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ジストニア - Wikipedia

ジストニア

運動うんどう障害しょうがい姿勢しせい異常いじょう

ジストニア(dystonia)は、中枢ちゅうすう神経しんけいけい障害しょうがいによる随意ずいい持続じぞくてきすじ収縮しゅうしゅくにかかわる運動うんどう障害しょうがい姿勢しせい異常いじょう総称そうしょうのう大脳だいのう基底きていかく視床ししょう小脳しょうのう大脳皮質だいのうひしつなどの活動かつどう過剰かじょうになる異常いじょう原因げんいんとされる[1]運動うんどう異常いじょうしょう症候しょうこうめいである[2]。20世紀せいき一時期いちじき精神せいしん疾患しっかんとしてあやまった認識にんしきがされていた[3]日本にっぽん神経しんけい学会がっかい用語ようごでは「ジストニー」と表記ひょうきされる。2016ねん現在げんざい日本にっぽんでは特定とくてい疾患しっかんには認定にんていされていないが、遺伝いでんせいジストニアが難病なんびょうほうもとづく指定してい難病なんびょうで、医療いりょう助成じょせい対象たいしょうとなる場合ばあいがある[4]

ジストニア
概要がいよう
診療しんりょう 神経しんけいがく
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 G24.9
ICD-9-CM 333
DiseasesDB 17912
MeSH D004421

報告ほうこく

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1911ねんにドイツじん医師いし Hermann Oppenheim(1857.12.31-191)によりはじめて報告ほうこくされ[5][3]Dystonia用語ようご提唱ていしょうされた[2]。1944ねん Herz E.により現在げんざい認識にんしきちか診断しんだん用件ようけん報告ほうこくされた[6]

分類ぶんるい

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日本にっぽんの2018年版ねんばんガイドラインでは「いちせい」「せい」の分類ぶんるいおこなわれなくなった[3]

発症はっしょう原因げんいん
発症はっしょう原因げんいんから下記かき分類ぶんるいされる[3]
  1. 遺伝いでんせい - 指定してい難病なんびょう[4]
    • つね染色せんしょくたい優性ゆうせいつね染色せんしょくたい劣性れっせいともせい劣性れっせいミトコンドリア遺伝いでん。いくつかの遺伝子いでんし異常いじょう関与かんよしていること判明はんめいしているが、全容ぜんよう解明かいめい
  2. 後天こうてんせい - 遺伝いでんせい原因げんいん判明はんめいしているもの。
    • 出産しゅっさんのう外傷がいしょう感染かんせんしょう薬物やくぶつ中毒ちゅうどく血管けっかん障害しょうがい腫瘍しゅようのう外傷がいしょうしんいんせい
      • こう精神せいしんやく投与とうよともなおそはつせいジストニア。
  3. 突発とっぱつせい
    • 原因げんいん不明ふめい
部位ぶい
症状しょうじょう出現しゅつげんしている部位ぶいにより、
  • 局所きょくしょせいジストニア
    • 1つの部位ぶい
  • 分節ぶんせつせい
    • 隣接りんせつする2つ以上いじょう部位ぶい
  • せいジストニア
    • 隣接りんせつしない2つ以上いじょう部位ぶい
  • 全身ぜんしんせいジストニア
    • みきくわえて2つのことなる部位ぶい
  • 片側かたがわせい

分類ぶんるいされる。

診断しんだん

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後天こうてんせい要因よういんのききとり、こう精神せいしんやく投与とうよくすりれききとり、類似るいじ症状しょうじょう疾患しっかん鑑別かんべつ疾患しっかん除外じょがいするため各種かくしゅ診断しんだん[3]

鑑別かんべつ疾患しっかん

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ウィルソン(Wilson)びょう遺伝いでんせい神経しんけい変性へんせい疾患しっかん:SCA1、2、3、17、PARK2、6、15、家族かぞくせい痙性たい麻痺まひ、ハンチントンびょう神経しんけいゆうとげ赤血球せっけっきゅうしょう、GM2ガングリオシドーシス、GM1ガングリオシドーシス、ニーマン・ピック(Niemann-Pick)びょう、レット症候群しょうこうぐん、パーキンソンびょう、パーキンソン症候群しょうこうぐんのう血管けっかん障害しょうがい関節かんせつリウマチなど。

類似るいじした症状しょうじょうていする疾患しっかん[3]
  1. チックしょう
  2. 代償だいしょうせいあたま異常いじょう
    • 前庭ぜんてい神経しんけい障害しょうがい滑車かっしゃ神経しんけい麻痺まひなど
  3. 骨関節こつかんせつ・軟部組織そしき異常いじょう
    • 奇形きけい関節かんせつ脱臼だっきゅう、軟部組織そしきしゅこぶ、ばねゆび関節かんせつリウマチなど
  4. 先天せんてんせいすじせいはす
  5. すじ痙攣けいれん
  6. だつ感覚かんかく神経しんけい
    • 感覚かんかくせいにせアテトーシス

治療ちりょう

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薬物やくぶつ療法りょうほう
内服薬ないふくやくとしてこうパーキンソンやくこう不安ふあんやくこうコリンやくもちいられることがある。効果こうかしめ場合ばあいもあるが、おおくの場合ばあい有効ゆうこうりつひくい。ドーパ反応はんのうせいジストニア(en)ではレボドパ特効薬とっこうやくである。
ボツリヌス療法りょうほう
ごく微量びりょうボツリヌストキシン痙攣けいれんきている筋肉きんにく注射ちゅうしゃすじ緊張きんちょうゆるめる治療ちりょうほう[7]日本にっぽん保険ほけん制度せいどでは治療ちりょうほうくら高額こうがくだが、効果こうかたかい。個人こじんがあるものの、一般いっぱんてき効果こうかは2にち - 1週間しゅうかん発現はつげんし、おおむね3 - 4ヶ月かげつげんじゃくする。疼痛とうつうたいしても効果こうかがある。
神経しんけいブロック
エタノールフェノールなどで神経しんけい破壊はかい人工じんこうてき麻痺まひ状態じょうたいつくることで、随意ずいい運動うんどう軽減けいげんする治療ちりょう。また、前述ぜんじゅつ薬品やくひん筋肉きんにくない注射ちゅうしゃするMAB(Muscle afferent block)という治療ちりょうもある。日本にっぽん保険ほけん制度せいどにおいては、ボツリヌス療法りょうほうくら治療ちりょうやすいが、おおくのデータでは有効ゆうこうりつおとる。
手術しゅじゅつ
眼瞼がんけん痙攣けいれんたいしてすじきり截術、痙性はす書痙しょけいたいして定位ていいのう手術しゅじゅつあわあおだま視床ししょう電極でんきょくのう深部しんぶ刺激しげきじゅつ(DBS)などの手術しゅじゅつ適用てきようされる場合ばあいがある。
バクロフェン療法りょうほう
ITB(Intrathecal baclofen therapy)ともばれる。体内たいないにポンプをみ、すじ弛緩しかんやくであるバクロフェンを持続じぞくてきずいちゅうする治療ちりょうほう。ボツリヌス療法りょうほう局所きょくしょたいして効果こうかがあるのにし、バクロフェンは全身ぜんしん効果こうかがある。
鍼灸しんきゅう治療ちりょう
頸部ジストニアにかんして鍼灸しんきゅう治療ちりょう有効ゆうこうであるという報告ほうこくがある。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ ジストニア MSDマニュアル家庭かていばん
  2. ^ a b 目崎めさき高広たかひろ, 「ジストニアの病態びょうたい治療ちりょう」『臨床りんしょう神経しんけいがく』 51かん 7ごう 2011ねん p.465-470, 日本にっぽん神経しんけい学会がっかい, doi:10.5692/clinicalneurol.51.465
  3. ^ a b c d e f 診療しんりょうガイドライン2018.
  4. ^ a b 遺伝いでんせいジストニア(指定してい難病なんびょう120) 難病なんびょう情報じょうほうセンター
  5. ^ Oppenheim, Hermann (1911). “Uber eineeigenartige Krampfkrankheit des kind-lichen und jugendlichen Alters (Dysbasia lordotica lordotica progressive, Dystonia musculorum deformans)”. Neurol Cbl 30: 1090-1107. NAID 10024845792. 
  6. ^ Herz E. "Dystonia. I. Historical review; analysis of dystonic symptoms and physiologic mechanisms involved." Arch Neurol Psychitr 1944;51:305-318, doi:10.1001/archneurpsyc.1944.02290280003001.
  7. ^ 中村なかむら雄作ゆうさく,「ジストニアの診断しんだんとボツリヌス療法りょうほう」『臨床りんしょう神経しんけいがく』 2017ねん 57かん 7ごう p.367-372, 日本にっぽん神経しんけい学会がっかい, doi:10.5692/clinicalneurol.cn-001018

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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