エア・アメリカ

エア・アメリカ
運航うんこう開始かいし	1950年ねん
運航うんこう停止ていし	1976年ねん6月30日にち
ハブ空港くうこう	サイゴン、ビエンチャン、ウドンタニー
本拠地ほんきょち	アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
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エア・アメリカ（英えい: Air America、ラーオ語ご: ສາຍການບິນອາເມລິກາ）とは、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにあった航空こうくう会社かいしゃである。

中央ちゅうおう情報じょうほう局きょく（CIA）がベトナム戦争せんそう時ときに、ラオスで秘密ひみつ作戦さくせんを行おこなうために設立せつりつされたフロントカンパニー。CIAの準じゅん軍事ぐんじ部門ぶもんSAD（Special Activities Division）に所属しょぞくしていた。社しゃ訓くんは「何なんでも、何なん時じでも、何処どこへでも、プロフェッショナルに（英えい: Anything, Anytime, Anywhere, Professionally）」

主おもに麻薬まやくの生産せいさん地ちであるメコン川がわ流域りゅういきのタイ、ラオス、ミャンマーの黄金おうごんの三角さんかく地帯ちたいにて、麻薬まやくや食糧しょくりょう、武器ぶきを空輸くうゆする活動かつどうを行おこなった^[1]。また、1964年ねん6月がつから1967年ねん6月がつ末まつにかけて、那覇空港なはくうこう - 先さき島とう諸島しょとう（宮古島みやこじま、石垣島いしがきじま）の定期ていき空路くうろを運用うんようしていたが、エア・アメリカが撤退てったいすることになったが故ゆえに、日本にっぽん資本しほんの航空こうくう会社かいしゃ・南西なんせい航空こうくう（現在げんざいの日本にっぽんトランスオーシャン航空こうくう）が誕生たんじょうした、といういきさつがある。

一方いっぽう、麻薬まやくの輸送ゆそうについては、エア・アメリカは積極せっきょく的てきに関与かんよしておらず、もっぱら腐敗ふはいしたラオス王国おうこく政府せいふの高官こうかんが売買ばいばいに関与かんよしていたともされる^[2]^[3]。

イギリスのルポライター、クリストファー・ロビンスによるドキュメンタリー小説しょうせつの題材だいざいにもなり、エア★アメリカとして映画えいが化かされた。日本語にほんご版ばんが新潮社しんちょうしゃから発売はつばいされた事ことがある^[4]。

歴史れきし

1950年ねん、エア・アメリカの歴史れきしが始はじまる。CIAがアジアにおける作戦さくせん遂行すいこうに空輸くうゆが必要ひつようだとしたためである。
1950年ねん8月がつ、CIAはCivil Air Transport(CAT)（第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後ごの中国ちゅうごくのエアライン）を買収ばいしゅうし、アジアで商業しょうぎょうルートを運航うんこうし裏うらで作戦さくせんを遂行すいこうした。例たとえば朝鮮ちょうせん戦争せんそうでは中国ちゅうごく大陸たいりくでの補給ほきゅうを行おこなった。
1953年ねん4月がつには、フランスがインドシナにおける支援しえんをアイゼンハワー大統領だいとうりょうに要請ようせいし、アメリカは同どう地域ちいきの軍事ぐんじ介入かいにゅうを避さけるためにCATのパイロットを搭乗とうじょうさせC-119による支援しえんを実施じっしした。
1955年ねん1月がつに、アメリカ政府せいふはUSOM（the United States Operations Mission）をラオスに設立せつりつ、CATは支援しえんプログラムに組くみ込こまれ、1955年ねん9月がつには食糧しょくりょう不足ふそくに陥おちいったラオスへの支援しえんとしてコメや塩しおをウドーンターニーからC-46により輸送ゆそう、エアドロップを実施じっしした。
- CATは200ミッション、25地点ちてんへと1000トンのコメを輸送ゆそうした。これがラオスにおけるCATの最初さいしょの支援しえんである。
1959年ねん3月がつ26日にちに、エア・アメリカへと社名しゃめいを変更へんこうした。
1959年ねん8月がつ、2名めいのパイロットを日本にっぽんに送おくり、ヘリコプターの操縦そうじゅうをトレーニングした。急峻きゅうしゅんな山地さんちであるラオス北部ほくぶでのオペレーションは困難こんなんであることから、ヘリコプターの導入どうにゅうが必要ひつようとされたためである。
1960年ねん6月がつには、ヘリコプターはエア・アメリカのオペレーションに組くみ込こまれ、H-19による輸送ゆそうが開始かいしされたが不慣ふなれなため十分じゅうぶんな活動かつどうが出来できなかった。このため4名めいの海兵かいへい隊たいパイロットが雇用こようされた。また短距離たんきょり離はなれ着ぎ航空機こうくうき（STOL）の導入どうにゅうが進すすめられた。
- 1960年ねん8月がつ、アイゼンハワー大統領だいとうりょうは、プレス会見かいけんでラオスは複雑ふくざつな状況じょうきょうにあると説明せつめい。内戦ないせんが中立ちゅうりつ派はのコン・レーと右派うはのプーミー・ノーサワン（英語えいご版ばん）との間あいだで勃発ぼっぱつ。パテート・ラーオはコン・レーを支持しじ、アメリカ軍ぐんやCIAはプーミーを支援しえんしていた。
1961年ねん3月がつ28日にち、16機きのUH-34がバンコクからエア・アメリカのウドーンターニーへと送おくられ、すぐにPa Dongのモンチームへの支援しえんに使用しようされた。
1961年ねん5月がつ30日にち、初はじめてのエア・アメリカのヘリパイロット（Charles Mateer Walter Wizbowski)がラオスで死亡しぼうした、悪天候あくてんこうに拠よるものであった。
- モン軍ぐんが増強ぞうきょうされれば、エア・アメリカのラオスでの地位ちいも増強ぞうきょうされた。モンの散ちらばった地域ちいきにアクセスするために、LairはVictor Sites（後のちにLima Siteに変更へんこう）と呼よぶ滑走かっそう路ろを準備じゅんびするように指示しじした。これはエア・アメリカのSTOL機きの離着陸りちゃくりくに使用しようされた。
1962年ねん7月がつ23日にち、ラオス中立ちゅうりつ宣言せんげんがジュネーブにて調印ちょういんされ、外国がいこく軍ぐんの撤退てったいと衝突しょうとつを10月7日にちまでに完了かんりょうさせるとされた。米べい軍ぐんは666名めいのアドバイザーとスタッフを退去たいきょさせ、エア・アメリカも兵器へいきのエアドロップを停止ていしさせた。CIAは2名めいのみ共産きょうさん主義しゅぎ者しゃのモニタリング用ように残のこすことが許ゆるされた。
- 1963年ねんには、エア・アメリカの活動かつどうは急激きゅうげきに減少げんしょうし、モンへの食料しょくりょう供給きょうきゅうに限定げんていされた。月つき40トンを供給きょうきゅうしたが、同社どうしゃはレイオフを実施じっしした。
- 1964年ねん3月がつに戦禍せんかは拡大かくだいし、北きたベトナム兵へいとパテート・ラーオはジャール平原へいげんを攻撃こうげきした。
- 1965年ねんは、ラオスの秘密ひみつ戦争せんそうと呼よばれる戦闘せんとうが開始かいしされた年としで、エア・アメリカは追撃ついげきされた米べい軍ぐんパイロットの捜索そうさく救助きゅうじょ活動かつどうに実施じっしするようになる。
- 1965-1967年ねん、エア・アメリカの乗組のりくみ員いん11名めいが死亡しぼう、うち5名めいは敵てきの攻撃こうげきによるものであった。
1971年ねん末まつには北きたベトナム軍ぐんによるロンチェンへの攻撃こうげきが行おこなわれた。これによりエア・アメリカは大おおきな損害そんがいを出だし12月がつだけで、24機きが対空たいくう砲ほうの攻撃こうげきに会あい、3機きが墜落ついらくした。12月から翌年よくねん4月がつまでに6名めいの乗組のりくみ員いんが死亡しぼうした。
- 戦争せんそうは南部なんぶラオスでも不利ふりとなっており、ボラベン高原こうげんでは1971年ねんに猛攻もうこう撃げきが行おこなわれた。エア・アメリカは輸送ゆそう補給ほきゅうを行おこなったが、同年どうねん12月がつ28日にちには北きたベトナム兵へいはパクソンを占領せんりょうした。
1973年ねん1月がつ27日にち、パリ協定きょうていによりアメリカ軍ぐんの撤退てったいが決定けってい。その翌月よくげつ、ヴィエンチャンでの停戦ていせん合意ごういが行おこなわれた。
- 戦争せんそうは最終さいしゅう局面きょくめんに達たっしていたが、エア・アメリカは引ひき続つづき損害そんがいを出だし、1972年ねん4月がつから1974年ねん6月がつまでに23人にんの乗組のりくみ員いんが死亡しぼうした。
1974年ねん6月がつ3日にちには、最後さいごのエア・アメリカ機きがラオスからタイに飛とび立たった。
1976年ねん6月がつ30日にち、会社かいしゃは閉鎖へいさされた^[5]。

設備せつび

エア・アメリカは様々さまざまな機体きたいを保有ほゆうしたが、多おおくは短距離たんきょり離はなれ着ぎ航空機こうくうき（STOL）であった^[6]。エア・アメリカは、機体きたいを中華民国ちゅうかみんこくに登録とうろくする傾向けいこうがあった。

固定こてい翼つばさ機き

軽けい輸送ゆそう機きとして使用しようしていたピラタス PC-6

L-1011

ロンチェン上空じょうくうにて北きたベトナム空軍くうぐんのAn-2と交戦こうせんする同社どうしゃのUH-1を描えがいた絵え

ビーチ18（C-45）
- バイパー・ビーチ18
ビーチクラフトバロン
ボーイング727-92C
PBY-5A カタリナ
カーチスC-46
デ・ハビランド DH.89 ドラゴン・ラピード
デ・ハビランド・カナダDHC-2 ビーバー
デ・ハビランド・カナダDHC-4 カリブー
デ・ハビランド・カナダDHC-6 ツイン・オッター300
ドルニエDo28 スカイサーバント
ダグラスA-26 インベーダー/オンマークマークスマン
ダグラスC-47
ダグラスDC-4
ダグラスDC-6A/B
フェアチャイルドC-119 フライング・ボックスカー
フェアチャイルドC-123B/K プロバイダー
ヘリオ・クーリエ（en:Helio Courier）
ヘリオ・ツイン・クーリエ（en:Helio Twin Courier）
ロッキードL-1049H コンステレーション
ロッキードL-1011 トライスター
ロッキードC-130A/E ハーキュリーズ
ピラタスPC-6 ターボ・ポーター - フェアチャイルド社しゃでライセンス生産せいさんされた機体きたいを運用うんよう。
パイパー・アパッチ（en:Piper PA-23）

ヘリコプター

拠点きょてん

ラオス国内こくないの拠点きょてんはビクター・サイツ（Victor Sites、後のちにリマ・サイツ（Lima Site）に変更へんこう）と呼よばれた。以下いかのサイトが知しられている^[7]

Lima Siteのリスト
Airfield Name	Site #	緯度いど	経度けいど	海抜かいばつ
ムアン・ニャート MUONG NGAT(Muang Ngai) (N)	LS01	19.0902	104.0668	1372
サンティアウ　SAN TIAU (San Cho)(VI)	LS02	19.4717	103.5675	1402
ノン・ヘッド　NONG HET (Nong Het)	LS03	19.4900	103.9892	1433
(Kiou Kacham (ZI)	LS04	19.5858	102.2188	1220
PA DOUNG (Pa Doung) (I)	LS05	19.1022	103.1172	1402
PHOU VIENG (Phou Vieng) (U)	LS06	19.8000	103.1523	1037
NAM LAN (Nam Lan)	LS07	19.7870	103.6225	1494
KHANG KHAI(Khang Khai)	LS08	19.5000	103.2500	1128
LAT HOUANG (Lat Houang) (HL)	LS09	19.3865	103.1733	1098
BAN BAN (Ban Ban)	LS10	19.6338	103.5570	610
THA THOM (Tha Thom)	LS11	18.9763	103.6167	244
PHA KHAO (Ban Pha Khao) (A) [See LS308]	LS14	19.0245	103.0198	1189
BAN NA (Ban Na)(UA)	LS15	19.3257	102.9558	1540
PHOU FA (Agony)(Phou Fa - Agony)	LS16	19.6513	102.8045	1646
NAM CHONG (Nam Chong) (AN)	LS17	19.3402	102.7565	1235
THA LIN NOI (Tha Lin Noi)	LS18	19.4505	103.4072
PHOU KHE (Phou Khe)	LS19	19.3087	103.2593	1890
BAN SAN THONG(Samthong) (P)	LS20	19.1837	102.8702	1159
ロンチェン　LONG TIENG (Long Tieng) [Also LS30&98]	LS20A	19.1050	102.9218	991
PHA PEUNG (Pha Peung)	LS21	19.1732	103.4427	1768
BAN NA NIO (Muong Om) (I)	LS22	18.9553	103.2585	915
HUEI SA AN (Houei Sa An)	LS23	19.8335	103.4693	1341
MUONG SAM(Moung Sam)	LS24	19.0432	104.2667	396
PHOU CHAI (Phou Chia) Ban Phou Beui [1:50]	LS25	19.4260	102.1400	1555
XIENG DAT (Xieng Dat) (K)	LS26	19.4095	102.7072	716
HOUEI THOM (Houei Thom) (N)	LS27	20.0432	103.6000	1311
BAN DONE (Ban Done) (T)	LS28	18.6758	102.1218	229
BAN SONG (Ban Song)	LS29	19.8080	103.7243	1311
LONG TIENG (Long Tieng) [Also LS20A&98]	LS30	19.1050	102.9218	991
BAN TINE PHA(Pheng Lieu)	LS31	19.8333	103.7708	1220
BOUAM LONG (U)	LS32	19.7553	103.3255	1220
SAN PAU KA (San Pa Pha)	LS33	19.9675	103.1408	1280
BAN BOUAC (Ban Bouac)	LS34	19.2755	103.6532	1341
KHA PHU (Kha Phu)[See Ban Peung LS95]	LS35	19.1867	103.5075	1860
(Na Khang) (LI)	LS36	19.9727	103.4720	1372
MOUNG PHUN(Moung Phun) (ll)	LS37	19.0925	102.7000	1128
"BAN NAM PIT (Houei Ki Nin) (KY)"	LS38	19.4065	102.9195	1006
BAN KHAMI	LS39	20.0900	103.8208	168
BAN PHA KA (A)	LS40	19.3932	103.5765	1341
NA DAO	LS70	19.4167	103.4667	1128
PHOU NONG	LS71	19.4758	103.6432	1555
THA TAM BLEUNG(Tong Ta Bleung) (U)	LS72	19.2170	102.9840	1707
NAM THANG	LS73	19.0922	101.6740	854
(Tham Sone/Tham Sorm) (V)	LS74	19.2833	103.5500	1280
SOP HIEN (TF)	LS75	18.8242	103.8742	1189
(Pha Bong)	LS76	20.3667	103.4333	1402
BAN SONG KHONE(Ban Song Khone)	LS77	18.0008	105.1755	549
BAN NA MOUNG (Na Poung) (K)	LS78	19.4000	102.6667	762
NAW NUEN (Naw Nuen)	LS79	19.3432	101.9500
PHU SANG NAO(Phou Sang Nao) (A)	LS80	19.7598	102.9500	1524
BAN THAM TAT (Ban Tham Tat)(E)	LS81	19.1252	103.9720	1250
PHU SE BOT T (Phou Sabot) (U)	LS82	19.7172	103.7913	1341
BAN NONG DAO(Ban Nong Dao)	LS83	18.2012	102.8255	168
BAN KENG SAI (Ban Keng Sai)	LS84	20.1003	103.8577	1235
PHU PHA THI (Phou Pha Thi) (Pha Thi)	LS85	20.4258	103.7212	1220
HONG NON (Hong Non)	LS86	20.3912	103.8847	1341
PHIA KHAM (Pim Khan) (Phia Khan)	LS87	20.5240	104.0353	1128
(Boun Loum) BOUAM LONG [1:50](U)	LS88	19.7553	103.3255	1524
BAN VIENG	LS89	19.7733	103.7890	1128
TIN BONG (E)	LS90	19.1575	102.6262	1524
MUONG TIOUEN(Muong Tiouen)	LS91	18.8723	104.3745	396
(Sing Ka)	LS92	19.8167	101.1667	1098
(Phou Mieng Mane)(H)	LS93	17.6673	101.0745	762
BAN KHA	LS94	19.2432	103.6352	1311
BAN PEUNG (Ban Peung) [See Kha Phu LS35]	LS95	19.1845	103.5067	1220
PHU MIANG (Phou Mieng Mounge)	LS96	17.6673	101.0745	762