(Translated by https://www.hiragana.jp/)
インフォームド・コンセント - Wikipedia

インフォームド・コンセント

医師いし患者かんじゃとの十分じゅうぶん情報じょうほううえでの合意ごうい意味いみする概念がいねん

インフォームド・コンセントえい: informed consent)とは、「医師いし患者かんじゃとの十分じゅうぶん情報じょうほうた(つたえられた)じょうでの合意ごうい」を意味いみする概念がいねん[1]医師いし説明せつめいをし、同意どういること。 とくに、医療いりょう行為こうい投薬とうやく手術しゅじゅつ検査けんさなど)や治験ちけんなどの対象たいしょうしゃ患者かんじゃ被験者ひけんしゃ)が、治療ちりょう臨床りんしょう試験しけん治験ちけん内容ないようについてよく説明せつめい十分じゅうぶん理解りかいしたうええい: informed)、対象たいしょうしゃみずからの自由じゆう意志いしもとづいて医療いりょう従事じゅうじしゃ方針ほうしんにおいて合意ごういする(同意どういする)(えい: consent)ことである(たんなる「同意どうい」だけでなく、説明せつめいけたうえ治療ちりょう拒否きょひすることもインフォームド・コンセントにふくまれる)。説明せつめい内容ないようとしては、対象たいしょうとなる行為こうい名称めいしょう内容ないよう期待きたいされている結果けっかのみではなく、代替だいたい治療ちりょう副作用ふくさよう成功せいこうりつ費用ひようまでもふくんだ正確せいかく情報じょうほうあたえられることがのぞまれている。また、患者かんじゃ被験者ひけんしゃがわ納得なっとくするまで質問しつもんし、説明せつめいもとめなければならない。これは医療いりょう倫理りんりから派生はせいした概念がいねんであり、患者かんじゃ権利けんりひとつともされる。

インフォームド・コンセントについて、日本にっぽん医師いしかい生命せいめい倫理りんり懇談こんだんかいは1990ねんに「説明せつめい同意どうい」と表現ひょうげんし、患者かんじゃ自己じこ決定けっていけん保障ほしょうするシステムあるいは一連いちれんのプロセスであると説明せつめいしている。1997ねん医療いりょうほう改正かいせいされ「説明せつめい同意どうい」をおこな義務ぎむが、はじめて法律ほうりつとして明文化めいぶんかされた[2]

医療いりょうほう一部いちぶ改正かいせいする法律ほうりつ(97ねん12月17にち法律ほうりつだい125ごう)にもとづくインフォームドコンセント義務ぎむだいじょうの4だいこうへの挿入そうにゅうは96ねん12月13にちかくほうとしてだい139かい国会こっかい衆議院しゅうぎいんほん会議かいぎ厚生こうせい大臣だいじん小泉こいずみ純一郎じゅんいちろう趣旨しゅし説明せつめいおこな審議しんぎりしたが提出ていしゅつ年月日ねんがっぴは96ねん11月29にち成立せいりつ年月日ねんがっぴは97ねん12月9にちである。

医療いりょうほう一部いちぶ改正かいせいする法律ほうりつ(1997ねん法律ほうりつだい125ごう

医療いりょうほう(1948ねん法律ほうりつだい205ごう)の一部いちぶつぎのように改正かいせいする

だいじょうの4ちゅうだいこうだいこうとし、だいこうだいこうとし、だいこうつぎつぎの1こうくわえる。

2 医師いし歯科しか医師いし薬剤師やくざいし看護かんごその医療いりょうになは、医療いりょう提供ていきょうするにたり、適切てきせつ説明せつめいおこない、医療いりょうけるもの理解りかいるようつとめなければならない。

修正しゅうせい時期じき特定とくてい出来できないがどう条文じょうぶんちゅう看護かんご以下いかのように看護かんご字句じく修正しゅうせいされている。

2 医師いし歯科しか医師いし薬剤師やくざいし看護かんごその医療いりょうになは、医療いりょう提供ていきょうするにたり、適切てきせつ説明せつめいおこない、医療いりょうけるもの理解りかいるようつとめなければならない。

なお、英語えいご本来ほんらい意味いみとしては「あらゆる」法的ほうてき契約けいやく適用てきようされうる概念がいねんであるが、日本語にほんごでこの用語ようごもちいる場合ばあいはもっぱら医療いりょう行為こういたいして使用しようされる(#日本語にほんごやく参照さんしょう医療いりょう行為こうい以外いがいについては説明せつめい責任せきにん参照さんしょう)。

ほんこうでは医療いりょう行為こういともなうインフォームド・コンセント、とく医師いしはじめとする医療いりょうサービスの提供ていきょうしゃ以下いか医療いりょう従事じゅうじしゃ)と、患者かんじゃとのあいだでなされるインフォームド・コンセントについてべる。

概念がいねん

編集へんしゅう

インフォームド・コンセントの概念がいねんとして「説明せつめい理解りかい」と、それを条件じょうけんにした「合意ごうい」の、いずれもけないことが重要じゅうようである。また、ここでの「合意ごうい (consent)とは、双方そうほう意見いけん一致いっち・コンセンサスという意味いみであり、かならずしも提案ていあんされた治療ちりょう方針ほうしん患者かんじゃれるということを意味いみしない(医療いりょう従事じゅうじしゃ提案ていあん拒否きょひすること「Informed refusal」もふくまれる)。

患者かんじゃが「全部ぜんぶまかせします」といって十分じゅうぶん理解りかいしようとせずに署名しょめいだけするような事態じたいや、医療いりょう従事じゅうじしゃ強引ごういん誘導ゆうどうして方針ほうしん同意どういさせるような事態じたいは、不適切ふてきせつなインフォームド・コンセントの典型てんけいれいである。一方いっぽうで、患者かんじゃ充分じゅうぶん説明せつめいもと治療ちりょう方針ほうしんを「拒否きょひ」し、医療いりょう従事じゅうじしゃがわがそれをれた場合ばあい、これは充分じゅうぶんなインフォームド・コンセントといえる。(医療いりょうにおいて患者かんじゃは、いかなる選択せんたくをしようと、公序良俗こうじょりょうぞくはんしないかぎり、自己じこ決定けっていけん範囲はんいないとして法的ほうてきにも尊重そんちょうされる。)

インフォームド・コンセントは、旧来きゅうらいの、医師いし歯科しか医師いし権威けんいパターナリズム)にもとづいた医療いりょうあらため、患者かんじゃ自己じこ決定けっていけん選択せんたくけん自由じゆう意志いし最大限さいだいげん尊重そんちょうするという理念りねんもとづいている。説明せつめいするがわ医療いりょう行為こうい利点りてんのみならず、予期よきされる合併症がっぺいしょうや、代替だいたい方法ほうほうについても十分じゅうぶん説明せつめいおこない、同意どうい必要ひつようがある。また、この同意どういはいつでも撤回てっかいできることが条件じょうけんとして重要じゅうようである。こうすることではじめて、自由じゆう意志いし治療ちりょうまたは実験じっけんけられることになる。

臨床りんしょう試験しけん/治験ちけんについてインフォームド・コンセントの必要ひつようせい勧告かんこくしたヘルシンキ宣言せんげんは、ナチス・ドイツ人体じんたい実験じっけんへの反省はんせいからまれたニュルンベルク綱領こうりょうをもとにしている。

日本にっぽんでは、1990ねん1がつ日本にっぽん医師いしかいだいII生命せいめい倫理りんり懇談こんだんかい「『説明せつめい同意どうい』についての報告ほうこく」、1996ねん日本にっぽん医師いしかいだいIV生命せいめい倫理りんり懇談こんだんかい「『医師いしもとめられる社会しゃかいてき責任せきにん』についての報告ほうこく」にはじまり、1997ねん平成へいせい9ねん)の医療いりょうほう改正かいせいによって、医療いりょうしゃ適切てきせつ説明せつめいおこなって、医療いりょうけるもの理解りかいるよう努力どりょくする義務ぎむはじめて明記めいきされた。さらに国際こくさい法的ほうてきにも2006ねん11月に議決ぎけつされたジョグジャカルタ原則げんそくによってその必要ひつようせい重要じゅうようせい明記めいきされた。

説明せつめい理解りかいのない治療ちりょうおかせかさねあたえた場合ばあい近年きんねん[いつ?]日本にっぽんでは民事みんじ訴訟そしょう医療いりょう従事じゅうじしゃがわたいする損害そんがい賠償ばいしょうみとめられる傾向けいこうにある[よう出典しゅってん]説明せつめい理解りかいのない治療ちりょう刑法けいほううえ傷害しょうがいざい殺人さつじんざいたるという主張しゅちょうもある[よう出典しゅってん]。ただし、現在げんざい日本にっぽんでは、これらの容疑ようぎ医療いりょう従事じゅうじしゃ起訴きそされることは非常ひじょうまれである。

日本語にほんごやく

編集へんしゅう

インフォームド・コンセントは、1990ねん日本にっぽん医師いしかい公表こうひょうした「『説明せつめい同意どうい』についての報告ほうこく」において「説明せつめい同意どうい」というかたり表現ひょうげんされ[3]アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのシステムを参考さんこう日本国にっぽんこく独自どくじのものとしてまとめられた[4]。これがインフォームド・コンセントのもっと有名ゆうめい和訳わやくとされている[5]。その、「説明せつめい納得なっとく同意どうい」などの日本語にほんごもあてられてきた[5]

しかし、ここで日本にっぽん医師いしかい生命せいめい倫理りんり懇談こんだんかいが「説明せつめい同意どうい」というかたり表現ひょうげんしたのは[ちゅう 1]日本にっぽんこくアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくではインフォームド・コンセントの概念がいねんことなるからである[8]日本にっぽん医師いしかい常任じょうにん理事りじは「説明せつめい同意どうい」と「インフォームド・コンセント」は概念がいねんことなるため「インフォームド・コンセント」という言葉ことばれてはいけないと発言はつげんしている[8]医療いりょう制度せいど国民こくみんせい差異さいによって、インフォームド・コンセント法理ほうり発展はってんには相違そういがある[9]

訴訟そしょう社会しゃかいであるアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、医療いりょう過誤かご弁護士べんごし餌食えじきとなっており、本来ほんらい意義いぎとはことなり、インフォームド・コンセントは裁判さいばんうったえられないための防波堤ぼうはていとしての場合ばあいもある[10]。このような医療いりょう不信ふしん訴訟そしょう増加ぞうかは、おおきな社会しゃかいてき費用ひようとなりうる[5]

1993ねん厚生省こうせいしょうは『インフォームド・コンセントのありかたかんする検討けんとうかい』を設置せっちし、インフォームド・コンセントの法制ほうせいは、医療いりょう従事じゅうじしゃ患者かんじゃ信頼しんらい関係かんけいそこなうおそれがあるとして否定ひていてき見解けんかいし、用語ようごについてはつよ訳語やくごつくらないで「インフォームド・コンセント」と片仮名かたかな表記ひょうきする内容ないよう報告ほうこくしょ提出ていしゅつした[3]。インフォームド・コンセントは「患者かんじゃ医療いりょうしゃおこなうものであって、医療いりょうしゃはインフォームド・コンセントをけるがわである」ため、日本語にほんご翻訳ほんやくするとしっくりせず、インフォームド・コンセント[ちゅう 2]としてそのまま使用しようされている[11]

これにたい日本にっぽん弁護士べんごし連合れんごうかいは、2011ねん10がつ6にちだい54かい人権じんけん擁護ようご大会たいかい声明せいめいにおいて、「くにには、このような基本きほんてき人権じんけんである患者かんじゃ権利けんりさだめた法律ほうりつがない」「日本にっぽん医師いしかい生命せいめい倫理りんり懇談こんだんかいによる1990ねんの『説明せつめい同意どうい』についての報告ほうこくも、こうしたながれをけたものではあるが、『説明せつめい同意どうい』という訳語やくごは、インフォームド・コンセントの理念りねんまさしくつたえず、むしろ従来じゅうらいがたパターナリズム温存おんぞんさせるものである」と批判ひはんした[12]

一方いっぽう医師いし患者かんじゃのなれいが、インフォームド・コンセントを積極せっきょくてきすすめる場合ばあい障害しょうがいになっていることは否定ひていできない[よう出典しゅってん]。そこで「日本にっぽんてきインフォームド・コンセント」が必要ひつようだとわれることとなる[5]。なお、2003ねん4がつ国立こくりつ国語こくご研究所けんきゅうじょ外来がいらい委員いいんかいが「説明せつめい同意どうい」にくわえて「納得なっとく診療しんりょう」という表現ひょうげん提案ていあんしているが、「納得なっとく診療しんりょう」という表現ひょうげんは、日本語にほんごとして根付ねついていない[5]

実践じっせん

編集へんしゅう

医療いりょうほうだい1じょうの4だい2こうは「医療いりょうになは、医療いりょう提供ていきょうするにたり、適切てきせつ説明せつめいおこない、医療いりょうけるもの理解りかいるようつとめなければならない」とさだめている。

インフォームド・コンセントを患者かんじゃ自己じこ決定けっていけん保障ほしょうする「システム」あるいは「一連いちれんのプロセス」ととらえると、医師いし説明せつめい義務ぎむ内容ないよう患者かんじゃ自己じこ決定けっていけん行使こうしするために必要ひつよう情報じょうほう提供ていきょうするものとかんがえられる。したがって、患者かんじゃにとって理解りかいしやすいかたち懇切こんせつ丁寧ていねいおこなわれなければならない[13]。その相手あいて原則げんそくとして患者かんじゃ本人ほんにんである[13]

一般いっぱんてきには、治療ちりょうける本人ほんにん(や家族かぞく)が、口頭こうとう必要ひつようおうじて文書ぶんしょ診療しんりょうろく開示かいじ併用へいよう[13])にて治療ちりょう方針ほうしん通知つうち説明せつめいける、という方法ほうほうられる。ようする時間じかん状況じょうきょうによりおおきくことなるが、みじか場合ばあいすうふんなが場合ばあいにはすうじゅうふんやそれ以上いじょう時間じかんてられる。

医療いりょう従事じゅうじしゃがわは、病名びょうめい病状びょうじょう予後よごとう説明せつめいさいして、科学かがくてき正確せいかくつたえることも大事だいじだが、患者かんじゃしん納得なっとくしてれるためには、患者かんじゃ心情しんじょう価値かちかん理解りかいりょく配慮はいりょしたわかりやすい説明せつめい必要ひつようである。したがって専門せんもん用語ようご羅列られつするようなものはのぞましくない。また、一方いっぽうてき説明せつめいではインフォームド・コンセントにはならないので、患者かんじゃおこなおうとする医療いりょう措置そちのメリット・デメリットを公平こうへい提示ていじする必要ひつようがある。

本人ほんにん家族かぞく希望きぼうちがうことはまれではないが、インフォームド・コンセントの原則げんそくでは患者かんじゃ本人ほんにん意思いしが、配偶はいぐうしゃおや、その家族かぞく意思いしよりも優先ゆうせんされる。しかし闘病とうびょうには家族かぞく理解りかいささえもかせないものなので、ある程度ていど重要じゅうよう問題もんだいかんしては、可能かのうかぎ家族かぞく関与かんよがあることがのぞましい[ちゅう 3]。ただし、医療いりょう従事じゅうじしゃには、患者かんじゃ十分じゅうぶん判断はんだんりょくゆうする場合ばあい本人ほんにんへの説明せつめい義務ぎむはあるが、その家族かぞくたいして説明せつめいする法的ほうてき義務ぎむはないとされる[14]

選択せんたく可能かのう方針ほうしん複数ふくすうある場合ばあいたとえば、あるしゅがん手術しゅじゅつ化学かがく療法りょうほう大差たいさがないとかんがえられる場合ばあい)、患者かんじゃ主体しゅたいてき複数ふくすう方針ほうしんからひとつを選択せんたくするよううながされることがある。このように患者かんじゃ方針ほうしん選択せんたくまでおこなうことをとくインフォームド・チョイス (informed choice) 、または、インフォームド・デシジョン・メイキング (informed decision making) と区別くべつすることもある。

充分じゅうぶん納得なっとくられ医療いりょう従事じゅうじしゃがわ方針ほうしんれる場合ばあいにせよ、拒否きょひする場合ばあいにせよ、患者かんじゃがわは「十分じゅうぶん説明せつめい理解りかいしたうえで、同意どういします/拒否きょひします」という、書面しょめんでの明確めいかく意思いし表示ひょうじもとめられる。かなら書面しょめん合意ごういるべきという法的ほうてき根拠こんきょはないが、一般いっぱんてきには重要じゅうよう問題もんだいかんしては、ほぼぜんれい書面しょめんによる意思いし確認かくにんがなされる。このような手続てつづきをふまえて同意どうい成立せいりつした場合ばあい患者かんじゃ自己じこえらんだ方針ほうしんとその結果けっかたいして、責任せきにんつことになる。また、明確めいかく合意ごうい撤回てっかいする意思いししめさないかぎり、選択せんたくした方針ほうしん協力きょうりょくしなければならない。

こりうると予想よそうされたのぞましくない結果けっか合併症がっぺいしょうなど)については、責任せきにん追及ついきゅうおこなわないむね誓約せいやくしょ署名しょめいをさせられる場合ばあいもある。ただしこれは重過失じゅうかしつがある場合ばあい責任せきにん追及ついきゅうや、裁判さいばんける権利けんりまでを制限せいげんするものではない(それらまで制限せいげんする契約けいやく公序良俗こうじょりょうぞくはんするとされる)。

典型てんけいてき同意どういしょ文面ぶんめんれい

編集へんしゅう
表明ひょうめいする
意思いし
文面ぶんめんれい
同意どうい わたし患者かんじゃめいは、医師いし医師いしめいより、現在げんざい病状びょうじょう予想よそうされる副作用ふくさよう代替だいたい治療ちりょうほうについて十分じゅうぶん説明せつめいけ、理解りかいしましたので、治療ちりょう方針ほうしんれることに同意どういします。
ねんがつにち

署名しょめい
拒否きょひ わたし患者かんじゃめいは、医師いし医師いしめいより、現在げんざい病状びょうじょう予想よそうされる副作用ふくさよう代替だいたい治療ちりょうほうについて十分じゅうぶん説明せつめいけ、理解りかいしましたが、治療ちりょう方針ほうしんれることを拒否きょひします。
ねんがつにち

署名しょめい

患者かんじゃがわ注意ちゅういすること

編集へんしゅう
  1. 理解りかいりょくのある家族かぞく一緒いっしょ説明せつめいく。理解りかいできるまで説明せつめいもとめる。
    • プライバシーや情報じょうほう伝達でんたつかかわるトラブルをふせぐためには、説明せつめいける家族かぞく固定こていされ、あまりおおくなりすぎないことがのぞましい。患者かんじゃにとっての「キーパーソン」がだれなのか、あらかじめ指定していさせられることがある。
  2. 正確せいかく診断しんだんめいやまいなどをき、書面しょめんによる説明せつめいける。
  3. その疾患しっかんがどんな疾患しっかんなのかの説明せつめいける。
  4. どんな治療ちりょうほうがあるのか、かく治療ちりょうほうごとの利点りてん欠点けってんを、QOLおおくの症状しょうじょうれい合併症がっぺいしょうじょう)をふくめてく。
  5. 治療ちりょうをしない場合ばあい経過けいかく。場合ばあいによっては治療ちりょう経過けいか観察かんさつ)が最善さいぜん方針ほうしんである場合ばあいもある。
  6. 当該とうがい治療ちりょう行為こうい採用さいようする理由りゆう有効ゆうこうせいとその合理ごうりてき根拠こんきょ改善かいぜん見込みこみ。
  7. その病院びょういんでの当該とうがい疾患しっかん治療ちりょう経験けいけん成績せいせきについてたずねる。その疾患しっかんたいする治療ちりょう施設しせつ有無うむたずねる。
  8. またみずか医学いがく関係かんけい書物しょもつみ、基礎きそ知識ちしき医学いがくもちいられる簡単かんたん専門せんもん用語ようごなど)をておくことも重要じゅうようである。
  9. 病院びょういん医師いし価値かちかんにより、医学いがくてきにはおな内容ないよう説明せつめいでも、治療ちりょう方針ほうしんことなる場合ばあいもある。
  10. 最終さいしゅうてきには、患者かんじゃ医療いりょう従事じゅうじしゃ家族かぞく第三者だいさんしゃふくめたほかひと意思いし左右さゆうされることなく、みずからの自由じゆう意思いしもとづいて決定けっていしなければならない。

患者かんじゃからの開示かいじ要求ようきゅうこばみうる場合ばあい

編集へんしゅう

日本にっぽん医師いしかいガイドラインでは、病名びょうめい正確せいかく告知こくちすることで患者かんじゃ自身じしんがショックをけ、病状びょうじょう悪化あっかする、ないしは発作ほっさてき自殺じさつ殺人さつじんなどのきずがい行為こういおこなうことが予想よそうされる場合ばあい医療いりょう従事じゅうじしゃがわ説明せつめい義務ぎむ例外れいがいとみなされる[13]。やむを患者かんじゃには病名びょうめい治療ちりょう方法ほうほうらせず、保護ほごしゃ家族かぞくとう病名びょうめいらせるといった対応たいおうられることもある(のちに患者かんじゃ状態じょうたい十分じゅうぶん安定あんていしたときに病名びょうめい告知こくちをすることもある)。

インフォームド・コンセントが困難こんなん場合ばあい

編集へんしゅう

医師いし歯科しか医師いしはじめとする医療いりょう従事じゅうじしゃは、あらゆる医療いりょう行為こういについて、インフォームド・コンセントを責任せきにんがあると概念がいねんは、2009ねん平成へいせい21ねん現在げんざい一般いっぱんろんとしてかく医療いりょう機関きかんにほぼ普及ふきゅうしている。

しかし、インフォームド・コンセントの概念がいねん自体じたい患者かんじゃ十分じゅうぶん理解りかい判断はんだん能力のうりょく(「治療ちりょう同意どうい能力のうりょく」またはたんに「同意どうい能力のうりょく」とばれる)と、十分じゅうぶん時間じかんてき余裕よゆうがあるという前提ぜんていっている概念がいねんである[15]実際じっさい医療いりょう現場げんばでインフォームド・コンセントをおこなうにあたり、以下いかのような困難こんなん状況じょうきょうしょうじる。

未成年みせいねん患者かんじゃ

編集へんしゅう

注射ちゅうしゃいやがりつづける幼児ようじたいしては、保護ほごしゃ同意どういのもとに治療ちりょう行為こういおこなわれる。子供こどもには「未来みらい権利けんり」があるため、その時点じてんでの自己じこ決定けっていけん制限せいげんされるというかんがえがあり[よう出典しゅってん]、これが子供こども自己じこ決定けっていけん保護ほごしゃによって代替だいたいされる根拠こんきょとなっているとされる。

たとえ未成年みせいねんしゃであっても、判断はんだん能力のうりょくがあると認定にんていされるかぎりにおいて、患者かんじゃ本人ほんにん意思いし尊重そんちょうされるとかんがえるものおおいが、なんさいから判断はんだん能力のうりょくゆうするとされるかについて統一とういつ見解けんかいはない。なんさいまでを未成年みせいねんしゃ法的ほうてき十分じゅうぶん責任せきにん能力のうりょくゆうしないとされる年齢ねんれい)も各国かっこくちがいがある。アメリカ小児科しょうにか学会がっかいガイドラインでは15さい以上いじょうからはインフォームド・コンセントをるべきとされている[16]英国えいこくのガイドラインでは、16さい未満みまん患者かんじゃについては本人ほんにん理解りかい同意どういすることが困難こんなん場合ばあいおや介護かいごしゃ同意どうい必要ひつようとなる[17]日本にっぽん病院びょういん独自どくじのガイドラインをっている場合ばあいでも、12さいから20さいまで、その基準きじゅんにはばらつきがられる。未成年みせいねんしゃ同意どうい能力のうりょくがあるとえない場合ばあいにも、未成年みせいねんしゃ意向いこう賛意さんい(アセント)として尊重そんちょうされる必要ひつようがある[16][18]

意思いし疎通そつう出来できない患者かんじゃ

編集へんしゅう

患者かんじゃ意識いしき障害しょうがいがあったり、認知にんちしょうなどのために判断はんだん能力のうりょく意思いし能力のうりょく)をくために、患者かんじゃ自身じしん意思いし確認かくにんできない場合ばあいは、家族かぞくなど代理だいりひと同意どういにて診療しんりょう行為こういおこなわざるをない。通訳つうやく準備じゅんびする時間じかんてき余裕よゆうければ言語げんごてき障害しょうがい意思いし疎通そつうことになる。

法律ほうりつじょう後見人こうけんにんひとしによる同意どういについては成年せいねん後見こうけん制度せいど制限せいげん行為こうい能力のうりょくしゃ参照さんしょう

精神せいしん疾患しっかん患者かんじゃ

編集へんしゅう

精神せいしん障害しょうがい場合ばあい、その病状びょうじょうによっては、説明せつめい傾聴けいちょうし、理解りかいし、治療ちりょうたいして同意どういおこなうことが困難こんなんなこともある。このような状況じょうきょうまえ精神せいしん保健ほけんほう根拠こんきょとする治療ちりょうでは、医療いりょう専門せんもん患者かんじゃ意思いし決定けってい上書うわがきできる規定きていがある[19]

日本にっぽんにおいては精神せいしん保健ほけんおよ精神せいしん障害しょうがいしゃ福祉ふくしかんする法律ほうりつにて、患者かんじゃ意思いしかかわらずに合法ごうほう入院にゅういんさせる制度せいど規定きていされている。医療いりょう保護ほご入院にゅういんでは、精神せいしん保健ほけん指定してい診断しんだんのもと、家族かぞく同意どういもとづいて精神せいしん病院びょういんでの入院にゅういん加療かりょうおこなわれる。きずがいおそれがつよ場合ばあいには、措置そち入院にゅういん緊急きんきゅう措置そち入院にゅういんなど、家族かぞく同意どういしでも強制きょうせいてき患者かんじゃ入院にゅういんさせる制度せいどがある[ちゅう 4]

救急きゅうきゅう患者かんじゃ

編集へんしゅう

患者かんじゃ生命せいめい危機ききひんしている場合ばあいなど時間じかんてき余裕よゆうがない場合ばあい事前じぜん説明せつめい省略しょうりゃくし、一般いっぱんてき治療ちりょう優先ゆうせんさせてから事後じご説明せつめいおこなうことはやむをない、とかんがえられている。このような場合ばあい合理ごうりてき人間にんげんであれば同意どういしたであろうという推定すいていてき同意どうい合理ごうりてき人間にんげん仮説かせつ)を根拠こんきょ治療ちりょうおこなわれる[20]医療いりょう従事じゅうじしゃくわしい説明せつめいをする余裕よゆうはないし、かりにそのようなあわただしい状況じょうきょう同意どういても、法的ほうてき拘束こうそくりょくには疑問ぎもんのこる。

なお、そのような緊急きんきゅう事態じたいそなえ、あらかじめ意思いし表示ひょうじおこなっておくことはつかえない。このようなれいとしては、心肺しんぱい停止ていし蘇生そせい拒否きょひするDNR意思いし表示ひょうじや、臓器ぞうき提供ていきょう意思いし表示ひょうじカードエホバの証人しょうにん信者しんじゃ一部いちぶ携帯けいたいしている輸血ゆけつたいする意思いし表明ひょうめいのためのカードなどがある。

がん告知こくちさい日本にっぽんでは、家族かぞくにのみ病名びょうめいげるというのが過去かこからながつづいた慣習かんしゅうであった。これはインフォームド・コンセントの概念がいねんはんし、実際じっさいインフォームド・コンセントの概念がいねん普及ふきゅうとともに、がん告知こくちりつおおきく上昇じょうしょうした[よう出典しゅってん]現代げんだい日本にっぽんではほぼすべての医療いりょう機関きかんが、患者かんじゃ本人ほんにんただしい病名びょうめい告知こくちすることを原則げんそくとしている。

一方いっぽうで、がんとく終末しゅうまつ)の場合ばあい病名びょうめい告知こくちしてしくないとかんがえるひといまでもおおく、実際じっさい本人ほんにんのぞまない告知こくちによって精神せいしんてき苦痛くつうあたえられたとして訴訟そしょうまでいたったれいもある[よう出典しゅってん]最善さいぜん治療ちりょうくしてもわるいとかんがえられる場合ばあい、インフォームド・コンセントの原則げんそく忠実ちゅうじつまもるなら、たとえば「あなたはがん末期まっきであり3ヶ月かげつ以内いない死亡しぼうするとかんがえられる、手術しゅじゅつ不可能ふかのうであり、治療ちりょう方針ほうしん苦痛くつうるための緩和かんわ医療いりょう主体しゅたいとなる、退院たいいんできる見込みこみはほぼゼロである」といった情報じょうほうは、まっさきに患者かんじゃ本人ほんにんつたえなければならないことになる。実際じっさいにこれらの情報じょうほうつたえることが前提ぜんていとなる緩和かんわ医療いりょうが、日本にっぽんでも浸透しんとうしつつある。しかし、ここまで明瞭めいりょう情報じょうほう患者かんじゃ本人ほんにん告知こくちされることは、世界せかいてきてもおおくはない。本人ほんにん性格せいかく精神せいしん状態じょうたい家族かぞく希望きぼう千差万別せんさばんべつであり、これらを考慮こうりょしながら最終さいしゅうてきつたえる情報じょうほう範囲はんいめていき、禍根かこんのこさないように配慮はいりょする、といった対応たいおうをとる場合ばあいもある。

医学いがくじょう定説ていせついちじるしくことなる方針ほうしんえら患者かんじゃ

編集へんしゅう

医学いがくてき標準ひょうじゅんかんがえられる治療ちりょうほう以外いがい治療ちりょうほう患者かんじゃ選択せんたくすることがある。とくに、医学いがくてき見地けんちからはほぼあきらかに不適切ふてきせつ方針ほうしん患者かんじゃ選択せんたくする場合ばあいがある。インフォームド・コンセントの理念りねんもとづけば、十分じゅうぶん情報じょうほう提供ていきょうされたうえでの選択せんたくであるならば、患者かんじゃ主体しゅたいてき選択せんたく優先ゆうせんされるべきである反対はんたい意見いけんについては後述こうじゅつする)。

判例はんれいには、宗教しゅうきょううえ信念しんねんから輸血ゆけつ拒否きょひしたエホバの証人しょうにん信者しんじゃたいして、輸血ゆけつ治療ちりょう拒否きょひする明確めいかく意思いしがあることをりながら輸血ゆけつ方針ほうしんかん説明せつめいをしないで手術しゅじゅつ施行しこうした医師いし病院びょういんたいする損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうみとめたものがある(後述こうじゅつ参照さんしょう[21][22]

なお、たんなる誤解ごかい説明せつめい不足ふそく起因きいんして患者かんじゃあやまった判断はんだんおこなった場合ばあいには、医療いりょう従事じゅうじしゃがわ説明せつめい義務ぎむ違反いはんわれる。

批判ひはん議論ぎろん

編集へんしゅう

パターナリズムとの衝突しょうとつ

編集へんしゅう

健康けんこう判断はんだんりょくそなえた成人せいじんばかりを対象たいしょうとするわけではない医療いりょうにおいては、困難こんなんらんべたごとく、インフォームド・コンセントの前提ぜんていがそもそもりたず、パターナリズムによる医療いりょうおこなわれる場面ばめんおおい。

患者かんじゃ十分じゅうぶん理解りかいりょくそなえた成人せいじんである場合ばあいでも問題もんだいいわけではない。あらゆる医療いりょう行為こういともなってこる可能かのうせいがあり専門せんもん考慮こうりょすべき医学いがくてき事項じこう膨大ぼうだい範囲はんいおよぶが、素人しろうとである患者かんじゃは、専門せんもんとはかけはなれた、かぎられたりょう知識ちしきもとにして判断はんだんせざるをない。そのため、「患者かんじゃ主体性しゅたいせい」を無制限むせいげんみとめることがたしていことかどうか疑問ぎもんするかんがえもある[よう出典しゅってん]

しかし、インフォームド・コンセント自体じたいはそのような情報じょうほうりょう均衡きんこう当然とうぜん前提ぜんていとしたうえ確立かくりつしてきた概念がいねんである。専門せんもん知識ちしき経験けいけんをもとにして、真摯しんしなアドバイス・提案ていあんおこない、それをいた素人しろうと自分じぶん価値かちかん判断はんだんをすることでつものである。「充分じゅうぶん情報じょうほう提供ていきょう (inform) 」がなにより重要じゅうよう前提ぜんていではあるが、そのうえでなされた患者かんじゃ自己じこ決定けっていけん(とそれにともな責任せきにん)は、最大限さいだいげん尊重そんちょうされるべきであるとする立場たちばである。

なぜなら、専門せんもんはなしは素人しろうと理解りかいできるはずがない(から勝手かって治療ちりょう内容ないようめてしまえ)、というかんがえそのものがパターナリズムであるという批判ひはんがあるからである。

前述ぜんじゅつのエホバの証人しょうにん判例はんれいしめすように、現在げんざいでは日本にっぽんでも、パターナリズムよりも患者かんじゃ自己じこ決定けっていけん優先ゆうせんされる傾向けいこうにある[ちゅう 5]書籍しょせきやインターネットとうである程度ていど専門せんもん知識ちしきやすくなったことも、この傾向けいこう後押あとおしする要素ようそとなっている。

それでも、患者かんじゃが、医学いがくてき観点かんてんから不適切ふてきせつであることがほぼ確実かくじつ治療ちりょう方針ほうしんみずかえらぶ、とった極端きょくたん場合ばあいにおいては、生命せいめいまもることが使命しめいである医療いりょう従事じゅうじしゃがわは、非常ひじょうつよ心理しんりてき抵抗ていこうけることがある。絶対ぜったいてき輸血ゆけつ治療ちりょう選択せんたくする患者かんじゃれない方針ほうしん病院びょういんおおいなど、主体性しゅたいせい尊重そんちょうとパターナリズムとの衝突しょうとつは、結果けっかとして病院びょういんによる診療しんりょう拒否きょひにすらつながることがある解決かいけつ問題もんだいである。

説明せつめい範囲はんい

編集へんしゅう

前述ぜんじゅつとおり、インフォームド・コンセントの理念りねん達成たっせいされるためには、患者かんじゃ正確せいかく情報じょうほう充分じゅうぶんあたえられることが重要じゅうようだが、どの程度ていどまでの情報じょうほう提供ていきょうすれば「充分じゅうぶん」なのかについては、2007ねん平成へいせい19ねん現在げんざいかく医療いりょう機関きかん裁量さいりょうまかされており、具体ぐたいてきなガイドラインはほとんど存在そんざいしない。裁判さいばんれいにおいても見解けんかいかならずしも一致いっちしておらず、ほう整備せいびやガイドライン作成さくせいのぞまれている。

たとえば積極せっきょくてき医療いりょう行為こうい説明せつめいにあたって、患者かんじゃ本人ほんにんQOLたいして医療いりょうじょうのぞましくないケースや不明ふめいである場合ばあいであっても、医療いりょうじょう欠点けってん説明せつめいしないこと曖昧あいまいにするれいがある。これには、医療いりょうしゃがわとしては患者かんじゃたいする精神せいしんじょう配慮はいりょ医療いりょうしゃ責任せきにん回避かいひ医学いがく推進すいしん意図いと患者かんじゃがわとしては治療ちりょうたいする過度かど期待きたい背景はいけいにある。がん化学かがく治療ちりょう手術しゅじゅつ骨髄こつづい移植いしょく造血ぞうけつみき細胞さいぼう移植いしょく)などで発生はっせいしやすい。

現状げんじょう

編集へんしゅう

患者かんじゃ意思いし確認かくにんおこなえば医療いりょう行為こうい正当せいとうされるという部分ぶぶんだけに着目ちゃくもくし、医療いりょうがわ免責めんせき要件ようけんとして理解りかいされている側面そくめん[23]つまり、現状げんじょう手術しゅじゅつおもわぬ副作用ふくさよう合併症がっぺいしょうがおきる可能かのうせいがありますが責任せきにんこと出来できません、というようなたんなる「(免責めんせき事項じこう同意どういしょ」のようなあつかいにしかならない可能かのうせい批判ひはんされている。

獣医じゅういがく領域りょういきにおけるインフォームド・コンセント

編集へんしゅう

しし医師いしほうにおいては直接ちょくせつ規定きていはないが、獣医じゅういがく領域りょういきにおいてもインフォームド・コンセントの概念がいねん必要ひつようとされている。ただし、医学いがく領域りょういきことなり、インフォームド・コンセントの対象たいしょうとなるのは治療ちりょうされる動物どうぶつではなく、その飼育しいくしゃである。

訴訟そしょう

編集へんしゅう

インフォームド・コンセントの重要じゅうようせい強調きょうちょうされるにつれ、本来ほんらい医療いりょう行為こういとうたいする医療いりょう不信ふしん以外いがいに、説明せつめい義務ぎむ違反いはんについても訴訟そしょうこされるように改善かいぜんされてきた。患者かんじゃ自己じこ決定けっていけんや、説明せつめい義務ぎむ違反いはん争点そうてんとなった最高さいこう裁判所さいばんしょ判例はんれいもかなりてきている[2]

エホバの証人しょうにん輸血ゆけつ拒否きょひ事件じけん

編集へんしゅう

あらかじめ輸血ゆけつ拒否きょひしていたエホバの証人しょうにん信者しんじゃである患者かんじゃたいして十分じゅうぶん説明せつめいおこなわず輸血ゆけつおこなった医師いし病院びょういんに、患者かんじゃ損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうした事件じけん。2000ねん2がつ19にち最高裁判所さいこうさいばんしょは、宗教しゅうきょうじょう理由りゆう輸血ゆけつ拒否きょひする意思いし決定けっていおこな権利けんり人格じんかくけんいち内容ないようとして尊重そんちょうされるとみとめたうえで、十分じゅうぶん説明せつめいおこなわず輸血ゆけつおこなったことにより患者かんじゃ意思いし決定けっていをする権利けんりうばい、人格じんかくけん侵害しんがいしたとして、日本にっぽんこく東京大学とうきょうだいがく医科いかがく研究所けんきゅうじょ付属ふぞく病院びょういん担当たんとうたいして患者かんじゃ遺族いぞく患者かんじゃいちしん判決はんけつ死去しきょ)へ55まんえん支払しはらいをめいじる判決はんけつくだした。[21][22]

フィクション

編集へんしゅう
  • しろきょとう……どうさくあつかわれる誤診ごしん最終さいしゅうてきには「主人公しゅじんこう財前ざいぜん五郎ごろう患者かんじゃへのインフォームド・コンセントへの不足ふそくしていた」というかたち敗訴はいそとなっている。

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう

注釈ちゅうしゃく

編集へんしゅう
  1. ^ 説明せつめい合意ごうい (informed consent)」としる場合ばあいがあれば[6]、「Informed Consent (説明せつめい同意どうい)」としる場合ばあいもある[7]
  2. ^ 本書ほんしょにおいて「インフォームド・コンセント(informed consent 以下いか、IC とりゃく)」としるしている[11]
  3. ^ 本人ほんにん代理だいりとして代理だいり決定けっていをした家族かぞく心理しんりてき負担ふたんについて、(水野みずの 1990, p. 200-202)。
  4. ^ 精神せいしん疾患しっかん患者かんじゃ自己じこ決定けっていけんがどのような要件ようけんした制約せいやくされるか、憲法けんぽうがくからの考察こうさつとして、竹中たけなかいさお精神せいしん衛生えいせいほう強制きょうせい入院にゅういん制度せいどをめぐる憲法けんぽう問題もんだい」『判例はんれいタイムズ』だい34かんだい5ごう判例はんれいタイムズしゃ、1983ねん2がつ、50-76ぺーじISSN 04385896NAID 40003206077 参照さんしょう
  5. ^ エホバの証人しょうにん輸血ゆけつ拒否きょひ事件じけん法的ほうてきパターナリズムろん視点してんから考察こうさつしたものとして、以下いか参照さんしょう中村なかむら直美なおみ 『エホバの証人しょうにん輸血ゆけつ拒否きょひとパターナリズム』。ホセ・ヨンパルト、三島みしまよししんへんほう理論りろん』13、成文せいぶんどう、1993ねん

出典しゅってん

編集へんしゅう
  1. ^ 川上かわかみたけし戦後せんご日本にっぽん病人びょうにん社人しゃにんほうだんのうやま漁村ぎょそん文化ぶんか協会きょうかい、2002ねん、1ページ、ISBN 4-540-00169-8
  2. ^ a b http://medical.nihon-data.jp/archives/1116
  3. ^ a b 松井まつい英俊ひでとしインフォームド・コンセントの歴史れきしてき展開てんかいからられた患者かんじゃ:医療いりょう従事じゅうじしゃ関係かんけい検討けんとう」『看護かんごがく統合とうごう研究けんきゅうだい5かんだい2ごう広島ひろしま文化学園ぶんかがくえん大学だいがく、2004ねん3がつ、70-73ぺーじCRID 1050577818268303232ISSN 13460692 
  4. ^ 五十嵐いがらし雅哉まさや医療いりょうにおけるパターナリズムが正当せいとうされ条件じょうけん」『日本にっぽん老年ろうねん学会がっかい雑誌ざっしだい41かんだい1ごう日本にっぽん老年ろうねん学会がっかい、2004ねん1がつ、9ぺーじdoi:10.3143/geriatrics.41.8ISSN 03009173NAID 10012898485 
  5. ^ a b c d e 江口えぐちさとし ちょ「インフォームド・コンセント: 概念がいねん説明せつめい」、加藤かとう尚武なおたけ加茂かも直樹なおき へん生命せいめい倫理りんりがくまなひとのために』世界せかい思想しそうしゃ、1998ねん1がつ、30ぺーじISBN 978-4-7907-0690-8 
  6. ^ 笹子ささご三津みつづとめ, 石川いしかわつとむ, 松江まつえ寛人ひろと, 山田やまだ達哉たつや, 木下きのしたひらめ, 丸山まるやま圭一けいいち, 岡林おかばやし謙蔵けんぞう, 田尻たじり久雄ひさお, 吉田よしだ茂昭しげあき, 山口やまぐちはじめ, 斉藤さいとうだいさん, 小黒おぐろはちななろう早期そうき胃癌いがんたいする局所きょくしょ切除せつじょ」『日本にっぽん消化しょうか外科げか学会がっかい雑誌ざっしだい23かんだい9ごう日本にっぽん消化しょうか外科げか学会がっかい、1990ねん、2194ぺーじdoi:10.5833/jjgs.23.2191ISSN 0386-9768NAID 130004116429 
  7. ^ 井上いのうえ裕美ひろみ―Informed Consent (説明せつめい同意どうい) ―婦人ふじん内視鏡ないしきょう手術しゅじゅつとInformed Consent ―“Great expectaion syndrome”とDay surgery」『日本にっぽん産科さんか婦人ふじん内視鏡ないしきょう學會がっかい雜誌ざっしだい16かんだい2ごう日本にっぽん産科さんか婦人ふじん内視鏡ないしきょう学会がっかい、2000ねん12月、180-185ぺーじdoi:10.5180/jsgoe.16.2_180ISSN 1884-9938NAID 10020399469 
  8. ^ a b 星野ほしの一正かずまさインフォームド・コンセント-かんがかた実際じっさい:だい42かい日本にっぽん透析とうせき学会がっかい教育きょういく講演こうえんより」『日本にっぽん透析とうせき学会がっかい雑誌ざっしだい30かんだい10ごう日本にっぽん透析とうせき学会がっかい、1997ねん10がつ、1222ぺーじdoi:10.4009/jsdt.30.1219ISSN 13403451NAID 10004920752 
  9. ^ 伊澤いさわじゅん医療いりょう過誤かご訴訟そしょうにおける医師いし説明せつめい義務ぎむ違反いはん(いち)」『成城せいじょう法学ほうがくだい62ごう東京とうきょう : 成城大学せいじょうだいがくほう学会がっかい、2000ねん7がつ、41-123ぺーじCRID 1050001337473596544ISSN 03865711 
  10. ^ 水野みずの 1990, p. 61-67,「アメリカのインフォームド・コンセント」ふし
  11. ^ a b 一宮いちのみや茂子しげこ生体せいたいきも移植いしょくドナーが経験けいけんしたインフォームド・コンセント -ドナーインタビューの分析ぶんせきより」『Core Ethics : コア・エシックス』だい8ごう立命館大学りつめいかんだいがく大学院だいがくいん先端せんたん総合そうごう学術がくじゅつ研究けんきゅう、2012ねん、53ぺーじdoi:10.34382/00005540ISSN 1880-0467NAID 110009426552 
  12. ^ シンポジウム だい54かい人権じんけん擁護ようご大会たいかい 2011ねん10がつ6にち 2018ねん7がつ8にち閲覧えつらん
  13. ^ a b c d 日本にっぽん医師いしかい 診療しんりょう情報じょうほう提供ていきょうかんする指針ししん だい2はん日本にっぽん医師いしかい、2002ねん10がつオリジナルの2019ねん12月3にち時点じてんにおけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20191203133304/http://www.med.or.jp:80/doctor/member/000318.html 
  14. ^ 名古屋なごや地裁ちさい平成へいせい19ねん6がつ14にち判例はんれいタイムズ1266ごう、271ぺーじ
  15. ^ 浅井あさいあつしインフォームド・コンセントの基本きほん」『健康けんこう人間にんげんがくだい16ごう京都きょうと大学だいがく医療いりょう技術ぎじゅつ短期大学たんきだいがく、2004ねん、11-15ぺーじISSN 09163352NAID 120000896598 
  16. ^ a b どもを対象たいしょうとする看護かんご研究けんきゅうかんする倫理りんり指針ししん日本にっぽん小児しょうに看護かんご学会がっかい
  17. ^ Reference guide to consent for examination or treatment (second edition), イギリス保健ほけんしょう, (2009-08), https://www.gov.uk/government/publications/reference-guide-to-consent-for-examination-or-treatment-second-edition 
  18. ^ インフォームドアセントをると、不安ふあん恐怖きょうふやわらぐか? 小児しょうにからるのは同意どういではなく「賛意さんい”. 中外ちゅうがい医学いがくしゃ(m3.com) (2021ねん4がつ6にち). 2021ねん4がつ6にち閲覧えつらん
  19. ^ Division of Mental Health and Prevention of Substance Abuse (1996). This page cannot be found (PDF) (Report). World Health Organization. WHO/MNH/MND/96.9。 [リンク]
  20. ^ といさわ吉彦よしひこ同意どうい」は介入かいにゅう根拠こんきょるか?:パターナリズム正当せいとう原理げんり検討けんとうとおして」『新潟にいがた青陵せいりょう大学だいがく紀要きようだい5かんだい5ごう新潟にいがた青陵せいりょう大学だいがく、2005ねん、77-90ぺーじdoi:10.32147/00001138ISSN 1346-1737NAID 110007568924 
  21. ^ a b 2000ねん2がつ29にち最高裁さいこうさい判決はんけつ平成へいせいいちねん(オ)だいいちはちいちごうだいいち〇八二号平成一二年二月二九日第三小法廷判決)。
  22. ^ a b 判例はんれい時報じほう』1629ごう、34ぺーじ。『判例はんれいタイムズ』965ごう、83ぺーじ
  23. ^ 患者かんじゃ権利けんり」の保障ほしょう医療いりょう現場げんば改善かいぜんにつながる | TKCぜん国会こっかい 医業いぎょう会計かいけいシステム研究けんきゅうかい | TKCグループ”. www.tkc.jp. 2019ねん5がつ25にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

編集へんしゅう
  • 水野みずのはじめ『インフォームド・コンセント-医療いりょう現場げんばにおける説明せつめい同意どうい中央公論ちゅうおうこうろんしんしゃ中公新書ちゅうこうしんしょ958〉、1990ねん1がつ1にちISBN 978-4-12-100958-6 
  • 秋山あきやま秀樹ひでき日本にっぽんのインフォームド・コンセント』講談社こうだんしゃ、1994ねん11月。ISBN 978-4-06-207118-5 
  • 森岡もりおか恭彦やすひこ『インフォームド・コンセント』日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい出版しゅっぱん〈NHKブックス〉、1994ねん9がつISBN 978-4-14-001711-1 
  • うた孝一こういち宇都うとしん平林ひらばやし勝政かつまさへん医療いりょう過誤かご判例はんれいひゃくせん』(だい2はん有斐閣ゆうひかく別冊べっさつジュリスト140〉、1996ねん12月。ISBN 4-641-11440-4 
  • 星野ほしの一正かずまさ『インフォームド・コンセント-日本にっぽん馴染なじむっつの提言ていげん丸善まるぜん丸善まるぜんライブラリー〉、1997ねん5がつISBN 978-4-621-05232-7 
  • 吉原よしはらたかしてん医療いりょう経営けいえいにおけるホスピタリティ価値かち経営けいえいがく視点してん医師いし患者かんじゃ関係かんけいなおす』(2016ねん4がつ白桃はくとう書房しょぼうたんちょ)、ISBN 978-4-561-26674-7

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう

外部がいぶリンク

編集へんしゅう