日本にっぽんのアパレルを捨すて､直営ちょくえい化かする欧米おうべいブランド

三陽商会さんようしょうかいは英えいバーバリーに捨すてられてしまうのか──。

日本にっぽんのアパレル業界ぎょうかいは今いま、両社りょうしゃの成なり行ゆきをかたずをのんで見守みまもっている。三さん陽ひにとって、「バーバリー」は売上うりあげ高だかの半分はんぶん以上いじょうを占しめるといわれる基幹きかんブランドだ。１９７０年ねんにライセンス契約けいやくを結むすんで以来いらい、蜜月みつげつ関係かんけいを築きずいてきた。だがここに来きて、「バーバリーが三さん陽ひに見切みきりをつけ、日本にっぽんで自前じまえでのビジネスを本格ほんかく化かするのでは」との見方みかたが強つよまっている。

根拠こんきょとなっているのが、２００９年ねんに発表はっぴょうされたライセンス契約けいやく期間きかんの短縮たんしゅくだ。当初とうしょ２０年ねんまでだった期間きかんを１５年ねんまでに見直みなおした。三さん陽ひ側がわは「１５年ねんには再ふたたび契約けいやく更新こうしんする」（三陽商会さんようしょうかい）方針ほうしんだが、バーバリーが応おうじる保証ほしょうはどこにもない。

ただでさえ、三さん陽ひの置おかれた環境かんきょうは厳きびしい。百貨店ひゃっかてん中心ちゅうしんのブランドが伸のび悩なやみ、１１年ねん２月がつ期きの営業えいぎょう利益りえきは２４億おく円えん。ピークだった０２年ねん１２月がつ期きの５分ぶんの１以下いかまで落おち込こんでいる。バーバリーとのライセンス契約けいやくは、まさに死活しかつ問題もんだいだ。

ブランド有利ゆうりの契約けいやくに振ふり回まわされるアパレル

日本にっぽんのアパレルとライセンス契約けいやくを解消かいしょうし、自前じまえでの運営うんえいに走はしる欧米おうべいブランドは後ごを絶たたない。

最さいたる例れいは１９９８年ねんにデサントとのライセンス契約けいやくを打うち切きった「アディダス」だ。当時とうじのデサントは売うり上あげの４割わり強きょう、営業えいぎょう利益りえきの半分はんぶん近ちかくをアディダス商品しょうひんが占しめていいたが、２８年ねん続つづいた契約けいやくが突然とつぜん解消かいしょうされ、０１年ねんからの３期き連続れんぞく営業えいぎょう赤字あかじの引ひき金がねとなった。 

 また「アニエスベー」は９３年ねんから続つづいたサザビーリーグとの契約けいやくを０５年ねんに中途ちゅうと解消かいしょう。「ラルフローレン」もオンワおんわード樫山どかしやまとの契約けいやくを０７年ねんに終了しゅうりょうした。その後ご、両りょうブランドとも自みずから日本にっぽんで事業じぎょうを始はじめている。

「せっかくわれわれがブランドを成長せいちょうさせても、ビッグビジネスになるとブランド本体ほんたいが乗のり込こんできて販売はんばい権けんを奪うばわれてしまう」と中堅ちゅうけんアパレル幹部かんぶは嘆なげく。

これまで日本にっぽんのアパレルはライセンス契約けいやくを重宝ちょうほうしてきた。ブランド側がわのチェックは入はいるものの、売上うりあげ高だかの１０％程度ていどといわれるロイヤルティを払はらうだけで、自社じしゃ企画きかくの商品しょうひんを著名ちょめいブランドの名前なまえで販売はんばいできる。資金しきんが潤沢じゅんたくでない中小ちゅうしょう企業きぎょうが乱立らんりつする日本にっぽんのアパレルにとって、カネと時間じかんをかけて自社じしゃブランドを育成いくせいする手間てまが省はぶけるのが魅力みりょくだ。