泉佐野いずみさの市しも除外じょがい？ふるさと納税のうぜい、6月がつから返礼へんれい品ひんや住民じゅうみん税ぜい減額げんがくの恩恵おんけいを受うけられない事態じたい続出ぞくしゅつ？

泉佐野いずみさの市しふるさと納税のうぜい特別とくべつサイト「さのちょく」より

　元もと国税局こくぜいきょく職員しょくいん、さんきゅう倉田くらたです。好すきな返礼へんれい品ひんは「気持きもち」です。

　6月1日にちから、ふるさと納税のうぜいのルールが厳きびしくなります。今いままで、総務そうむ省しょうから注意ちゅういされても、断固だんこたる決意けついで自みずからの方針ほうしんを変かえなかった自治体じちたいも、年貢ねんぐの納おさめどきです。恩恵おんけいを受うけていたふるさと納税のうぜいユーザーからすれば、いい迷惑めいわくかもしれません。しかし、一部いちぶの自治体じちたいだけが真面目まじめにルールを守まもる現状げんじょうは、行政ぎょうせいとしてややいびつです。

　今回こんかいは、ルールが厳格げんかくになってからでは効果こうかが薄うすいと考かんがえ、今いまのうちに、ふるさと納税のうぜいの魅力みりょくを紹介しょうかいしたいと思おもいます。

　ふるさと納税のうぜいを行おこなったことがない方ほうは、何なにが得とくなのか、よくわからないかと思おもいます。平ひらたくいうと、払はらったお金かねが1年ねん後ごに戻もどってきて、さらに返礼へんれい品ひんももらえるので、「返礼へんれい品ひんがもらえる分ぶん、得とくしますよ」というのが、一般いっぱん的てきにいわれているメリットです。

　会社かいしゃ員いんや公務員こうむいんは、所得しょとく税ぜいを減へらす方法ほうほうが限かぎられていて、ふるさと納税のうぜいはその限かぎられたなかで、もっとも有名ゆうめいで楽たのしい制度せいどです。返礼へんれい品ひん競争きょうそうが過熱かねつしてからは、今いままで確定かくてい申告しんこくをしていなかった方ほうもふるさと納税のうぜいに参加さんかして、確定かくてい申告しんこくを行おこなうようになりました。

　所得しょとくによって限度げんど額がくが異ことなるので、年中ねんじゅうにその年としの所得しょとくがわからない個人こじん事業じぎょう者しゃには不向ふむきですが、会社かいしゃ員いんは、前年ぜんねんの所得しょとくから今年ことしの所得しょとくが計算けいさんしやすいので、年中ねんじゅう、年初ねんしょでも問題もんだいなく申もうし込こむことができると思おもいます。

　手続てつづきは難むずかしくなく、「さとふる」などのポータルサイトで、自治体じちたいごとのさまざまな返礼へんれい品ひんからお気きに入いりの品しなを探さがし、決済けっさいをします。翌年よくねん、確定かくてい申告しんこくをして（「ワンストップ特例とくれい」を使つかえば、確定かくてい申告しんこくも不要ふよう）、所得しょとく税ぜいの還付かんぷや住民じゅうみん税ぜいの減額げんがくを受うけて終了しゅうりょうです。

　所得しょとくによって限度げんど額がくの差さはありますが、仕組しくみはみんな一緒いっしょです。しかし、返礼へんれい品ひんの選えらび方かた次第しだいで、どのくらい得とくするのかが異ことなります。

6月がつから厳きびしくなる返戻へんれい率りつ

　総務そうむ省しょうの“お達たっし”によると、「1万まん円えん寄付きふした場合ばあいの御礼おれいの品しなは3000円えんまで」となっています。ふるさと納税のうぜい界隈かいわいで話題わだいになる「返戻へんれい率りつ3割わり」というのは、このことです。しかし、守まもらなくても罰則ばっそくはなく、一部いちぶの自治体じちたいは3割わりを超こえる返礼へんれい品ひんを送おくっていました。申もうし込こんだふるさと納税のうぜいの返礼へんれい品ひんが2割わりの品しななのか、4割わりの品しななのかは、よく調しらべないとわからないわけです。

　しかし、6月がつからはルールが変かわり、「地場じば産品さんぴんで返戻へんれい率りつ3割わり」を守まもらないと、ふるさと納税のうぜいをした人ひとが、制度せいどの恩恵おんけいを受うけられなくなります。自治体じちたいはルールを遵守じゅんしゅせざるを得えません。

　数多あまたある地方自治体ちほうじちたいのなかで、もっともふるさと納税のうぜいでお金かねを集あつめているのが、大阪おおさか府ふの泉佐野いずみさの市しです。泉佐野いずみさの市しは、5月がつ現在げんざい、キャンペーンを行おこなっていて、そのひとつが「返戻へんれい率りつ3割わり＋Amazonギフト券けん2割わり」という返礼へんれい品ひんの送付そうふです。

　他たを寄よせつけない圧倒的あっとうてきに高額こうがくな返礼へんれい品ひんにより、駆かけ込こみのふるさと納税のうぜいが殺到さっとうしているようです。昨年度さくねんどは497億おく円えんを集あつめたといわれていますが、今年ことしの上半期かみはんきは、それを超こえるかもしれません。

　ぼくは、泉佐野いずみさの市しとなんの関係かんけいもありませんが、お世話せわになっている人ひとたちには、泉佐野いずみさの市しのことを伝つたえました。「これをやると得とくですよ」という情報じょうほうは、場合ばあいによっては相手あいてからの信用しんようを損そこねる可能かのう性せいがあるので控ひかえていますが、5月で終おわってしまうキャンペーンの情報じょうほうを聞きいて、いてもたってもいられなくなってしまったのです。

　この記事きじを書かいていたところ、6月がつから泉佐野いずみさの市しを含ふくむ4自治体じちたいは、ふるさと納税のうぜいに参加さんかできない見通みとおしです。除外じょがいされた自治体じちたいにふるさと納税のうぜいを行おこなっても、所得しょとく税ぜいの還付かんぷや住民じゅうみん税ぜいの減額げんがくは受うけられないと思おもわれます。そのため、泉佐野いずみさの市しは寄付きふ金きんへの返礼へんれい率りつを実質じっしつ6割わりに引ひき上あげる新しんキャンペーンを始はじめました。新しん制度せいどが始はじまるまでに寄付きふ金きんをできるだけ集あつめようとの狙ねらいです。

　泉佐野いずみさの市し以外いがいにも、5月がつまで返礼へんれい品ひんを強化きょうかしている自治体じちたいがあるかもしれません。これからルールが厳きびしくなり、少すこしずつふるさと納税のうぜいの役割やくわりも変化へんかしていくでしょう。以前いぜんから、返礼へんれい品ひんで寄付きふ金きんを集あつめるのではなく、集あつまったお金かねの使つかいみちで誘引ゆういんする自治体じちたいがありました。

　たとえば、「北方領土ほっぽうりょうど返還へんかん運動うんどうに使つかいます」「世界せかいレベルのスキープレイヤーを育成いくせいします」「サーファーが住すみたくなる街まちづくりをします」など、地域ちいきの特性とくせいを生いかしたさまざまな使つかいみちで魅力みりょくを伝つたえようとされています。今後こんごは、使つかいみちによる自治体じちたいの選択せんたくが主流しゅりゅうになる可能かのう性せいもあります。

　もしかすると、あなたのふるさとが、医療いりょう費ひや教育きょういく費ひに使つかうためにふるさと納税のうぜい制度せいどを活用かつようしているかもしれません。
（文ぶん＝さんきゅう倉田くらた／元もと国税局こくぜいきょく職員しょくいん、お笑わらい芸人げいにん）