「あなたは誰だれ？」
息子むすこを忘わすれていく母ははと、母ははとの思おもい出でを蘇よみがえらせていく息子むすこ。
ふたりには忘わすれることのできない“事件じけん”があったーー。
現代げんだいに新あらたな光ひかりを投なげかける、愛あいと記憶きおくの物語ものがたり。

『世界せかいから猫ねこが消きえたなら』『億おく男なん』『四よん月がつになれば彼女かのじょは』の著者ちょしゃ、待望たいぼうの最さい新刊しんかん！

【内容ないよう紹介しょうかい】
大晦日おおみそか、実家じっかに帰かえると母ははがいなかった。
息子むすこの泉いずみは、夜よるの公園こうえんでブランコに乗のった母はは・百合子ゆりこを見みつける。
それは母ははが息子むすこを忘わすれていく日々ひびの始はじまりだった。

認知にんち症しょうと診断しんだんされ、徐々じょじょに息子むすこを忘わすれていく母ははを介護かいごしながら、泉いずみは母ははとの思おもい出でを蘇よみがえらせていく。
ふたりで生いきてきた親子おやこには、どうしても忘わすれることができない出来事できごとがあった。
母ははの記憶きおくが失うしなわれていくなかで、泉いずみは思おもい出だす。
あのとき「一いち度ど、母ははを失うしなった」ことを。
泉いずみは封印ふういんされていた過去かこに、手てをのばすーー。

現代げんだいにおいて、失うしなわれていくもの、残のこり続つづけるものとは何なにか。
すべてを忘わすれていく母ははが、思おもい出ださせてくれたこととは何なにか。