(Translated by https://www.hiragana.jp/)
『ロミオとジュリエット』を簡単に解説!実はエロくてコミカル?ただし結末は… | ホンシェルジュ

『ロミオとジュリエット』を簡単かんたん解説かいせつじつはエロくてコミカル?ただし結末けつまつは…

更新こうしん:2021.11.21

世界せかい名作めいさくほど、かえってらない事実じじつちているもの。悲劇ひげきてき結末けつまつ有名ゆうめいな、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』がよんだい悲劇ひげきくわえられないのはなぜなのでしょう。じつほんさくには、まだあなたのらないであろういちめんがあるのです! この記事きじでは、原作げんさくさえておきたいポイントにくわえ、ほんさくをベースにしたスパイク・リーの映画えいが情報じょうほうもご紹介しょうかいします。

ブックカルテ リンク

『ロミオとジュリエット』には意外いがいられていない事実じじつがたくさんあった!まずは、あらすじ、訳者やくしゃ紹介しょうかい

 

『ロミオとジュリエット』の舞台ぶたい中世ちゅうせいイタリアのヴェローナ。この代表だいひょうする2つの名家めいか、モンタギューとキャピュレットは、長年ながねん対立たいりつ関係かんけいにありました。

モンタギューのロミオが、キャピュレットひらかれた仮面かめん舞踏ぶとうかいにもぐりみ、ひとりむすめのジュリエットとこいちたことから物語ものがたりはスタート。その出会であいは、両家りょうけまちんだ悲劇ひげきてき事件じけんへと発展はってんしていきます。 
 

日本にっぽんでは、明治めいじ時代じだい文豪ぶんごう坪内つぼうち逍遥しょうようなど、そうそうたる文学ぶんがくしゃ翻訳ほんやくたちが翻訳ほんやく手掛てがけてきました。今回こんかい記事きじでは、河合かわい祥一郎しょういちろうやく新訳しんやく ロミオとジュリエット』(以下いか、「新訳しんやく」)をもとに、ご紹介しょうかいします。

河合かわいはシェイクスピア研究けんきゅう専門せんもんとする英文えいぶん学者がくしゃ坪内つぼうち逍遥しょうようとも親戚しんせき関係かんけいにあるそうです。

新訳しんやく」は、東山ひがしやま紀之のりゆき瀬戸せと朝香あさか主演しゅえん舞台ぶたいのための上演じょうえん台本だいほんをもとにしたもの。古典こてんはちょっと苦手にがてかもというひとにも現代げんだいはな言葉ことばちかく、みやすくなっています。

このあとはまず、だれもが名前なまえいたことがあるであろうほんさく作者さくしゃについてご紹介しょうかいします。

 

作者さくしゃ・シェイクスピアとは

ウィリアム・シェイクスピア(1564~1616ねん)は、ルネサンスのイギリス演劇えんげき代表だいひょうする偉大いだいげき作家さっかであり、詩人しじんです。名前なまえだけならいたことがあるというほうおおいのではないでしょうか。

ほんさくのほか、よんだい悲劇ひげき『ハムレット』『マクベス』『オセロー』『リアおう』など、数々かずかず名作めいさくのこしました。生涯しょうがいに37ほん研究けんきゅうしゃによっては40ほん)の戯曲ぎきょくあらわし、かれによってすべての物語ものがたりのパターンは出尽でつくしたとわれることさえあります。

ト書とがき(セリフの合間あいまはいる、舞台ぶたいじょう演出えんしゅつ説明せつめいするもの)がほとんどないのがシェイクスピア戯曲ぎきょく特徴とくちょうのひとつ。当時とうじ劇場げきじょうには照明しょうめい装置そうちがなく、技術ぎじゅつてき制約せいやくおおいため、状況じょうきょうをセリフで説明せつめいしなくてはなりませんでした。

セリフのりょうはそれだけ膨大ぼうだいになりますが、観客かんきゃくきさせない工夫くふうられます。たとえば「新訳しんやく」の冒頭ぼうとうつぎのような具合ぐあいです。

はなのヴェローナに/
かたならべる名門めいもんふたつ。/
ふるうらみがいままたはじけ、/
まち血染ちぞめの喧嘩けんか。」
(『新訳しんやく ロミオとジュリエット』より引用いんよう

調子ちょうしさで、物語ものがたり世界せかい一気いっきめますよね。原文げんぶんのリズムをいかに日本語にほんご表現ひょうげんするかが、翻訳ほんやくうでせどころでもあります。

このあとは、ほんさく意外いがい事実じじつをご紹介しょうかい有名ゆうめいすぎる名作めいさくに、あらたな発見はっけんがあるかもしれませんよ。

意外いがい事実じじつ1:序盤じょばんはコミカルであまい!名言めいげん多数たすう

 

その結末けつまつゆえに悲劇ひげき印象いんしょうおおほんさく。しかしこいちる前半ぜんはん部分ぶぶんわらいもおお用意よういされ、ロマンチックコメディのようです。

友人ゆうじんたちとてきかた仮面かめん舞踏ぶとうかいむロミオ。一方いっぽうのジュリエットはわかはじける13さい。ふたりが舞踏ぶとうかいはじめて出会であ様子ようすは、こいたのしさにあふれています。

かなしい結末けつまつでありながらもほんさくよんだい悲劇ひげきくわえられないのは、前半ぜんはん部分ぶぶん喜劇きげきてき要素ようそがそれだけいているためでしょう。冒頭ぼうとうから陰鬱いんうつ展開てんかいつづほか悲劇ひげきくらべ、喜劇きげき悲劇ひげき落差らくさほんさく真骨頂しんこっちょうなのです。

こい翻弄ほんろうされるわか主人公しゅじんこうたちが活躍かつやくするだけに、あまめの名言めいげんもいっぱいです。そのなかでも、もと作一さくいち名言めいげんといえば、これでしょう。

「ああ、ロミオ、ロミオ、
どうしてあなたはロミオなの」
(『新訳しんやく ロミオとジュリエット』より引用いんよう

仮面かめん舞踏ぶとうかいでロミオとキスをわしたジュリエットですが、かれてきかたのひとり息子むすこだとります。そして、舞踏ぶとうかいのあと、バルコニーでの独白どくはくいえててほしいというなげきは、ロミオのむねふかさります。

つづいては、こんな名言めいげんです。

「もうってしまうの? まだよるけていないわ。/
あなたのおびえたみみひびいたのは、/
あれはナイチンゲール。ひばりじゃない」
(『新訳しんやく ロミオとジュリエット』より引用いんよう

ジュリエットのこのセリフも有名ゆうめいですね。あさげるひばりにたいし、夜鳴よなきウグイス、ナイチンゲールともばれるサヨナキドリをいにしています。

夫婦ふうふとなってはじめてのよるをジュリエットの寝室しんしつごしたロミオが、あさおとずれを敏感びんかんかんじる場面ばめん自分じぶんがいるのはてきかた屋敷やしきだれかにつかればっているのはです。そんなロミオにジュリエットがあまくささやくのです。

かよこん一般いっぱんてきだった平安へいあん時代じだいわかれのあさ余韻よいんを「後朝きぬぎぬ(きぬぎぬ)のわかれ」とあらわしましたが、そのシェイクスピアばん。まだまだ一緒いっしょにいたい2人ふたりの、せつなくもあまめい場面ばめんです。

 

著者ちょしゃ
シェイクスピア
出版しゅっぱん
2005-06-25

意外いがい事実じじつ2:キスにいたるまでの過程かていが、全体ぜんたいの2わりめている?

じつは、ほんさくはわずか6にち、つまり1週間しゅうかんにもたないあいだ物語ものがたりです。そのロミオとジュリエットが仮面かめん舞踏ぶとうかいはじめて出会であい、キスをわすのは、1にちよる

そして本編ほんぺんやく170ページある「新訳しんやく」で、このキスのシーンが登場とうじょうするのは37ページ最初さいしょにキスをわすまで結構けっこうなページがついやされ、読者どくしゃがじらされるのです。とはいえ、スピーディーな展開てんかいでもあります。

舞踏ぶとうかいのちはじめてロミオにったジュリエットは、「こうしててのひら(たなごころ)をわせ、しんわせるのがせいなる巡礼じゅんれいくちづけです」とロミオにしめします。わせることでしんかよわせようとうのです。

それにたいしてロミオは、「がすることをくちびるにも」とって、くちづけをせがみます。そしてせいなる巡礼じゅんれいであれば、いのりのけん(しるし)ならよいだろう、ということにして、彼女かのじょにキスをするのです。

言葉ことばあそびで2人ふたりじゃれあう、可愛かわいらしい場面ばめん構図こうずとしては、巡礼じゅんれい(ロミオ)のつみは、聖者せいじゃ(ジュリエット)によってきよめられました。

しかし今度こんどはジュリエットが、「わたしくちびるには、あなたからけたつみがあるのね」とかえすのです。それをいたロミオは、「そのつみかえしてください」と彼女かのじょにもう一度いちどキスをするのでした。

はじめての出会であいから、をとりキスするまで、わずかすうじゅうびょう若者わかものらしい激情げきじょうとスピードかんは、可愛かわいらしいながらも、「おいおい」とツッコミをれたくなってしまいますね。

ロミオの早業はやわざおどろかされますが、一方いっぽうで、さきほどいったようにここにいたるまで30ページ以上いじょうついやされています。読者どくしゃとしてはやっと2人ふたりこい進展しんてんした!とよろこ場面ばめんでもあります。

意外いがい事実じじつ3:じつしもネタ満載まんさい!?

純愛じゅんあいのイメージのつよほんさくですが、じつわらいの要素ようそおおく、しもネタも多数たすうしたネタ担当たんとうのひとりは、ジュリエットの乳母うばです。

たとえば、ジュリエットの姿すがたつからなかったとき、彼女かのじょははへのいいわけは、こんなふう

じゅうのときのあたしの処女しょじょちかって、おびしたんですがね」
(『新訳しんやく ロミオとジュリエット』より引用いんよう

なんでそこにちかう?だれいていません……。

このほかにも、11ねんまえにケガをしたジュリエットの様子ようすおもした乳母うばは、「おでこに、ひよこのおちんちんくらいのこぶ(こぶ)ができましてね」などとも。なぜたとえがそれなのでしょうか……。

このほかにも、ロミオの友人ゆうじん、マキューシオもしもネタ担当たんとうといえそうです。

「ビンビンおけをおってて/
おんながそいつをくわえみ、/
えさせりゃみものだぜ。」
(『新訳しんやく ロミオとジュリエット』より引用いんよう

まるでお色気いろけコメディのようですね……。

しかしかれはその両家りょうけあらそいにまれいのちとしてしまいます。わらいと。その落差らくさがよりほんさくをドラマチックにしているます。

意外いがい事実じじつ4:シェイクスピアの作品さくひんにはもとネタがあった?

『ロミオとジュリエット』をもとにした派生はせい作品さくひん多数たすうありますが、じつほんさくもアーサー・ブルックのちょう『ロミウスとジュリエットの悲劇ひげき物語ものがたり』(1562ねん)を参考さんこうにしてげられたといわれています。

ブルックの作品さくひんでは、物語ものがたりは9かげつあいだ出来事できごととしてえがかれ、ここに登場とうじょうするジュリエットは16さいです。 

さらに源流げんりゅうをたどると、最終さいしゅうてきには西にしヨーロッパの昔話むかしばなしや、古代こだいギリシアの伝統でんとうてき物語ものがたりにいきつきます。そのうちのひとつが、マリオットとジアノッツアという2人ふたり主人公しゅじんこうになった民話みんわ

この民話みんわが16世紀せいきにルイジ・ダ・ポルトさく「ロメオとジュリエッタ」、イタリアの詩人しじんマッテオ・バンデルロのうつわり、それをふつやくしたものをさらにブルックが英訳えいやく翻案ほんあんしたといわれています。

ほんさくが、相対そうたいする2つの団体だんたいと、それにもてあそばれる恋人こいびとたち、という普遍ふへんてき題材だいざいであるがゆえに、いままでおおくの作家さっか時代じだいわせて表現ひょうげん方法ほうほうえてきました。

それぞれ、くに言葉ことば形式けいしき登場とうじょう人物じんぶつ名前なまえちがうもの。大筋おおすじどうじながら、その時代じだいそくしてかたちえてきたというのはなんとも興味深きょうみぶかいですね。

『ロミオとジュリエット』は急転直下きゅうてんちょっか悲劇ひげきわる!有名ゆうめい結末けつまつからかんじられるテーマとは

 

物語ものがたり終盤しゅうばんにかけて、ロミオとジュリエット、そしてモンタギューとキャピュレットなかとうと修道しゅうどうそう一計いっけいあんじます。しかしむすばず、わか2人ふたりいのちとす結末けつまつ有名ゆうめいですよね。

ほんさくえがかれる2人ふたりこいは、暴力ぼうりょく不和ふわがあふれた世界せかい対極たいきょくをなす平和へいわ調和ちょうわ象徴しょうちょうなのではないでしょうか。

ただし、すうひゃくねんとき現代げんだいむことで、あらそごとのむなしさだけでなく、いろいろなメッセージをることができます。

たとえば、仮死かしどくからは、いのちをもてあそ真似まね不幸ふこうぶだけであるとか、主人公しゅじんこう以外いがいにもいのちとすなかで、かれらのいのちだけがとうといのかなど……。

さまざまなとらかたゆるされるのも、傑作けっさくならではでしょう。読者どくしゃそれぞれことなるメッセージをることでしょう。

悲劇ひげきだけでなく、わらえてたのしい部分ぶぶんもあるほんさくなんとなくってる、だけではもったいない名作めいさくですので、ぜひご自身じしんでおみになってみてください。

 

著者ちょしゃ
シェイクスピア
出版しゅっぱん
2005-06-25

『ロミオとジュリエット』がヒップホップ要素ようそれて、映画えいが!?

あらためて、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』は、名前なまえだけであればおおくのひとっているであろう、名作めいさくですよね。その影響えいきょうりょくおおきく、『ウエスト・サイド物語ものがたり』のように、ほんさくから着想ちゃくそう有名ゆうめいになった作品さくひん多数たすうあります。

そのひとつが、ロン・ウィンベリーのコミック、『プリンス・オブ・キャッツ』。日本にっぽんではまだ書籍しょせきされていない作品さくひんです。

そんなどうさくが、スパイク・リーが監督かんとくつとめ、映画えいがされるそう。『ロミオとジュリエット』をベースに1980年代ねんだいのヒップポップの世界せかいえがくというのですから、予想よそうがつかず、ワクワクしますね。

さきほど現代げんだいきるわたしたちならではのまなびがあるのではとおつたえしましたが、映画えいがばんでは時代じだいちかく、さらに物語ものがたり身近みぢかかんじられ、かんがえるところがあるかもしれません。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと もっと見る