはつ発売はつばい時期じきからして、テスターしゃ当時とうじ極秘ごくひちゅう極秘ごくひであった実際じっさいのステルス戦闘せんとう詳細しょうさい手段しゅだんがあったともかんががたいことから、これらの一致いっちたんなる偶然ぐうぜんとすることが妥当だとうであろう。

しかし、冷戦れいせん当時とうじコンコルドたいするTu-144のように、ソビエトは西側にしがわしん技術ぎじゅつをそっくり真似まねするというイメージがつよく、「ステルス戦闘せんとう F-19の機体きたい形状けいじょう曲線きょくせん主体しゅたい構成こうせいされている」がただしいとかんがえられていたならば、“ソビエトのステルス”を製品せいひんするのであれば、「技術ぎじゅつてき不可能ふかのうであるため」に曲線きょくせんてきなデザインではなくともすで製品せいひんしたF-19に似通にかよった形状けいじょうにするほう自然しぜんで、フィクションとしての説得せっとくりょくもある。テスターしゃがMiG-37をF-19とはまったことなるデザインとした理由りゆうについて、「このような形状けいじょうでは十分じゅうぶんなステルスせい発揮はっきされないだろう」とめられていたさいには、航空こうくう模型もけい愛好あいこうあいだで「F-19のだいヒットにくしたテスターしゃが、自称じしょう情報じょうほうすじ”からまれた「ソビエトの機密きみつ情報じょうほう」をり、虚偽きょぎ情報じょうほうとはらずにそのまま製品せいひんした」というせつがあったが、F-117の公表こうひょう航空機こうくうきのステルスせいについての理解りかいあらたまると「なぜMiG-37のモデルキットはF-19とはまったことなる“ただしい”ステルス形状けいじょうであったのか」というてんについて様々さまざま憶測おくそくがなされることになった。

その理由りゆうとしてかたられたものとしては

  • テスターしゃ独自どくじ情報じょうほうげんからアメリカのステルス戦闘せんとう開発かいはつ計画けいかく全容ぜんようつかんでいた
  • F-19(F-117)の実態じったい人物じんぶつから“実際じっさいのステルスのデザインはF-19の模型もけいとはまったことなっている”という情報じょうほうなんらかのかたちでリークされ、それをもとにリークの事実じじつかくすためにえてソビエトというかたちでリメイクをおこなった
  • アメリカぐんおよびアメリカ政府せいふ情報じょうほう関係かんけい部門ぶもんが、「ぐん関係かんけいしゃ以外いがいには“ただしい”ステルス機体きたい形状けいじょうについてどの程度ていど認識にんしきされているか」を把握はあくするため、模型もけいメーカーに情報じょうほうをリークし、反応はんのうさぐった

といったものがあるが、2020ねん現在げんざい、いずれのせつにも根拠こんきょ論証ろんしょうとなるものがとぼしく、かくたる論拠ろんきょはない。

なお、テスターしゃおよびジョン・アンドリュースが1985ねんにデザインした[1]『F-19 Stealth Fighter』の機体きたい形状けいじょう実在じつざいするものとはまったことなってはいたものの、ほんモデルが発売はつばいされた1987ねん時点じてんであればすでにメディアに掲載けいさいされた「“ステルス”についての解説かいせつ」のなかには“アメリカぐん極秘ごくひ開発かいはつちゅうのステルス戦闘せんとう”についてほぼ実態じったいとらえたものもあり[14][15]前作ぜんさくの『F-19 Stealth Fighter』をデザインしたのちにテスターしゃとアンドリュースがメディアそのかたられた“ステルス”についてのあらたな情報じょうほうをMiG-37のデザインに反映はんえいさせたのであれば、アメリカぐんによる情報じょうほう公開こうかい以前いぜんちまた流布るふしている情報じょうほうのみから“ただしい”ステルス創作そうさくできたとしてもさほどの不思議ふしぎはない、とはえる。

登場とうじょう作品さくひん

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参考さんこう文献ぶんけん

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p.2-「MiG37フィレット[注釈ちゅうしゃく 5]ソ連それんステルス戦闘せんとう(1:48イタレリ)」/S.T.」
※なお、記事きじ前半ぜんはんでは編集へんしゅう創作そうさくによる“実際じっさい存在そんざいしている航空機こうくうきとして紹介しょうかいするグラビア”が展開てんかいされ、あたかも実在じつざい戦闘せんとうのように解説かいせつする構成こうせいとされている。

脚注きゃくちゅう出典しゅってん

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ a b c F-19、MiG-37どもにモデルキットの生産せいさんはテスターしゃ依頼いらいされて同社どうしゃ提携ていけい関係かんけいにあるイタレリ(Italeri)しゃがイタリア国内こくないおこなった。なお、イタレリしゃからも同社どうしゃのブランドで同一どういつ製品せいひん発売はつばいされており、イタレリしゃのほうが世界せかいてき販路はんろひろかったため、日本にっぽんではF-19、MiG-37ともに“イタレリの製品せいひん”として著名ちょめいである。
  2. ^ のちにF-117の情報じょうほう限定げんていてき公開こうかいされたさい、アメリカぐん軍事ぐんじ専門せんもんにF-117の機体きたい形状けいじょうからレーダー反射はんしゃ効率こうりつ推計すいけいすることを依頼いらいしたが、いずれの専門せんもん回答かいとう実際じっさいのF-117のものよりもはるかにおおきく見積みつもられた数値すうち提示ていじされていたという[4]。これはアメリカぐんが「限定げんていてき情報じょうほう公開こうかいであればF-117の性能せいのうや“ステルス”についての正確せいかく技術ぎじゅつ情報じょうほう秘匿ひとくつづけられる」として情報じょうほう公開こうかい問題もんだいなしと判断はんだんする根拠こんきょになった[4]
  3. ^ テスターしゃ特許とっきょ申請しんせい[11]記載きさいより。
  4. ^ a b c d 1/48モデルキットの説明せつめいしょ[12]なか解説かいせつ設定せってい)である"TECHNICAL NOTE"より
  5. ^ 英語えいごとしての"Ferret"は日本にっぽんでのカタカナ表記ひょうき / 発音はつおんは“フェレット”とされるのが通例つうれいだが、同誌どうし記事きじめいでは“フィレット”となっている。

出典しゅってん

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  1. ^ a b Ciotti, Paul (1986ねん10がつ19にち). “Tempest in a Toy Box : The Stealth Fighter Is So Secret the Pentagon Won't Admit It Exists. John Andrews Shocked Everyone by Building a Model of It. To Tell the Truth, He Says, It Wasn't All That Much Trouble.” (英語えいご). Los Angeles Times. https://www.latimes.com/archives/la-xpm-1986-10-19-tm-5852-story.html 2021ねん11月30にち閲覧えつらん 
  2. ^ a b MiG-37B Ferret E Testors”. scalemates. 2021ねん12がつ20日はつか閲覧えつらん
  3. ^ a b Mig-37B "Ferret - E" Italeri”. scalemates. 2021ねん12がつ20日はつか閲覧えつらん
  4. ^ a b c CUNNINGHAM, JIM. “CRACKS IN THE BLACK DIKE SECRECY, THE MEDIA, AND THE F-117A. - Did Published Reports on the Stealth Fighter Compromise Its Operational Capability?”. Airpower Journal - Fall 1991 Volume V, No. 3. 2008ねん3がつ6にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2022ねん2がつ4にち閲覧えつらん
  5. ^ a b MiG 37B Ferret E Italeri”. scalemates. 2021ねん12がつ20日はつか閲覧えつらん
  6. ^ BÍLEK MODELY”. 2021ねん12がつ20日はつか閲覧えつらん
  7. ^ Моделист на Ладожской”. 2021ねん12がつ20日はつか閲覧えつらん
  8. ^ MiG-37 Ferret Bilek”. scalemates. 2021ねん12がつ20日はつか閲覧えつらん
  9. ^ M-37 Ferret E Modelist”. scalemates. 2021ねん12がつ20日はつか閲覧えつらん
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  15. ^ CUNNINGHAM, JIM. “CRACKS IN THE BLACK DIKE SECRECY, THE MEDIA, AND THE F-117A. The Last Years of Classification”. Airpower Journal - Fall 1991 Volume V, No. 3. 2008ねん3がつ6にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2022ねん1がつ4にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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