(Translated by https://www.hiragana.jp/)
海外恋愛小説のおすすめ8選!甘く切ない世界に浸る | ホンシェルジュ

海外かいがい恋愛れんあい小説しょうせつのおすすめ8せんあませつない世界せかいひた

更新こうしん:2021.12.16

海外かいがい小説しょうせつ苦手にがて意識いしきっているほうもいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、名作めいさくらずにはいられないもの。恋愛れんあい小説しょうせつ共感きょうかんできる部分ぶぶんおおく、すんなり物語ものがたりはいめ、海外かいがい小説しょうせつ初心者しょしんしゃけです。なかでもおすすめの6作品さくひんをご紹介しょうかいします。

ブックカルテ リンク

初恋はつこい甘美かんびさと残酷ざんこくさをえが海外かいがい恋愛れんあい小説しょうせつ『はつこい

初恋はつこいという言葉ことばには、なんとも甘酸あまずっぱい空気くうきただようものですが、初恋はつこい成就じょうじゅしない、という定説ていせつがあります。はじめての感情かんじょうまわされ、未熟みじゅく部分ぶぶんりになるからかもしれませんが、こいひと成長せいちょうする、そういうものなのでしょう。

海外かいがい恋愛れんあい小説しょうせつ名作めいさく『はつこい』は、ロシアにまれ、のちにパリで活躍かつやくした作者さくしゃ、イワン・セルゲーエヴィチ・ツルゲーネフのはん自伝じでんてき作品さくひんだといわれています。ツルゲーネフとほんさく主人公しゅじんこう、ウラジーミルは境遇きょうぐうており、ツルゲーネフのちち美男びなん婿養子むこようしはははたいそうきびしいひとだったという情報じょうほうってページをめくれば、ツルゲーネフのかれた境遇きょうぐうさっすることができます。

16さいなつ、モスクワ市内しないにあるみずうみのほとりの別荘べっそう両親りょうしんらしていたウラジーミルは、となりしてきた年上としうえ少女しょうじょ、ジナイーダにこいをします。彼女かのじょおとこからかれるいろっぽい女性じょせいで、好意こういせてくる「崇拝すうはいしゃ」たちをはべらせてはいいようにあしらい、たのしんでいました。

ジナイーダの横暴おうぼういにも、恋心こいごころつのるウラジーミル。あるさかいに、ジナイーダの様子ようす変化へんかしていることにきます。自分じぶんにもきゅうやさしくなったり、はなしたり。その行動こうどうだれかにこいをしているせいだとかんがえたウラジーミルは、あらしばんに、にナイフをしのばせながら、ジナイーダのこい相手あいてたしかめようとせします。そこにあらわれたのは、なんとウラジーミルのちち、ピョートルでした。

著者ちょしゃ
ツルゲーネフ
出版しゅっぱん
1952-12-29

初恋はつこいひとした相手あいて自分じぶん父親ちちおやという衝撃しょうげきてき展開てんかいですが、嫉妬しっとしん猜疑心さいぎしんにからめとられ、あらゆる感情かんじょう発露はつろしていくようは、おぼえがあるせいか、むねけられ、息苦いきぐるしささえもおぼえます。しかし、ジナイーダの女王じょおうさまっぷりがどうはいっていて、なんだか可愛かわいらしくえてしまうのがこまったところ。こいをして少女しょうじょから女性じょせい変化へんかしていく姿すがたにも、見張みはります。

ジナイーダの「自分じぶん見下みくださなければならないようなおとこには興味きょうみいの。わたし興味きょうみがあるのは、むしろ自分じぶん服従ふくじゅうさせるひとだけ」という言葉ことばは、現実げんじつとしてかたちをとっていきます。その姿すがたは、こいひとえるという言葉ことばそのもの。ウラジーミルとジナイーダのはじめてのこい。どこか哀愁あいしゅうただよう、一瞬いっしゅんのきらめきをめた海外かいがい恋愛れんあい小説しょうせつです。

イギリスを舞台ぶたいにした5にん姉妹しまいこい行方ゆくえは?『高慢こうまん偏見へんけん

兄弟きょうだいおおい、というひとすくなくなってきたなかですが、長男ちょうなん長女ちょうじょなかすえ一人ひとりと、環境かんきょうによって性格せいかくちがうというはなしてきたりします。やはり順番じゅんばんによってことなるもので、とくに4にん以上いじょう兄弟きょうだいそだったひとは、その位置いち明確めいかくことなることを実感じっかんしていることでしょう。

おもに18世紀せいきから19世紀せいきのイギリスを舞台ぶたいにした作品さくひんおおのこし、海外かいがい文学ぶんがく代表だいひょうする女流じょりゅう作家さっか、ジェーン・オースティンの長編ちょうへん恋愛れんあい小説しょうせつ高慢こうまん偏見へんけん』は、5にん姉妹しまい物語ものがたりです。おんな5にんともなるとそりゃ大変たいへんだろうなと想像そうぞうできるのですが、主人公しゅじんこう次女じじょエリザベス・ベネットは、勝気かちき性格せいかくから姉妹しまいをまとめていて、少々しょうしょう苦労くろうする役回やくまわりです。

著者ちょしゃ
ジェイン・オースティン
出版しゅっぱん
2006-02-04

舞台ぶたいとなっているイギリスでは、1800年代ねんだいごろは「女性じょせいしあわせ=結婚けっこん」という図式ずしき大前提だいぜんてい世界せかいでした。女性じょせいはたらこうはほぼないため、結婚けっこん文字通もじどお死活しかつ問題もんだい。ベネットとく跡取あとと息子むすこがいないため、ちちんでしまえば家屋かおくじきすべて従兄弟いとこわたはずとなっているのです。

姉妹しまい条件じょうけん相手あいて結婚けっこんさせようと躍起やっきになっているははは、独身どくしん資産しさんビングリーが別荘べっそうりてしてきたことをると、舞踏ぶとうかい約束やくそくりつけます。美人びじんでおっとりとした性格せいかく長女ちょうじょ、ジェーンとビングリーが雰囲気ふんいきとなっているなか、エリザベスはビングリーの友人ゆうじんフィッツウィリアム・ダーシーが自分じぶんかるんじる発言はつげんをしているのをき、その高慢こうまんさにはらて、反感はんかんいだきます。

ダーシーはその気難きむずかしい性格せいかくのせいか、高慢こうまん鼻持はなもちならないとおもわれがちなのですが、じつはかなり誠実せいじつ人物じんぶつ。エリザベスにかれているものの、エリザベスが誤解ごかいしているため、なかなか距離きょりちぢめることができません。エリザベスはジェーンのフォローをしつつも、奔放ほんぽうよんじょキャサリンとじょリディアの動向どうこうひからせており、なんだかあわただしいエリザベスとダーシーはいつこい進展しんてんさせるのか、と少々しょうしょう不安ふあんになる場面ばめんも。

姉妹しまい結婚けっこんさせようと画策かくさくするはは行動こうどうや、青年せいねん仕官しかんウィカムとすえいもうとリディアのちなど、つぎからつぎへと騒動そうどうこります。ダーシーとエリザベスは強気つよき性格せいかく同士どうしなため、進展しんてんがモタモタ気味きみなところもこの海外かいがい恋愛れんあい小説しょうせつどころのひとつ。わりといい加減かげんちちと、結婚けっこんのためなら盛大せいだいのひらがえしをしてくる母親ははおやのキャラクターが強烈きょうれつわらいをさそいます。

結婚けっこんまでには紆余曲折うよきょくせつがあり、相手あいて身分みぶん出自しゅつじわれる階級かいきゅう社会しゃかいでは、なにかと面倒めんどうごとがりかかります。オースティンのきた時代じだい結婚けっこんかんちがうため、理解りかいむずかしい部分ぶぶんもありますが、当時とうじ文化ぶんかかんがかたなどにれることのできる海外かいがい恋愛れんあい小説しょうせつであるともいえるでしょう。エリザベスとダーシー、そしてベネット5姉妹しまいがどうなるのか。ドタバタげき終幕しゅうまく見届みとどけてください。

あまくて官能かんのうてき大人おとな海外かいがい恋愛れんあい小説しょうせつ『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』

映画えいがされ、そのエロティックさから話題わだいとなったほんさくは、イギリスの作家さっか、E・L・ジェイムズによる恋愛れんあい小説しょうせつです。主婦しゅふ女性じょせいけにいた官能かんのう小説しょうせつ「マミー・ポルノ」とばれ、アメリカなどでベストセラーとなりました。

平凡へいぼん女子大じょしだいせいであるアナスタシアは、卒業そつぎょう試験しけん目前もくぜんひかえたあるねつした親友しんゆうわりに、学生がくせい新聞しんぶん記者きしゃとしてインタビューをすることになります。相手あいてはシアトルにあるだい企業きぎょう創始そうししゃであり、CEOでもあるクリスチャン・グレイ。インタビューをきっかけに、たがいにかれるようになったものの、アナは世界せかいちがう、とわすれようとします。

しかし、執拗しつよう高額こうがくプレゼントをしてアプローチをしてくるのにもかかわらず、普通ふつう恋人こいびと同士どうしにはなれない、と拒絶きょぜつするクリスチャンにはらてたアナは、クリスチャンの秘密ひみつあばこうとります。アナをとある部屋へや案内あんないしたクリスチャン。そこにはむち手錠てじょうかれた部屋へやがありました。

著者ちょしゃ
E L ジェイムズ
出版しゅっぱん
2015-01-09

相手あいてのすべてを屈服くっぷくさせ、服従ふくじゅうさせたいというよくっているクリスチャンと、性的せいてき趣向しゅこうはノーマルなアナの過激かげき恋愛れんあい物語ものがたり展開てんかいされるほんさく。SMプレイもさることながら、契約けいやく関係かんけいむすび、「支配しはいしゃ」と「従属じゅうぞくしゃ」になってしまうという展開てんかいおどろかされます。

あいするがゆえ相手あいておうとするものの、自身じしんっている、あいされたいという欲求よっきゅうてられないアナ。どうしても服従ふくじゅうさせたいというよくすことができないクリスチャン。たがいをおもっているからこそ、しん欲望よくぼう制御せいぎょできず、苦悩くのうする姿すがたむねせまります。

設定せっていのアブノーマルさがきますが、これはだれしもしんおくにをかくしている欲望よくぼうそのもの。たがいによくをさらけし、あいされることをねがうアナとクリスチャンの、いたいくらいの愛情あいじょうかんじることができるでしょう。エロティックですが意外いがい純愛じゅんあいこい模様もようをおたのしみください。

音楽おんがくをテーマに男女だんじょ姿すがたつむぎだすたん編集へんしゅう夜想曲やそうきょくしゅう

大人おとな音楽おんがくというと、ジャズというイメージがあります。あわひかりちるすこ薄暗うすぐらいバーカウンターにジャズがながれる、それだけで大人おとな雰囲気ふんいきかんることができるということは、おとから発生はっせいするイメージは、人間にんげんおおきな影響えいきょうおよぼしているといえるのでしょう。

日系にっけいイギリスじんのカズオ・イシグロがえが音楽おんがく物語ものがたり凝縮ぎょうしゅくされた海外かいがい恋愛れんあい小説しょうせつが『夜想曲やそうきょくしゅう』。副題ふくだいに『音楽おんがく夕暮ゆうぐれをめぐるいつつの物語ものがたり』とあるように、音楽おんがくをテーマに5くみ男女だんじょ関係かんけいえがいていきます。

登場とうじょうするのは、音楽おんがくてき才能さいのうっているものの、ないものたちばかり。ヴェネツィアのながしのギタリストが、いた歌手かしゅから奇妙きみょう依頼いらいける「ろう歌手かしゅ」。英会話えいかいわ教師きょうし同級生どうきゅうせい夫婦ふうふもと訪問ほうもんしたさい失態しったいえがく「ってもれても」。あね夫婦ふうふ経営けいえいする宿泊しゅくはく施設しせつでミュージシャンの青年せいねん観光かんこうきゃく夫婦ふうふ出会であう「モールバンヒルズ」。れないサックス奏者そうしゃがセレブな女性じょせい表題ひょうだいさく夜想曲やそうきょく」。チェリストと指導しどうしゃ女性じょせい不思議ふしぎ関係かんけいせる「チェリスト」。長編ちょうへん作品さくひんにはない、短編たんぺんならではのコメディタッチでユーモアにあふれた恋愛れんあい小説しょうせつばかりです。

著者ちょしゃ
カズオ イシグロ
出版しゅっぱん
2011-02-04

とくに「ってもれても」は、友人ゆうじんのためにかれつまとの関係かんけい修復しゅうふくすべくやくの「ぼく」が奮闘ふんとうする姿すがたえが物語ものがたりわか夫婦ふうふではなく、50さいちか夫婦ふうふということもあって、老齢ろうれい離婚りこんという言葉ことばがちらつきます。親友しんゆうのために頑張がんばっていたはずなのに、うっかりてしまった日記にっき自分じぶんのことがかれてあっていか心頭しんとう。しわくちゃにしてしまった日記にっきばすために悪戦苦闘あくせんくとうする姿すがたわらいをさそいます。

なんでもない日常にちじょうに、些細ささい変化へんかあたえてくれるだれかと不意ふい出会であうという、ちょっとした日常にちじょうはいんでくるような設定せっていにしている手法しゅほう見事みごとです。「夜想曲やそうきょく」は、醜男ぶおとこであることをつま指摘してきされ、整形せいけい手術しゅじゅつけたサックス奏者そうしゃであるかたの「わたし」が主人公しゅじんこう整形せいけい手術しゅじゅつ包帯ほうたいぐるぐる姿すがたが「オペラ怪人かいじん」のようにおもえ、物語ものがたりおもわぬところからげます。

音楽家おんがくか目指めざしていたことがあるカズオ・イシグロの経歴けいれきどおり、音楽おんがく夕暮ゆうぐれの描写びょうしゃ見事みごと恋愛れんあい小説しょうせつばかり。かたちからいてたのしめるたん編集へんしゅうです。

革命かくめい運動うんどう展開てんかいされるこい物語ものがたり存在そんざいえられないかるさ』

ひとむところにくにがあり、くにほう規則きそくひとしばることで規律きりつまもらせています。しかし、国民こくみん意思いしとは関係かんけいなく、くにかたち維持いじするために、いびつさをしていき、やがてそのかたちを、ひときていくにはくるしい方向ほうこうへとえていってしまうのです。

存在そんざいえられないかるさ』は、チェコ出身しゅっしんでフランスに亡命ぼうめいした作家さっか、ミラン・クンデラによる恋愛れんあい小説しょうせつ。1968ねん社会しゃかい主義しゅぎ政権せいけんで、自由じゆう民主みんしゅかなえるべくチェコスロバキアでこった改革かいかくを、ソ連それんをはじめとしたワルシャワ条約じょうやく機構きこうの5カ国かこくぐん抑圧よくあつした、いわゆるプラハのはる題材だいざいに、その渦中かちゅうきる男女だんじょこいえがきました。

著者ちょしゃ
ミラン クンデラ
出版しゅっぱん

普通ふつう恋愛れんあい小説しょうせつよりは哲学てつがくてきで、ひと価値かちかんなかでのおもさとかるさの判断はんだん基準きじゅん疑問ぎもんげかけてきます。物理ぶつりてきなものではなく、たとえばまれや身分みぶんによって、いのちおもさはわるのか。あいなにかにえられるほどかるいものなのか。作中さくちゅうでは政変せいへんにより人生じんせい生命せいめいかるあつかわれてしまうような状況じょうきょうで、ニーチェの思想しそうである「永劫えいごう回帰かいき」を根底こんていき、男女だんじょ関係かんけいなか様々さまざま思想しそうまじえ、読者どくしゃかたけてくるのです。

ミラン・クンデラのいかけに、読者どくしゃ両手りょうて言葉ことばかかえたままで、物語ものがたり彷徨うろついながらこたえをさぐっていきます。政治せいじ哲学てつがくてき思想しそうりばめられているため、純粋じゅんすいこい物語ものがたりたのしむというよりは、こい媒介ばいかい人間にんげん思想しそう考察こうさつ堪能たんのうする物語ものがたりという側面そくめんつよほんさく純文学じゅんぶんがくきわみのような恋愛れんあい小説しょうせつですが、ミラン・クンデラのいかけと考察こうさつふかひたることができる名作めいさくです。

わか王子おうじあいした二人ふたりおんな『ハムレット』

シェイクスピアの作品さくひん恋愛れんあいものといえば『ロミオとジュリエット』が有名ゆうめいですが、復讐ふくしゅうげきとしてられるほんさくにも悲恋ひれんのエピソードがてきます。

デンマーク王子おうじのハムレットはちちおうくしたかなしみと、ははちち死後しごあいだもなく叔父おじクローディアスと再婚さいこんしたことでふかきずついています。城壁じょうへきちち亡霊ぼうれい出現しゅつげんするといてたしかめにったかれは、ちちが、王位おうい王妃おうひねらうクローディアスの陰謀いんぼうであったことをり、復讐ふくしゅうちかうのです。

クローディアスにあやしまれぬよう、狂人きょうじんのふりをするハムレット。かれはは部屋へやぬすきをしていた宰相さいしょうころしてしまいます。さらかれ求愛きゅうあいしていた宰相さいしょうむすめオフィーリアは、恋人こいびとわりようちちかなしむあまり本当ほんとう発狂はっきょうし、あやまってかわちてくなってしまうのです。最終さいしゅうてきにハムレットは復讐ふくしゅうたすのですが、ははである王妃おうひ宰相さいしょう息子むすこ自分じぶん自身じしんいたるというかなしい結末けつまつになっています。

著者ちょしゃ
ウィリアム シェイクスピア
出版しゅっぱん
1967-09-27

ハムレットはオフィーリアをあいしていました。しかし、かれなかにはもう1人ひとり大切たいせつ女性じょせいがいました。それはははである王妃おうひガートルードです。当時とうじ慣習かんしゅうでは義弟ぎていとの再婚さいこん近親きんしん相姦そうかんにあたりずべきものであったとかんがえられています。きよ尊敬そんけいすべき存在そんざいであってほしいはは再婚さいこんすることさえくるしいのに、それが罪深つみぶか結婚けっこんであったということは、ハムレットを絶望ぜつぼうさせます。かれはそんなははからまれた自分じぶんけがれた存在そんざいだとかん自尊心じそんしんうしなったことでしょう。復讐ふくしゅう決意けついしたのちのハムレットのオフィーリアへの言葉ことばは、狂人きょうじんよそおっていたにしてもはげしい拒絶きょぜつちており、かれ人間にんげん不信ふしんとく女性じょせい不信ふしんおちいったことがうかがえます。

しかし、オフィーリアの埋葬まいそう場面ばめんくわしたかれふかかなしみをあらわし、彼女かのじょへのあいくちにします。それが彼女かのじょあにレアティーズとのあらそいをび、かれらの最期さいごへとつづみちつくることとなってしまうのでした。

『ハムレット』は戯曲ぎきょくです。はじめは戸惑とまどうかもしれませんが、セリフだけで構成こうせいされているぶんはじめるとサクサクとめてしまいます。また、普通ふつうほんくらべて場面ばめん想像そうぞうふくらみやすいことでしょう。是非ぜひこの機会きかいにしてみてください。

すべてをくすほのおのようなこい『サロメ』

恋愛れんあいにおいてはとどかないおもいだから余計よけいえる、ということがあるようです。『サロメ』もそんなふうにめる物語ものがたりです。

ユダヤのおうエロドはあにころし、そのつまエロディアスと王位おういます。罪深つみぶかおうとそこにした王妃おうひはげしく糾弾きゅうだんする預言よげんしゃヨカナーンは幽閉ゆうへいされていますが、王女おうじょサロメはかれってみたいといいはります。ヨカナーンをたサロメはこいちますが、かれはサロメをもけがれたものとなし、彼女かのじょ拒否きょひします。失意しついのサロメはおどりを披露ひろうすればなんでも褒美ほうびをやるというおう言葉ことばうつくしくってこたえ、ヨカナーンのくび所望しょもうします。代替だいたいあんみとめずただくびをほしがるサロメに根負こんまけしたおうはついにぎん大皿おおざらせた預言よげんしゃくびあたえます。そのくちびるにキスするサロメ。

著者ちょしゃ
ワイルド
出版しゅっぱん
2000-05-16

サロメは王女おうじょであり、うつくしい乙女おとめです。エロドやわかきシリアじん彼女かのじょ様子ようすからそれがうかがえます。しかし、ヨカナーンは彼女かのじょくらいどうじず、そのうつくしさにけることもしません。サロメがどんな言葉ことばあいうたっても、そのこえとどきません。かえってますます邪険じゃけん拒否きょひされてしまいます。拒否きょひされればされるほどがるサロメのおもいが、ヨカナーンを、そして最終さいしゅうてきにはサロメ自身じしんいやります。はげしすぎるこいほのおは、みずからもくしてしまうのです。

この作品さくひん戯曲ぎきょくぶんがなく、また非常ひじょうみじかいので、セリフのうらかくされた登場とうじょう人物じんぶつたちのおもいは読者どくしゃ想像そうぞうりょくたくされています。たしてサロメはこいじゅんじた純粋じゅんすいぎる乙女おとめだったのか、むくわれぬこいのためくるった倒錯とうさくあいしゃだったのか。ピアズレーのあやしい挿絵さしえたのしみつつ、想像そうぞうふくらませてあじわっていただきたい1さつです。

大人おとな女子じょしにおすすめの海外かいがい恋愛れんあい小説しょうせつ朗読ろうどくしゃ

大人おとな女子じょしたるもの海外かいがい文学ぶんがくにもけなくてはいけませんね。今回こんかい紹介しょうかいする5作品さくひんなかではもっとおもく、はかな恋愛れんあい小説しょうせつかもしれません。ドイツじん作家さっかによる、つみ戦争せんそうかげうちめた純粋じゅんすいあい物語ものがたりです。

15さいのミヒャエルは黄疸おうだんにかかってしまいます。学校がっこうかえみちくるしんでいると一人ひとり女性じょせいたすけてくれます。それが21さい年上としうえのハンナです。元気げんきになったミヒャエルはハンナにおれいつたえるため、彼女かのじょいにき、そこで女性じょせいというものと遭遇そうぐうすることになります。

女性じょせいたりにし、そのからげだしてから1週間しゅうかん、ミヒャエルはハンナのいえ戸口とぐちっています。そしてその、ミヒャエルはこいちるのです。だれらない秘密ひみつ逢瀬おうせはじまります。関係かんけいふかめていくなかで、ハンナがほんんでとします。それはにん習慣しゅうかんとなっていきます。朗読ろうどくをし、シャワーをび、あいわす日々ひび

しかし、そうしたしあわせな時間じかん唐突とうとつわりをむかえます。ハンナは姿すがたしてしまうのです。再会さいかいするのはミヒャエルが大学生だいがくせいになってからです。ゼミでげられたナチスの戦争せんそう犯罪はんざいかんする裁判さいばん傍聴ぼうちょうしたとき、あろうことかハンナは被告人ひこくにんとしてそのにいたのです。

あきらかになるハンナがかかえる秘密ひみつ関係かんけいないとおもえた年齢ねんれい強制きょうせい収容しゅうようしょという異質いしつ場所ばしょおこなわれたこと、そのにいたひとたちのかんがえ、それを見聞みききしたひとたちのかんがえ、正義せいぎ。そういったすべての事柄ことがらが、ミヒャエルにりかかります。ハンナがなにおもっているのか、自分じぶんなにができてなにができないのか。

著者ちょしゃ
ベルンハルト シュリンク
出版しゅっぱん
2003-05-28

ずっしりとしたテーマでありながら、みやすくかれています。そのおかげなのか読後感どくごかんはとてもスッキリしたものです。秘密ひみつあきらかになるにつれ、ハンナの行動こうどうひとひとつになみだてしまい、クライマックスではほんらしてしまいました。

戦争せんそうというこたえのしづらい問題もんだい直視ちょくししながらませるふかはかなあい。この物語ものがたりわたしたちにあたえる影響えいきょうはかれないでしょう。

ほんさく映画えいがもされていて、そちらも有名ゆうめい邦題ほうだいは『あいひと』です。興味きょうみのあるほうはそちらもぜひ。

くに時代じだいちがえば、価値かちかんわるものですが、ひとがれるしん普遍ふへんてきなものです。様々さまざまくに時代じだい恋愛れんあい小説しょうせつみ、だれかをこいしくおも気持きもちにぜひれてみてください。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと もっと見る