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プーシキンのおすすめ作品5選!ロシア文学に影響を与えた詩人。 | ホンシェルジュ

プーシキンのおすすめ作品さくひん5せん!ロシア文学ぶんがく影響えいきょうあたえた詩人しじん

更新こうしん:2021.12.21

モスクワにまれた、詩人しじん作家さっかのプーシキン。わかころから才能さいのう開花かいかさせ、批判ひはん精神せいしん度々たびたび当局とうきょくから迫害はくがいされながらも、逆境ぎゃっきょうこごめしないつよ精神せいしん数々かずかず名作めいさくしました。絶大ぜつだい国民こくみん支持しじいまもなおほこる、その広大こうだい豊饒ほうじょう作品さくひんれてみませんか。

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ロシアの偉大いだい国民こくみん詩人しじん、プーシキン

1799ねん、モスクワの貴族きぞくいえまれたアレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン。わかくしてロシア文学ぶんがくかいられ、1820ねんはやくも代表だいひょう作品さくひんひとつ『ルスランとリュドミラ』をきます。

徐々じょじょ作品さくひん政治せいじしょくびていき、権力けんりょくこごめしない主張しゅちょう当局とうきょくけられ作品さくひん発表はっぴょうかぎられつつも数々かずかず名作めいさくのこし、37さいにして決闘けっとう事件じけん怪我けががもとで死去しきょしました。

近代きんだいロシア文学ぶんがくちちとされ、それまでまりのおおかった文章ぶんしょう口語こうごれるなど、ロシア文学ぶんがくをよりいきいきとしたしみやすいものにしてその世界せかいゆたかにひろげました。

韻文いんぶん小説しょうせつはじめ、叙事詩じょじし散文さんぶん詩劇しげき童話どうわ紀行きこうぶんなど様々さまざまなジャンルをがけ、作品さくひんのテーマは広範こうはんです。詩情しじょうあふれるドラマティックなストーリーで、オペラされた作品さくひん複数ふくすうあります。

名作めいさく短篇たんぺんしゅう『スペードの女王じょおう・ベールキン物語ものがたり

はじめに収録しゅうろくされているのは短篇たんぺん小説しょうせつ「スペードの女王じょおう」です。

としわか工兵こうへい士官しかんのゲルマンは、毎夜まいよカード勝負しょうぶ寄合よりあいにあしはこぶものの、堅実けんじつ性格せいかくけには一切いっさい参加さんかしませんでした。そんなおり、ある年老としおいた伯爵はくしゃく夫人ふじん必勝ひっしょうほうっているらしい、というまことしやかなうわさみみにします。

野心やしん目覚めざめ、秘密ひみつをききだそうとついに夫人ふじんいえしのみますが、問答もんどうすえ夫人ふじんはショックしてしまいます。彼女かのじょ葬式そうしきばん、ゲルマンの寝室しんしつあらわれた白装束しろしょうぞく夫人ふじんはファラオンで3、7、1にければてる、と進言しんげんするのですが……。

著者ちょしゃ
プーシキン
出版しゅっぱん
2005-04-15

「スペードの女王じょおう」はゴシックのかおただよ怪談かいだんでラストにはぞっとさせられますが、ふとしたきっかけでめていた野望やぼうくびをもたげ、みちはずしたひとがどうなっていくかをいた寓話ぐうわてき作品さくひんでもあります。

また「ベールキン物語ものがたり」も有名ゆうめいで、ベールキンという人物じんぶついた5つの連作れんさく短篇たんぺんというかたちをとっています。それぞれ色合いろあいがことなる物語ものがたりで、はじめの「その一発いっぱつ」は、たびたび決闘けっとうこした著者ちょしゃ最期さいごおもいながらむのも一興いっきょうですし、最後さいごの「百姓ひゃくしょう令嬢れいじょう」も爽快そうかいなストーリーで人気にんきです。

小説しょうせつはあっさり、みじかく、はっきりと、とかたったプーシキンの小粋こいきなセンスの神髄しんずいを、気軽きがるかんじることができるいちさつです。

動乱どうらん時代じだいえがいた戯曲ぎきょく『ボリス・ゴドゥノフ』

1600ねん前後ぜんこう朝廷ちょうてい皇帝こうていフョードルがぼっしたのち後継こうけいしゃであるドゥミトリイ皇子おうじ不慮ふりょをとげます。暗殺あんさつはかったのは、おさな皇子おうじわって摂政せっしょうつとめていた貴族きぞくボリス・ゴドゥノフ。ボリスはまんまと権力けんりょくにぎ圧制あっせいきますが、そのことにいつもさいなまれしんやすまるときはありません。

その秘密ひみつにぎっている修道しゅうどうそうグリゴーリイは告発こくはつはかりますが、そのまえがかかり修道院しゅうどういんからの逃亡とうぼう余儀よぎなくされます。グリゴーリイは、んだドゥミトリイ皇子おうじになりすまして反乱はんらんぐんこすことになるのですが……・

著者ちょしゃ
プーシキン
出版しゅっぱん
1957-09-25

散文さんぶんなど幅広はばひろいジャンルで活躍かつやくしたプーシキンですが、戯曲ぎきょくにおいての代表だいひょうさくといえばこの作品さくひんといえるでしょう。皇子おうじべつ場所ばしょびたという伝承でんしょうをベースにしていて、歴史れきしものらしい重厚じゅうこうさがありながら、いくつものみじか場面ばめん次々つぎつぎ進行しんこうします。

ボリスやグリゴーリイのみならず、一人ひとりひとりの性格せいかくがよくえがかれています。面白おもしろいのが「プーシキン」という登場とうじょう人物じんぶつ皇帝こうてい反対はんたいしていて、反逆はんぎゃくてきだった著者ちょしゃ自身じしん投影とうえいのようです。さらに「人民じんみん」たちの態度たいど集団しゅうだん心理しんりてき熱中ねっちゅうしたり、最後さいご渦中かちゅう人々ひとびととは一線いっせんいたりと示唆しさてきです。

時代じだい場所ばしょことにするとはえ、くにおさめるということについていつのわらないものをかんじられるでしょう。

すれちがこいと、もどらない時間じかん『オネーギン』

相続そうぞくした遺産いさんらす青年せいねんエヴゲーニイ・オネーギンは、たか教養きょうようはありながらめた性格せいかくで、社交しゃこうかいいも面倒めんどうになり田舎いなかします。

そこでった純真じゅんしん無垢むく田舎いなかむすめタチヤーナから、情熱じょうねつてき手紙てがみりました。しかしオネーギンはいもうとのようにしかておらず、さとすようにしてはなしてしまいます。

その決闘けっとうさわぎをこしたことがもとで、オネーギンはすう年間ねんかんあちこちを放浪ほうろうします。ふたた社交しゃこうかいでタチヤーナと出会であったときには、彼女かのじょ公爵こうしゃくつまとして近寄ちかよりがたいほど貫録かんろくのあるうつくしい女性じょせいとなっており、オネーギンはかつてない感情かんじょうおぼえるのですが……。

著者ちょしゃ
プーシキン
出版しゅっぱん
2006-09-15

ロシアらしい雰囲気ふんいきあふれる、吹雪ふぶきのような現実げんじつつような情熱じょうねつうご二人ふたりえがいた傑作けっさくです。プーシキンのたくみな心理しんり描写びょうしゃひかります。

なにをしても意味いみ見出みいだすことができず、やがてトラブルをこしてさまようことになるオネーギンの身勝手みがってさをきらいながらも、どこか共感きょうかん同情どうじょうおぼえるほうもおられるのではないでしょうか。最後さいごにやっと芽生めばえた熱意ねついみのらず、退屈たいくつながらなににもしばられない生活せいかつおくった代償だいしょうたかくついたようです。

きらいのかれるオネーギンにくらべて読者どくしゃ人気にんきほこるのは、相手あいてのタチヤーナ。純真じゅんしん情熱じょうねつてき知性ちせいある貴婦人きふじんとなってもゆたかな感受性かんじゅせいじつはそのままであることがつたわります。失意しつい様子ようすにはおもわず感情かんじょう移入いにゅうしてしまうことでしょう。

ハッピーエンドではないものの、くらさをかんじさせずみやすい作品さくひんです。韻文いんぶん小説しょうせつ翻訳ほんやくだけあってすべての文章ぶんしょううつくしくロマンティック。名言めいげん名文めいぶん宝庫ほうこでもあります。

若者わかもの冒険ぼうけん成長せいちょう痛快つうかいえがく『大尉たいいむすめ

1700年代ねんだい貴族きぞく子息しそくピョートル・グリニョフはいずれ都会とかい近衛このえ士官しかんになれるものとおもっていましたが、きびしいちち意向いこうにより世間せけんるべく地方ちほう寒村かんそんいち士官しかんとして赴任ふにんさせられます。

家来けらいれてたどりついた要塞ようさいで、その司令しれいかんである大尉たいいむすめマリヤと出会であいますが、彼女かのじょ馬鹿ばかにした士官しかんシヴァーブリンと決闘けっとうさわぎになります。怪我けがったことでピョートルとマリヤはたがいの気持きもちをり、結婚けっこんかんがえますが、父親ちちおや反対はんたいかれてしまうのでした。

やがて反乱はんらんきて要塞ようさいち、マリヤのいのち危険きけんせまります。

著者ちょしゃ
プーシキン
出版しゅっぱん
2006-03-16

実際じっさいきたプガチョーフのらん綿密めんみつ取材しゅざいして、それをもとかれたストーリーですが、歴史れきし小説しょうせつ堅苦かたくるしさはなく、主人公しゅじんこう故郷こきょう旅立たびだって数々かずかず困難こんなんえて成長せいちょうしていくたのしい物語ものがたりです。テンポよくすすみますが、人々ひとびと生活せいかつこまかい様子ようす丁寧ていねいえがかれていて当時とうじ風俗ふうぞくることもできます。

主人公しゅじんこうって活躍かつやくするろう忠僕ちゅうぼくサヴェーリイチや、実直じっちょく英雄えいゆうてき大尉たいいミローノフなど、登場とうじょうするひとがみな魅力みりょくてきしたしみがてることでしょう。たくさんの人物じんぶつ登場とうじょうしますが、是非ぜひそれを把握はあくしながらむことをおすすめします。一旦いったん退場たいじょうしたあのひとがのちにこんなことに、という展開てんかいがいくつかあるのでその面白おもしろさをあじわってください。

とおしてその生涯しょうがい俯瞰ふかんする『プーシキン詩集ししゅう

わかくして才能さいのう開花かいかさせ、ロシアの自然しぜん文化ぶんか人々ひとびとあいし、またあいするがゆえ反逆はんぎゃくてき精神せいしんそなえたプーシキンの本領ほんりょうである、数々かずかずめいが1815ねんから1835ねんまでじゅん収録しゅうろくされています。

文壇ぶんだん歓迎かんげい両親りょうしんとの不和ふわ政治せいじへのいきどおり、流刑りゅうけいかれたときの市民しみん熱狂ねっきょう貴族きぞく社会しゃかいからの侮辱ぶじょく……、と波乱はらん生涯しょうがいおくったプーシキンが、それでも自身じしん芸術げいじゅつ独立どくりつゆずらずにいつのときつづけたおおくのによって、国民こくみんおおいに勇気ゆうきづけられ、またロシアの近代きんだい文学ぶんがく夜明よあけをたしたのでした。

いまんでもなお、困難こんなんまえにするひと勇気ゆうきられることでしょう。

著者ちょしゃ
プーシキン
出版しゅっぱん

自由じゆう賛美さんび専制せんせい政治せいじ大胆だいたん批判ひはんして南方なんぽういやられるきっかけとなった頌詩「自由じゆう」ほか、農奴のうどせい批判ひはんした「むら」、はげしいこいうたった「よる」や「ふるさとのあおそらのもとに」なども有名ゆうめいです。

プーシキンのにはどれも、かざらぬひとしんうつくしさといつくしみがつうそこしていて、どんなおうと市民しみんしんをともにしていたかれ人柄ひとがらかんじられます。きびしい時代じだいにあって、希望きぼう良心りょうしんをうったえ自由じゆうたたえることにほこりをっていた言葉ことばには信頼しんらいくことができ、もののよすがとなるのでしょう。

ベリンスキーやレールモントフらがこぞって称賛しょうさんした、プーシキンのふか広大こうだい情感じょうかんゆたかな世界せかいのぞいてみてください。

教訓きょうくんてき示唆しさふくみ、わか読者どくしゃ推奨すいしょうされてきたプーシキンの作品さくひんよわいふたたかえしてみると自分じぶん成長せいちょうかんじられるかもしれません。是非ぜひはやいうちにってみてください。

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